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この人に聞く:ポスト2015年開発アジェンダを担当する、アミーナ・モハメッド事務総長特別顧問

2014年12月10日

2014年12月4日ーアミーナ・モハメッド氏は2012年6月から、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長のポスト2015年開発アジェンダ担当特別顧問を務めている。ナイジェリア出身のモハメッド特別顧問は、官民双方の部門と市民社会で、開発実務者として30年を超える経験を積んでいる。

特別顧問への就任以前、モハメッド氏はナイジェリア大統領上級特別顧問として、2015年までに極度の貧困と飢餓を削減し、特に女児の教育を推進し、疾病と闘い、環境を保護するために、国連の支援のもとで取り組みが行われてきたミレニアム開発目標(MDGs)を担当していた。

世界のリーダーは来年9月、以後15年間にわたり、MDGsで積み残された課題に取り組む新たなアジェンダに合意することになっている。17項目の持続可能な開発目標が提案されている「ポスト2015年開発アジェンダ」は、人間と地球を中心に据え、人権に裏づけられ、グローバル・パートナーシップと、気候変動対策に関する普遍的合意に支えられたものとなる見込みだ。

事務総長は12月4日、ポスト2015年開発アジェンダの採択が予定されている来年の「持続可能な開発に関する国連特別サミット」に至る交渉過程で、加盟国の指針となる統合報告書『The Road to Dignity by 2030』を発表した。モハメッド特別顧問はこれに先立ち、UN News Centreのインタビューに答えた。

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2030年までに、私たちは貧困を終わらせ、生活を一変させるとともに、地球を守る方法も見出すことができる」

UN News Centre事務総長の「統合報告書(synthesis report)」とその作成の経緯について、簡単に説明していただけますか?

モハメッド特別顧問:統合報告書は、国連持続可能な開発会議(リオ+20)を受けた加盟国の討議に端を発しています。オープン・ワーキング・グループのほか、開発資金に関する専門家グループも設置されました。加盟国は事務総長に対し、2015年に開始予定の政府間交渉のたたき台となる形で、これらの活動を取りまとめた報告書を作成するよう要請しました。

UN News Centre報告書の内容はどのようなものになりますか?

モハメッド特別顧問:報告書はいろいろな要素を取りまとめたものとなりますが、まず、私たちの世界の現状を語るよう説明する部分があります。私たちがMDGsで学んだすべての要素、残されているギャップ、大きな変容をもたらすアジェンダの策定に何が必要か、リオの成果が表れるまでの経緯が取り上げられます。これらは背景となる情報です。そのうえで、こうした現状に取り組むべく、私たちが新たな一連の目標を策定していくための計画を盛り込んだ枠組みが示されます。

[報告書は]このアジェンダのリソースとなる実施手段や、そのための各種のオプションも取り上げます。そして最後に、説明責任の枠組み、つまり、アジェンダを実現するという責任の共有について説明責任の枠組みを提示します。新しい意欲的かつ普遍的なアジェンダを設定した私たちは、どうやってそれを実現へと導けるのか。そして、課題にどう対応していくのか、といった問題です。

2012年、アミーナ・モハメッド氏は「2015年開発アジェンダ担当事務総長特別顧問」の宣誓就任式に臨んだ©UN Photo/Evan Schneider

UN News Centre持続可能な開発目標を達成するには、私たちのやり方を変えなければならないというお話がありましたが、これはどのような意味ですか?

モハメッド特別顧問:つまり、アジェンダの規模が違うということです。MDGsからは、私たちが多くの成果をあげられることを学びました。確かに、私たちは人々を貧困から救い出しました。出産時に多くの女性の命を救うことにも努めました。子どもに関するアジェンダにも配慮し、子どもの生活を改善しました。多くの子どもが定期的に予防接種を受けるようになり、出産後も生き延びる乳児は確実に増えました。

しかし、その一方で、私たちが直面する巨大で複雑な課題に、こうしたやり方で対処することは持続不可能だということも学びました。ですから、今回の持続可能な開発アジェンダでは、私たちが直面する課題にさらに広く、さらに深い対応を図ろうとしています。そのためには、私たちの経済的、社会的、環境的次元を統合することが必要なのです。

私たちが、誰も置き去りにしないという普遍的アジェンダについて考えていくうえで、このことは重要だと思います。それは、半数あるいは4分の3の人を対象とするといったことではなく、すべての人々に関わることなのです。経済成長についても同じことで、経済が人々とともに成長する姿を、私たちは目撃しています。気候変動の課題と、これへの実質的対応についても知っています。私たちの生態系を保護しつつ、私たち全員が調和の中で暮らせる状態に地球を保つためには、どうすればよいのかということです。

