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安全保障理事会決議1441(2002)

プレスリリース 02/104-J 2002年12月13日

2002年11月8日、安全保障理事会第4644回会合で採択
 
 安全保障理事会は、
 
 そのすべての関連決議、特に1990年8月6日の決議661(1990)、1990年11月29日の決議678(1990)、1991年3月2日の決議686(1991)、1991年4月3日の決議687(1991)、1991年4月5日の決議688(1991)、1991年8月15日の決議707(1991)、1991年10月11日の決議715(1991)、1995年4月14日の決議986(1995)および1999年12月17日の決議1284(1999)、ならびに、安保理議長のすべての関連声明を想起し、
 
 また、その2001年11月29日の決議1382(2001)、および、これを全面的に実施するというその意志も想起し、
 
 イラクによる安保理決議の不履行、ならびに、大量破壊兵器および長距離ミサイルの拡散が国際の平和と安全に対してもたらす脅威を認識し、
 
 その決議678(1990)が加盟国に対し、1990年8月2日の決議660(1990)、および、決議660(1990)以降のすべての関連決議を堅持、実施し、同地域における国際の平和と安全を回復するために、あらゆる必要な手段を用いるのを認めたことを想起し、
 
 さらに、その決議687(1991)が、同地域における国際の平和と安全を回復するというその明示の目標を達成するために必要なステップとして、イラクに義務を課していることも想起し、
 
 イラクは、決議687(1991)の求めるところに従い、大量破壊兵器、および、射程距離150キロメートルを超える弾道ミサイルを開発する同国のプログラムのあらゆる側面、ならびに、かかる兵器の保有状況、その構成要素および生産施設と場所、さらには、同国が核兵器に利用できる物質とは無関連の目的を有すると主張するものも含め、その他あらゆる核関連プログラムの正確、全面的、最終的かつ完全な開示を行っていないという事実を遺憾とし、
 
 さらに、イラクは、国連特別委員会(UNSCOM)と国際原子力機関(IAEA)によって指定された場所への即時、無条件かつ無制限のアクセスを繰り返し妨害し、決議687(1991)の求めるところに従い、UNSCOMとIAEAの兵器査察官と全面的かつ無条件に協力することを怠り、最終的には1998年、UNSCOMおよびIAEAとのすべての協力を停止したことも遺憾とし、
 
 イラクはUNSCOMの後継機関として決議1284(1999)で設立された国連監視・検証・査察委員会(UNMOVIC)、および、IAEAに対し、即時、無条件かつ無制限のアクセスを提供せよという安保理の再三にわたる要求にも関わらず、1998年12月以来、イラクでは、関連決議の求めるところによる大量破壊兵器および弾道ミサイルの国際的監視、査察および検証が行われていないことを遺憾とするとともに、その結果としての同地域における危機とイラク国民の苦難の長期化を憂い、
 
 さらに、イラク政府は、テロリズムに関する決議687(1991)、一般市民の抑圧を終焉させ、国際人道機関にイラク国内で援助を必要とする人々へのアクセスを提供するための決議688(1991)、ならびに、イラクが不正に拘禁したクウェート人と第三国人の帰還あるいは捜索協力を行うか、イラクが不正に押収したクウェートの資産を返還するための決議686(1991)、687(1991)および1284(1999)によるその公約の遵守を怠っていることも遺憾とし、
 
 安保理はその決議687(1991)で、停戦は、同決議に含まれるイラクの義務を含め、同決議の規定のイラクによる受入れに基づくものとする旨宣言したことを想起し、
 
 イラクの決議687(1991)、および、その他関連決議による義務の無条件あるいは無制限の全面的かつ即時の履行を確保することを決意するとともに、同安保理決議が、イラクの遵守を律する基準を構成することを想起し、
 
