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背景資料 女性と平和、安全に関する安保理決議1325(2000)10周年 ~安全保障決議1325:重要な転機~

プレスリリース 10-084-J 2010年10月27日

2000年10月31日に全会一致で採択された女性と平和、安全に関する国連安全保障理事会決議1325は、 国際的な女性の権利と平和、安全の問題を前進させる大きなきっかけとなりました。安全保障理事会決議としてはじめて、戦争が女性に及ぼす独特の、不当に大きな影響を具体的に取り上げ、紛争の解決と予防、そして平和構築、和平仲介、平和維持活動のあらゆる段階への女性の貢献を強調したからです。

安全保障理事会は2010年10月26日の公開討論で、決議1325の10年の歩みを振り返りました。

安全保障理事会は、国連の全加盟国に対して拘束力を有する決議1325により、武力紛争が女性と女児に及ぼす影響を理解し、その保護と和平プロセスへの全面的参加を保証するための制度的取り決めを整備すれば、国際の平和と安全の維持に大きく貢献しうることを認識しました。

この画期的な決議は、武力紛争の状態に置かれた女性と女児が直面する独特の重大な問題に対する認識を高めただけでなく、このような女性に対し、政府と国際社会に対策を求める正当な根拠を与えたのです。

平和と安全を守る上での女性の役割も、より明確な形で安全保障理事会の討議に盛り込まれるようになっており、最近では紛争における性暴力に焦点を絞った決議1820 (2008) と 1888 (2009) のほか、決議1325の実施加速に向け、具体的な行動を求める決議1889 (2009) も採択されています。

安全保障理事会決議1325 (2000) の主要規定
·あらゆるレベルの意思決定で女性の参加と代表を増大させる。
·紛争中の女性と女児の特殊な保護のニーズに注意を払う。
·紛争終結後のプロセスにジェンダーの観点を取り入れる。
·国連のプログラム策定、報告と安全保障理事会のミッションにジェンダーの観点を取り入れる。
·国連の平和支援活動にジェンダーの観点とこれに関する研修を取り入れる。

決議1325の実施責任は下記が担います。
·国連安全保障理事会
·国連加盟国
·国連事務総長と国連システム
·紛争当事者

女性と平和、安全保障:2010年の現状

安全保障理事会決議1325は、いくつかの重要な点で女性と平和、安全に対するアプローチを一変させました。

例えば、決議1325により、国連の平和維持活動は劇的な変化を遂げています。女性の平和維持要員は今や、平和維持ミッションに欠かせない存在となっているだけでなく、交渉から意思決定、さらには治安セクター改革、地雷対策、法の支配執行に至るまで、平和維持活動のすべての側面で、ジェンダー問題が優先課題とされるようになりました。

決議採択後の10年間には、安全保障理事会、国連加盟国、市民社会、そして国連システムが、女性と平和、安全の問題に関する活動を次々と展開しました(女性と平和、安全に関する事務総長報告(S/2010/498))。

国連システムの活動としては、アフガニスタンやブルンジ、コンゴ民主共和国、ハイチ、リベリア、ネパール、イラク、東ティモールでの女性の有権者登録、コソボでの女性の権利推進担当政府部署設立に対する支援、性暴力を終わらせるための国連行動ネットワークの結成(国連紛争下の性暴力に対抗する活動( http://www.stoprapenow.org ))、そしてアフガニスタンとのブルンジでのジェンダーに配慮した憲法改正プロセスの支援などがあげられます。

市民社会組織もこの10年間、盛んな行動を展開してきました。例えば、「平和構築における女性ネットワーク(Women in Peacebuilding Network)」は2003年、リベリア和平プロセスで初の女性参加を支援して以来、政治・武装解除プロセスへの女性の積極的な関与を支援し続けています。

加盟国によるさまざまな活動の中でも、特に重要な貢献となったのは、決議1325実施に関する国内行動計画の策定でした。この行動計画は、女性と平和、安全の分野における各国の公約達成に鍵を握る戦略となっています。

このように、個別の活動で勢いは生まれているものの、こうした活動は一貫性や、実施・監視体制を欠くものとなっています。これら取り組みの効果を示す証拠は依然として不十分であり、重要な成果も定量化が難しくなっています。

全体として、武力紛争下の女性と女児は、引き続き警戒すべき状況に置かれています。

紛争下で女性と女児の人権侵害が甚だしいことは、2010年7月、コンゴ民主共和国で200人を超える女性と女児がレイプの被害を受けているという例を見ても明らかです。安全保障理事会は性暴力行為を非難しつつも、制裁など、より強硬な措置を適用するには至っていません。

