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安全保障理事会決議 1756

2007年05月15日

2007年5月15日、安全保障理事会第5674回会合で採択

安全保障理事会は、

コンゴ民主共和国に関する安保理諸決議および安保理議長諸声明を想起し、

コンゴ民主共和国の主権、領土保全および政治的独立を尊重する安保理の取り組みを再確認し、

2002年12月17日にプレトリアで署名された、移行に関するグローバルおよび全包括的合意のプロセス、ならびにこのプロセスの成果を意味する選挙に対する、とりわけ国際連合コンゴ民主共和国ミッション(MONUC)を通じての、安全保障理事会が提供する支援を想起し、また移行後の期間において、コンゴ民主共和国における和平と安定の強化に貢献し続ける安保理の取り組みを再確認し、

その領土内における安全を確保し、また法の支配、人権および国際人道法を尊重しつつ文民を保護することへのコンゴ民主共和国政府の主要な責任を強調し、

バ・コンゴ州において2007年1月下旬および2月上旬に、またキンシャサにおいて3月22日から25日に発生した暴力行為と人命の損失を再び憂慮し、コンゴ当局およびMONUCに対してこれら出来事の必要な調査を継続し完了することを奨励し、紛争を解決するための、対話の代わりとしての、暴力の使用を遺憾とし、またすべてのコンゴの利害関係者に対して、憲法上の枠組および法を尊重し、相異について交渉による解決を遂行するように促し、

コンゴ民主共和国に対して提供された援助について、国際社会に対する感謝の意を表し、その援助の維持を奨励し、またコンゴ当局との定期的な政治対話の継続への取り組みを強調し、

コンゴ民主共和国における、より長期的な平和と安定の回復、国民的和解、法の支配の確立の試金石としての、来る地方選挙を含む選挙の重要性を想起し、

緊急に治安部門改革を実行する重要性および、コンゴ民主共和国の長期的な安定のためのコンゴおよび外国の武装勢力の武装解除、動員解除、再定住または再帰還、また適宜、再統合の重要性、ならびに現地におけるこの分野での国際的なパートナーによる貢献をも想起し、

全地域の不安定な風潮をもたらす、コンゴ民主共和国東部、とりわけイトゥリ地域および南北キブにおける武装勢力と民兵の存在に対して深刻な懸念を繰り返し表明し、

とりわけ民兵および武装勢力ならびにコンゴ民主共和国の武装軍(FARDC)、コンゴ国家警察(PNC)およびその他の治安および情報機関の部隊による、コンゴ民主共和国における人権および国際人道法の違反の継続を再び憂慮し、またこれら犯罪行為に責任を有する者を法の裁きにかける緊急の必要性を強調し、

武力紛争における子どもに関する安保理決議1612(2005)およびコンゴ民主共和国の武力紛争における当事者に関連する、子どもおよび武力紛争に関する安全保障理事会作業部会のその後の結論(S/2006/724)を想起し、

コンゴ民主共和国に蔓延する深刻な人道上の状況に着目し、またこれに関して援助を提供し続けることを加盟国に対して求め、

政府の計画の採択、とりわけそれに含まれるガバナンスの契約に満足しつつ留意し、当該政府に対して同契約の完全な履行を確保することを求め、またDRCへの支援への共通の戦略アプローチとして、また2007-2010年DRC貧困削減戦略報告書に記されている優先順位を履行するメカニズムとしての国家援助枠組プロセスを歓迎し、

コンゴ民主共和国内においておよび国内への継続した武器の違法流入を非難し、決議1493(2003)によって課され、決議1596(2005)によって拡大された武器禁輸の履行を密接厳重に監視すること、および決議1596(2005)の第13項および第15項、決議1649(2005)の第2項および決議1698(2006)の第13項において規定された措置を実行し続ける安保理の決意を宣言し、

