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事務総長、ポスト2015年開発アジェンダに関するハイレベル・パネルのメンバーを任命

プレスリリース 12-039-J 2012年08月07日

~ 市民社会と官民のリーダー26人を起用 ~

潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は2012年7月31日、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成期限となっている2015年以降のグローバルな開発アジェンダに関し助言を行うハイレベル・パネルのメンバーを発表しました。

事務総長はインドネシアのスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領リベリアのエレン・ジョンソン=サーリーフ大統領英国のデービッド・キャメロン首相の3名を共同議長に起用しました。

「私はハイレベル・パネルに対し、来年加盟国に提示するための、大胆かつ現実的な開発のビジョンを描くよう要請しました」事務総長はこう述べた上で、パネルへの期待感を表明しました。「私は、すべての国々が責任を共有し、貧困対策と持続可能な開発を中心に据えた2015年以降のグローバルなアジェンダに関するパネルの提言を楽しみにしています」

パネルは9月末、国連総会の年次ハイレベル討論と並行して、初会合を開きます。そして、2013年前半には事務総長に報告書を提出する予定です。

パネルは、2010年MDGサミットで事務総長に委任された2015年以降に向けた取り組みの一環として設置されたものです。加盟国は国連システムに加え、市民社会、民間企業、学術界、そして世界各地の研究機関も交えたオープンでかつ包括的な協議を通じ、2015年以降の開発アジェンダへの取り組みを進めるよう求めています。

パネルの活動は、達成された成果と改善の余地がある分野という両面で、MDGsの実施を通じて得られた経験を土台としながら、新たな開発課題も反映するものとなります。

パネルは、リオ+20会議での合意に基づき、持続可能な開発目標(SDGs)策定の役割を担う政府間作業部会と密接な連携を取りながら、活動を進めていきます。パネルと作業部会の報告書はともに、さらなる議論のたたき台として、加盟国に提出されることになっています。

ポスト2015年開発アジェンダに関する事務総長有識者ハイレベル・パネル

*パネル・メンバー全員の顔ぶれは、下記のとおり。

スシロ・バンバン・ユドヨノ氏、インドネシア大統領
共同議長

エレン・ジョンソン=サーリーフ氏、リベリア大統領
共同議長

デービッド・キャメロン氏、英首相
共同議長

フルベール・ジェロ=アムスガ氏(ベナン)
アフリカ連合(AU)議長国ベナンの大統領府経済分析部長を務める。アボメー大学経済経営大学院の学長として、アフリカの経済開発を専門とする研究も行っている。

バネッサ・ペトレリ=コルレア氏(ブラジル)
ブラジル応用経済研究所の総裁。同研究所は政府系基金としてブラジル大統領府戦略研究事務局と連携し、政府の政策やブラジル国内の開発プログラムの策定と実施を支援しているほか、ブラジルのMDGsフォローアップ・プロセスの技術的調整も担当している。

ワン・インファン氏(中国)
MDGsの実施促進に顕著なリーダーシップを発揮した有識者で構成される事務総長MDGアドボカシー・グループのメンバーとなっている。キャリア外交官のワン氏は1995年から2000年にかけ、中国外交部副部長を務めた後、ニューヨークの中国国連常駐代表に就任、2003年から2008年にかけて全人代の外交委員会副委員長を務めた。

マリア・アンヘラ・ホルギン氏(コロンビア)
コロンビア外務大臣。これまで20年間にわたり、共和国大統領府や外務省、国家監察長官室をはじめ、官民で要職を歴任してきた。コロンビアの国連常駐代表としての経験もある。

ヒセラ・アロンソ氏(キューバ)
キューバ環境庁長官。小島嶼開発途上国の持続可能な開発の提唱者として、積極的な活動を展開している。

ジャン=ミシェル・セヴェリノ氏(フランス)
フランス開発庁前総裁。フランス財務経済省開発担当大臣顧問、開発省地域調整担当責任者、同省開発プログラム局長をはじめとする要職を務めてきた。1996年から2000年にかけて、世界銀行で中欧局長とアジア担当副総裁を歴任。

ホルスト・ケーラー氏(ドイツ)
ドイツ連邦共和国元大統領(2004~2010年)。国際通貨基金(IMF)専務理事、欧州復興開発銀行(EBRD)総裁としての経験もある。

