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第1回「国際ガールズ・デー」記念イベントに370人:「女子に力を」とアピール

2012年10月11日

10月11日は国連総会が定めた「国際ガールズ・デー(International Day of the Girl Child)」。男子に比べて未就学率が高く、10代前半での強制的な結婚や貧困に苦しんでいる世界の女子たちを力づけようと、今年から実施が決まりました。

日本でも10月8日、国連広報センターとNGOが共催で、第1回の記念イベント「Girl’s Impact ~ガールが世界を変える~」を開催。会場となった東京・渋谷の国連大学には、連休にもかかわらず、若い女性を中心に約370人が集まりました。参加者は、ガールズ・デーが制定されたいきさつや、世界の女子が直面する課題についての発表に耳を傾け、ガールズ主体のダンス・パフォーマンスで盛り上がりました。

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「国際ガールズ・デー」は2011年12月、国連総会が決議を採択して、制定されました。背景には、世界の女子が置かれている厳しい現実があります。世界の貧困層の7割は女性だといわれ、世界の労働の3分の2を担っていながら、その収入は全体の1割、土地などの財産所有にいたってはわずか1%というのが現状です。教育や雇用の面でも差別を受け、先進国を含めても、世界の国会議員に女性の占める割合は2割に届きません。極度の貧困の半減や男女の教育の平等を掲げた国連ミレニアム開発目標(MDGs)を2015年までに達成するためには、女子のエンパワーメントが不可欠との認識から生まれたのが、この新しい国際デーなのです。

10代の女子も大勢駆けつけたこの日のイベントは2部構成で行われ、第1部のセミナーでは「国際ガールズ・デー」の制定に尽力した国際NGO「プラン」のティプケ・バーグスマ国際本部副本部長が、制定までの道のりと開発途上国における女子への支援の現状を報告しました。プランは、世界中で2007年から「Because I am a Girl」という女子応援プロジェクトを行なっており、発端となったネパールの活動地域では、早すぎる結婚を54%から27%に減少させるなど、成果を挙げています。バーグスマ氏は、女子が1年学校に行くだけで、大人になったときの収入が2割増えるという統計データを示し、「女子に投資することで、貧困にまつわる様々な問題が解決できる」と訴えました。また、プラン・インドの代表も登壇し、学校に通えなかったり、通っていても途中で退学せざるを得なくなったりする女子を減らすための学校キャンペーンなどを紹介しました。

続いては、同じくガールズ・デーの制定に力を尽くしたガールスカウト日本連盟が発表。若い女性メンバー3人が、「女の子がつくる暴力のない世界」と題して、ガールガイド・ガールスカウト世界連盟が展開している「Stop the Violence」キャンペーンを紹介しました。中でも、10代~20代を中心に日本で広がる「デートDV」の問題に焦点を当て、結婚していない男女間での体、言葉、態度による暴力を予防する取り組みについて同世代の視点で解説。最後は会場と一緒に「Stop the Violence」と声を張り上げ、暴力に立ち向かう決意を共有しました。

また、第1部の最後には、「Raise Your Hand(世界の女の子のために手を上げよう)」キャンペーンの一環として、手を上げて写真を撮るというアクションも行われました。写真は後日、国連事務総長に送られることから、参加者は、女子に対する応援メッセージや、女子としてしたいことなどを書いたボードを持って撮影。「世界の女の子たちを救いたい!」「今、よく学び、この手で未来を創造する」など、思い思いの言葉を写真に収めました。

第2部は、屋外スペースに場所を移して、尚美ミュージックカレッジ専門学校ダンス学科所属の女子学生ら約40人によるダンス・パフォーマンスがありました。貧困解決の意志を示すために「立ち上がり」(STAND UP)、「行動する」(TAKE ACTION)ことを呼びかける毎年恒例の「スタンド・アップ テイク・アクション(SUTA)」も行われ、参加者は元気に立ち上がって、MDGsの達成と女子のエンパワーメントを祈願しました。

いつもの国連イベントにも増して、女子パワーがはじけた一日。来年は「国際ガールズ・デー」の認知度がもっと上がり、さらに多くの方に参加していただけることを期待しつつ、初の試みは幕を閉じました。

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「国際ガールズ・デー」に寄せる潘基文(パン・ギムン)国連事務総長のメッセージはこちら

記念イベントのテーマは「ガールが世界を変える」
国連大学のウ・タント国際会議場には若い女性を中心に大勢の“ガール”が参加©UNIC Tokyo/Hiroaki Yamaguchi
国際デー設立の背景について語るNGOプラン国際本部副本部長のティプケ・バーグスマ氏と国連広報センターの山下真理所長
インドの女の子が置かれた現状について語るプラン・インド エグゼクティブ・ディレクターのバチュアシリ・デングル氏
ガール・スカウト日本連盟は「デートDV」の問題に焦点を当て、暴力のない世界に向けた取り組みを報告
プランの展開する「Raise Your Hand」キャンペーン。会場が一つになって女子を応援
第2部では尚美ミュージックカレッジの女子学生ら約40人がパワフルなダンス・パフォーマンスを披露
参加者全員が笑顔で「国際ガールズ・デー」を締めくくった