「人類のための闘い」:大規模な気候災害を回避するには 今すぐ行動を(UN News 記事・日本語訳)
2026年09月18日

2026年9月2日 – 国連が発表した報告書によると、記録的な熱波や多くの死者を出す洪水、異常気象は、安全な気温の上限をまもなく越えようとする、ますます温暖化の進む地球の姿を反映しています。しかし、気候変動対策に今すぐ本気で取り組めば、気候変動による惨禍を回避できる可能性はあります。
要点
- 気温上昇を1.5°Cに抑えるためには、迅速かつ世界的なコレクティブ・アクション(集団行動)が不可欠。
- メタン排出を削減し、土地や森林、海洋を保護し、化石燃料の段階的廃止を加速させれば、気候変動対策で現状のトレンドを逆転させることが可能。
- 1℃に満たない、コンマ以下の単位でのわずかな気温上昇でも、生命が失われ、暮らしが破壊され、不平等が深刻化し、生態系が取り返しのつかない被害にさらされることに。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、ここ数カ月の北半球での猛暑や猛威を振るう山火事、多くの死者を出す洪水が、これから何が起きるかを警告するものだとしています。
事務総長は、2015年の画期的な気候変動に関するパリ協定において、世界の指導者たちが産業革命前からの気温上昇を1.5°Cに抑えると約束していることを想起しました。この1.5°Cという数値は、科学者が最悪の気候破壊を避けるために必須とみなす限度です。
しかし実際のところ、国連環境計画(UNEP)が発表した新たな報告書によると、世界はこの約束を守れていません。
事務総長は「1.5°Cに向けた闘いは、人類のための闘いなのです。私たちは今後数年以内に、1.5°Cの上限を超えることになるでしょう」と語っています。
「1℃に満たない、コンマ以下の単位でのわずかな気温上昇でも、生命が失われる」
インガー・アンダーセンUNEP事務局長は、気温上昇が恒常的に1.5°Cを上回り続ければ、よい結果が生まれるはずはないと警告します。
アンダーセン事務局長は「世界各地で発生している記録的な熱波は、気候変動の影響がより速く襲い、より激しい打撃を与え、より長く続くことで、さらに多くの人命が失われ、より深刻な混乱をもたらすことをすでに証明しています」と語っています。
「私たちは今こそ、気候変動対策をさらに強化しなければなりません。私たちは正しい道を歩むことができ、また、そうしなければなりません。そのためには、温室効果ガスの排出量を削減し、レジリエンス(強靭性)と適応を強化し、1.5°Cを超える気温上昇をできるだけ小幅かつ短期間に抑えることが必要です」
グテーレス事務総長もこれに賛同し、次のように述べています。
「1℃に満たない、コンマ以下の単位でのわずかな気温上昇でも、生命が失われ、暮らしが破壊され、不平等が深刻化し、生態系が取り返しのつかない被害にさらされることになります。人類は、気候変動による惨禍を回避するための上限を軽々と超えて突き進んでいるのです」
「解決策は手の届くところに」
それでも、グテーレス事務総長は、迅速な気候変動対策で世界を瀬戸際から引き戻すことができると述べました。
さらに「私たちはまだ、今世紀末までに温暖化を1.5°C未満に戻すことができます。私たちはオーバーシュート(超過)をできる限り小幅かつ短期間にすることで、気温上昇の程度と、1.5°Cを上回る時間の長さを抑えなければなりません」と述べました。
そのためには、化石燃料の段階的廃止と再生可能エネルギー革命、メタン排出の大幅な削減、土地や森林、海洋の保護を通じた「野心のオーバーシュート」が必要だと事務総長は語ります。
それはまた、各国政府が気候変動対策の国家計画やネットゼロ・コミットメントを前倒しで実施しなければならないこと、そして、先進国が適応資金を3倍に増やし、これを最も大きなリスクにさらされた人々に確実に届けなければならないことも意味します。
グテーレス事務総長は「科学的根拠は明確です。解決策は手の届くところにあり、世界がその導入に向けた手段をこれほど整えていたこともありません。今こそ野心を高め、行動を加速させるべき時なのです」と述べました。
今回の報告書のポイント:
- 1.5°Cを超えた場合、気温が1℃に満たない、コンマ以下の単位でのわずかな気温上昇でも毎年、異常気象の激化や生態系の喪失、小島嶼開発途上国と低平沿岸都市の浸水をはじめとするリスクや影響のほか、人の健康や食料安全保障、水供給、自然、都市、インフラ、経済への深刻な被害が増大する。
- 気温上昇の規模が拡大し、その期間が長引くにつれ、巨大な氷床の不安定化やアマゾン雨林の劣化など、取り返しのつかない臨海点を越えるおそれは高まる。
- 自然由来の冷却などの施策を優先することで、緩和と適応をともに進めなければならない。
- ネットゼロは、温室効果ガスの排出を持続的に削減し、ネットネガティブを実現するための重要な節目となる。
- 成功のための条件としては、強い政治的意志とマルチラテラリズム(多国間主義)、効果的な政策、包摂的なガバナンス、資金の確保などが挙げられる。
- 気候変動に対してより大きな責任を負う国々は、最大の野心をもって最速の行動を起こすべきだ。

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原文(English)はこちらをご覧ください。