 特別委員会の後継機関としてのUNMOVIC、および、IAEAの実効的な活動は、決議687(1991)およびその他関連決議の実施に不可欠であることを想起し、
 
 イラク外相が事務総長に宛てた2002年9月16日付書簡は、イラクによる関連安保理決議の継続的不遵守の是正に向けて必要な第1歩であることに留意し、
 
 さらに、ウィーンでの会談を受け、UMOVICとIAEAによるイラクでの査察再開の前提条件となる実務的取り決めを定めたUNMOVIC委員長とIAEA事務局長がイラク政府アルサーディ将軍に宛てた2002年10月8日付書簡にも留意するとともに、イラク政府が依然として、同書簡に定められた取り決めの確認を行っていないことにもっとも深い憂慮の念を示し、
 
 イラク、クウェートおよび近隣諸国の主権と領土不可侵性に対する全加盟国のコミットメントを再確認し、
 
 この関連で、事務総長、および、アラブ連盟の加盟国と事務局長の努力を称賛し、
 
 その決定の全面的遵守を確保することを決意し、
 
 国連憲章第7章の下に行動し、

1. イラクは、特に国連査察官およびIAEAとの協力、および、決議687(1991)のパラグラフ8から13により要求される行動の完遂を怠ることにより、決議687(1991)を含む関連決議による義務の重大な違反を以前から続けていると決定する。
2. 上記パラグラフ1を認識しながら、イラクに対し本件決議により、安保理の関連決議によるその軍縮義務を遵守する最後の機会を与えるとともに、このため、決議687(1991)およびその後の安保理決議によって確立された軍縮プロセスの全面的かつ検証された完遂をねらいとして、拡充された査察体制を構築することを決定する。
3. その武装解除義務の遵守を開始するため、要求された半年ごとの申告の提出に加え、イラク政府はUNMOVIC、IAEAおよび安保理に対し、本件決議の日付から30日以内に、その化学兵器、生物兵器、核兵器、弾道ミサイル、および、無人機や航空機での使用向けに設計された散布システムなどのその他運搬装置で、かかる兵器、構成部品、付属品、化学兵器用薬品のストックおよび関連の物質・機材の保有状況と正確な場所を含むもの、その研究、開発および生産施設の場所と活動、ならびに、同国が兵器の製造にも原料にも関連する目的を有しないと主張するものも含め、その他すべての化学、生物および核プログラムの現状における正確で、全面的かつ完全な申告を行うものとすることを決定する。
4. 本件決議によりイラクから提出された申告書に虚偽の記載あるいは遺漏があった場合、および、いずれかの時点でイラクが、本件決議の遵守およびその実施における全面的協力を怠った場合、これをさらにイラクの義務違反と見なすものとし、以下のパラグラフ11および12により、これを安保理に報告し、その審査を仰ぐことを決定する。
5. イラクはUNMOVICおよびIAEAに対し、地下を含め、査察を希望するあらゆる地域、施設、建物、機材、記録および輸送手段に対する即時、無妨害、無条件かつ無制限のアクセス、ならびに、UNMOVICあるいはIAEAがその権限のいずれかの側面に従って選択する態様あるいは場所で、UNMOVICあるいはIAEAが面会を希望するあらゆる政府職員およびその他の者に対する即時、無妨害、無条件かつ私的なアクセスを提供するものとすることを決定する。さらに、UNMOVICおよびIAEAは、その裁量により、イラクの国内あるいは国外で面会を行うとともに、これら面会対象者とその家族のイラク国外への移動を容易にすることができること、ならびに、UNMOVICとIAEAのみの裁量により、かかる面会をイラク政府のオブザーバーの同席なしに行い得ることを決定する。また、本件決議の採択後45日以内に査察を再開し、その後60日以内に安保理に最新情報を報告するようUNMOVICに指示するとともに、これをIAEAに要請する。
6. 付属に添付したUNMOVIC委員長およびIAEA事務局長からのイラク政府アルサーディ将軍に対する2002年10月8日付書簡に支持を表明するとともに、同書簡の内容はイラクを拘束するものとすることを決定する。
7. さらに、イラクがUNMOVICとIAEAの入国を長期間中断させたことに鑑み、また、両機関が本件決議およびこれまでのあらゆる関連決議に定める任務を遂行できるようにするため、以前の了解にもかかわらず、安保理はここに、イラクにおける両機関の作業を容易にするよう、以下の修正あるいは追加権限を確定し、イラクに対する拘束力を持たせるものとする。
 