つまり、こうした課題に対応するためには、これまでよりもはるかに多くのアプローチが必要になります。明らかに、より強力な制度が必要です。また、これまでのグローバル・パートナーシップとはまったく違うものも必要だということになります。北と南[だけ]という、従来の開発のパラダイムも通用しません。むしろ大事なのは、統合であり、あらゆる人のことを考えることであり、これを前へ進めるリーダーシップだということです。

UN News Centreポスト2015年のプロセスは、これまでで最もオープンで透明なものとするための試みがなされています。大半の人々は何を望んでいますか。また、どのようにしてあらゆる人の意見を聞けるようにしているのですか?

モハメッド特別顧問:リオ会議後に協議が開始されて以来、加盟国は実際、これまでにないプロセスを提供しています。私たちはこうした交渉の場に人々の意見を持ち込みました。また、こうした意見はオープン・ワーキング・グループを形づくる上でも取り入れられ、その成果は17項目の目標と多くのターゲットに反映されています。

しかし、国別のレベルで、全世界で、そして各地域で、さまざまなプラットフォームを用いて意見を聴取する機会も設けられています。若者にはMy World Surveyをプラットフォームとして働きかけを行い、どのような世界を望んでいるか、何を優先課題と考えているかについて、意見を求めることができました。

このプロセスでは、その他にもさらに多くのプラットフォームが触媒の役割を果たし、学界から市民社会、企業、議員その他多くの人々が同じスペースに集まりました。これによって、私たちの議論は豊かになったと思います。当事者意識も生まれ、私たちが何をすべきかが分かってきたという実感もありました。また、ニューヨークの国連本部が現地の人々のニーズを肌で感じることにより、両者の距離がぐっと縮まったのではないかと思います。

2014年4月、「持続可能な開発への道のりとしての平和的共存:ポスト2015アジェンダ」をテーマに開かれた文明の同盟グループ・オブ・フレンズ会合で、参加者に挨拶するモハメッド特別顧問©UN Photo/Paulo Filgueiras

 UN News Centre統合報告書から得られる最大の識見は何ですか?

モハメッド特別顧問:統合報告書から得られる最大の識見はおそらく、私たちの前途には希望と機会があるということ、そして、今の世代が、前途に横たわる課題の多くを克服するために必要なことを成し遂げる力を持っているということだと思います。ですから、この報告書から私たちが学べることがあるとすれば、それは2030年までに、私たちは貧困を終わらせ、生活を一変させるとともに、地球を守る方法も見出すことができる、ということでしょう。

UN News Centre次のステップは何ですか?

モハメッド特別顧問:希望として、次のステップは、政府間プロセスの発展を助け、明確性を高め、意欲と勢いを維持し、さらなるギャップの縮小に取りかかれるような形で、報告書を加盟国に提示することです。私たちとしては、来年の9月か10月までに、これらの目標と枠組みが承認され、MDGsで積み残された課題をさらに広く深く掘り下げる一連の目標が成立することを望んでいます。つまり、これまで話題に上ってきたデータ革命を、一連のしっかりとした指標と組み合わせ、新しいことにきちんと取り組んでいくということです。また、国連自身も、アジェンダを策定するうえで、こうした複雑な作業に関与するための能力を持ち合わせていない多くの開発途上国を支援するのに必要なスキルとツールを備えなければなりません。

UN News Centre個人的に、特に力を入れたい開発課題はありますか?

モハメッド特別顧問:特に私が力を入れたいと考えている最大の課題は、アジェンダが整った後のリーダーシップです。リーダーシップとは、つまり、強固な制度の中で、アジェンダを実現していける人間の能力です。それはどこから来るのか。パートナーシップの結束を強め、私たちが基本的に望む同じ方向へと進めるには、どうすればよいのか。この問題は、私たちの人間性の居場所を見つけることにもつながります。課題や紛争が山積し、来る日も来る日も、良いニュースがほとんどないような世界へと迷い込む過程で、私たちが落としてきたものを再び拾い上げる、ということです。

これはとても難しいことです。私の国では、少なくとも数年の間、あらゆる予想を覆し、優れた計画、善意、MDGsの目標達成に努める担い手たちを支援するリーダーシップにより、素晴らしい成果をあげるとともに、債務救済で浮いた資金を活用し、人々の生活を一気に改善しました。このような大がかりな作業には、グローバル・パートナーシップが絶対に必要です。各国レベルで必要な取り組みは多いものの、課題を完全に克服するためには、グローバル・レベルでのパートナーの支援も必要なのです。

