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安全保障理事会決議 1609

2005年06月24日

2005年6月24日、安全保障理事会第5213回会合で採択

安全保障理事会は、
コートジボワール情勢に関する従前の安全保障理事会決議および安全保障理事会議長声明を想起し、

リベリア情勢に関する2004年9月17日の決議1561(2004)およびシエラレオネ情勢に関する2004年9月17日の決議1562(2004)をも想起し、

コートジボワールの主権、独立、領土保全および一体性に対する強い決意を再確認し、および、善隣、不干渉ならびに地域協力の原則の重要性を想起し、

2003年1月24日にコートジボワールの政治諸勢力がリナ・マルクーシで署名し、2003年1月25および26日にパリで開催されたコートジボワールに関する首脳会議で承認された合意(S/2003/99)(リナ・マルクーシ合意)、2004年7月30日にアクラで署名された合意(アクラIII合意)、ならびに、2005年4月6日にプレトリアで署名された合意(プレトリア合意)に支持を表明したことを想起し、

2005年6月17日の事務総長報告書(S/2005/398およびS/2005/398/add.1)、ならびに、国際連合シエラレオネ・ミッション(UNAMSIL)、国際連合リベリア・ミッション(UNMIL)および国際連合コートジボワール活動(UNOCI)によるミッション間の相互協力および越境作戦の可能性に関する、2005年3月2日の事務総長報告書(S/2005/135)に留意し、

特に同国西部において劇的な事件が発生した後、治安および人道状況の悪化が続いていることに重大な懸念を表明し、

コートジボワール情勢は引き続き、地域における国際の平和と安全に対する脅威であると決定し、

国際連合憲章第7章にもとづいて行動し、

  1. UNOCIとそれを支援するフランス軍の職務権限を、今回に限り7カ月間延長し、2006年1月24日までとすると決定する。
  2. UNOCIは本決議の採択日から、下記の職務権限を担うものと決定する。
    戦闘行為の停止および武装集団の動向の監視
    (a) 2005年4月6日の戦争終結共同宣言および2003年5月3日の包括的停戦合意の履行を観察し、かつ、監視し、その能力および展開区域の範囲内で、特に緩衝地帯内での戦闘行為を予防するとともに、停戦違反を調査すること。
    (b) フランス軍との調整により、コートジボワールのすべての関係勢力間における信頼回復を促進するため、コートジボワール国軍(FANCI)および新勢力軍事部門の連絡を図ること。
    (c)

