works logo絶滅危機種の保護に向けて


故郷を追われて

ゴリラゴリラは家で家族と1日を過ごすのが好きです。結びつきの緊密な5〜30頭の群れで暮らしていますが、群れを率いる「ボス」は大型のどっしりとしたオスです。オスは成熟すると背中にはっきりと灰色の模様が現れるため、シルバーバックと呼ばれています。

歩き回るにしても、ゴリラはめったに遠くまで行きません。新芽や果物などの食べ物を探している時でも、大体15平方マイル(43.5平方キロメートル)の範囲内に留まっていることが普通です。

ゴリラの唯一の天敵は人間です。人間の存在が、ゴリラに深刻な絶滅の危機をもたらしているのです。紛争や密猟、森林伐採などによって、ゴリラは故郷の地から追い出され、その結果、生存が難しくなります。

大きさ、体格、色などの微妙な違いにより、ゴリラはイースタンローランド・ゴリラ、ウェスタンローランド・ゴリラおよびマウンテンゴリラの3種に分かれます。いずれも西アフリカや中央アフリカの山地と熱帯雨林に生息しています。

これらの地域では、商業目的の森林伐採と農業の拡大により、ゴリラが住む森林が失われつつあります。結果として、生い茂る葉がなくなり身を隠せなくなったゴリラは、ハンターの罠に容易にかけられてしまうようになり、密猟に拍車がかかってしまいました。

暴力的で危険な存在として描かれることの多いゴリラですが、本当はやさしく、知的な生き物です。ゴリラが攻撃的な行動を取るのは、家族、特に赤ん坊が危険にさらされる時です。オスのシルバーバックは後ろ足で立ち、胸をたたいて歯をむき出します。自らを守ろうとするこの行動が、皮肉にも、密猟者からは狙いやすくなってしまうのです。

アフリカ大湖地域の情勢不安は、人間と同じくらいゴリラにも大きな被害をもたらしました。1990年代に起こったルワンダでの武力紛争により、多くの人々が故郷を離れ、ビルンガ国立公園に避難しました。難民たちは国立公園の木を薪にせざるを得ず、また自らが生き残るために、ゴリラを殺したのです。

4頭のオスを含めたゴリラの群れが殺されたこともあり、マウンテンゴリラの数は激減しました。国立公園は略奪によって荒され、社会の生産基盤や設備も破壊されました。1996年に難民はその地を離れましたが、相変わらずくすぶり続ける地域紛争や、武装集団の存在が、ゴリラ保護活動の足かせとなっています。

ルワンダでの悲劇的紛争が起こる前でさえ、ゴリラの数は減少していました。保護活動が1970年代に本格的に始まるまでに、300頭を切る生息地もありました。今日では、ゴリラを捕まえた現場で食べてしまい、痕跡をまったく残さない密猟者も多いため、実際にゴリラが何頭殺されているかを正確に知ることは難しくなっています。

ダイアン・フォシーが率いる「マウンテンゴリラ・プロジェクト」では、ルワンダにゴリラ・ツーリズムを導入し、ゴリラを守ることが経済的に利益となることを人々に教えました。公園の保護、観光開発、環境保護教育に重点を置くこのプログラムは大きな成果を上げ、ゴリラ・ツーリズムはルワンダで第3位の外貨獲得源となりました。密猟は減り、ゴリラの数は回復し始めています。

ゴリラ・ツーリズムは、ゴリラの窮状に対する意識を高めるのに一役買っている半面、問題もあります。ゴリラは皮膚病、はしか、腸内寄生虫など、人間の疾患にかかりやすい動物で、人間の近くで過ごす時間が長くなると、感染の危険性が高まるのです。

国連環境計画(UNEP)は「大型類人猿存続プロジェクト(GRASP)」を発足させました。これは環境保護団体と研究機関の共同プロジェクトで、ゴリラの減少に歯止めをかけるべく、政府、野生生物保護部局、学識者、非政府組織(NGO)、国連機関など各関係者の協力を促し支援することを目的としています。

地球とそこに住む動物の保護に向けた国際的努力の結果の一つに、国連環境計画(UNEP)が取り扱う「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES。通称:ワシントン条約)」がありますが、これは世界で最も広範囲を対象とする自然保護協定です。

ゴリラの肉(ブッシュミートと呼ばれる)の国内取引は、この条約の対象とはなっていませんが、違法行為と見なされます。ブッシュミートの国内・国際取引を検討する作業部会が設置され、すべての関係者が合意できる解決策を探っています。

今日、160カ国がこの条約を批准し、3万5,000種以上の動植物に様々な保護を約束しています。条約が1975年に発効して以来、保護対象となっている種で絶滅したものはありません。

写真提供:国連

 

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