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EU-国連「スポットライト・イニシアティブ」、女性と女児に対する暴力への 包摂的でグローバルな対策を呼び掛け

2018年06月13日

Under the Spotlight: Ending Violence against ALL Women and Girls(スポットライトの下で:すべての女性と女児に対する暴力に終止符を)」と題した会合で、発言者たちは、女性と女児が直面する複合的に絡み合った差別形態を認識することと、「誰ひとり置き去りにしない」ための暴力対策に関する政策とプログラムを確保することの重要性を訴えました。本会合は、第62回国連女性の地位委員会(CSW)におけるサイドイベントとして、2018年3月12日に行われたものです。

アミーナ・J・モハメッド国連副事務総長は、基調演説において「女性と女児に対する暴力は白日の下にさらされています。私たちはいかなる出現形態であるかに関係なく、全世界でこの問題に対処しています」と述べました。

アミーナ・J・モハメッド国連副事務総長(左)とネヴェン・ミミツァ国際協力・開発担当欧州委員

 

スポットライト・イニシアティブ(Spotlight Initiativeは、フェミサイド(女性殺し)、性暴力、近親者間暴力、人身取引、有害な慣習など、女性と女児が不当に多くの暴力にさらされていることを認識しています。

ネヴェン・ミミツァ国際協力・開発担当欧州委員は、開会の辞で「女性と女児に対する暴力は、最悪の人権侵害の一つです。私たちはあらゆる場所で、あらゆる形態の暴力に取り組まねばなりません。私たちはスポットライト・イニシアティブを通じ、もうたくさんだという意思を示しています」と語っています。

国連本部の経済社会理事会議場で開催されたこの会合で、パネリストは、ジェンダーだけでなく、民族や国籍、年齢、障害、所得、性的指向などの要因によっても暴力と差別を受けている女性と女児の包摂を図ることが緊急に必要とされているという点に合意しました。

ヘルガ・シュミット欧州対外行動庁(EEAS)事務局長は「私たちは国際・地域機関や各国、そして極めて重要な存在として、非国家主体や市民社会団体など、できるだけ多く(の主体)を巻き込む必要があります」と述べ、一致団結した対応の必要性を強調しました。

多くの専門家もパネリストとして参加しました。グアテマラ女性担当長官のアナ・レティシア・アギラール・テイセン氏は、同国での暴力対策について説明しました。ケニアの権利擁護活動家リジー・キアマ氏は、障害を持つ女性が「暴力を受ける可能性は、障害を持たない女性の10倍に上る」と述べました。女性に対する暴力に関する国連特別報告者のドゥブラフカ・シモノヴィッチ氏は、国際的な政策と法律のメカニズムを取り上げました。ペルーのタルシア・リベラ氏は、先住民の女性と女児が直面する特殊な課題を強調しました。そして、フィジーでトランスジェンダーと若者の権利擁護活動を行っているミキ・ワリ氏は、LGBTQコミュニティーを政策とプログラムに包摂するための取り組みの拡大を強く訴えました。

パネルの進行役を務めたパキスタンのニュースキャスター兼プロデューサーのムニゼー・ジャハンギール氏は、今年の2月に他界した著名な人権擁護者で、かつて国連特別報告者を務めたアスマ・ジャハンギール氏の娘に当たります。プムズィレ・ムランボ=ヌクカ国連事務次長兼UNウィメン事務局長は閉会の辞で、元特別報告者に哀悼の意を表しました。

事務局長は#MeTooムーブメントとハリウッドの女性たちが、セクシュアル・ハラスメントに関する意識変革を進めていることに賛辞を送りました。「私たちは、その(ハリウッドの)場にいる女性たちと引き続き連帯を深め、彼女たちの勝利がすべての人の勝利となるよう努めたいと思います。」ムランボ=ヌクカ事務局長はこのように述べました。

2017年9月に発足したスポットライト・イニシアティブは今後、女性と女児の生活の大幅な改善を目指し、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、太平洋、カリブ地域で焦点を絞った大規模な投資を展開していきます。

スポットライト・イニシアティブはマルチパートナー信託基金を財源としています。その主力は5億ユーロを拠出している欧州連合(EU)ですが、他のドナーやパートナーにも拠出が呼びかけられています。この取り組みは、国連のマルチパートナー信託基金事務所が、国連開発計画(UNDP)、国連人口基金(UNFPA)、UNウィメンの支援と、国連事務総長室の監督を受けながら運営しています。

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【関連資料】

「スッポットライト・イニシアティブ/よくある質問」はこちらをご覧ください。