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第4回国連LDC会議が5月9日、イスタンブールで開幕(~13日)

2011年05月09日

~後発開発途上国(LDC)躍進の10年に向けた5つのステップとは?~

後発開発途上国(LDC)48カ国は、2020年までにその数を半減させるため、第4回国連LDC会議(5月9~13日、イスタンブール、トルコ)で大きな前進を目指しています。

世界で最も脆弱な経済を抱える国々をはじめとするLDC各国政府は、国連の後発開発途上国リストから24カ国を「除名」するための措置を強く求めています。「後発開発途上国」と分類されることは、その国の国民一人当たりの所得が低く、劣悪な生活水準にあって優秀な人材が不足し、経済的な能力と抵抗力を欠いていることを意味するからです。

LDCは農業への依存度が高く、国民の多くは過酷な、生産性の低い労働に従事しています。また、鉱業や石油に依存する国々もありますが、こうした産業は労働集約的でなく、他の国内経済分野への波及効果はほとんど見られません。

気候変動がもたらした不安定な天候パターンは、農民にとって非常に大きな脅威となっています。LDCの中には、沿岸部に低地が広がっていたり、暴風雨や海面上昇の影響を受けやすい小さな島々から構成されていたりする国が多いからです。これとは正反対に、山岳地帯に位置し、後退しつつあると見られる氷河地帯から流出する水に依存する国もわずかながらあります。

国連の開発政策委員会がLDCに分類した計51カ国のうち、この分類を「卒業」した国々は3カ国(1994年にボツワナ、2007年にカーボベルデ、2011年にモルジブ)にすぎませんが、LDCはいくつかの重要分野を特定し行動を集中させています。前進が欠かせない5つの重要分野を取り上げてご紹介します。

第4回国連LDC会議ウェブサイトhttp://www.un.org/en/ldc/

潘基文(パン・ギムン)事務総長による開会あいさつ(英文)はこちら

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①農業を強化する

産業革命期の英国や米国、現代の中国など、時代や場所を問わず、多くの国々が農村部の成長を足がかりに、ダイナミックな都市部の発展を遂げてきました。

LDC経済にとって、農業は事実上の足かせとなっています。国連食糧農業機関(FAO)によると、LDCの国民は70%が農業に従事しながら、国民所得のわずか30%しか稼いでいないからです。

2007年以来、食料価格は上昇傾向にあり、この上昇傾向は当分の間続くと見られています。食料価格の高騰はLDCの農民に利益をもたらすどころか、消費者を飢餓によって苦しめることが多くなっています。

しかし、この価格上昇が世界市場から現地の農民へと波及し、かつインフラが整い、農業投入財や社会サービスが利用できれば、農産会社だけでなくLDCの小規模農家にも、利益を得る機会が生まれます。

コンサルティング会社マッキンゼーが2011年4月に発表した調査報告書によると、このチャンスはLDCの4分の3以上が集中するアフリカにも及んでいる可能性があります。報告書は次のように述べています。

「待望の“緑の革命”はすぐそこかもしれない。多くのアフリカ諸国では、政府が市場志向の政策を採用し、農業部門にさらに多くの資源を注ぎ込んでいる。従来の援助大国が農業への支援を増額する中で、中国とブラジルもこの取り組みに加わりつつある。アフリカ農業への民間投資も急増中である。食料価格の高騰と変動は、このような開発努力の重要性を際立たせるだけでなく、政策立案者が行動を起こすための圧力と政治空間をともに作り出している」

マッキンゼーは、特に気候変動の影響をかわす持続可能な農業実践が導入された場合、最も恩恵を受ける可能性が高い国として11カ国をあげていますが、その中にはアンゴラ、エチオピア、マダガスカル、モザンビーク、スーダン、タンザニアのLDC6カ国が含まれています。

国連で食料を担当する諸機関、すなわち国連食糧農業機関(FAO)、世界食糧計画(WFP)および国際農業開発基金(IFAD)は、2008年の食料危機を契機に、事務総長が任命した多部門タスクフォースのその他多数のメンバーと協力し、農業開発と小規模農家への支援に取り組んでいます。

②女性の能力を活用する

LDCの農民の大多数は女性ですが、そのほとんどが生産性の低い農業に携わっています。小規模農業を変革し、都市経済とともに農村経済も多様化すれば、女性の創造的、経済的、ガバナンス的能力をフルに活用できるようになるでしょう。この意味で、差別的な法律、政策、規範など、ジェンダーの平等を妨げる構造的障壁を取り除くことが欠かせません。

