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背景資料:第63回国連総会、2008年9月16日に開幕

プレスリリース 08-051-J 2008年09月11日

第63回国連総会は9月16日、ニューヨークの国連本部で開幕します。数十カ国の首脳や閣僚の参加が通例となっている年次一般討論は、2008年9月23日から10月1日まで行われます。

第63回総会の会期は2009年9月中旬までですが、すでにいくつか重要なイベントが予定されています。総会は9月22日、一般討論の開幕に先立ち、「アフリカの開発ニーズ:各種公約の実施状況、課題および前途(Africa’s development needs: state of implementation of various commitments, challenges and the way forward)」というテーマで、ハイレベル会合を行います。9月25日には、事務総長と総会議長が共同で、ミレニアム開発目標(MDGs)に関するハイレベル会合を招集します。また、総会は一般討論直後の10月2日、3日の2日間、「アルマトイ行動計画(Almaty Programme of Action)の中間審査に的を絞ったハイレベル本会議を開きます。この行動計画は2003年に採択されたもので、内陸・通過開発途上国の地理的ハンディ克服を支援する具体的な措置を定めています。加えて、11月29日から12月2日にかけてはカタールのドーハで、「モンテレー合意実施再検討のための開発資金に関するフォローアップ国際会議(Follow-up International Conference on Financing for Development to Review the Implementation of the Monterrey Consensus)」が開催予定です。さらに、総会は2008年12月10日、世界人権宣言採択60周年を記念する本会議を開催します。総会はその他、下記をはじめとする重要問題に取り組む予定です。

l安全保障理事会とブレトンウッズ機関の活動評価や、総会の再活性化を含む国連の民主化
l飢餓、貧困、および、きれいな水と基本的保健サービスへのアクセス不足に終止符を打つための開発資金
l分裂の中でも生態学的相互依存性を高める世界における気候変動
l「命のための水」国連の10年(2005~2015年)の目標達成
l人権を全面的に尊重した対テロ戦略の実施
l軍縮と核管理を含む、国際の平和と安全の一環としての人間の安全保障

総会はまた、上記の優先課題をジェンダーの視点から検討するとともに、システム全体としての一貫性、持続可能な開発およびHIV/エイズに関連する諸問題の検討も続けます。

多国間交渉の場
国連憲章により、1945年に設立された総会は、国連の主たる議決、政策立案および代議機関として、中心的な位置を占めています。国連加盟国全192カ国から構成される総会は、憲章が対象とする国際問題全体を多国間で議論する唯一の場でもあります。また、基準設定プロセスや国際法の法典化においても、顕著な役割を果たしています。総会は毎年9月から12月の通常会期で集中的な議論を行うほか、その後も必要に応じて会合を開きます。

総会の機能と権限
国連憲章によれば、総会は下記を行うことができます。

l軍縮を含め、国際の平和と安全を守るための協力の一般原則について検討し、勧告を出す。
l国際の平和と安全に関連するあらゆる問題を議論するとともに、安全保障理事会が審議中の紛争または情勢を除き、これに関する勧告を出す。
l上記と同じ例外に服しつつ、国連憲章の対象範囲内に入るか、何らかの国連機関の権限と機能に影響するあらゆる問題を議論し、これに関する勧告を出す。
l国際的な政治協力、国際法の発展と法典化、人権と基本的自由の実現、ならびに、経済、社会、人道、文化、教育および保健分野での国際的協働を促進するための調査を実施し、勧告を出す。
l国家間の友好関係を損ないかねない事態が発生した場合、その平和的解決のための勧告を出す。
l安全保障理事会その他の国連機関から報告を受け、これを検討する。
l国連予算を検討、承認するとともに、加盟国の分担金を確定する。
l安全保障理事会の非常任理事国、および、国連のその他の理事会や機関のメンバーを選出するとともに、安全保障理事会の勧告に基づき、事務総長を任命する。

1950年11月の「平和のための結集」決議(決議377 (V) )により、国連総会は、平和に対する脅威、平和破壊または侵略行為があると見られる場合で、常任理事国の拒否権行使により安全保障理事会が行動できないとき、これに代わって行動を起こすこともできます。総会は、国際の平和と安全を維持または回復するための集団的措置を加盟国に勧告することを目的として、該当する問題を直ちに検討できます(下記の「特別総会と緊急特別総会」の項を参照)。

