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各国政府、プラスチックごみを含む有害な化学物質と廃棄物から人間と地球を守るための画期的な決定に合意(2019年5月10日)

2019年05月27日

ジュネーブ、2019年5月10日 – ジュネーブでプラスチックごみに関する決定が下された。約180カ国の政府が採択した一連の決議は、有害な化学物質と廃棄物から健康と環境を守ることをねらいとしている Photo: BRS Conventions website

プラスチックごみによる汚染は、世界的に懸念すべき重大な環境問題として認識されています。これは、異常なほど大規模に広がり、海洋には現時点で、1億トンのプラスチックが投棄されていると見られており、その80~90%は陸上を発生源としています1。各国政府は今週、バーゼル条約を修正し、法的拘束力を持つ規制枠組みの対象にプラスチックごみを加えました。これによって、プラスチックごみの世界的な取引が透明化し、よりよく規制できるようになる一方で、その管理を健康や環境にとってより安全に行うことが確保されるでしょう。また、企業、政府、学界および市民社会の資源や利益、専門知識を動員し、新たな措置を実施するとともに、ツールやベストプラクティス、技術的・財政的支援を含め、この画期的な合意に一連の実際的な支援を提供するため、新たに「プラスチックごみに関するパートナーシップ」も設けられました。

その他、2週間にわたる会議で下された広範囲にわたる決定としては、ジコホル、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩、および、PFOA関連の化合物という、合計で約4,000の化学物質を含む2つの有害化学物質群がストックホルム条約の附属書Aに加えられ、撤廃の対象となったことが挙げられます。PFOAはこれまで、フッ素樹脂加工の調理器具や食品加工機材のほか、繊維、カーペット、紙、塗料、泡消火剤などに用いられている界面活性剤、幅広い産業・家庭用途に用いられてきました。

ロッテルダム条約では、一定の有毒駆除剤と工業化学物質の取引に関する情報交換と情報に基づく意思決定のための法的拘束力を持つ枠組みが定められ、これによって大きな前進が実現しました。駆除剤のホレートと工業化学物質のヘキサブロモシクロドデカンという2つの化学物質は、条約の附属書IIIに追加されて、事前通報・同意(PIC)手続きの対象となり、各国はこれら化学物質の将来的輸入について、決定を下せるようになりました。さらに、ロッテルダム条約の遵守に関する手続きとメカニズムを承認する決議も、この重要な条約の履行をさらに改善するために不可欠な措置として採択され、締約国から高く評価されました。

「クリーンな地球、健康な人々:化学物質と廃棄物の健全な管理」というテーマに取り組むため、約180カ国からおよそ1,400人の代表がジュネーブで2週間にわたって開催されたバーゼル、ロッテルダムおよびストックホルム条約締約国会合(トリプルCOPs)に参集しました。参加者は、これら化学物質の代替物と、ベストプラクティスについて情報交換を行う数多くの機会とイベントに恵まれました。

トリプルCOPsの閉会式で壇上に立ったロルフ・パイエ3条約事務局長(UNEP)は、次のように述べました。「私はジュネーブで今週、バーゼル条約締約国がプラスチックごみの管理に向けた法的拘束力を有する地球規模のメカニズムに関する合意に達したことを誇りに思います。プラスチックごみは、世界で最も急を要する環境問題として認識されており、全世界で100万人近い人々が今週、ここジュネーブでのCOPsで行動を起こすよう、バーゼル条約締約国に強く促す陳情書に署名したという事実は、行動を求める世論の意識と意欲が高いことを示しています」

また、ロッテルダム条約のハンス・ドライヤー事務局長(FAO)は、「私たちは、規制対象候補となっている7つの化学物質のうち2つをリストに掲げることができました。今後も引き続き、締約国と密接に連携し、食料の安全保障と市場アクセスに配慮しつつ、有害な駆除剤に代わる実行可能な解決策を明らかにしていきます」と付け加えました。

 

編集者の方々へ:

有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約は、有害廃棄物やその他の廃棄物に関する最も包括的な国際環境協定であり、その締約国は187カ国と、ほぼ普遍的な地位を占めています。有害廃棄物やその他の廃棄物による悪影響からヒトの健康と環境を守るという全般的目標を掲げたバーゼル条約の適用範囲は、その起源および/または組成と特徴に基づき「有害」と定義された幅広い廃棄物のほか「その他の廃棄物」として定義された2種類の廃棄物、すなわち家庭ごみと焼却炉灰にも及んでいます。詳しくは www.basel.int をご覧ください。