-UNMOVICとIAEAは、その査察団の構成を決定し、これら査察団が採用可能なもっとも能力と経験に秀でた専門家から構成されることを確保するものとする。
 
-UNMOVICとIAEAの全職員は、国連の特権および免責に関する条約(Convention on Privileges and Immunities of the United Nations)、ならびに、IAEAの特権および免責に関する協定(Agreement on the Privileges and Immunities of the IAEA)の規定により、職務遂行中の専門家に対応する特権と免責を享受するものとする。
 
-UNMOVICとIAEAは、無制限のイラク出入国権、査察場所を自由、無制限かつ即時に行き来する権利、ならびに、1998年3月2日の決議1154(1998)の条項にかかわらず、その他の場所と同様の大統領施設への即時、無妨害、無条件かつ無制限のアクセスを含め、いかなる場所および建物も査察する権利を有するものとする。
 
-UNMOVICとIAEAは、イラクの化学、生物、核および弾道ミサイル・プログラム、ならびに、関連の研究、開発および生産施設に関係するあらゆる現職員および旧職員の名簿をイラクから提供される権利を有するものとする。
 
-UNMOVICとIAEAの施設の安全は、十分な国連警備隊によって確保されるものとする。
 
-UNMOVICとIAEAは、査察予定の場所の現状を凍結する目的で、周辺地域と通過経路を含む立ち入り禁止区域を宣言し、査察中の場所で何らかの改変が行われたり、何らかの物が持ち出されたりすることのないよう、同区域内でのイラクの地上および空中の移動を中断させる権利を有するものとする。
 
-UNMOVICとIAEAは、有人および無人の偵察機を含め、固定翼および回転翼航空機を自由かつ無制限に利用および着陸できるものとする。
 
-UNMOVICとIAEAは、その裁量のみにより、すべての禁止された兵器、サブシステム、構成部品、記録、物質、および、その他の関連物品を検証可能な形で排除、廃棄あるいは無害化する権利、ならびに、その生産用の施設あるいは機材があれば、これを押収あるいは閉鎖する権利を有するものとする。
 
-UNMOVICとIAEAは、査察用の機材あるいは物質を自由に持ち込んで利用し、査察中に採取された機材、物質あるいは文書があれば、UNMOVICあるいはIAEAの職員、または、公用あるいは私用荷物の検査なしに、これを押収および持ち出しする権利を有するものとする。
8. さらに、イラクは、国連あるいはIAEA、または、いずれかの安保理決議を堅持するために行動する加盟国の代表あるいは職員に対し、敵対的行為を働いたり、これをほのめかしたりしないものとすることを決定する。
9. 事務総長に対し、イラクについて拘束力を有する本件決議を即座に、イラクに通告することを要請する。イラクが通告から7日以内に、本件決議を全面的に遵守する意志を確認することを要求する。さらに、イラクがUNMOVICおよびIAEAと即時、無条件かつ積極的に協力することを要求する。
10. すべての加盟国に対し、禁止されたプログラム、あるいは、1998年以来、イラクが禁止された物品を入手しようとした試みをはじめ、その他UNMOVICとIAEAの権限事項に関連する何らかの情報を提供すること、ならびに、査察すべき場所、面会すべき人物、かかる面会の条件、および、収集すべきデータを勧告することによるものを含め、UNMOVICとIAEAの任務遂行を全面的に支援することを要請するとともに、UNMOVICとIAEAは、その結果を安保理に報告するものとする。
11. UNMOVIC委員長とIAEA事務局長に対し、イラクによる査察活動への干渉があった場合、および、本件決議による査察に関する義務を含め、イラクがその武装解除義務の遵守を怠った場合、これを即座に安保理に報告するよう指示する。
12. 上記パラグラフ4あるいは11による報告を受理した場合、直ちに会合を開いて現状を考慮し、国際の平和と安全を確保するためにすべての関連安保理決議を全面的に遵守する必要性を検討することを決定する。
13. この関連で、安保理はイラクに対し、その義務違反を継続した場合、深刻な結果に直面するであろうことを繰り返し警告したことを想起する。
14. この問題に引き続き取り組むことを決定する。

