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安全保障理事会決議 1617

2005年07月29日

2005年7月29日、安全保障理事会第5244回会合で採択

安全保障理事会は、
1999年10月15日の決議1267(1999)、2000年12月19日の決議1333(2000)、2001年7月30日の決議1363(2001)、2001年9月28日の決議1373(2001)、2002年1月16日の決議1390(2002)、2002年12月20日の決議1452(2002)、2003年1月17日の決議1455(2003)、2004年1月30日の決議1526(2004)、2004年10月8日の決議1566(2004)および関連の安保理議長諸声明を想起し、

あらゆる形態および発現方法によるテロも、平和と安全に対する最も深刻な脅威の一つを形成し、いかなる動機で、いつ、誰が実行しようとも、テロ行為はいずれも犯罪であり正当化しえないことを再確認するとともに、アルカイダ、ウサマ・ビンラディンおよびタリバン、ならびに、これらと関係を有する個人、グループ、企業および組織が、無実の民間人およびその他の犠牲者を殺害し、財産を破壊し、安定を根底から揺るがすことを狙いとして、犯罪的テロ行為を繰り返し続けていることに対し、断固とした非難を改めて表明し、

アルカイダ、ウサマ・ビンラディンおよびタリバン、ならびに、これらと関係を有する者が、テロ宣伝やテロ暴力の扇動などを目的として、インターネットを含む多様なメディアを利用していることに懸念を表明するとともに、決議1566(2004)により設置された作業部会に対し、これら問題を検討するよう促し、

国際連合憲章と国際法に従い、あらゆる手段により、テロ行為により生じた国際の平和と安全に対する脅威と闘う必要性を再確認するとともに、これとの関連において、かかる取り組みを主導、調整してゆく上で国際連合が果たす重要な役割を強調し、

タリバンまたはアルカイダ、ならびに、アルカイダ、ウサマ・ビンラディンまたはタリバンと関係を有し、テロ活動またはテロ行為の資金調達、計画、助長、人員勧誘、準備、実行またはその他の支援に参加したあらゆる個人、グループ、企業または組織に関するものを含め、決議1373(2001)を完全に実施するとともに、関連する安全保障理事会決議に従い、テロ対策義務の履行を促進するという、全加盟国に課された義務を強調し、

特に分析支援・制裁監視チーム(以下「監視チーム」とする)により報告されたように、アルカイダの性質および脅威の変化に関する情報に鑑み、どの個人、グループ、企業および組織をリストに記載すべきかを明確にすることの重要性を強調し、

テロ活動との闘いにおける有意義な予防措置として、関連決議に応じた加盟国による対象指定、および、現行措置の厳密な実施の重要性を強調し、

決議1267 (1999)第4項 (b)、決議1333 (2000)第8項 (c)、ならびに、決議1390 (2002)第1および2項にある措置を発効させる際には、決議1452 (2002)第1および2項の規定を十分に考慮すべきであることに留意し、

テロリストおよびその関係者に渡航文書を利用させないようにするための国際民間航空機関による取り組みを歓迎し、

加盟国に対し、インターポールの枠組みにおいて、特にインターポールの盗難・紛失渡航書類データベースを通し、アルカイダ、ウサマ・ビンラディンおよびタリバン、ならびにこれらの関係者に対する措置の実施を強化するよう奨励し、

アルカイダ、ウサマ・ビンラディンまたはタリバン、およびその関係者が、携帯式地対空防衛システム(MANPADS)、市販の爆発物、および化学、生物、放射線または核兵器、物質を使用する可能性に対して懸念を表明するとともに、加盟国に対し、このような脅威を減らすために可能な策を考慮するよう奨励し、

すべての国々、国際的な組織および地域的機関に対し、アルカイダ、ウサマ・ビンラディンおよびタリバン、ならびに、これらと関係を有する個人、グループ、企業および組織が提起する継続的かつ直接的脅威に対処するため、国際的パートナーシップを通じたものを含め、十分な資源を配分するよう促し、

アルカイダ、ウサマ・ビンラディンおよびタリバン、ならびに、これらと関係を有する個人、グループ、企業および組織が国際の平和と安全に対して提起する継続的脅威に対処することの重要性を強調し、

