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北東アジア6カ国を結ぶ国連オフィス、韓国・仁川のUN ESCAP事務所をご存じですか?

2012年03月26日

日本を含む北東アジア6カ国の社会・経済開発を促進することを目指し、国連は2010年5月、韓国・仁川市にUN ESCAP北東アジア事務所をオープンしました。同事務所で準社会開発担当官を務める日本人職員の北田祐子さんに、主な活動や取り組みを紹介していただきます。

◆そもそもUN ESCAPとは?

国連の経済社会理事会には世界の各地域を担当する「地域委員会」が5つあります。国連アジア太平洋経済社会委員会(UN ESCAP)はその一つで、アジア太平洋地域を担当しています。ESCAP本部はタイのバンコクにあり、担当地域の62の国々や市民社会が社会開発と経済開発のために対話し、協力する場を提供しています。

◆北東アジア事務所の役割とは?

ESCAP本部が1947年に設立されたのに対し、UN ESCAP北東アジア事務所は2010年、韓国の仁川(インチョン)に開設された比較的新しいオフィスです。事務所は日本、中国、韓国、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)、モンゴル、ロシアの6カ国を担当しており、これらの国の社会・経済開発を促進するのが主な仕事です。

北東アジアは世界のGDPの20%を生産し、世界有数の経済大国も含まれていますが、6カ国間の社会・経済開発状況を見るとその格差は大きく、経済産業構造も様々です。さらに、地域全体で人口の高齢化が類のない速さで進んでおり、2050年には北東アジアの3人に1人が65歳以上となるため、将来を見据えた対応策が必要です。環境問題を例にとると、地球温暖化の一要因である二酸化炭素(CO2)の世界の排出量のうち、6カ国が占める割合は約35%と非常に高くなっています。これら様々な課題に対し、6カ国間の知見共有や技術協力が進めば、地球規模課題への対策前進にも貢献できます。

◆環境、経済、社会問題を軸に活動

担当する6カ国の社会・経済開発のために当事務所が行っている活動は、環境、経済、社会問題の3つの分野にわたります。これらの分野に即して、事務所のスタッフは法律、経済、社会人類学、MBA、環境学など様々な専門知識を用い、さらに外部有識者の協力を仰ぎながら対応しています。具体的には、上記3分野に関する北東アジアの現況調査や専門家会議の開催、政府間交渉の事務局を務めるなど、国境を越えた協力関係の構築に力を入れています。

このほか、ユースへの取り組みも積極的に行っています。昨夏には「北東アジア・ユース・フォーラム」を開催。日本から13人の学生も参加して、環境問題などの解決に若者がどう貢献できるかについて話し合いました。今年の夏も開催予定です。また、事務所には「国連クラブ」を結成した地元・仁川市の高校生がしばしば訪れ、勉強会も熱心に行われています。高校生の選ぶトピックは北東アジアの経済問題、国境を越えて飛散する粉塵や砂嵐への取り組み、女性と子どもの人権など実に幅広く、職員が月2回のペースで講義を行っているのもユニークな取り組みの一つです。

◆14人のスタッフ、国籍は10カ国!

総勢14人のスタッフの国籍はオーストラリア、スリナム、韓国、日本、中国、モンゴル、タジキスタン、アメリカ、イタリア、タイで、国際的な職場です。職員は英語のみでなく、北東アジアの主要言語もカバーして仕事をしています。このように、国籍、母国語、宗教、育った地域や環境、そして性格も全く異なるスタッフが、それぞれの長所や専門知識を活かし、同じ目標へ向かって協働しています。

UN ESCAP北東アジア事務所の公式ウェブサイト

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本記事は、当センター広報誌 Dateline UN Vol.78への寄稿をもとにご紹介しています。

 

様々な国籍のスタッフとインターンが働く国際色豊かな UN ESCAP 北東アジア事務所。前列左から5番目が筆者の北田祐子さん【写真提供:UN ESCAP北東アジア事務所】
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