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IMFを知るために − その資料/文書の解説

講師:宇都宮 敬子 (IMFアジア太平洋地域事務所・広報マネージャー)

関連資料:「〜IMFを知るために〜 資料と文書へのアクセスについて(PDF)」

本日はこのような機会を設けて頂きまして、皆様にIMF資料についてご紹介できますことをとても光栄に存じます。

私の仕事は、皆様からのご質問にお答えすること、メディアへの対応、セミナーなどイベントの企画・運営、本部との調整をしたりすることです。皆様からの様々なご質問に対しては、本部規約に沿いながら、出来る限り情報提供しお答えしています。本日のように、私どもの機関以外の方が企画されたイベントに、お声をかけていただいたことを非常に有難く思っております。

さて、IMFを知るための文書・資料のアクセスについてお話ししたいと思います。90年代中頃まで、IMFからの情報公開は、一般の方々に対してほとんど行われていませんでした。その後見直しがなされ、本部の広報部が拡張し、メディアや出版物、ウェブサイト等を通じ、又はセミナーや直接的なダイアローグを通じて、IMFに関する情報を積極的に発信するようになりました。

また、東京にありますアジア太平洋地域事務所にも97年の開設当時より広報官が置かれています。従来の閉鎖的なイメージを払拭し、IMFの活動を皆様に理解していただく一助となれればと思っております。

今日の発表は、3つの基本を柱に進めていきたいと思います。

まず、1番目に、宣伝をかねて、フラッグシップ(旗鑑)出版物や、お問い合わせの多い統計資料について。また、ほとんどの加盟国について網羅した様々な報告書、リサーチペーパーについて。2番目は、近年、力を入れているウェブサイトについて。それから、アーカイブについて。こちらは英語のみになりますので、こんなサービスがある、というご案内までになります。そして最後、3番目は、使用言語の拡大への取り組みについて、となります。

フラッグシップ(旗鑑)出版物の中でも最も力を入れているものが、「世界経済見通しーWorld Economic Outlook」です。WEO(ダブリュー・イー・オー、またはウィオ)と呼んでおります。IMFの組織に、地域局と並んで、機能局がありますが、その中の調査局が責任・編集をして、年に2回発行しています。もうひとつが、「国際金融安定性報告書−Global Financial Stability Report−」、GFSRと省略されます。こちらも年2回発行で、金融資本市場局が担当しています。近年、サブ・プライムの問題や、新興国・途上国の経済状況に関心が集まり、先に挙げたWEOと同様、注目度が高まっている報告書です。3つ目が、「地域経済見通し−Regional Economic Outlook Report―」です。REOとも表記されます。こちらは、機能局と並ぶ、地域局による出版で、5つの地域経済について、地域ごとに各1冊、全部で5冊あります。

初めに挙げた「世界経済見通しーWorld Economic Outlook」についてですが、こちらは、新聞・雑誌などで目にされている方も多いかと思います。世界経済についての分析や予想を、IMFスタッフである、世界の一流の大学や研究機関の経済学者と肩を並べるエコノミストが行っています。例えば、2008年版では、2008年と2009年の予想が中心ですが、2012年までの中期予想も掲載されています。発行は春と秋の年2回、通常は4月と9月になりますが、昨年は10月発行となりました。というのは、この「世界経済見通し」は、通常、春と秋に行われる国際通貨金融委員会に提出されるものでして、昨年はイスラム教の宗教行事のため委員会開催が遅れたため、発行も1ヶ月ほど遅れました。さらに、昨年から、年2回の発行では昨今の世界経済の急激な変化に間に合わないため、1月と7月の年2回、「アップデート」(改訂)を発行しています。こちらは、年2回の経済見通しの間のギャップを埋めるためのものです。

「世界経済見通し」の主要な目的は、世界経済の動向を、短期・中期予測を含めて分析することです。各国でのサーベイランスで出た情報などをもとに、世界経済に影響を及ぼすトピックをまとめてIMFの調査局が編纂し、出版しています。

「WEO」にはデータベースがあり、ウェブ上で閲覧していただけますので、ここでご案内します。まず、IMFのホームページを開きます。アドレスはhttp://www.imf.org/です。右側にHighlightsという柱があります。その中央にWorld Economic Outlookという見出しがあります。そちらをクリックしますと、1章から4章までの見出しが出ます。右上に翻訳版へのアクセスボタンがあります。日本語は要約のみになります。さらに、左上に「世界経済見通し」のデータベースへのアクセスボタンがあります。お問い合わせには、よくこちらを活用してお答えしています。そこをクリックしますと、国ごと、地域ごと、グループごとに、GDPやGDP成長率、インフレ率、失業率、経常収支などマクロ経済の代表的な指標の検索ができます。

