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数十年の前進が「一瞬にして水泡に帰す」可能性も… 事務総長、横浜での気候会合で警鐘(UN News記事・日本語訳)

2019年08月30日

横浜で開催中の第7回アフリカ開発会議(TICAD7)で、記者団の質問に答えるアントニオ・グテーレス国連事務総長(2019年8月29日)© UN Photo/Ichiro Mae

2019年8月29日 ― 「災害ほど開発を損なうものはありません」アントニオ・グテーレス国連事務総長は、7回目を迎えたアフリカ開発会議(TICAD2日目の気候変動と防災関するテーマ別会合出席者に対し、こう語りかけました。

「数十年かけて達成された持続可能な開発に向けた前進が、一瞬にして水泡に帰してしまいかねません」事務総長は横浜で、今年前半にモザンビークで多数の死傷者を出したサイクロンの被害、この数日間に日本を襲った洪水、そして今もアマゾンで燃え広がっている山火事を例に挙げ、こう警鐘を鳴らしました。

7月がこれまでで最も暑い月になったことから「記録がある中で、2015年から2019年はこれまでで最も暑い5年間となる可能性が濃厚となっています。同時に、世界気象機関(WMO)は、大気中のCO2濃度が人類史上最高となっていることも示しています」事務総長はこう記者団に語りました

その被害を受ける人々について、事務総長は「最初に打撃を被るのは貧しく脆弱な立場にある人々」だとしたうえで、アフリカは被害をまともに受けながら、地球温暖化をほとんど助長していないという点を指摘しました。

「私たちの包括的目標は、野心を高め、世界の気温上昇を1.5˚C以内に抑えられる目途を立てることにあります」 国連事務総長

 事務総長は「この点に関し、アフリカには特別な道徳的権威」があり、国連環境計画(UNEP)の 最新の数字によれば、最大のCO2排出国となっている中国や米国、インドなどの国々に対し、その排出量を削減し、2050年までにカーボンニュートラルを達成するための科学界の提言を遵守するよう求める権利があると主張しました。

「私たちの包括的目標は、野心を高め、世界の気温上昇を1.5˚C以内に抑えられる目途を立てることにあります」事務総長はこのように述べ、この目標の達成は「急速かつ広範な移行」によってのみ可能となるという、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のっ調査結果を引き合いに出しました。

アマゾンで続く山火事に関し、グテーレス事務総長は、国連がこれを優先的に解決するための対策を講じていることを明らかにしました。

「私たちは国連総会のハイレベル会合開催中にも、アマゾンに対する支援の結集を図る会合を開けるかどうか、各国に打診しています」

事務総長は9月23日、ニューヨークで気候行動サミットを開催しますが、すでに災害復興と防災措置の推進を含め、貧しく脆弱な立場にある人々を守るための提案が提出されています。

気候変動による危機を緩和するために、私たちは「災害が起きた後の対応効率を高めるだけでなく、警報や準備態勢を充実させることで、そもそも災害の発生を防ぐための取り組みも行わねばなりません」事務総長はこのように語っています。

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