 

S/RES/1441 (2002)
 
付属
ブリクス/エル=バラダイ書簡の本文
 
国連監視・検証・査察委員会 委員長

国際原子力機関 事務局長

2002年10月8日
 
親愛なるアルサーディ将軍
 
 最近のウィーンでの会談で、私たちは、イラクでのUNMOVICとIAEAによる査察再開の前提条件となる実務取り決めについて話し合いました。貴殿もご記憶のとおり、ウィーンでの会談を終えるにあたり、私たちは、達成された主要な成果の一部、特に、関連の安全保障理事会決議のすべてに規定するあらゆる査察権のイラクによる受入れを掲げた声明に合意しました。この受入れには何の条件も付されていないことが明言されています。
 
 2002年10月3日の安全保障理事会に対する私たちのブリーフィングの中で、安保理の理事国の中には、私たちがウィーンで得た結論をすべて文書にすることを提案するものがありました。本件書簡は、これらの結論を列挙し、貴殿の確認を求めるものです。私たちはこれを受け、安全保障理事会への報告を行うことになっています。
 
 会談終了時の声明において、UNMOVICとIAEAは、これまで「センシティブな場所」とされてきたものを含め、査察場所への即時、無条件かつ無制限のアクセスを認められることが明言されました。しかし、私たちも指摘したとおり、1998年の了解覚書では、8カ所の大統領施設が特別の手続きの対象とされていました。これら施設がその他あらゆる場所と同様、即時、無条件かつ無制限のアクセスの対象となる場合、UNMOVICとIAEAは同じ職業意識を持って、査察を行う所存です。
 
 
アミール・H. アルサーディ将軍閣下
大統領府顧問
バグダッド
イラク
 
 私たちは、UNMOVICとIAEAが、いかなる具体的な場所についても、アクセスに必要な査察官の数を決定する権利を有するという理解を確認します。この決定は、査察対象となる場所の規模と複雑性に基づき行われます。私たちはまた、追加的な場所、すなわち、イラクによる申告がなされていないか、UNSCOMあるいはIAEAによってこれまでに査察が行われていない場所の指定につき、かかる場所への査察官の到着時に提出される「査察通告(NIS)」により、イラクが通報を受けることも確認します。
 
 イラクは、UNMOVICおよび/あるいはIAEA査察官の立会いのもとに適宜、その要請により行う場合を除き、禁止されたいかなる物質、機材、記録あるいはその他関連物品も廃棄しないことを確保するものとします。
 
 UNMOVICとIAEAは、その権限に関連する情報を有する可能性ありと考えるイラク国内のいずれの者についても、面会を行うことができるものとします。イラクはこのような面会に便宜を図るものとします。面会の様態と場所を選択するのはUNMOVICおよびIAEAとします。
 
 査察官に対するイラク側の窓口は、これまでと同様、国家監視局(NMD)とします。バグダッド継続監視・検証センター(BOMVIC)は、以前のバグダッド監視・検証センターと同じ建物の中に、同じ条件で維持されるものとします。NMDは以前と同様、この建物の改修のためのサービスを無償で提供するものとします。
 
 NMDは無償で、(a)査察対象場所へのアクセスに便宜を図る護衛者、および、面会対象者との通信、(b)毎日24時間体制で英語が話せる者が常駐するBOMVIC用のホットライン、(c)要請に応じ、国内での要員および陸上輸送面での支援、ならびに、(d)査察官の要請に応じ、物質と機材の移動における援助(建設、掘削機材など)を提供するものとします。NMDはまた、夜間および休日を含め、通常の勤務時間外に査察が行われる場合にも、護衛者の提供を確保するものとします。
 
 例えば、バスラとモスルに、査察官が利用するUNMOVIC/IAEA地方拠点を設置することができるものとします。この関連で、イラクは無償で、十分な事務所建物、職員宿泊施設および適切な護衛要員を提供するものとします。
 
