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SDGsを合言葉に、仲間を増やして  ~ 今年も国連寄託図書館研修会をオンライン開催<前編>

 

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こんにちは、国連広報センターの千葉です。

2022年1月20日(木)、SDGs(持続可能な開発目標)を合言葉に、国連寄託図書館の年次研修会を開催し、国連広報センターから参加者の皆さんにSDGsをはじめ国連が取り組む優先課題について情報を提供するとともに、皆さんからそうした課題の啓発のための各館での実践事例を共有していただきました。

以下、この日の研修会について、ブログを綴らせていただきます。

<全国各地からの参加>

コロナ禍が続くなか、今年もオンライン開催とした研修会は、国連寄託図書館のネットワークと、それを中心にして国連広報センターとゆるやかにつながる図書館の皆さんから、あわせて44館(参加者数は72人)にご参加いただきました。

このゆるやかなネットワークは引き続き広がっており、昨年一年間で、北は青森県、南は宮崎県まで、全国各地から17の図書館がゆるやかにつながる図書館として加わっていただき、そのうち以下の12館が今年の研修会に参加されました。

― 墨田区立ひきふね図書館(東京)、豊島区立図書館(東京)、大正大学(東京)、墨田区立吾嬬第2中学校図書館(東京)、千葉大学附属図書館(千葉県)、千葉経済大学総合図書館(千葉県)、植草学園大学附属高校図書館(千葉県)、洲本図書館(兵庫県)、あかし市民図書館(兵庫県)、新富町図書館(宮崎県)、梼原町立図書館(高知県)、武雄市図書館(佐賀県)。

 

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(左上から時計回りで)
あかし市民図書館、梼原町立図書館、洲本図書館、新富町図書館、千葉大学附属図書館


これら12館を含め、研修に参加した図書館の皆さんと対面でお会いできないのは残念でしたが、オンライン形式で開いたからこそ、遠い地域からの参加館が増え、また各館から複数の職員の方々に参加していただくこともできました。まさにデジタルの強みです。

 

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オンライン研修会に参加した皆さん


午前10時から午後6時半まで、昼食休憩をはさんで、とても密なスケジュールでしたが、多くの皆さんに最初から最後まで参加していただきました。

研修は、まず午前の部で、国連広報センターからの講演・ブリーフィングと図書館の皆さんの活動報告が行われました。

<国連広報センターからの講演・ブリーフィング>

午前の部はまず冒頭、国連広報センターから、所長の根本かおるが参加者の皆さんを歓迎し、図書館の日頃の取り組みに感謝の言葉を述べました。ご挨拶の後、根本は講演し、グテーレス国連事務総長 の年頭メッセージをご紹介し、コロナ禍で引き続き大きな影響を受けている中で世界の連帯の必要性をあらためて強調するとともに、今年1年間を見据えた国連グローバルコミュニケーション局(DGC)の活動戦略に話を及ばせながらSDGsと国連をめぐる動向をご説明しました。

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グテーレス国連事務総長の年頭メッセージ

根本に続いて、国連広報センターの全職員からブリーフィングをご提供しました。まず広報官の佐藤が今年の広報重点分野や行事予定などについてくわしくご案内したあと、その他の職員もまた、メディアへのアプローチ、渉外対応、ソーシャルメディア、ウェブサイト、翻訳、印刷物、人事・財務など、それぞれの職域から図書館の活動に参考としていただけそうな弊センターの活動を網羅してご紹介しました。

国連広報センターからの講演・ブリーフィングについて、図書館の皆さんからは、後日、「そこから得た情報を図書館に戻ってからさっそく関係者に共有した」「今後の図書館活動に活かせるよう工夫したい」といった嬉しい声をお聞きしました。

