若者の力とエネルギーが牽引する平和のためのムーブメント 国際平和デーを機に、アドボカシーと動員を図る1年間の国連キャンペーンが発足
2026年01月21日

国際平和デーを機に、アドボカシーと動員を図る1年間の国連キャンペーンが発足
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草の根の行動を世界的なインパクトへ ― 若者・平和・安全保障に関する国連の新しいキャンペーン「Hear Us. Act Now for a Peaceful World (私たちの声を聞いて。平和な世界のために今すぐ行動を)」では、若者の力を結集し、今日の深刻化するグローバル課題に対する緊急かつ見過ごされがちな解決策を明らかにしていきます。
分裂が進み、紛争や分断が広がり、制度への信頼が失われつつある世界の中で、若者が主導する対話や解決策の必要性は、かつてないほど高まっています。
メリッサ・フレミング グローバル・コミュニケーション担当国連事務次長は、国際平和デー(2025年9月21日)に行われたキャンペーンのローンチ・イベントで「私たちがよりよい世界を実現できる希望は、若者にある」と語っています。
ローンチ・イベントの一環として行われたキャンペーンの第1回「ピース・サークル」への参加者の中には、全世界から集まったユース・リーダーに加え、元アイルランド大統領でThe Eldersのメンバーでもあるメアリー・ロビンソン氏のほか、フェリペ・ポーリエ ユース担当国連事務次長補の姿もありました。

(左)国連本部に設置されたハッシュタグUNGA のイメージ
(中・右)キャンペーンのローンチ・イベントでスピーチするメリッサ・フレミング事務次長と参加者たち Credit: Jake Corcoran
平和を求める若者の声を結集
フレミング事務次長は次のように述べています。「世界中の若者にとって、平和は抽象的な概念ではありません。それは自分たちの今の生活と、来るべき将来の礎となるものです。このキャンペーンでは、若者主導の解決策を高めるとともに、日々平和の実現に向けて取り組んでいる若きリーダーたちの声に光を当てていきます」
キャンペーンの中心となり、若者の声の結集を図る「ピース・サークル」は、若者とその支援者によって世界各地で促進される包摂的な世代間対話、連携の構築、そして解決策の共有の場です。1年間のキャンペーン全体を通して、ピース・サークルでは、平和に関する行動志向の解決策や共創、同志間の交流、ストーリーテリングのための場が提供されます。
国連グローバル平和アドボケートのマリヤム・ブカール・ハッサン氏は、若者が単に出席するだけでなく、決定を主導する場を設けることの重要性について、「私たちは“招待”を“共創”へと変えなければなりません。そして公的機関には、若者主導のイニシアチブをしっかりと実行に移す責任を担ってもらわなければなりません」と語っています。
人権弁護士で国連人権高等弁務官ユース顧問でもあるマックス・ジェニン氏は、異なる政治的意見の橋渡しができる余地を作る方法について触れ、「皆さんが積極的に参加し、橋渡しをしようという意志と意欲を持って、話し合いのテーブルに着くことが非常に重要」だと述べました。
紛争予防から軍縮、平和構築、気候安全保障、ジェンダー平等に至るまで、ピース・サークルは全世界で、若者に導かれながら若者とともに、人間中心の解決策に投資し、より平和で公正かつ持続可能な未来を形作るための緊急の必要性に対応していきます。
タンザニアの若者アドボケートで、フェミニストリーダーでもあるナグラ・アッバス氏は、若い女性や女児のほか、LGBTQIA+の人々や先住民族の若者など、一定の若者を排除する固定観念や制度を克服する方法に触れ、「私たちが一体となるためには、連帯と尊重、愛情、そして平等が必要」だと語りました。

(左)ローンチ・イベントで発言するイシャーン・シャー氏
(中)マリヤム・ブカール・ハッサン氏(中央)
(右)メリッサ・フレミング事務次長(左端)
Credit: Jake Corcoran
平和は遠い理想ではなく、日々必要なもの
若者たちは、平和を遠い理想ではなく日々必要なこととして、率先して訴えています。世界人口の50%は30歳未満であり、彼らは平和を築き、仲介し、教え、維持し、普及し、ボランティア活動を行い、革新しています。若者たちは、私たちの共通の未来に最も深く関わる世代です。しかし、意思決定や解決策の形成の場から、あまりにも頻繁に排除されています。
フェリペ・ポーリエ事務次長補は「若者はいつも、紛争の最前線に立たされますが、密室の中で決定を下すのは若者ではありません。私たちは物事を変えてゆかねばなりませんが、そのためには若者のリーダーシップが必要なのです」と述べています。
現在、国会議員のうち30歳以下の議員が占める割合は、わずか2.8%です。2億6,000万人以上の若者が就業も就学も訓練受講もしておらず、そのうちの3分の2は女性です。調査では「信頼のギャップ」の深刻さが明らかになっており、若者は議論の場に招かれても、その声は一貫して無視されています。Hear Usキャンペーンは、そのパラダイムを変えるための直接的な取り組みです。
未来のための協定の目に見えるインパクトとして実現したこのキャンペーンは、国連グローバル・コミュニケーション局が主導し、若者たちが繰り返し求めてきた3つの重要な行動を推進します。それは、平和を構築するための包摂、投資、そして若者とのパートナーシップです。
メアリー・ロビンソン氏は「希望とはアクション。希望とは実行すること。そして希望とは、組み合わせ、協力し、物事を実現することです。私たちは連携して、私たちの活動の中心となるような、真の若者主導によるイニシアチブを具体化していく必要があります」と述べています。
今日の世代にとって、平和とは単に戦争がないことではありません。それは共感や正義、一致点を見出す勇気、つまり対話と傾聴を通じて築き上げられる具体的な現実です。平和はまた、教育の普及や貧困と飢餓への対策、そしてあらゆる人の人権と正義、尊厳の確保を通じ、人々の未来に投資し、豊かな生活を送る機会を与えることも意味します。
Peace Therapyの創設者で、2024年にナンセン難民賞ヨーロッパ地域賞を受賞したジン・ダボド氏は「私たちが内面を強くできなければ、周囲の人やコミュニティ、そして自分たちの国に、力や強さを与えることなどできない」と語っています。
第1回のピース・サークルでは、一般社団法人かたわらで代表理事を務めるとともに、軍縮アドボケートとして、広島と長崎の被爆者とも連携して活動する高橋悠太氏も発言しました。
「私たちは被爆者の証言を聞くことで、語り部となって世界を変えていけるようになります」世代間対話や、地域の高齢者とともに平和実現のための解決策を共同で作り上げていくことの重要性について質問された高橋氏は、こう答えています。
キャンペーン「Hear Us. Act Now for a Peaceful World (私たちの声を聞いて。平和な世界のために今すぐ行動を)」は、国連グローバル・コミュニケーション局が主導し、国連ユース・オフィス、国連政治・平和構築局および国連人口基金で構成される国連「若者・平和・安全保障」事務局とのパートナーシップの下、 国連システムと連携して展開されます。
1年にわたり公的なアドボカシーと動員を図るこのキャンペーンは、若者・平和・安全保障に関する国連安全保障理事会決議採択10周年を前に開始され、その成果は2026年に発表予定の、若者の平和への貢献に関する国連事務総長報告書に盛り込まれることになっています。

(左)メアリー・ロビンソン氏
(中)マックス・ジェニン氏(中央)
(右)グループショットに収まる第1回「ピース・サークル」参加者たち。左端が高橋悠太氏
Credit: Jake Corcoran
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原文(English)はこちらをご覧ください。


