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2000年国連軍縮秋田会議、閉幕

2000年08月25日

2000年8月25日、4日間にわたって開かれた「2000年国連軍縮秋田会議」が閉会しました。秋田会議は、今世紀最後の軍縮会議として「21世紀の軍縮と国連:その戦略と行動」のテーマの下に、アジア・太平洋地域における平和と安全のための戦略、同地域における国連の役割、軍縮と平和への地域的なアプローチ、朝鮮半島、ジュネーブ軍縮会議に対する影響を含む2000年核不拡散条約(NPT)再検討会議の成果およびファローアップ、核兵器国の役割、戦略兵器削減交渉(START)プロセスと原子力の平和利用などの問題が取り上げられました。また、最近とみにその深刻さを増してきている通常兵器や小型武器の不正取り引きの問題も討議されました。

会議には、主にアジア・太平洋地域を中心に、22カ国の政府、学会、研究機関、非政府組織(NGO)、メディアの代表64人が参加し、こうした問題について自由かつ活発に意見の交換を行いました。いろいろと示唆に富んだ発言が行われ、特定の安全保障上の問題や今後対応すべき新たな挑戦を明らかにすることに役立ちました。 また、アジア太平洋地域の利益のためにそうした問題を解決するための具体的な方法や考えも提示されました。

また、秋田会議では、平和建設の努力に若者の参加は不可欠との認識の下に、8月23日、市内の中学生を対象に「次世代につなぐ平和」に関するシンポジウムが同じ会議場で開かれました。秋田会議参加者はオブザーバーの形でそのシンポジウムに出席しました。シンポジウムに参加した中学生は、平和に対する強い願望と自分たちの果たすべき役割について語りました。秋田会議の閉会にあたって、石栗勉・国連アジア太平洋平和軍縮センター所長は、若者たちがそれぞれの地域や世界の人々の平和と繁栄のために行っている行動が成功するよう、心から願っていると述べました。

秋田会議の成果が、国連の軍縮会議を含め軍縮に関するいろいろな討論の場において、地域および国際の安全の向上およびグローバルな軍縮の促進のために十分に活用されるよう期待されています。

国連軍縮会議は国連アジア太平洋平和軍縮センターが主催するもので、1989年に最初の会議が京都で開催されて以来、仙台、広島、長崎、札幌と、この12年間に日本国内の各地で開かれてきました。この軍縮会議は、今では、アジア太平洋地域における軍縮、安全および繁栄について地域の対話を促進する重要な手段として、高く評価されています。国連通常兵器登録制度の創設や小型武器の研究に関するイニシアチブもこの会議の結果として生まれました。こうした会議がアジア太平洋地域における国家間の信頼醸成の促進に大きく貢献したことには疑問の余地がありません。会議における建設的かつ率直な討論によって、その促進に共通の努力を必要とするいくつかの領域も明らかにすることができました。

以下は、国連軍縮秋田会議の閉会にあたって、石栗・国連アジア太平洋平和軍縮センター所長が、会議の討論を通して何人かの参加者が行った興味ある見解や提案のいくつかを簡単にまとめたものです。

1)21世紀においても国連が引き続き重要であることがはっきりと認識されました。日本から出席された明石康・前人道問題担当国連事務次長は、国連がもつ限界と可能性を指摘しつつ、国連が貢献しうる4つの領域を明らかにしました。すなわち、国際世論を反映し、またその形成に貢献する場を提供すること、国際の政策、貿易、投資に関する情報を交換する場となること、国際規範を設定し、条約その他を採択すること、そして、平和維持活動、人道的援助や技術援助のように現地において具体的な活動を進めること、の4つの領域です。