国際連合憲章第7章にもとづいて行動して、

  1. すべての国々は、アルカイダ、ウサマ・ビンラディンおよびタリバン、ならびに、決議1267(1999)および決議第1333(2000)により作成されたリスト(以下「統合リスト」)で言及されている、これらと関係を有する個人、グループ、企業および組織に関し、決議1267(1999)第4項 (b)、決議1333(2000) 第8項(c)、ならびに、決議1390(2002)第1および2項ですでに課された措置を講じねばならないことを決定する。
    (a) これら個人、グループ、企業および組織の資金およびその他の金融資産または経済資源を、これらの者、もしくは、これらの者に代わり、または、その指示により行動する者により直接または間接に所有または支配される財産から生ずる資産を含め、遅滞なく凍結するとともに、これらの資金、もしくは、その他何らかの資金、金融資産または経済資産が、かかる者の利益となるような形で直接にも間接にも、自国民または自国領内にいるいかなる人物によっても提供されることのないよう確保する。
    (b) 本項のいかなる文言も、いずれかの国に対して、自国民の入国を拒否したり、その出国を求めたりすることを義務づけるものではなく、また、司法手続の履行のために入国または通過が必要である場合、もしくは決議1267(1999)によって設置された委員会(以下「委員会」)がケースバイケースにより、入国または通過が正当であると判定した場合、本項は適用しないとの条件で、これらの人物の入国もしくは自国領域内の通過を防止する。
    (c) これら個人、グループ、企業および組織に対する、直接もしくは間接的な、自国領域からの、または、自国領域外の自国民による、あるいは自国籍の船舶または航空機を用いての、武器、および、兵器と弾薬、軍用車両と装備、準軍用装備ならびにそれらの補充部品を含むあらゆる種類の関連物資、さらに、軍事活動に関する専門的助言、援助または訓練の提供、売却あるいは移転を防止する。
  2. さらに、ある個人、グループ、企業または組織が、アルカイダ、ウサマ・ビンラディンまたはタリバンと「関係を有する」ことを示す行為あるいは活動には、
    アルカイダ、ウサマ・ビンラディンまたはタリバン、もしくは、それらの何らかの末端組織、系列組織、分派集団またはそれらの模倣集団