 

プラスチックごみ

海洋には1億トンのプラスチックがあると見られていますが、その80~90%が陸上で発生しているということからも、この問題には公的な性格が強いことが理解できます。発生源で廃棄物を削減し、その後の廃棄物管理を改善すれば、この問題の解決に向けて大きく前進できるでしょう。この点について詳しくは、http://www.brsmeas.org/?tabid=4332&blogId=5169およびhttp://www.brsmeas.org/tabid/7656/Default.aspxをご覧ください。

 

国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続(PIC)に関するロッテルダム条約は、国連食糧農業機関(FAO)と国連環境計画(UNEP)が共同で運営しています。この法的拘束力を持つ条約の締約国161カ国は、国際貿易の対象となる化学物質を安全に管理するための責任を共有し、協力しています。今回のCOP閉幕時点で、52の化学物質と駆除剤が附属書IIIに掲げられています。条約は禁止措置を導入せず、有害な化学物質と駆除剤、その潜在的リスクに関する締約国間の情報交換を容易にすることにより、各国が意思決定を行う際の情報提供と、その改善を図っています。また、ヒトの健康と環境に及ぼすリスクを最小限に抑えるため、PIC手続を通じ、主な化学物質と駆除剤の輸入に関する各国の決定を支援する法的拘束力を伴うメカニズムも定めています。詳しくはwww.pic.intをご覧ください。

 

化学物質のリスト掲載:ロッテルダム条約で規制対象となる駆除剤と工業化学物質

新たにリストに掲載された化学物質はホレート(駆除剤)とヘキサブロモシクロドデカン(工業化学物質)の2つです。これら化学物質は、化学物質貿易に関する意思決定をよりよい情報に基づき下すことにより、ヒトの健康と環境を守るための事前の情報に基づく同意(PIC)手続の対象となります。これらの化学物質に関するさらに詳しい情報は、http://www.pic.int/tabid/1185/Default.aspxをご覧ください。

 

残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約は、長期にわたって環境中に残存し、地理的に広く拡散し、人間と野生生物の脂肪組織に蓄積し、ヒトの健康と環境に有害な影響を及ぼす化学物質から健康と環境を守るためのグローバルな条約です。残留性有機汚染物質(POPs)への曝露は、がんや出生異常、免疫・生殖器系の機能不全、病気に対する感受性の増大、中枢・末梢神経系の損傷など、健康への深刻な影響を及ぼすおそれがあります。ストックホルム条約はその締約国に対し、POPsの環境への放出を廃絶または削減するための措置を講じるよう求めています。現時点で、この法的拘束力を有する条約は182カ国の締約国を有し、ほぼ普遍的な地位を築いています。今回のCOP閉幕時点で、世界的な懸念となっている30の化学物質が、ストックホルム条約のリストに掲載されています。詳しくはwww.pops.intをご覧ください。

 

化学物質のリスト掲載:ストックホルム条約で規制対象となる残留性有機汚染物質(POPs

ストックホルム条約附属書Aに新たに掲載された2つの化学物質は、ジコホル、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩、および、PFOA関連の化合物です(いくつかの用途につき、期間限定の適用除外あり)。締約国は、附属書Aに掲載された化学物質の使用を禁じるよう義務づけられます。2つの化学物質は、リスクや管理オプション、代替策に関する国連POPs検討委員会による厳密な審査プロセスに基づき、掲載されています。ジコホールは多様な農作物、果実、野菜、観賞植物、茶とコーヒーを栽培する際のダニ駆除剤として用いられ、人間の皮膚炎や神経伝播の過剰刺激を引き起こすほか、魚や水生無脊椎動物、藻類、鳥類に対しても高い有毒性を持つことが知られています。PFOAはフッ素樹脂加工の調理器具や食品加工機材の製造のほか、繊維、カーペット、紙、塗料、泡消火剤のの界面活性剤としても幅広く用いられる工業化学物質です。極めて懸念の大きい物質として、腎臓がんや精巣がん、甲状腺疾患、妊娠高血圧症など、大きな健康問題に関係していることも知られています。これら化学物質について詳しい情報は、http://chm.pops.int/tabid/243/Default.aspxのファクトシートをご覧ください。

 

バーゼル、ロッテルダム、ストックホルム(BRS)3条約に関するメディアの照会については、www.brsmeas.orgをご覧になるか、下記にお問い合わせください。

Charlie AVIS, Public Information Officer (UN Environment), Geneva

+41-79-730-4495

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原文(English)はこちらをご覧ください。