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私たちの生命を保つ「地球の肺」を守ろう:森林と国連について知っておくべき5つのこと

2019年06月11日

国際森林写真コンテスト入賞作品から、オルガ・ラフルシュコ氏(ウクライナ)「私の好きな場所」©Photo/ Olga Lavrushko

2019年5月10日-地球上の生命を維持するうえで不可欠な森林は、気候変動対策でも重要な役割を果たします。ニューヨークできょう、国連森林フォーラム(UNFF)の2019年会期が閉幕することを受け、この問題をさらに深く探究し、国連の森林保護に向けた取り組みをまとめます。

 

1. 森林は最も費用対効果の大きい気候変動対策の手段

世界の森林を保護、強化することは、最も費用対効果の大きい気候変動対策の一つと言えるかもしれません。森林は炭素吸収源として、毎年およそ20億トンの二酸化炭素を吸収しています。持続可能な森林管理を行えば、レジリエンスを高めるだけでなく、気候変動の緩和と適応にも役立つ可能性があります。

ポーランドのカトヴィツェで開かれた2018年の気候会議(COP24)で発言した劉振民(リュウ・ジェンミン)・国連経済社会局(DESA)局長は次のように話しています。「森林は、気候変動を緩和し、これに適応するための解決策を策定するうえで中心的な役割を果たします。この陸上生態系はすでに、人間の活動による二酸化炭素排出量のほぼ3分の1を大気から除去しています。持続可能な森林管理を行えば、さらに多くの二酸化炭素を除去できるでしょう」

今週のUNFF会合では、森林を基盤とする気候変動緩和・適応策を全面的に実施すれば、2050年までにCO2換算で年に15ギガトン程度、温室効果ガスの排出量を削減できることが指摘されましたが、これは温暖化を2°Cよりもはるかに低い水準(2015年に国際社会が定めたターゲット)に抑えるのに十分な量である可能性もあります。現在、化石燃料は毎年36ギガトンの温室効果ガスを排出しています。

また、化石燃料が再生可能エネルギーへと置き換わっていく中で、森林はますます重要なエネルギー源となることでしょう。森林はすでに、薪という形で全世界の再生可能エネルギーの約40%を供給していますが、これは太陽光、水力、風力発電を合わせた規模に匹敵します。

国際森林写真コンテスト入賞作品から、エカ・フェンディアスパラ氏(インドネシア)「クルイ地方のダマール林」©Photo/ Eka Fendiaspara

2. 森林破壊ゼロの目標は達成間近

過去25年の間に、国際的な森林保護は大きく前進しました。現存する森林を持続可能な形で管理しつつ、劣化した森林や土地を回復し、林産物や林産サービスに対する需要を満たすための植林を拡大するために野心的な措置を進めるというグローバルな取り組みのおかげで、全世界の正味森林破壊率は、50%以上も減速しています。

世界的な森林破壊を正味ベースでゼロにするという目標は達成間近であり、これによって世界は、グローバルな森林面積を2030年までに3%、すなわち、南アフリカの面積にほぼ匹敵する1億2,000万ヘクタール拡大するという「国連森林戦略計画」のターゲット実現に一歩近づいたことになります。

3. 森林にとって最大の脅威は…農業

多くの人が、違法で持続不可能な伐採が森林に壊滅的な影響を及ぼしていることを認識していますが、実際のところ、森林破壊の世界最大の原因は農業です。広大な森林が農地や放牧地に変えられているからです。農業生産の継続的増大をいかに管理し、全体的な森林面積を減らすことなく、食料の安全保障を改善すべきか、という点が重大な課題となっています。

5月に発表された重要な生物多様性に関する主要な国連報告書は、100万種の生物が絶滅の危機に瀕していることを指摘し、全世界で大きく報道されましたが、報告書は森林破壊にも警鐘を鳴らし、それが「生物多様性に悪影響を及ぼす可能性が高く、しかも、社会的紛争を激化させるなどして、食料と水の安定確保さえも脅かしかねない」ことを指摘しました。

ホンジュラスの「乾燥回廊」は数年前、主として森林破壊によって、これよりもさらに縮小していた。乾燥回廊は砂漠ではなく、時折厳しい干ばつに襲われる地域で、雨水管理が重要な理由もそこにある(2018年5月24日、ホンジュラス)© WFP/Rocío Franco

4. 森林保護における国連の役割が増大

森林が初めて国際的な議題として注目されたのは、最も画期的な国連会議の一つとして広く認められている1992年の地球サミットでのことでした。サミットで採択された「アジェンダ21」は、持続可能な開発の達成に向けた初の重要な国際的アクションプランとして「樹木、森林および林地の様々な生態的、経済的、社会的、文化的な役割を支援、育成するために採択された政策、方法およびメカニズムに重大な弱点」があると指摘しました。

地球サミットでは「森林原則声明」も採択されましたが、この声明は法的拘束力こそ持たないものの、森林の持続可能な管理について初めて達成された世界的なコンセンサスでした。声明はすべての国に対し、植林と森林保全に努めるよう求め、各国が国内の持続可能な開発政策に沿いつつ、森林を開発する権利を謳うとともに、ターゲットを絞った経済政策のための資金を提供するよう求めました。

これら原則を実行に移すための国際的取り組みをよりよく調整するため、1990年代には政府間のパネルとフォーラムが設置されましたが、これは2000年に国連森林フォーラム(UNFF)へと発展しました。UNFFは年1回、ニューヨークの国連本部で会合を開き、6つの「グローバル森林目標」達成に向けた進捗状況を監視しています。

森林の持続可能な管理や、森林破壊と森林劣化の抑制に関するターゲットを設定するこの目標は、環境と人間を守る経済進歩を目指す国連の全般的な青写真「持続可能な開発のための2030アジェンダ」への森林関係者の対応の一環として策定されたものです。

クロアチアのプリトヴィツェ湖群国立公園の森林には、クマやオオカミのほか、稀少種の鳥類が数多く生息している© UN News/Jing Zhang

5. 今年の最優先課題:気候変動と森林破壊の実質コスト

国連森林フォーラム2019年会期の重要な成果として、森林が過小評価されることがあまりにもよくある裏には、森林の世界に対するプラスの貢献を金銭的価値で明示することが難しいという理由があるとの認識が得られた点が挙げられます。

その結果として、商業的農業に用いるために林地を切り開く決定など、土地利用に関する政策決定がなされる際に、森林破壊と森林劣化の実質コストが考慮に入れられていません。

財源確保の重要性も、会合のもう一つの重要な要素となりました。十分な資金の確保は、森林破壊と森林劣化を食い止め、より持続可能な森林管理を促進し、世界の森林面積を拡大するための効果的取り組みを確保するうえで、欠かせない要素です。森林は環境保護に中心的な役割を果たしているにもかかわらず、気候変動緩和に利用できる資金のうち、森林破壊対策に充当される資金は2%にすぎません。

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