総会の権限は、その検討対象内の国際問題に関し、各国に拘束力のない勧告を行うことに限られるとはいえ、全世界数百万人の生活に影響する政治的、経済的、人道的、社会的および法的行動を起こした例もあります。2000年に採択された画期的な「ミレニアム宣言」と、2005年の「世界サミット最終文書」は、平和と安全、軍縮とともに、開発と貧困撲滅も実現するための具体的目標を達成し、人権の擁護と法の支配促進を図り、私たちに共通の環境を守り、アフリカの特別なニーズを充足し、国連を強化するという加盟国の公約を反映するものです。

コンセンサスの模索
各加盟国にはそれぞれ、総会で1票を投じる権利があります。平和と安全に関する勧告や 安全保障理事会理事国の選出など、あらかじめ指定された重要問題に関する表決には、加盟国の3分の2の賛成が必要になりますが、他の問題に関する決定は単純多数決で下されます。

近年は、正式な表決を行う代わりに、諸問題に関するコンセンサスを作り上げることで、総会決定に対する支持を強化しようとする取り組みが特に増えてきました。議長は、各国代表団と協議し、同意を取り付けた上で、決議を表決なしで採択することを提案できます。

2005年世界サミットのフォローアップ
「ミレニアム宣言」と画期的な「2005年世界サミット最終文書」により、総会はこれまでに、平和構築委員会と人権理事会という2つの補助機関を新たに設置しました。また、対テロ戦略のほか、経済社会理事会の強化と事務局の改革に関する措置も数多く採択しています。対テロ戦略の実施、システム全体の一貫性確保に向けた一層の取り組み、環境対策のための制度的枠組みや、管理体制と事務局の改革など、積み残されたいくつかの課題も、第63回総会で引き続き検討される予定です。

総会活動の再活性化
過去数年間には、総会の活動の焦点を先鋭化し、その妥当性を高めようとする持続的な取り組みが行われています。この問題は第58回総会で重要優先課題となり、その後は検討項目の整理統合、主要委員会の慣行と作業方法の改善、総会の役割の拡充、議長の役割と権限の強化、事務総長選出プロセスにおける総会の役割の検討に向けた取り組みが続けられました。

第60回総会は2006年9月8日の決議60/286付属書で、国際社会にとって極めて重要な目下の課題に関し、対話型の非公式協議の開催を促す文言などを採択しました。「総会再活性化に関するアドホック作業部会(Ad Hoc Working Group on the Revitalization of the General Assembly)」の勧告にもあったこの文言は、総会議長に対し、これら非公式協議のテーマを提案するよう働きかけています。第62回総会では、気候変動、ミレニアム開発目標(MDGs)、管理改革、人間の安全保障および人身売買に関する5回のテーマ別対話型非公式協議が行われました。

総会の非公式協議で、事務総長が最近の活動と各地訪問に関し、加盟国に定期的ブリーフィングを行うという慣行も、第62回総会で確立されました。こうしたブリーフィングは、事務総長と加盟国との交流の機会として歓迎されており、第63回総会でも続けられるものと見られます。

総会議長、副議長と主要委員会委員長の選出
総会活動の継続的再活性化の結果、総会はその手続き規則第30条により、主要委員会間、および、主要委員会と本会議との間で作業の調整と準備を強化するため、新会期開幕の3カ月前までに、総会議長と副議長、および、主要委員会の委員長を選出することになっています。

総務委員会
総会議長と21人の副議長、および、6つの主要委員会の委員長から構成される総務委員会(General Committee)は、議題の採択、検討項目の配分および作業の組織に関し、総会に勧告を行います。

最近数回の総会では、総会が検討中であるか、総会の作業に関連する具体的な問題について、全加盟国が参加できる非公式会合やブリーフィングが開かれ、総務委員会の役割がさらに拡大しています。