女性の権利とエンパワーメントに関するLDCの実績は、今のところ一様でないものの、成果は目に見えています。ネパールをはじめとする数カ国の政府は、男女間の所得格差を縮めるための措置を講じています。LDC全体の女性識字率は1990年代末の44%から、2000年代後半には50%以上にまで改善しました。女性起業家を直接的に支援しているLDCも多くあります。

貧困国で事務総長が提唱した母子保健イニシアティブを成功させることは、女性の能力を解き放つ意味できわめて重要です。

③ODAの焦点を絞る

LDCは国内貯蓄率が低い(平均でGDPの10%)ため、政府開発援助(ODA)をはじめとする外部資金源への依存が続いています。OECD開発援助委員会(DAC)に名を連ねる従来の援助国からのODAは前回のLDC会議以来、2001年の140億ドルから2009年の400億ドル弱へと3倍近く伸びていますが、目標値は依然として達成できていません。

LDCは気候変動への適応についても、追加的な援助を必要としています。先進国による援助目標の達成を期待しつつも、開発途上新興経済国による援助や貿易、投資への依存度を高めています。

これら諸国はまた、部門別の資金配分のシフトも求めています。経済インフラや生産的部門に向けられるODAの割合は1980年代以来、長期的な減少傾向にあります。多くのLDC政府は、主要インフラ(輸送、エネルギー、水、情報通信技術)や農業部門に対する援助の割合を引き上げるよう望んでいます。こうした生産能力は、援助への依存度を低下させ、金融・食料危機の影響に対処する上で役立つからです。

④ガバナンスを改善する

LDCからの「卒業」国のうち、最も規模が大きいボツワナとカーボベルデの2カ国は、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(Economic Intelligence Unit)の民主主義国格付けを見ても、これら諸国の中で最高位にランクされています。

LDC政府は、潜在的投資家が決定を下す際、法的、民主的、マクロ経済的な枠組みもきわめて重要な要因になるとの認識を高めつつあります。2001年のブリュッセルLDC会議以来、ガバナンスと社会的包摂には全般的な改善傾向が見られています。内戦の数も減ってきました。LDC48カ国のほとんどすべてで選挙が行われています。司法制度、法制、腐敗、収税メカニズムの改善といった点についても、前進が見られます。

⑤一次産品による収入を有効に活用する

LDCはハード(鉱物)、ソフト(農産物)ともに一次産品に恵まれ、今日のグローバル経済では、これら産品の価格が高騰している状況にあります。しかし、そのような資源を抱えていても、ほとんどの国々はこれまで、貧困の罠から逃れることができませんでした。各国は一次産品収入を経済の多様化に活用する方法を見つける必要があります。

収入がより広く国民に行き渡れば、国内市場が成長し、一次産品以外の部門でも国際投資が活発となるでしょう。このプロセスがすでに始まっている兆候も見られます。海外の市場に対する障壁を取り払えば、輸出品の生産拠点としてLDCに目をつける資本も増えてくるでしょう。21世紀の一次産品ブームに触発された外国直接投資(FDI)はLDCの資金源として、最も急速に成長しています。世界の対内FDIに占めるシェアが1%にも満たないLDCにとって、今後10年間で大きな成長を遂げる余地は十分にあるといえます。

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後発開発途上国

◆アフリカ(33カ国)
アンゴラ、ベナン、ブルキナファソ、ブルンジ、中央アフリカ共和国、チャド、コモロ、コンゴ民主共和国、ジブチ、赤道ギニア、エリトリア、エチオピア、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、レソト、リベリア、マダガスカル、マラウイ、マリ、モーリタニア、モザンビーク、ニジェール、ルワンダ、サントメ・プリンシペ、セネガル、シエラレオネ、ソマリア、スーダン、トーゴ、ウガンダ、タンザニア連合共和国、ザンビア

◆アジア(14カ国)
アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、カンボジア、キリバス、ラオス人民民主共和国、ミャンマー、ネパール、サモア、ソロモン諸島、東ティモール、ツバル、バヌアツ、イエメン

◆ラテンアメリカ・カリブ海(1カ国)
ハイチ

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ベナンのポルトノボで、持続可能な農業実践の調査、研修、開発を専門とするNGO「ソンガイ・センター」を訪れる潘基文(パン・ギムン)事務総長©UN Photo
第4回国連LDC会議で開会あいさつを行う潘事務総長©UN Photo/Evan Schneider
同時開催される市民社会フォーラムであいさつを行う潘事務総長©UN Photo/Evan Schneider
国連LDC会議に出席するMDGアドボカシー・グループのメンバーと意見を交わす潘事務総長。同グループは、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けリーダーシップを発揮する著名人で構成されている
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