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COP27:資金支援について集中議論 化石燃料への投資、世界の排出量に関するAIインベントリに脚光(UN News 記事・日本語訳)

2022年11月17日

シャルム・エル・シェイク(エジプト)でのCOP27の会期中、化石燃料への融資に抗議する人々 ©UN News/Laura Quinones

 

2022年11月9日 - COP27では「テーマ別」の期間が本日開幕し、初日は資金支援の課題に焦点が当てられた。活動家たちは、化石燃料に投資されている年間数千億ドルの投資先を変え、地域社会が主導する再生可能エネルギー・イニシアチブへの融資に役立てるためのグローバルな行動を起こさなければならないことを明確に示した。

年齢も背景も異なる50人を超える活動家たちが、シャルム・エル・シェイクの会議センターの中心エリアにある、国連が管理する「ブルーゾーン」と呼ばれる一帯を占拠し、「化石燃料への融資を止めよう! 死に向かう融資を止めよう!」と訴えました。

NGOのオイル・チェンジ・インターナショナルを代表して参加したスーザン・ファン氏は、今週初めに国連事務総長が指摘したように、再生可能エネルギーに緊急に移行する必要がある時に、裕福な国々がいまだに化石燃料に資金をつぎ込んでいるという事実を明らかにすべく集まった参加者の一人です。

「昨年のG7サミットでは、2022年末までに化石燃料への公的融資を打ち切るという合意がなされました。ところが、国際エネルギー機関(IEA)は、実際には再生可能エネルギーへの移行が遅れていることが、気候危機とエネルギー危機を悪化させている原因であると発表したのです。私たちは、世界のリーダーたちに対して、約束を果たして化石燃料への公的融資を止めるよう要請しているのです」とファン氏はUN Newsに語りました。

ファン氏は、これらの投資はまた、世界中で生物多様性を破壊し生活を荒廃させるなど、壊滅的な打撃を与えていると述べました。こうした意見を持つのはファン氏だけではありません。モザンビークのFoEインターナショナルに所属するディプティ・バートナーガー氏は、熱のこもったスピーチを行いました。会議センターのメーン広場に集まった人々のうなずきや熱心な同意を示すつぶやきからは、スピーチが心に響いたことが明らかでした。

「裕福な国々が、膨大な埋蔵量のガスを確保するためにやって来て、人々が自分たちの土地から立ち退きにあっています。(モザンビークの)人口2,300万人のうち100万人が、ガスが理由で、難民キャンプで生活しています。私たちは、これ以上のガスへの融資に『ノー』と言います。私たちは、アフリカを燃やすわけにはいきません」とバートナーガー氏は声を張り上げました。

活動家たちは、世界中でエネルギーへのアクセスを向上させて、最も脆弱な立場に置かれた人々のニーズを満たす最善の方法は、地域社会が支援する再生可能エネルギー計画に投資することだと明言しました。

「地域の人々が管理し、運用できるエネルギー計画です」とファン氏は説明しました。

© WFP

 

汚染者に説明責任を課す新たなAIツール

一方、2つ離れたパビリオン・ゾーンでは、アントニオ・グテーレス国連事務総長もまた、化石燃料への投資を継続している各国政府や大手銀行に呼びかけました。

グテーレス事務総長は、気候TRACE連合が創設し、アル・ゴア元米国副大統領が率いる、温室効果ガス排出量の新たな独立インベントリ(排出目録)の立ち上げに当たって演説しました。

このツールは、衛星データと人工知能(AI)を組み合わせて、中国、米国、インドの企業を含む世界中の7万以上の拠点での施設レベルの排出量を表示するものです。これにより、リーダーたちは排出されている場所や規模を知ることができます。

事務総長は、このイニシアチブによって公表されたデータから、メタンの漏出やフレアリング、石油・ガス生産に関連するその他の活動が実際よりも少なく報告されているため、排出量はこれまで考えられていた量の数倍になることが示されたと説明しました。

「これは各国政府や金融部門、とりわけ化石燃料による汚染に投資し、その債務を引き受け続けている者たちへの警鐘とならねばなりません」と事務総長はCOP27の全体会議で述べました

©UNIC Tokyo/Momoko Sato

 

多大な犠牲を強いる災害

現在オンライン上にある、この前例のないインタラクティブに操作可能なインベントリのプレゼンテーションでは、アル・ゴア氏がリモコンを手に動き回りながら、気候がもたらす破壊を示すスライドを次から次へと見せながら説明していました。

『不都合な真実』の著者としても名高く、気候行動の初期の提唱者の一人として知られているゴア氏は、全体会議場を360度取り囲む巨大スクリーンに、原子爆弾が爆発する動画を上映しました。その轟音に聴衆は戸惑いながらも、興味を示していました。

ゴア氏の狙いは、COP27首脳級会合の開会式で自身が述べた、大気中に蓄積された温室効果ガスによる汚染は、毎日60万発もの原爆が爆発するのと同量の余分な熱を閉じ込めるものだという事実に焦点を当てることでした。

「2カ月前の9月に開かれた国連総会で、事務総長は、ヨーロッパの熱波、パキスタンの洪水、深刻な干ばつについて語り、(中略)それらすべてを人類が化石燃料に中毒的に依存している代償だとして正しく結びつけたのです」とゴア氏は参加者に想起を促しました。