資格審査委員会
総会が会期ごとに任命する資格審査委員会は、各国代表の資格に関し、総会に報告を行います。

一般討論
一般討論は、各加盟国が重要な国際問題に関し、その見解を表明できる場です。第63回総会の一般討論は、2008年9月23日(火曜日)から10月1日(水曜日)にかけて行われます。一般討論のテーマは、第63回総会議長の提案により「世界食料危機の貧困と飢餓への影響、および、国連民主化の必要性」となる予定です。世界的に懸念される具体的問題を一般討論のテーマに選ぶという慣行は、2003年から続いています。総会は同年、その権威と役割を強化する取り組みの一環として、この改革の導入を決定しました(2003年12月の決議58/126)。一般討論の期間は実質9日間(2003年3月の決議57/301により)とされるのが普通ですが、今年は10月2、3日の両日に「アルマトイ行動計画」の中間審査を行うハイレベル本会議が開催されるため、一般討論の期間は実質6日間となっています。事務総長は一般討論の直前、国連の活動に関する報告書を提出することになっていますが、この慣行は第52回総会から続いています。

6つの主要委員会
一般討論が終わると、総会は議題に上っている具体的項目の検討に取りかかります。検討が求められる問題は膨大な数に及ぶため(例えば第62回総会の検討項目は160以上)、総会はその6つの主要委員会に、それぞれが担当する項目を割り振ります。主要委員会は可能な場合、各国のアプローチの調和を図りつつ、検討項目を審議した上で、通常は決議案や決定案の形で、総会本会議に勧告を提示し、その検討を仰ぎます。

主要委員会とは、軍縮と関連の国際安全保障問題を取り扱う「軍縮と国際安全保障委員会(第1委員会)」、非植民地化の問題を含め、その他の委員会も本会議も検討対象としない各種政治問題を取り扱う「特別政治と非植民地化委員会(第4委員会)」、経済問題を取り扱う「経済と金融委員会(第2委員会)」、社会・人道問題を取り扱う「社会、人道と文化委員会(第3委員会)」、国連の事務処理と予算を取り扱う「行政と予算委員会(第5委員会)」、国際法問題を取り扱う「法律委員会(第6委員会)」の6つです。

しかし、パレスチナ問題や中東情勢など、総会が直接、本会議で取り上げる検討項目も多くあります。

総会の作業部会
総会はこれまで、重要事項をより詳しく検討した上で、総会に勧告を出し、その行動を仰ぐ作業部会の設置を承認してきました。総会が1993年12月3日の決議48/26で設置した、安全保障理事会の公平な構成と理事国数増大に関する作業部会は、第62回総会においても活動を続けました。この作業部会は、第63回総会でも引き続き活動する予定です。

地域グループ
総会では古くから、協議の場として、また、手続き的作業を促進するために、さまざまな非公式の地域グループが形成されてきました。具体的なグループ分けは、アフリカ諸国、アジア諸国、東欧諸国、ラテンアメリカ・カリブ諸国および西欧その他諸国の5つとなっています。総会議長のポストは、各地域グループが持ち回りで務めます。第63回総会議長はラテンアメリカ・カリブ諸国グループから選出されました。

特別総会と緊急特別総会
通常総会に加えて、特別総会や緊急総会が開かれることもあります。

これまで28回にわたって開かれた特別総会では、パレスチナ問題、国連財政、ナミビア、軍縮、国際経済協力、アパルトヘイト、薬物、環境、人口、女性、社会開発、人間居住、HIV/エイズなど、特に注意を要する問題が話し合われてきました。2005年1月24日に開かれた第28回特別総会は、ナチス強制収容所の解放60周年記念にあてられました。

これまで10回にわたって開かれた緊急特別総会では、安全保障理事会での交渉の行き詰まりを受け、ハンガリー(1956年)、スエズ(1956年)、中東(1958年および1967年)、コンゴ(1960年)、アフガニスタン(1980年)、パレスチナ(1980年および1982年)、ナミビア(1981年)、アラブ被占領地区(1982年)、東エルサレムその他のパレスチナ被占領地区におけるイスラエルの違法行為(1997年、1998年、1999年、2000年、2001年、2002年、2003年、2004年および2006年)の各情勢が取り上げられました。総会はまた、第10回緊急特別総会を休会するとともに、加盟国からの要請に応じてこれを再開する権限を総会議長に与えることも決定しています。

総会活動の継続的実施
国連の活動の多くは、総会決定を基に、下記が実施しています。

l軍縮、宇宙、平和維持、経済開発、環境、人権など、具体的な問題に関して調査と報告を行うために総会が設置した委員会その他の機関
l国連事務局、すなわち事務総長とその国際公務員スタッフ