<図書館からの活動報告>

毎年1月に行われる研修会は、図書館の実践共有のための年に一度の貴重な場でもあります。研修会に向けて、各館から提出された活動報告は事前に参加者の皆さんに共有していましたが、研修当日にも、参加したすべての図書館から、口頭報告をしていただきました。各館からの報告はリレー形式で、1つの図書館の代表者が報告を終えると、次の順番の館の名前を呼んで、発表をつないでいただきました。途中、学校図書館では授業終わりのチャイムが鳴ったり、公共図書館では業務関連の電話が入ったりしましたが、そうした現場ならではのさまざまな音が効果音となってライブ感を醸しだしました。

 

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それぞれの活動を報告する図書館の皆さん

図書館の皆さんから発表されたSDGsへの取り組みの事例報告は内容豊かでした。昨年に比べて、ウェブページの充実、SDGs関係図書のウェブ本棚、SNS発信などデジタルの取り組みにより一層力を入れようとしている様子がうかがえました。

 

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さまざまな図書館によるSDGsへの取り組み

それと同時に、今年はさまざまなパートナーと協力した取り組みの報告が多くありました。たとえば、次のような取り組みです。

広島市立中央図書館からは、一般社団法人広島青年会議所から本約280冊と本棚の寄贈を受けてSDGsコーナーを設置したこと。また、金沢市立泉野図書館からは、三菱広報委員会、公益財団法人日本ユネスコ協会連盟の協力を得たSDGsの17の目標に沿ったアジアの子どもたちの絵日記パネル展示を実施したこと。東北大学附属図書館からは、留学生スタッフ(大学院生)の協力を得たSDGs啓発図書展示。国立国会図書館からは、国連広報センター所長と国際子ども図書館長との対談やSDG Book Clubブックリストに掲載された絵本の作者(天童荒太氏、Oge Mora氏)へのインタビュー動画掲載。千代田区立日比谷図書文化館からは、障害者福祉センター、児童館、NPOミュージアム等と連携して海洋プラスチックごみ問題と地球環境、環境アートの世界へ誘う展示実施。豊島区立図書館からは、図書館敷地内のミニガーデン(野菜等を栽培)を利用し庁内環境関連部署と連携した生物多様性を学ぶ事業・展示。相模原市立図書館からは、相模原市SDGs推進室と相模原事務用品協同組合の協力によるSDGs読書感想画コンクールの開催。新富町図書館からは、小中学校のSDGs関連授業の図書支援の実施。長野県上田染谷丘高等学校図書館からは、上田市立上田図書館とのコラボ企画「SDGsえほん展」の実施。千葉市男女共同参画センター情報資料センターからは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所の協力による写真パネル展・図書展示の実施が共有されました。

公立中学校の図書館が初参加したことも今年の研修会を特徴づけたことの一つでした。参加したのは、墨田区立吾嬬第二中学校図書館。図書館長を兼任する駒田るみ子校長先生から、公共図書館からの司書派遣事業やSDGsを取り扱う授業への図書館支援などの実践が共有されました。

 

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SDGsを学ぶ中学生たち @墨田区立吾嬬第二中学校


図書館の活動報告の共有の時間について、皆さんから次のような感想をお聞きしました。

「それぞれの発表が大変刺激的で興味をかきたてられた」

「コロナ禍にもかかわらず広がったネットワークに目を見張った」

「館種を超えた集まりだからこその情報共有の可能性や広がりの重要性を感じた」

「オンラインだからこそ、幅広い皆さんの取り組みが聞けて良かった」

「各館の活動状況をお聞きしながら、頭の中にいろいろなプランが湧いてきた」

昨年に引き続き、参加者の皆さんの多くは、対面参加が叶わないことのマイナスよりも、デジタルだからこそ、距離や障害を超えて、日本各地の多くの館員たちが参加することができた、多忙な現場から参加する多くの人の臨場感あふれる報告を聞けた、と喜びを口にしておられました。

気が付くと、あっという間にお昼の時間を過ぎて、研修前半が終わりました。

昼食休憩をはさんで、研修後半が行われました。

研修後半のプログラムは館種の異なる二つの図書館へのオンライン訪問と、図書館同士の相互交流でした。

後編へと続く。