 2)国連軍縮秋田会議も含め、地域の安全に関する対話が果たしている重要な役割は、危機や侵略に対応するものではなく、その回避を可能にする「信頼」もしくは「共同体意識」を醸成することであるとして、参加者から一般的支持を受けました。アジア太平洋地域安全保障協力委員会(CSCAP)のラルフ・A・カッサ事務局長は、地域対話のメカニズムは、さらなる政治的協力および地域の安全、信頼醸成、軍縮の促進について、限定されてはいるもの無視できない可能性を持っていることを指摘しました。カッサ氏はまた、それとの関連で、秋田会議をはじめ、金沢会議のようなその他の国連主催の会議など、国連が提供する「場」に言及し、そうした「場」は、地域の安全の強化、とくに安全の環境が一般に脆弱かつ不安定で、誤解や誤算が安全上の主要な問題となっているような状況の下では、安全の強化にかなりの効果を持つものである、と強調しました。

 3)冷戦後の時代において、安全保障についてのパラダイムが拡大されたことも認識されました。これは、民族紛争、環境の劣化、資源の枯渇、難民や避難民の大量移動、組織犯罪、薬物の取引、テロ行為など、安全保障について新しい対象が生じた結果によるものです。こうしたことはすべて、国境を越えて影響を及ぼす性格を持っています。したがって、安全保障の対象も部分的に国家から人間へと変わりました。チュラロンコン大学安全保障・国際研究所諮問委員会議長のクスマ・スニトウォンス博士は、人間の安全保障と軍縮とを関連づけ、人間の安全保障とは「人間が暴力的、非暴力的脅威から安全であること」と定義づけました。クスマ博士の発言は、この人間の安全保障と軍縮という新しい領域において、一つの洞察を与えるもので、今後一層の研究を行う価値を有しています。

4)朝鮮半島に関しては、二つの朝鮮国家間で行われた最高レベルでの接触が、緊張緩和と信頼醸成の実現の可能性を強めるものとして、ある種の楽観的な見解が表明されました。キム・ミョンジン韓国外務貿易省軍縮政策局次長は、共同声明は残虐な戦争の再発を防止し、朝鮮半島に恒久平和を樹立したいとの両国民の強い願望を反映するものだと述べました。共同宣言の実施を成功させるには、隣接4カ国や東南アジア諸国連合(ASEAN)や欧州連合(EU)のような主要な地域機関を含め、国際社会の支援が必要であると強調しました。他方、共同宣言に安全保障の問題が明記されていないことから、両国間の合意が無意味なものになってしまう可能性も指摘されました。

5)核不拡散条約(NPT)再検討会議の評価については、NPTの本来の目的は核の不拡散を促進し、核軍縮を達成することであることが再確認されました。米国モントレー国際研究所のタリク・ラウフ国際機関・核不拡散部長は、再検討会議の評価を以下のように要約しました。

  1. 同条約は今後も多国間の核不拡散、軍備規制および軍縮外交のための最も重要なメカニズムの一つである。
  2. 条約の締約国は一致して非加盟のインド、イスラエル、パキスタンによるNPT体制に対する挑戦、朝鮮民主主義人民共和国およびイラクによる非遵守に反対である。
  3. 核軍縮に関する組織的かつ漸進的な努力について具体的な措置を採ることがジュネーブ軍縮会議および国連総会の新たな課題となりうると考えられる。
  4. 多くの非核兵器国にとって、「具体的措置」は、NPTの下に核兵器国が誓約する核軍縮の進歩を測定する尺度を提供するものである。
  5. 核兵器国への挑戦は、冷戦後の安全保障に関する新たな論理を取り入れ、核兵器を非合法化する戦略を作成することである。

 6)米本土ミサイル防衛計画については、激しい討論が行われました。これに関連し、「宇宙空間における軍備競争の防止」について意見の一致がないため、ジュネーブ軍縮会議においてはこの問題に関する作業に進展が見られないとの報告がありました。この行き詰まりを打開するために、ジュネーブ軍縮会議議長が一括案の可能性を探っています。

7)現在、世界各地に見られる新しいタイプの武力紛争がもたらす挑戦にも十分な注意を払う必要があります。そうした紛争では主に小型武器が使用されており、小型武器の過剰供給問題に対処するため、国際社会は持続した努力を行うことが不可欠です。これに関連し、2001年に開催予定の「小型武器不正取引のあらゆる側面に関する国連会議」の重要性が強調されました。

(以上)

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