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ビジネスがCOVID-19の社会的影響に取り組むべき理由:国連グローバル・コンパクト リセ・キンゴ事務局長に聞く(UN News記事・日本語訳)

2020年06月12日

ガーナのアクラで、国際市場向けにシャツを生産する工場労働者(資料映像)©World Bank/Dominic Chavez

2020年6月1日 – 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)による経済的影響への対応に苦心する中でも、ビジネスは持続可能な未来を構築するためのパートナーとしての責任を意識し続ける必要がある ― こう語るのは、企業のサステナビリティー(持続可能性)に関する世界最大のイニシアチブである「国連グローバル・コンパクト」を率い、退任を控えたリセ・キンゴ事務局長です。

リセ・キンゴ氏は過去5年間にわたり、グローバル・コンパクトの事務局長を務めてきました。UN Newsとのインタビューに応じたキンゴ事務局長は、在任中に目にしてきた数々の変化とCOVID-19危機が、人々と地球を守る未来という国連のビジョン実現に向けた民間セクターの決意に影響を及ぼしている様子について述べました。

「COVID-19パンデミックを受け、すべての企業に対して真っ先に対策を求めるイニシアチブの一つとなったのがグローバル・コンパクトでした。私たちは、こうした対策が経済的、社会的に強大な影響力を及ぼすこと、そして企業は人権、労働、腐敗防止、環境に関するグローバル・コンパクト10原則と、国連が定める変革への青写真である持続可能な開発のための2030アジェンダについて、2倍の責任を果たす必要があることを訴えたのです。

私たちは企業に2つのことをお願いしました。1つは、世界保健機関(WHO)財団に寄付を行い、その活動に必要な資金が得られるよう支援すること。もう一つは人権、安全、そして雇用の維持という点で、従業員を守ることです。今回のパンデミックでは、インフォーマル経済で最も弱い立場に置かれた労働者をはじめ、はるかに多くの人々が突如として職を失うと見られるからです。

国連グローバル・コンパクトは企業に対し、今後進むべき道は、その金銭的損益に関心を集中することではなく、さらに責任感を高め、10原則と持続可能な開発目標(SDGs)をビジネスの根幹に据えることにあることをはっきりと伝えました」

今回の危機で、政府と企業、市民社会、労働者とのパートナーシップが強まるという確信はありますか。

リセ・キンゴ国連グローバル・コンパクトCEO兼事務局長(資料映像)©UN Global Compact/Chae Khin for Joel Sheakoski Photography

「グローバル・コンパクトに参加し、実質的にこれをビジネスに取り入れている大企業については、マルチラテラリズムと国連・政府・企業間のパートナーシップこそが、これから進むべき道であるという理解が広がっていると、比較的確信をもって言えると思います。

もちろん、生き残るだけで精一杯で、本当に厳しい状況にある企業もあります。しかし、10原則とSDGs、そして今回のニューノーマル(新しい常態)が、自社のビジネスにとってどんな意味合いを持つか理解できている企業は、最終的に元の道へと戻ってくると思います。

貧困の削減に関する状況は悲惨で、私たちは基本的に20年前へと逆戻りしてしまいました。その原因は主として、グローバル・サプライチェーンで働く人々が職を失っていることにあります。多くの企業は、気候変動の問題をはじめとする環境課題だけでなく、大きな社会的課題にも取り組む必要があることに気づき始めています。私たちは単に、以前のやり方に戻ろうとは思っていません」

 

グローバル・コンパクト事務局長を務めた5年間で学んだことは何ですか。

「この分野に私は30年間携わってきましたが、持続可能なビジネスを中心的課題に据えることはいつも困難でした。この問題は常に、脇に追いやられがちだったからです。しかし、状況は変わりました。現在ではCEOの70%がサステナビリティーを推進しています。

私が国連グローバル・コンパクトに加わった2015年は、刺激的な年でした。持続可能な開発のための2030アジェンダが国連で採択された年でもあったからです。私たちの眼前には突如として、17の持続可能な開発目標(SDGs)を伴う壮大なアジェンダが姿を現しました。国連グローバル・コンパクトのコミュニティーとともに、これをいかにしてビジネスの課題へと落とし込むのかが、私にとって大きな課題の一つとなったのです。

また、私が国連と関わっている間に、企業はマルチラテラリズムの強力な擁護者となりました。多国籍企業はビジネス上の利益だけでなく、人間的、社会的理由からもナショナリズムを歓迎しません。全世界が一つの巨大市場としてつながり合っていることが必要だからです。

インドネシアの製品工場で、電子製品の組み立てと製造を行う労働者© ILO/Asrian Mirza

SDGsは実質的に実業界だけでなく、金融界も刺激しました。そして、企業が今後、成功を収めるために適応を迫られる「ニューノーマル」を定める一つの方法にもなっています。

例えば、世界最大の金融機関であるBlack Rockがグローバル・コンパクトに参加したことは、その大きな兆候であり、現在では多くの金融機関が、グローバル・コンパクトの10原則に基づき、責任投資ポートフォリオに含めるべき銘柄の選別を行うようになっています。

こうした理由からも、グローバル・コンパクトは実業界と金融界にとって、企業のサステナビリティーがどれだけ高まっているかを判定する権威になるとともに、あらゆる企業がジレンマや課題に直面する中でも、いかに継続的な改善に務めているかを示していかなければならないのです」

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原文(English)はこちらをご覧ください。

 

 

 

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