ゴア氏によると、現在これらの破壊的状況は、世界経済に毎年2.5兆ドルの負担を強いています。

一方で、とりわけ再生可能エネルギーへの投資を拡大することでこの悲惨な傾向を逆転させるというソリューション(解決策)は存在しており、世界は岐路に立っている、とゴア氏は述べました。

© Unsplash/Mladen Borisov

 

新たなツールの重要性

ゴア氏はさらに、化石燃料への融資と補助金は「愚か」だとする一方で、アフリカへの再生可能エネルギー向け融資の可能性が見過ごされている、と指摘しました。

風力発電と太陽光発電の将来性は、アフリカの化石燃料総埋蔵量の400倍に達する上に、無公害で、より多くの雇用を創出しますが、資金が不足しています。(中略)だからこそ、今年のCOPで世界の資本配分システムの変更に非常に大きな注目が集まっているのです」とゴア氏は強調しました。

ゴア氏は続けて、100以上の機関と3万個以上のセンサーから得られる、信頼性の高い検証済みデータを組み合わせた気候TRACEインベントリは、各国政府が行動目標を定める助けになると説明しました。

「これにより、排出者はごまかしをできなくなります」とゴア氏は述べ、現時点での世界の上位14カ所の個別排出源がすべて、油田・ガス田であることを明らかにしました。

「このインベントリ構築の初期に得られた最も顕著な洞察の一つは、石油・ガス生産での排出規模であり、とりわけこれまで報告されていなかったものです」とグテーレス事務総長は付け加え、このデータを、気候緊急事態への取り組みにおける「非常に重要な情報源」と呼びました。

事務総長は、この新たなツールが、サプライチェーンの脱炭素化に取り組むビジネスリーダー、政策決定と気候計画の調整に取り組む各国政府、そして排出量正味ゼロに向けた民間セクターの進捗を追跡する投資家にとってきわめて重要となることを強調しました。

「この問題は私たちが信じ込まされていたよりもはるかに大きく、すべての化石燃料の段階的廃止を加速するには、より一層努力しなければなりません」と事務総長は警鐘を鳴らしました。

Climate Trace© Climate Trace

 

COP 資金支援の課題」その他の注目点

資金支援をテーマにしたCOP27の集中議論では、気候危機の影響に対処してパリ協定の目標を達成する上で要求される、迅速かつ広範囲に及ぶ変革を実現するためには、毎年数兆ドル相当を投資する必要があることが強調されました。

様々な会議室、パビリオン、「アクションハブ」、そして非公開の交渉の場で、代表団、活動家、投資銀行家、その他のステークホルダーたちが、排出量の緩和、適応、損失と損害といった気候行動の最重要分野における現在の資金不足を埋めることの重要性について議論しました。

専門家たちは、官や民、債券や株式、商業や慈善活動といったすべての部門で金融面での行動を起こさなければならないことに合意しました。

金融は、あらゆる場所で行動の推進を可能にする最大の解決策です」とアジア投資家グループの政策担当部長、アンジャリ・ヴィスワモハナン氏はUN Newsに語りました。

大きな呼びかけの一つは「適応ギャップ」を埋めることでした。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局によると、プロジェクト開発者と投資家は、公正な移行という観点でカーボンニュートラルと気候にレジリエント(強靭)な変革に向けた構造的変化とイノベーションを推進し、かつ自然資本を保護して修復するために、レジリエンス(強靭性)を高め、脆弱な立場に置かれた人々を気候変動の負の影響から保護するプロジェクトを準備し、そこに投資することに集中しなければなりません。

© Unsplash/Micheile

 

さらなる誓約と取り組み

同じく本日、スコットランド、ノルウェー、ドイツ、オーストリア、ベルギーと並び、ニュージーランドが、2,000万ドルの誓約とともに、損失と損害の問題への資金支援(気候変動災害の影響を受ける炭素排出量の少ない開発途上国への支払い)を約束した国々のリストに加わりました。

またイギリスは、気候災害に見舞われた国々に対して支払い延期を認めることを表明しました。

「持続可能な保険に関するナイロビ宣言」のイニシアチブとなる「アフリカ気候リスクファシリティ」も、署名国が2030年までに気候リスクに対して140億ドルの保険を引き受けることを約束して立ち上げられました。

米国のジョン・ケリー気候問題担当大統領特使もCOP27でイベントを開催し、企業が「炭素クレジットを購入」して石炭から移行する国々を支援する計画を発表しました。

エネルギー移行アクセラレーターと呼ばれる計画案に基づき、化石燃料の使用量を減らして再生可能エネルギーの使用量を増やす国家機関は、排出量を削減することで炭素クレジットを取得できます。

これに関連して、ドイツの若い活動家であるルイーザ・ノイバウアー氏は、COP27で約束を交わしている世界のリーダーたちに向けて、国連児童基金(UNICEF)の記者会見で厳しいメッセージを送りました。

「世界中で新しい化石燃料インフラに参画したまま、ここに来て気候行動について語るのはやめてください。化石燃料への融資が爆発的に増えている中で、ここに来て気候正義について語るのはやめてください。世界中で化石燃料への投資が日々急増している中で、ここに来て適応や損失と損害のための資金が足りないかもしれないと説明するのはやめてください」

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原文(English)はこちらをご覧ください。