 UNMOVICとIAEAは、暗号化能力の有無に関係なく、衛星や地上ネットワークを含め、いかなる種類の音声あるいはデータ送信手段も利用できるものとします。また、UNMOVICとIAEAは、BOMVIC、ニューヨークおよびウィーンに直接データを送信できる能力を備えた機材(センサー、監視カメラなど)を現地に設置できるものとします。イラクはこれに便宜を図るものとし、また、UNMOVICあるいはIAEAの通信にイラクは何ら介入しないものとします。
 
 イラクは無償で、すべての監視機材の物理的保護を提供するとともに、UNMOVICとIAEAの要請に応じ、データの遠隔送信用のアンテナを建設するものとします。NMDを通じたUNMOVICの要請に応じ、イラクは通信機材用の周波数を割り当てるものとします。
 
 イラクはすべてのUNMOVICおよびIAEA要員の安全を確保するものとします。これら要員については、イラクにより、安全かつ適切な宿泊施設が通常料金で指定されるものとします。他方、UNMOVICとIAEAは、その職員に対し、イラクとの協議で特定されたもの以外の宿泊施設に滞在しないことを要求するものとします。
 
 要員と機材の輸送、および、査察を目的とした固定翼航空機の使用に関しては、バグダッドに到着するUNMOVICとIAEAの職員が使用する航空機が、サダム国際空港に着陸できることが明らかにされました。入国した航空機の出発地点は、UNMOVICが決定するものとします。ラシード空軍基地は引き続き、UNMOVICとIAEAのヘリコプターの活動に利用されるものとします。UNMOVICとイラクは、同空軍基地に航空連絡事務所を設置するものとします。サダム国際空港とラシード空軍基地の双方において、イラクは必要な支援の建物と施設を提供するものとします。航空機の燃料は以前と同様、イラクが無償で提供するものとします。
 
 固定翼機と回転翼機を含めたイラクにおける航空活動という、より幅広い問題に関し、イラクは飛行禁止区域外の同国領空での航空活動の安全を保証するものとします。飛行禁止区域における航空活動につき、イラクは統制が及ぶ限り、かかる活動の安全を確保すべく、あらゆる措置を講じるものとします。
 
 査察中において、および、ガンマ検知などの技術的活動の目的で、必要に応じ、イラク各地で無制限に、かつ、いずれの除外領域もなく、ヘリコプター飛行を利用できるものとします。ヘリコプターはまた、医療救助にも利用できるものとします。
 
 地上偵察の問題に関し、UNMOVICは希望により、U-2あるいはミラージュの上空通過を再開できるものとします。これに関連する実務取り決めは、過去に実施されたものと同様のものとします。
 
 以前と同様、到着する職員に対するビザは、国連通行許可証(UN Laissez-Passer)あるいは国連証明書(UN Certificate)ベースで、入国地点で発行され、その他の入国あるいは出国手続きは必要とされないものとします。乗客名簿は、航空機のバグダッド到着1時間前に提供されるものとします。UNMOVICあるいはIAEA要員についても、公用あるいは私用荷物についても、検査は行われないものとします。UNMOVICとIAEAは、その要員が、イラクの国家的文化遺産に関するものなど、一定物品の持ち出しを禁じるイラクの法律を遵守することを確保するものとします。UNMOVICとIAEAは、衛星電話その他の機材を含め、自らが必要とする物品をすべてイラクに持ち込み、イラクから持ち出すことができるものとします。サンプルに関し、UNMOVICとIAEAは可能な場合、サンプルを分割し、一部をイラクが受け取り、もう一部を参考目的で確保できるようにするものとします。両機関は適宜、これらサンプルを複数の研究所に送付し、分析させるものとします。
 
 上記がウィーンでの私たちの会談を正確に反映するものとして確認いただければ幸いです。
 
 当然のことながら、実際に査察を行う際には、その他の実務取り決めが必要となる可能性があります。上記と同様、この点についても、イラクの全面的な協力を期待したいと思います。
 
敬具
 
 
(署名)
ハンス・ブリクス
国連監視・検証・査察委員会委員長
 
(署名)
モハメド・エルバラダイ
国際原子力機関事務局長

S/RES/1441(2002)