2010年9月の女性と平和、安全に関する閣僚級会合で、潘基文(パン・ギムン)事務総長は「私たちは進展が見られないことを憂慮しなければならない」と述べた上で、「国際社会は依然として、もっとも弱い人々を守ることができていない」と付け加えました。

緊急な行動が必要な分野を示す重要な統計もあります。

·女性は引き続き、和平交渉や平和構築、武装解除のプロセスから排除されるか、ほとんどこれに関与できていません。1992年以来の和平合意について見ると、女性は平均で、正式な交渉団員の7.1%、合意署名者の2.1%しか占めていません。現在まで、正式な調停役を務めた女性はほとんどいません(北京宣言・行動綱領のレビューに関する事務総長報告(E/2010/4))。

·女性と女児は武力紛争との関連で、差別やジェンダーに基づく暴力の被害を受け続けていますが、その中には組織的な性暴力も含まれています。戦術としての広範な組織的レイプの利用は今日、数百万人の被害者を出す深刻な残虐行為となっていますが、こうした戦争犯罪の実行者が罰せられることはほとんどありません。

·平和維持活動で展開される女性の文民要員は全体の約30%に達しました。しかし、制服組での進展はこれよりはるかに遅れており、女性警官部隊を含む大幅増員にもかかわらず、女性が占める割合は軍事要員の3%、国連警察部隊の8%に満たないのが現状です(女性と平和、安全に関する事務総長報告(S/2010/498))。

·計27件を数える国連の平和維持活動、特別政治ミッションおよび平和構築支援事務所のうち、女性が最高責任者と副責任者を務めるミッションはそれぞれ5件ずつにすぎません。しかし、ここ数年間と比べると、女性幹部の数は顕著な増大を遂げています(全ミッション最高責任者の現状については、 http://www.un.org/en/peacekeeping/sites/srsg/table.htm をご覧ください。)。

·紛争終結後の復興計画では、女性のニーズ充足に当てられる資金が依然として不足しています。

·加盟国による決議1325実施に関する国内行動計画の策定は進んでいるものの、2010年9月現在、このような行動計画を採択済みの国は19カ国にとどまっています。国内行動計画の成功にとって、資金不足は引き続き深刻な課題となっています。

実施に向けて

決議1325採択10周年は、女性と平和、安全の問題に関する決意と行動を新たにし、強化する機会となります。

実施の前進に向けて重要な措置として明らかにされているものとしては、下記があげられます。

·女性と平和、安全に関する活動に従事する国連主体の人材と資金を増やすこと
·単一の整合的、協調的アプローチを確保するため、今後10年間に関する具体的かつ特定的な目標とターゲットを伴い、国連システム全体の優先課題を設定する枠組みを策定すること
·和平プロセス、すなわち交渉や紛争終結後のガバナンス、復興への女性参加を拡大するための戦略を策定すること
·進捗状況を追跡し、正確なデータの不足への取り組みを支援するうえで有意義な一組の指標を導入すること
·安全保障理事会が、女性と紛争に関する情報をより組織的に受け取り、分析し、対策を講じるとともに、女性団体や、武力紛争下で虐待を受けた被害者と規則的に協議すること
·加盟国が国内行動計画を採択し、これを十分な資金で裏づけること
·紛争状況下での女性と女児の人権侵害実行犯を、その依頼者も含め、国内法、国際法および国際人道法による裁きにかけること

「参加だけでは不十分です。女性を和平交渉の席に着かせるだけでなく、その声を聞かねばなりません。女性は警察部隊や平和維持ミッションの要員で展開されるだけでなく、意思決定にも影響を与えねばならないのです」
– 潘基文(パン・ギムン)事務総長

また、安保理決議1325採択10周年の関連情報は以下のウェブサイト(英文)でもご覧になれます。

– UN Peacekeeping:
http://www.un.org/en/peacekeeping/

– Gender and peacekeeping:
http://www.un.org/en/peacekeeping/womeninpeacekeeping.shtml

– UNIFEM (part of UN Women) 1325+10:
http://www.unifem.org/campaigns/1325plus10/

– WomenWatch: Women and Peace and Security :
http://www.un.org/womenwatch/feature/wps/

– UNFPA State of World Population 2010
“From Conflict and Crisis to Renewal: Generations of Change”:
http://www.unfpa.org/swp/

Produced by the Department of Public Information, Strategic Communications Division, 12 October 2010.