菅直人氏(日本)
総理大臣、厚生大臣、衆議院外務委員長を歴任。現在、自然エネルギー研究会の再生可能エネルギーに関する顧問を務める。菅氏は総理大臣として、2011年の東日本大震災、津波そして福島第一原子力発電所事故への政府の緊急対応を指揮した。

ラニア王妃(ヨルダン)
夫はヨルダン・ハシェミット王国アブドッラー国王。活動家、そして人道主義者として、UNICEF親善大使と国連女子教育イニシアティブ(UNGEI)名誉会長を務める。ラニア王妃が設立したNGOヨルダンリバー基金(JRF)は、ヨルダンの恵まれない人々に対する支援活動を行っている。

ベティ・メイナ氏(ケニア)
メイナ氏が会長を務めるケニア製造業者協会は、約700社が加盟するケニア有数のビジネス団体。これまで、経済問題研究所、国際民間企業センター、ケニア・リーダーシップ研究所などで活動してきた。デンマークのアフリカ委員会に加わったこともあるほか、現在も公共部門の各種審議会でメンバーを務めている。

アビジット・バネルジェ氏(インド)
マサチューセッツ工科大学(MIT)でフォード財団国際経済学教授を務める。2003年、共同発起人としてアブドゥル・ラティフ・ジャミール貧困アクション・ラボを設立。開発経済分析研究所の所長を務めたこともあり、開発経済と経済理論を専門に研究している。

アンドリス・ピエバルクス氏(ラトビア)
開発担当欧州委員。エネルギー担当欧州委員(2004~2009年)、ラトビア外務副大臣(2003~2004年)、ラトビア財務大臣(1994~1995年)、ラトビア教育大臣(1990~1993年)を歴任している。

パトリシア・エスピノサ氏(メキシコ)
メキシコ外務大臣。2001年6月から2006年にかけ、駐オーストリア、スロベニア、スロバキア、ドイツの各大使と、ウィーンの国際機関常駐代表を歴任した。それ以前には、外務省で米州地域機関局長を務めた経験もある。

ポール・ポルマン氏(オランダ)
ユニリーバ最高経営責任者(CEO)。ユニリーバ入社以前、ネスレ社で最高財務責任者(CFO)を務めた。現在はキリマンジャロ・ブラインド・トラスト理事長とパーキンス国際諮問委員会委員長を務める傍ら、世界経済フォーラム国際ビジネス評議会、スイス・アメリカ商業会議所、持続可能な開発のための世界経済人会議にもメンバーとして加わっている。

ンゴジ・オコンジョ=イウェアラ氏(ナイジェリア)
ナイジェリア連邦共和国財務大臣。世界銀行専務理事とナイジェリア外務大臣も歴任している。大臣就任以前には、世界銀行グループで副総裁兼官房長を務めた経験もある。

エルヴィラ・ナビウリナ氏(ロシア連邦)
プーチン・ロシア大統領の経済顧問。経済開発通商大臣と経済副大臣も務めた経験の持ち主。

グラサ・マシェル氏(南アフリカ
夫のネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領と共同で、平和と人権のために協力するグローバル・リーダーの独立団体「エルダーズ」を設立し、現在はそのメンバーとなっている。また、武力紛争の子どもへの影響に関する国連独立専門家、女性と子どもの人権を擁護する国際活動家、元自由の戦士、モザンビーク元教育文化大臣としての顔も持っている。

キム・スンホワン氏(韓国)
韓国外交通商部長官。数多くの閣僚ポストを歴任したほか、国際機関や米国、ロシア連邦、ウズベキスタン、インドでも韓国を代表する外交官として、要職を務めた経験の持ち主。

グニッラ・カールソン氏(スウェーデン)
スウェーデン国際開発協力担当大臣。これまで外交、EU問題、教育の分野でスウェーデン政府の要職を歴任してきたほか、欧州議会の議員を務めたこともある。

エミリア・ピレス氏(東ティモール)
東ティモール財務大臣。開発問題に造詣が深く、計画、財政、開発、援助政策の各分野の要職で豊富な経験を積んでいる。

カディル・トプバス氏(トルコ)
イスタンブール現市長で都市・自治体連合(UCLG)議長を務める。都市修復や社会変革、急成長する都市が直面する都市問題の管理に関する専門家。

ジョン・ポデスタ氏(米国)
アメリカ進歩センター所長。オバマ・バイデン政権移行チーム共同議長や、ウィリアム・J・クリントン元米大統領首席補佐官を務めた。また、大統領官房のメンバーや国家安全保障会議(NSC)首席補佐官としての経験もある。