例えば、中国で調べてみるとします。まず、By Country Groupをクリックして、Developing Asiaを選びます。右上のContinueをクリックしますと、Select Country という指示があります。全ての国にチェックマークが入っていますので、一度、Clear All をクリックしてから、Chinaにチェックマークをいれて、右上のContinueをクリックします。Select Subjectsという指示が出ましたら、必要な項目を選び、右上のContinueをクリックします。この項目は、国ごとに若干異なります。試しにドル建てのGDPとGDP成長率を選んでみましょう。項目を選んだら、つぎに、Select Data Rangeという指示があります。いつからいつまでのデータが必要かということです。今のところ検索できるのは1980年以降です。ここでは、2004年を選んでみますと、2004年から2008年までの中国のGDPの値がドル建てで、その成長率がパーセントで表示されます。今回は、中国のGDPと成長率という2項目を選びましたが、何カ国でも何項目でも選ぶことができます。そうしますと、中国とG7の国々との比較などができるわけです。その場合、相当量のデータが出てきます。これをエコノミストの方々は、html形式の画面のデータを一度Excelのデータに落としてから、ご自分のパソコンに保存し、ソートをかけるなどしてデータ分析をされています。

2冊目は「国際金融安定性報告書−Global Financial Stability Report−」です。GFSRと呼ぶものです。国際金融資本市場、特に、近年注目を浴びている新興市場国・地域の情勢を年に2回分析して発行しています。また、資本市場の安定に対するリスク分析も行います。「世界経済見通し」と同様に、通常1月と7月の年2回、「アップデート」(改訂)を発行しています。報告書はウェブサイトから全文をダウンロードできますし、ウェブ上のPDFファイルでご覧いただけます。アクセス方法をご案内します。「世界経済見通し」と同様、IMFウェブサイトの右側のHighlightsという柱の中央のWorld Economic Outlookの下に、Global Financial Stability Reportという見出しがありますので、そちらをクリックして下さい。日本語の要旨もございます。

3冊目は、「地域経済見通し−Regional Economic Outlook Report―」、頭文字でREOです。こちらは、5つの地域局である、アジア・太平洋地域、中東・中央アジア地域、サハラ以南アフリカ地域、西半球地域、そして、ヨーロッパ地域がそれぞれ発行しています。アフリカに関しては、北アフリカを中東局が扱い、アフリカ局が発行しているのはサハラ砂漠以南で、サブ・サハラと呼んでいます。発行は、「世界経済見通し」とは時期が異なることがありますので、発行月のご案内はしておりません。ウェブサイトでの閲覧ですが、ホームページの右上にPublicationというタブがあります。そちらを選ぶとRegional Economic Outlook Reportのページに移りますので、地域を選択して下さい。アジア・太平洋地域に関しては、日本語で要旨がご覧いただけます。余談ですが、東京事務所は韓国語、ラオ語、ベトナム語の要旨翻訳の調整役も務めています。

さて、これら3冊以外の出版物についてご案内します。お問い合わせの多いのが、「International Financial Statistics (IFS)」です。こちらは統計資料でして、ご活用いただきたく思います。それぞれの国によってIMFに加盟した時期が異なりますので、どの時点まで遡れるかは異なりますが、加盟が早かった国つきましては、1945年からのデータが収められています。ウェブサイト上からのアクセスについてですが、ホームページ右上のPublicationというタグをクリックしますと、International Financial Statistics (IFS) Online Serviceという見出しがあります。こちらから閲覧できますが、残念ながら有料です。ただし、5日間のトライアルでご使用いただけます。その他の場合は、東京のアジア・太平洋地域事務所までご連絡をいただくか、契約を結んでいる大学や研究機関にてご利用下さい。

IFSは加盟告別に、Exchange rates、International Liquidity、Monetary Authorities、Banking Institutions、Interest Rates、Balance of Payments、National Accounts等について100項目以上のデータが、国によっても違いますが、収録されています。CD-ROMやウェブサイトのデータベースでは、月別、四半期別、年次別のデータも選択できます。

