works logo絶滅危機種の保護に向けて


チャンドラを追え

チャンドラチャンドラが浜辺に下り、海に入っていく姿を、「沖の違法なトロール漁業者の魔の手を無事切り抜けて、安全なところまで行けますように」と願う人々の集団が砂浜で心配そうに見つめていました。

ところがチャンドラがベンガル湾に消えても、まだつながりはあるのです。この最も古くから地球にいる種の一つを何とか救おうと、甲羅に取り付けられた黒い箱からデータが送られてくるからなのです。

チャンドラの旅は、絶滅のおそれのあるヒメアカウミガメの保護のため、インドで行われているユニークな運動の一環です。研究者は、なぜこの種の亀が世界中何千キロ以上も回遊するのかを、衛星で追跡することで解き明かそうとしています。

オリッサの海岸はインドの東部の州にあって、世界最大のヒメアカウミガメの巣が見られる所です。ここには何万匹もの亀が巣を作りますが、保護活動に重要な移動パターンについてはあまり知られていないのです。

研究者の一団は、長距離移動に関することと、海でどのように餌を探しているのかを研究するため、巣作りをしたメスのチャンドラと、その他3匹に追跡装置を取り付けました。亀が水面に上がってくると通信機が気象衛星に信号を送ってくるという仕組みです。CLSフランスが運営するアルゴスという追跡サービスがデータをダウンロードし、亀の進路を追いかけているこのプロジェクトの研究者に伝えます。

衛星遠隔計の技術は、間もなくインドでアオウミガメ、オサガメ、タイマイの少なくとも3種類の亀の情報収集に役立てられることになります。

亀の一生は変わっていて複雑です。なかでもアカウミガメは最も長距離の産卵回遊を行い、なんと1万2000キロ以上も太平洋を移動するのです。オサガメは最も深いところまで潜る脊柱動物で、クラゲを探すのに1300メートルも潜ります。なぜ長距離の回遊をするのか、その仕組みはどうなっているのかといった疑問はいまだ謎に包まれています。

この調査プロジェクトには、インド野生生物協会・オリッサ森林部とデラドゥーンにおける野生生物支部と、インド環境森林省が参加しています。この活動は情報収集の強化と生物学上の協力、絶滅のおそれのある海洋生物の保護のため、インドの10の州で行われている幅広い努力の一環なのです。

国連開発計画(UNDP)が資金を負担し、米国野生生物部が亀を追跡する衛星遠隔計に関する専門知識を提供して、ベンガル湾とインド洋におけるこの活動は大きな前進を遂げることができました。

インド洋では、6種類の海ガメが絶滅の危機に瀕しています。原因は、肉や卵を狙った乱獲が行われていること、巣や餌場が破壊されていること、間違えて網にかかったりしていることなどが挙げられます。別の国連の専門機関である国連環境計画(UNEP)は、インド洋に生息する絶滅のおそれのある亀を保護するため、ボン条約(CMS)を採択しています。

地球上の生物多様性を守るための試みの一環として、国連環境計画(UNEP)は、世界でもっとも大規模な保護に関する条約の一つである、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(通称ワシントン条約 CITES)を施行しました。この条約は1973年に採択され、その2年後には国際法に認定されました。

現在までに、150ヶ国以上がこの条約を批准しています。そして3万5000種以上の野生動植物に対して、様々な保護を施すことができるようになりました。そのため、大敵になりかねない国際取引も影響を受けています。ワシントン条約は、チーターやトラ、大型猿人類、亀、猛禽類など、絶滅のおそれのある種の国際商取引を禁じています。また、同法はまだ絶滅の危機にはない種も保護しています。国際取引を厳しく取り締まらなかったら、絶滅してしまうかもしれないからです。

写真/国連

 

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