タワックル・カルマン氏(イエメン)
イエメンの若手ジャーナリストで人権活動家、政治家。2011年のイエメン騒乱で「女性の安全と平和構築活動への女性の全面参加を求める非暴力的闘争」を推進した役割を評価され、2011年ノーベル平和賞を受賞した。

アミナ・J・モハメド氏(職権により)
ポスト2015 年に関する開発計画の事務総長特別顧問。

「ポスト2015年開発アジェンダ」に関する事務総長有識者ハイレベル・パネルへの付託事項

1. 有識者ハイレベル・パネルは、2015年以降の期間につき、大胆でありながら現実的な開発アジェンダに関する助言を得る目的で、国連事務総長が招集する。

2. ハイレベル・パネルは、政府、民間企業、学識者、市民社会および若者の代表を含め、適切な地理的、ジェンダー的バランスを備えた26名の有識者で構成する。メンバーはそれぞれ個人としてパネルに参加する。

3. パネルの作業は、確かな共有された証拠の厳密な分析を踏まえて行う。パネルは各国、各地域および全世界のレベルで、妥当な関係者と幅広い連携および協議を行うべきである。

4. ポスト2015年に関する開発計画の事務総長特別顧問は職権により、ハイレベル・パネルのメンバーとなり、国連システムとの連絡役を務める。

5. パネルの成果物は、下記を含む事務総長への報告書とする。

a) MDGsを土台に、貧困の終焉を目的としつつ、21世紀のグローバル課題への対応を助ける「ポスト2015年開発アジェンダ」のビジョンおよび形態に関する提言。

b) 開発と責任メカニズム強化に向けてグローバル・パートナーシップを作り変えるための主要原則。

c) 紛争国と紛争終結国の特殊な課題を考慮しつつ、経済成長、社会的平等、環境の持続可能性という3つの次元で野心的かつ達成可能なポスト2015年開発アジェンダに関し、幅広い政治的コンセンサスを取り付け、維持する方法に関する提言。

6. この目的を達成するためには、ハイレベル・パネルと「持続可能な開発目標(SDGs)に関する政府間作業部会」が情報交換を図りながら作業を進め、2つのプロセスを相互補強的なものとすることが不可欠となろう。ハイレベル・パネルは、SDGsがより幅広いポスト2015年開発アジェンダとどのように関連づけられるのかについて、事務総長に助言を行うべきである。

7. パネルは報告書を作成する際、下記を考慮に入れる。

a) ミレニアム宣言、リオ+20成果文書。

b) 事務総長のポスト2015年国連開発アジェンダ策定に関する国連タスク・チーム報告書の調査結果、および、MDGsから得られた教訓とベスト・プラクティス(最善の慣行)事例。

c) ポスト2015年開発アジェンダ策定の一環として国連開発グループ(UNDG)が調整を行っている地域、各国レベルのさまざまな国別、テーマ別協議による調査結果。

d) ポスト2015年開発アジェンダのパラメータに関する建設的対話に向けた弾みをつけるとともに、政府、議会、市民社会組織、企業、学識者、地域社会がかかる対話に継続的に参加できるよう、革新的な方法を提案する必要性。

e) 国連タスク・チームとポスト2015年に関する事務総長特別顧問による継続的作業、事務総長の地球の持続可能性に関するハイレベル・パネル報告書、および、グローバル持続可能な開発ネットワーク・イニシアティブによる調査結果。

f) パネルが適切と考えるその他妥当な資料。

8. ハイレベル・パネルは、高官(ハイレベル・パネル報告書の主著者)を最高責任者とする専門の独立した事務局の支援を受ける。事務局はまた、国連システムから提供される豊富な知識とノウハウを活用することもできる。

9. 副事務総長は事務総長に代わり、ポスト2015年のプロセスを監督する。

10. パネルは2013年第2四半期に報告書を事務総長に提出する。報告書は、ミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けた取り組みのフォローアップと、ポスト2015年開発アジェンダのありうる姿に関する議論を図るため、2013年9月に第68回総会議長が開催予定の特別会議に提出される事務総長報告の主要な資料となる。

* *** *

ポスト2015年プロセスの詳細については、下記をご覧ください。
http://www.un.org/millenniumgoals/beyond2015.shtml