    リベリア難民の状況、および、戦闘員の何らかの越境移動に特に注意を払いつつ、国民和解政府による国境監視を支援すること。

    武装解除、動員解除、社会復帰、帰還および再定住

    (d) 国民和解政府によるコートジボワール全関係勢力の再編制を支援するとともに、その武装解除地、宿営地および動員解除地の治安確保に支援すること。
    (e) 女性と子どもの特殊なニーズに特に注意を払いつつ、国民和解政府による全国的な戦闘員の武装解除・動員解除・社会復帰プログラムの実施を支援すること。
    (f) 女性と子どもの特殊なニーズに特に注意を払いつつ、国民和解政府による取り組みを支援するために、また、関係政府、関連国際金融機関、国際開発機関および援助諸国との協力により、外国人の除隊兵士を対象とした、自発的な本国帰還・再定住プログラムの実施において、シエラレオネおよびリベリアの国際連合ミッションとの緊密な調整を図ること。
    (g) 第 (e) および (f)項 に述べられたプログラムにおいて、調整のとれた地域的アプローチの必要性が考慮されるようにすること。
    (h) 除隊兵士から兵器、弾薬またはその他何らかの軍事物資が引き渡された場合、これを安全な場所に保管するか、使用不能にするか、または廃棄すること。
    民兵組織の武装解除と解体
    (i) プレトリア合意第4条に規定された、民兵組織の武装解除と解体のための共同作戦計画の策定および実施監視について、国民和解政府首相を援助すること。
    (j) 民兵組織から引き渡されたすべての武器、兵器およびその他の軍事物資を安全な場所に保管するか、使用不能にするか、または廃棄すること。
    国際連合要員、諸機構および民間人の保護
    (k) その能力および展開区域の範囲内で、国際連合の要員、設備および機材を保護し、国際連合要員の安全と移動の自由を確保するとともに、国民和解政府の責任について予断を与えることなく、差し迫った身体的暴力の脅威にさらされている民間人を保護すること。
    (l) コートジボワールおよび南アフリカの当局と調整を取りつつ、国民和解政府関係者の安全確保を支援すること。
    武器禁輸措置の監視
    (m) 決議1584(2005)により設置された専門家グループと連携し、また適当な場合には、国際連合リベリア・ミッション(UNMIL)、国際連合シエラレオネ・ミッション(UNAMSIL)および関係諸政府とも連携し、必要と判断した場合には通告なしに、コートジボワールの港湾、空港、飛行場、軍用基地および国境検問所を通過するあらゆる航空貨物および何らかの輸送車両の貨物の検査などにより、決議第1572(2004)第7項により課された措置の実施を監視すること。
    (n) 決議1572(2004)第7項により課された措置に違反してコートジボワールに持ち込まれた武器および何らかの関連物資を適宜回収し、かかる武器および関連物資を適宜処分すること。
    人道援助への支援
    (o) とりわけ、必要とされる治安条件を確立するよう援助し、また、女性、子どもおよび高齢者をはじめとする社会的弱者の特別なニーズを考慮に入れることにより、人、物および人道援助の自由な流れを促進すること。
    国家行政回復への支援
    (p) アフリカ連合、ECOWASおよびその他国際的なパートナーの援助を受け、国民和解政府が、コートジボワールの社会・経済復興に不可欠な国土全域に対する権力を回復する際の便宜を図ること。
    公開、自由、公正かつ透明な選挙実施への支援
    (q) アフリカ連合、ECOWASおよびその他国際的なパートナーの援助を受け、国民和解政府が、コートジボワールの社会・経済復興に不可欠な国土全域に対する権力を回復する際の便宜を図ること。
    公開、自由、公正かつ透明な選挙実施への支援
    (r) 適宜、2005年6月3日の決議1603(2005)の第7項に言及された上級代表に対し、技術的な情報、助言および援助を提供すること。
    (s) その能力および展開区域の範囲内で、投票が実施される区域の治安確保に貢献すること。
    人権分野における援助
    (t)

    子どもと女性に対する暴力に特に注意しつつ、コートジボワールにおける人権の促進および保護に貢献し、不処罰に終止符を打つことを念頭に置いた人権侵害の調査を監視し、および支援し、決議1572(2004)によって設立された安全保障理事会委員会に対し、これに関連する状況を定期的に通報すること。

    広報

    (u) ラジオ放送を含むUNOCIの広報能力を通じ、和平プロセスおよび同ミッションの役割について、地域社会や当事者の理解を促進すること。
    (v)

    特にメディアが憎悪、不寛容および暴力をあおる事件があった場合、コートジボワールのマスメディア監視を行うとともに、決議1572(2004)によって設立された安全保障理事会委員会に対し、これに関連する状況を定期的に通報すること。