天然資源の違法な開発、そのような資源の違法な貿易と武器の拡散および売買とのつながりが、アフリカの大湖地域において、とりわけコンゴ民主共和国において紛争を煽り、悪化させる一要因であることを確認し、全ての国家に対して、特に当該地域の国家に対して、そのような違法な活動を終了するための適切な措置を講じることを促し、

2006年12月15日の、ナイロビにおける、大湖地域における安全、安定および開発協定の署名、2007年2月26日から28日まで、キンシャサで開催された大湖地域の議員の第一回会合、および大湖地域国家の経済共同体(CEPGL)の活動の再開を歓迎し、

2007年3月20日付MONUCに関する事務総長第23報告書(S/2007/156)およびその勧告を留意し、

コンゴ民主共和国の状況が、同地域における国際の平和と安全に対する脅威を引き起こし続けることを留意し、

国際連合憲章第7章にもとづいて行動して、

  1. MONUCの展開を2007年12月31日まで延長することを決定し、また同日まで、17,030名の軍事要員、760名の軍事監視員、391名の警察訓練者、および750名の警察組織部隊の要員数を継続する権限を与える。
  2. MONUCが、その能力の範囲および展開地区内において、国内において安定した治安環境を確立する上で、コンゴ民主共和国政府を支援する職務権限を有し、またその目的のために、

    民間人、人道要員、および国際連合要員および施設の保護

    (a)身体的暴力の差し迫った脅威の下、人道要員を含む、民間人の保護を確保すること、

    (b)人道援助が提供される治安状況の改善に貢献し、難民および国内避難民の自発的帰還を支援すること、

    (c)国際連合要員、施設、設備、および機材の保護を確保すること、

    (d)国際連合および関連要員の安全および移動の自由を確保すること、

    (e)市民の暴動の事件において治安状況を改善するために、国家警察の機動隊との合同巡回を実行すること、

    コンゴ民主共和国の領土の安全

    (f)特に滑走路の使用および湖を含む国境の監視によって、不安定である主要地区における武装勢力の動向および集団の所在地ならびに外国軍事部隊の存在に関して、時宜に適った方法で、監視し報告すること、

    (g)必要と思われる場合にまた事前の通告なく、南北キブおよびイトゥリにおける、港湾、飛行場、軍用飛行場、軍事基地および国境通過点を用いる航空およびあらゆる運送手段の貨物の検査を含め、適宜、関連政府および決議1533(2004)によって設立された専門家集団との協力の下、決議1493(2003)の第20項によって課され、また決議1596(2005)の第1項によって修正され拡大された措置の履行を監視すること、

    (h)コンゴ民主共和国の領域内での所在が決議1493(2003)の第20項によってまた決議1596(2005)の第1項によって修正され拡大された措置に違反する武器および関連軍需品を適宜、押収し収集し、かかる武器および関連軍需品を、適宜処分すること、

    (i)常駐している箇所については、決議1596(2005)の第10項の規定の履行において、コンゴ民主共和国の権限ある関税当局に対して援助を提供する、

    (j)地雷除去の能力の強化において、政府を支援する、

    外国およびコンゴの武装集団の武装解除および動員解除

    (k)とりわけコンゴ民主共和国の東部地域において、暴力を用い続けようとする違法な武装集団の軍事能力を阻害し、民間人への攻撃を予防するための封鎖、捜索戦術の使用を含め、外国またはコンゴのいかなる武装集団からの政治プロセスを脅かそうとする、武力行使のあらゆる試みを抑止すること、

    (l)国際的に認められた人権基準および規範と国際人道法に従い、MONUCに関する事務総長第三特別報告書(S/2004/650)の第75項(b)、(c)、(d)および(e)に記載された措置の実行を含む、コンゴ民主共和国の東部地域に展開されたFARDC統合部隊によって主導された活動を以下の目的のために支援する。