    による、それらとの連携による、それらの名における、それらに代わる、または、それらを支援する行為または行動の資金提供、計画、幇助、準備または実行への参加。
    に対する武器および関連物資の提供、売却または移転。
    のための勧誘。
    の行為または活動に対するその他の支援。
  3. さらに、アルカイダ、ウサマ・ビンラディンまたはタリバンと関係を有する個人、グループ、企業または組織により直接または間接に所有または支配されるか、あるいはそれらを支援しているあらゆる企業または組織は、指定対象に該当することを決定する。
  4. 統合リストへの具体名の掲載を提案する際に、国家は決議1526(2004)第17項に従いつつ、今後は提案の根拠を述べる声明書をも委員会に提出しなければならないことを決定するとともに、さらに各国に対し、掲載提案対象者が直接または間接に所有あるいは支配する企業や組織があれば、これを特定するよう奨励する。
  5. 可能な限り、かつできれば書面で、統合リストに掲載された個人および組織に対し、それらに課された措置、委員会指針、ならびに、特にリストへの掲載と削除の手続、および決議1452(2002)の規定を通知するよう、関係国に要請する。
  6. 委員会は、自国民、居住者または自国の組織が統合リストへの掲載対象となった加盟国からの照会に応じる際、上記第4項に言う掲載提案国から提出された声明書を利用できることを決定し、また、委員会がケースバイケースで、例えば活動上の理由により、または、措置の実施を支援する目的で、掲載提案国の事前の同意を得た上で、声明書の情報を他の当事者に伝える決定を下せることも決定するとともに、さらに各国は、提供国から情報開示の同意が得られない限り、委員会が極秘に保存しなければならない追加的な情報の提供を継続することができることも決定する。
  7. 全加盟国に対し、金融活動作業部会(FATF)の「資金洗浄に関する40の勧告」と「テロ資金に関するFATFの9の特別勧告」に体現される包括的国際基準を実施に移すよう強く促す。
  8. 事務総長に対し、委員会がその任務をより効果的に遂行できるよう、よりよい手段を提供し、また、加盟国が上記第1項に言う措置を実施できるよう、よりよい手段を提供するために、国際連合とインターポールの協力の拡大に向け、必要な措置をとるよう要請する。
  9. 全加盟国に対し、上記第1項で求められた措置の実施にあたり、盗難または紛失パスポートおよびその他の渡航文書が早期に無効とされていることを確認し、インターポールのデータベースを通じ、これら文書に関する情報を他の加盟国と共有するよう促す。
  10. 全加盟国に対し、今後統合リストに追加される個人および組織に関し、上記第1項で示された措置を実施するために講じた具体策について、2006年3月1日までに、またその後は委員会が決定する間隔で、委員会に報告するために、本決議付属書2にあるチェックリストを利用するよう求める。
  11. 委員会に対し、統合リストへの掲載を目的に、具体名および追加的識別情報の提出を加盟国に奨励するよう指示する。
  12. 委員会に対し、決議1373により設置された委員会(以下「テロ対策委員会」または「CTC」とする)と協力し、上記第1項で示された措置を実施するために加盟国が講じうる具体的な追加措置につき、安保理に情報を提供するよう求める。
  13. 委員会、CTCおよび決議1540(2004)により設置された委員会、ならびに、それぞれの専門家グループの間で、情報共有の促進、各国訪問の調整、技術支援、および3委員会すべてに関係するその他の問題を含め、緊密な協力と情報交換を続ける必要性を繰り返し表明する。
  14. さらに、加盟国との口頭および/または書面での連絡を通じ、委員会に制裁措置の効果的な実施に関するフォローアップを行わせること、および、委員会の要請により、関連する問題についてさらに詳細な議論を行うため、委員会に代表を派遣する機会を加盟国に与えることの重要性も繰り返し表明する。
  15. 委員会に対し、本決議、決議1267(1999)、決議1333(2000)、決議1390(2002)、決議1455(2003)および決議1526(2004)の全面遵守を加盟国に促すことを念頭に、上記第1項に言う措置の全面的かつ効果的実施を強化するために、時と場合に応じて適宜、委員長および/または委員による関係国訪問を検討するよう要請する。
  16. 委員会に対し、少なくとも120日に1回、委員会と監視チームの作業全般に関し、委員長を通じて口頭で、安保理に、また適宜、すべての関係加盟国に対するブリーフィングを含め、CTC委員長および決議1540(2001)により設置された委員会による報告と関連づけて、報告を行うよう要請する。
  17. 委員会に対し、決議1455(2003)第14項および決議1526(2004)第13項に示された責任がある旨、再度確認するとともに、委員会に対し、2006年7月31日までに、上記第1項で述べられた措置を実施するために加盟国が講じた策に関し、決議1526(2004)第13項に言う評価報告書の最新版を安保理に提出するよう求める。
  18. 委員会が、リストへの掲載と削除の手続に関するものを含む委員会指針、および、決議1452(2002)の実施に関する作業を継続することを要請するとともに、委員長に対し、上記第16項による安保理への定期報告において、これら問題に関する委員会の作業進捗状況に関する報告書を提出するよう要請する。
  19. 委員会の任務達成を支援するために、委員会の指揮下で、付属書1に示された責任を有する、ニューヨークに本部を置く監視チームの職務権限を17カ月間延長することを決定する。
  20. 事務総長に対し、本決議の採択を受け、また、委員会との密接な協議により、国際連合の規則および手続に則り、決議1526(2004)第7項に言う専門分野を考慮に入れながら、コーディネーターを含む8名以内の監視チーム・メンバーを任命するよう要請する。
  21. 上記第1項に述べる措置を、さらなる強化を念頭に置きつつ、17カ月後、または、必要であればより早期に再検討することを決定する。
  22. この問題に引き続き積極的に取り組むことを決定する。

S/RES/1617 (2005)