    法と秩序

    (w) アフリカ連合、ECOWASおよびその他国際機関との連携により、国民和解政府がコートジボワール全土で文民警察の活動を回復するための援助を行い、国内の治安サービス再編について国民和解政府に助言を提供するとともに、コートジボワールの当事者に対し、プレトリア合意第6項に定めるところに従い、国内北部における一時的かつ暫定的な治安対策実施の援助を行うこと。
    (x) アフリカ連合、ECOWASおよびその他国際機関との連携により、国民和解政府がコートジボワール全土に司法権力および法の支配を再び確立するための援助を行うこと。
  3. 上記第1項に定める期間について、UNOCI軍事要員の850人までの増員、および、3つの正規警察部隊を含め、725人を上限とする文民警察要員の増員のほか、必要な文民要員の増員をも承認する。
  4. 事務総長に対し、国際連合シエラレオネ・ミッション(UNAMSIL)、国際連合リベリア・ミッション(UNMIL)および国際連合コートジボワール活動によるミッション間の協力および越境作戦の可能性に関する同人の2005年3月2日付報告書(S/2005/135)第19から23項、および、第76項 (b)から(e)で想定された措置を適宜実施するため、兵力提供諸国、および、該当する場合には関係国諸政府の同意を条件としつつ、また、これら国際連合各ミッションの職務権限遂行を損なうことなく、あらゆる必要な措置を講じる権限を与える。
  5. 事務総長に対し、UNMIL、UNAMSILおよびUNOCIに軍事・文民警察要員を提供する諸国から、適宜、これら諸ミッションの現行職務権限の実効的遂行を確保する必要性を考慮しつつ、3つのミッションうち他のいずれかを補強するため、必要に応じて一時的に、かかる要員の配置換えを行う旨の同意を取り付けるよう要請する。
  6. 兵力提供諸国、および、該当する場合には関係国諸政府の同意を含め、上記第4および5項に言及された必要な事前措置に服しつつ、所定のミッションについて承認された定員枠では対処できない課題に取り組むため、下記の条件に服しつつ、UNAMIL、UNAMSILおよびUNOCIの間で、軍事・文民要員を一時的に配置換えすることを承認する。
    (a) 事務総長は、上記の補強を実施するためには、安全保障理事会による相応の決定が必要であるとの理解に基づきつつ、目的と期間を含む、かかる配置換えを行う意思を事前に安全保障理事会に伝えるものとする。
    (b) 部隊の配置換えが行われた場合でも、該当する人員は本来のミッションにおける軍事・文民要員の定員枠内で数えられるものとし、転換先ミッションの定員枠内には入れられないものとする。
    (c) かかる配置転換があった場合でも、安全保障理事会がUNOCI、UNAMSILおよびUNMILのそれぞれの職務権限において決定した、これら3件のミッションで展開すべき軍事・文民要員の定員枠は、総計で増員とはならないものとする。
    (d) かかる配置転換があった場合でも、安全保障理事会が別の決定をしない限り、本来のミッションの職務権限により展開される要員の展開期間を延長する効果は生じないものとする。
  7. 来るべき総選挙後のコートジボワール情勢に照らし、また、残存する任務に基づき、適宜、2005年12月31日までに、文民警察要員を含むUNOCIの兵力規模の見直しを一層の縮小を念頭に置きつつ行うことを決定する。
  8. UNOCIに対し、その能力および展開区域の範囲内で、その職務権限遂行に必要なあらゆる手段を用いる権限を与える。
  9. UNOCIに対し、共有の国境を越える武器および戦闘員の移動防止、および、武装解除・動員解除の実施をはじめ、その職務権限をシエラレオネおよびリベリアの国際連合ミッションとの緊密な連絡のもとに遂行するよう要請する。
  10. 平和維持活動および紛争後の平和構築におけるジェンダーの観点の主流化、ならびに、これに関する適切な専門知識の重要性を強調するとともに、UNOCIに対し、この問題に積極的に取り組むよう促す。
  11. 性的搾取・虐待を容赦なく取り締まるという事務総長のゼロ・トレランス政策を実施し、その要員による国際連合行動規範の完全な遵守を確保するため、UNOCIによってなされた努力を歓迎し、事務総長に対し引き続き、この関連で必要なあらゆる策を講じ、安全保障理事会に情報を提供し続けることを要請し、兵力提供諸国に対して、展開前の啓発教育の実施を含む適切な事前予防策を講じ、自国の要員がかかる行為に関係した場合には、適切な調査および処罰を確保するため、懲戒処分およびその他の処分をとることを促す。
  12. UNOCIとフランス当局の間で成立した合意に従い、フランス軍に対し、本決議の採択日付から、下記をはじめとして、UNOCI支援のために必要なあらゆる手段を講じる権限を与える。
    国際部隊活動区域の一般的治安確保に貢献すること。
    UNOCIからの要請に応じ、安全が脅かされるおそれのある要素を支援するために介入すること。
    UNOCIとの協議に基づき、治安状況から見て必要であれば、UNOCIの展開区域外での交戦行為に介入すること。
    その部隊の展開区域において、民間人の保護を助けること。
    決議1584(2005)第2および3項に従って、決議1572(2004)により導入された武器禁輸措置の監視に貢献すること。
  13. この問題に引き続き積極的に取り組むことを決定する。

S/RES/1609(2005)