    ―武装解除、動員解除、再統合プロセスへの参加と、またそれら武装集団に関わる子どもの解放を確実とするために、抵抗している現地の武装集団を武装解除すること、

    ―武装解除、動員解除、帰還、再定住および再統合プロセスへの参加と、またそれら武装集団に関わる子どもの解放を確実とするために、外国の武装集団を武装解除すること、

    ―違法な経済活動に由来する支援を含む、違法な武装集団への支援の提供を防止すること、

    (m)武装解除した外国の戦闘員および彼らに従属している人々の自発的な動員解除および帰還を促進すること、

    (n)コンゴの戦闘員およびその従属者、とりわけ子どもに着目し、武装解除プロセスを監視し、不安定な場所における適切な治安を提供し、また国際連合の国別チームおよび二国間、多数国間のパートナーとの協力において、コンゴ当局により行われる再統合の取り組みを支援することにより、武装解除、動員解除および再統合(DDR)国家計画の履行に貢献すること。

    治安部門改革

    (o)人権、国際人道法、子どもの保護およびジェンダーに基づく暴力の予防の分野を含む、短期間の基本的訓練を、上記(l)に言及された任務を実行する能力を強化する目的で、コンゴ民主共和国の東部地域に展開しているFARDC統合部隊の様々な構成員および部隊に提供すること、

    (p)国際的なパートナーとの調整において、技術援助、訓練および教育支援を提供し、ジェンダーに基づく暴力の事件の防止、調査、訴追を含み、また国際的に認められた人権の基準および規範、均衡した実力行使および刑事司法に従い、コンゴ国家警察および関連する法執行機関の能力の開発を継続し続けること、

    (q)国際的なパートナーとの調整において、軍の司法制度を含む、司法および矯正制度の能力の強化において政府に対して助言すること、

    (r)国際的なパートナーとの調整において、治安部門の改革の初期計画立案プロセスにおいて政府を支援するための国際社会の取り組みに貢献すること、

    を決定する。

  3. MONUCがまた、コンゴ当局、国際連合国別チームおよび援助供与国との密接な調整の下、コンゴ民主共和国における民主的な制度および法の支配の強化を支援する権限を有し、その目的のために、

    (a)国家、州、地域および地方レベルにおける民主的な制度およびプロセスを強化するために助言を与えること、

    (b)周旋の提供を含む国民和解と国内の政治対話を促進し、市民社会の強化を支援すること、

    (c)女性、子どもおよび脆弱な人々に特別の関心を払いながら、人権の促進および保護を援助し、不処罰を終えるために人権侵害を調査し、移行期司法の戦略の発展と履行を支援し、人権および国際人道法の深刻な違反の行為者を法の裁きにかける、国家および国際的な取り組みに協力すること、

    (d)国際的なパートナーおよび国際連合国別チームとの調整において、助言提供、技術援助および後方支援を含む、地方選挙の組織、準備および実施について、国家独立選挙委員会を含むコンゴ当局に対して予備的な援助を与え、安全保障理事会に対して,この点について、MONUCに関する事務総長による定期報告書の枠内を含め、進捗状況の通知を継続すること、