そのためには、たくさんの勇気が要ります。誰も置き去りにしないということは、家族のうちで最も弱く、最も小さいのは誰か、そして、こうした人々を置き去りにしないようにするためには、何をしなければならないのかを見極めることと同じです。それこそまさに、私たちの活動の成否を判定する試金石なのです。

2012年7月、事務総長の「Global Education First(グローバル・エデュケーション・ファースト)イニシアティブ」ハイレベル運営委員会の初会合で、委員会メンバーのキャロル・ベラミー氏(左)、ゴードン・ブラウン氏(中央)と話すモハメド特別顧問(右)©UN Photo/JC McIlwaine

UN News Centre特別顧問はこれまで、さまざまな立場で開発問題に取り組んでこられました。貧困を終わらせるために最大の障害は何だとお考えですか?

モハメッド特別顧問:おそらく私たちにとって大切なのは、不平等への取り組みでしょう。世界各国の国内でも、国家間でも、依然として不平等が広がりつつあることは、大きな不安材料です。この問題は本当に、優れた政策、それもリーダーシップによって採用することができる政策により、計画を実施に移し、適切に焦点を絞った投資を行うことで、取り組む必要があります。

いろいろなものへのアクセスにせよ、所得や健康、学校、サービスにせよ、今の多くの不平等の解決は、私たちの能力や、私たちが利用できる制度の質にかかっていると思います。もちろん、これは大きな課題であり、今回の遠大なアジェンダに取り組んでいくためには、今すぐこれに対処せねばならないことも認識しています。

UN News Centreひとりのアフリカ女性として、これまでにアフリカはどの分野で最も大きな進展を遂げ、どの分野でさらに取り組みが必要だとお考えですか?

モハメッド特別顧問:経済状況を実質的に好転させるという取り組みにおいて、アフリカは長足の進歩を遂げたと思います。成長はアフリカ全体で見られます。また、事態を把握し、開発面で取りあえずの成果をあげることだけを考えるのではなく、大きな変革について話し合わねばならないという新たな緊迫感も芽生えています。これは良い兆候だと思います。アフリカは遂に立ち上がり、自分たちのことを自分で決め、自らの将来と運命を掌中に握っているのだと思います。

この取り組みを助けるため、先頭に立って対応に当たる女性も出てきました。アフリカが共通の立場を取りはじめたことが、ポスト2015年開発アジェンダに関する討議に大きな影響を与えていることは確かです。しかもそれは、女性のリーダーシップのもとで進められました。事実、[ンコサザナ・ドラミニ]ズマAU委員長は、アフリカのリーダーたちの先頭に立ち、これまで15年にわたり、グローバル・アジェンダに取り組んだ実績はあるものの、今後さらに、成果の積み重ねを望むという要望と、私たちにとって今後50年間が何を意味するか、そして、私たちはそれにどう取り組んでいくつもりなのかをはっきりと示したのです。そこには、リーダーシップを見ることができます。アフリカが自分たちの将来と運命を掌中に握っていることは、こうした事実からも分かります。

しかし、私たちがすべきことは、それよりもはるかに多くあります。実質的な変革を望むのであれば、私たちは、現在の取り組みをはるかに統合的な形で、しかも膨大な規模で、成し遂げねばならないでしょう。女性がもっとリーダーシップの役割を担う必要があります。入手できる統計やデータのほとんどを見ても分かるとおり、女性があらゆる場所で、人口の半数を占めていることを、事実として把握する必要もあります。私たちが信じるとおり、各国の機会と潜在能力は人的資源によって決まるのだとすれば、その潜在能力の半分にしか投資しないということは、私たちが持っている、そして必要としている望みが叶わないことを意味するでしょう。ですから、女性の問題は今後、さらに重要になると思います。

誰も置き去りにしない、誰にでも果たすべき役割があるという合言葉は、私たちにとって重要になると思います。私たちは、この合言葉を正しく定義づけ、人々に力を与えなければなりません。そうすることで、私たちはチームとして結束し、アフリカ各国内の多様性を弱点ではなく、逆に強みとすることができるのです。

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アミーナ・モハメッド事務総長特別顧問(ポスト2015年開発アジェンダ担当)©UN Photo/Devra Berkowitz