IMFには、一流の大学や研究機関と肩を並べる、優秀なエコノミストが1000名以上おり、日々の調査・研究を報告書等にまとめて発表しています。

皆様が「こういった資料を探している」という場合、ウェブサイト上のサーチエンジンにて検索していただけます。ホームページの右上、Data and Statistics というタグを選びます。報告書や資料のタイトル、キーワード等を入力して、報告書の種類を選択します。報告書の種類には、Economic Issues、IMF Country Reports、Working Reports、Occasional Papersなどがあります。例えば、Country Reports を選んでみます。国を選択しますと、その国に関する様々なレポートが時系列で表示されます。話題になっているテーマに関する報告書や、サーベイランスのためにIMFのスタッフが各国を訪れ、当局と協議したすべてのやりとりについて公開した資料もあります。

Economic Issuesは、小さなパンフレットですが、無料で配布され、高校生や大学生にも読まれています。

これまでご紹介したもの以外にも、様々なデータや統計資料があります。例えば、「Government Financial Statistics(GFS)」では、加盟国のそれぞれの収入・税金・歳出などの項目について、IMFが報告を受けたデータをご覧になれます。国際収支に関しては、「Balance of Payments Statistics (BOP)」があります。他に、「Direction of Trade Statistics(DOTS)」では、ひとつの加盟国とそのほかの複数の加盟国との間の貿易額に関するデータを見ることができます。例えば、日本を例にしますと、日本とアメリカ、日本と中国、日本とメキシコ、といった2国間の輸出入に関するデータが得られます。

その他には、ホームページの真ん中あたりに、世界地図を表したIMF Data Mapperという見出しがあります。そちらをクリックしますと、世界地図を使用して、ビジュアルから世界の地域や国を選択でき、それに対応する「世界経済見通し(WEO)」データベースからの数値、例えばGDP、GDP成長率などが時系列に沿って折れ線グラフ等で表示されます。こちらは、数字やデータから入ることが苦手な方にもお勧めできます。

ウェブ上でのデータ入手が便利になりましたが、大学や研究機関の図書館や、個人の方々から印刷された出版物のご要望もいただきます。残念ながら、東京のアジア太平洋地域事務所では、出版物の販売ができないことになっています。お求めの場合は、直接、IMF本部へご注文していただくか、東京都千代田区神田にございます、極東書店様にてご注文・ご購入下さいますようお願い申し上げます。

ここまで、IMFの提供するデータ、資料、並びに出版物に関してご紹介してきましたが、IMFという組織やその歴史に関する記録文書を管理している、アーカイブスというサービスがあります。そこでは、IMFの記録文書へアクセスしていただけます。例えば、理事会関係文書は、機密文書以外は5年、10年、20年ルールという規則に従って公開しています。また、組織文書は20年を経て順次公開しています。アーカイブスには、専属スタッフが、検索、コピー、レファレンス、マイクロフィッシュ、といったサービスをお手伝いしています。英語のみの受付にはなりますが、どうぞ、IMF Archives まで、メールやお電話、ファックス等でお問い合わせ下さい。

最後の項目になりましたが、英語以外の言語への翻訳に関してご案内します。最近まで、IMFの使用言語は英語のみで、90パーセントが英語の資料でした。近年ようやく、フランス語とスペイン語も使われるようになってきたところです。実は、一昨年からIMF本部にこの件に関する委員会が置かれ、英語・フランス語・スペイン語以外にどの言語に力を入れて行くべきかが話し合われました。その結果、まずは、ロシア語・アラビア語・中国語・ドイツ語・日本語について、取り組むことになったのです。

IMFホームページの右上、「日本語」というタグをクリックしますと、日本語のサイトに移動します。翻訳に時間とコストがかかることもあり、英語サイトそのままの翻訳には至っておりませんが、日本にも影響が大きなトピックについてはなるべく多くの文書を翻訳して掲載しようと努力しているところです。

また、アジア太平洋地域事務所のホームページでは、当事務所でのイベントや、当事務所で管理している奨学金事業の情報等をご紹介しております。国際通貨基金アジア太平洋地域事務所の活動としては、ひとつは、地域の経済・金融動向のモニタリング、ふたつ目は、地域統合・地域協力の進展状況や課題の分析、さらに、広報活動、アジア太平洋地域におけるIMF本部活動の支援、キャパシティ・ビルディングの一環として、アジア諸国の財務省・中央銀行の若手官僚に日本やオーストラリアでマクロ経済学の修士号を取得してもらうための奨学金事業の管理といった業務に携わっています。

ご清聴有難うございました。

 







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