    (e)自由かつ公明な選挙の実施のための安全かつ平和な環境の設立を支援すること、

    (f)グッド・ガバナンスの促進およびアカウンタビリティーの原則の尊重に貢献すること、

    を決定する。

  4. MONUCに対して、その能力内および部隊が展開されている地区の範囲内において、上記第2項(a)から(e)、(g),(h),(k),(l)および(n)ならびに第3項(e)に挙げられている任務を遂行するために、すべての必要な手段を用いる権限を与える。
  5. 国家の政治討論において効果的な参加を確保するために、憲法によって、野党に付与されている余地および役割を尊重するように民主的に選出された当局に勧告し、すべての当事者に対して、憲法上の枠組および法に従い、政治的プロセスおよび国民和解に取り組み続けることを奨励する。
  6. 危機を予防しあるいは対応するための、政府の目的およびイニシアチブ、国際的な関与の継続、同国の国際的なパートナーによる協調した取り組みについて、主要なパートナーによる理解を強化することを目的とした、政治対話を促進する定期的協議のための効果的な取極を設立することを、コンゴ民主共和国の政府および主要なパートナーに奨励する。
  7. 領土全域における国家権限の実効的な拡大、天然資源の開発および輸出への管理の確立およびこれら天然資源からの歳入の管理の透明性の改善を目的として、専門的な国際機構を含む国際社会の支援と共に、その取り組みを強化することをコンゴ民主共和国政府に対して促す。
  8. 国際社会の支援とともに、国家の安全保障戦略を緊急に策定し、また、市民を保護し、法の支配、人権および国際人道法を尊重し、また憲法に従い行動する防衛、警察および司法行政の分野における専門的な治安組織を設立する目的で、治安部門改革を計画し実行するよう政府に対して要請する。
  9. コンゴ民主共和国の軍隊および国家警察の再統合、訓練および装備、また司法行政の改革に必要な緊急の支援の提供に、確固として関与し続けることを援助団体のコミュニティに対して求め、政府およびそのパートナー、とくに欧州連合に対して、取り組みを調整する方法について迅速に合意し、すでに達成された結果に基いた治安部門改革を実行することを促す。
  10. コンゴ民主共和国の東部にいまだ出没する民兵および武装集団に対して、武器をおろし、また更なる遅滞あるいは前提条件なくして、動員解除、帰還または再定住、ならびに再統合を自発的に行うことを求める。
  11. 政府に対してMONUCとの密接な調整の下、コンゴ民主共和国全域に権限を拡大する取り組みの一部としての優先事項として、とりわけ武装解除、動員解除、帰還または再定住、また適宜、外国およびコンゴの戦闘員の再統合を実行することにより、およびこの地域における国民和解、復興および開発を促進することによって、国の東部における治安を確保する計画を発展させることを緊急に要請する。
  12. 人権および国際人道法の重大な違反の行為者を遅滞なく法の裁きにかけることを含み、不処罰を終わらせ、また武装勢力、国家警察およびその他の治安の主要な地位を含む公的な立場の候補者の選出において、国際人道法および人権の尊重について、候補者の過去の行動を考慮することについてコンゴ当局に対して安保理の要求を繰り返し表明する。
  13. 2003年8月26日の安保理決議1502を想起し、人道および国際連合要員の保護に関連する、国際人道法の関連規則および諸原則を十分に遵守することについてすべての当事者の義務を再確認し、また関連するすべての当事者が、適用される国際法に規定されているとおり、援助を必要としているすべての人々に対して、人道要員による完全かつ妨害を受けないアクセスを認めるように要請する。
  14. 横領あるいは腐敗行為に責任を有する者の不処罰を終了させる目的で、コンゴ当局に対して、国際的なパートナーの支援の下、国家の財政に効果的、透明な、かつ包括的な管理を行うように取り組みを継続することを奨励する。
  15. すべての国家、特にコンゴ民主共和国自身を含む、地域における国家に対して、必要な場合には司法的な手段、さらに必要な場合には安保理への報告を含め、天然資源の違法貿易を終わらせるために必要な措置を取るよう促し、また、国際金融機関に対して、天然資源の利用についての効果的および透明性のある管理を設立することについてDRC政府に支援を行うことを求める。
  16. すべての当事者がMONUCの活動に十分に協力し、コンゴ民主共和国全土において、任務の遂行において国際連合および関連要員による支障のない即座のアクセスおよび安全を確保することを求め、またとりわけ、すべての当事者がMONUC軍事監視員による、すべての港湾、飛行場、軍事飛行場,軍事基地および国境通過点を含む、十分なアクセスを提供すること、さらにMONUC人権監視員が拘置所へのアクセスを認められることを求め、また事務総長に対してこれら要求の遵守についてのいかなる不履行をも遅滞なく報告することを要請する。
  17. 国際社会に対してコンゴ民主共和国における和平統合プロセスへの支援を継続することを奨励する。
  18. さらに、地域のすべての政府、とりわけブルンジ、コンゴ民主共和国、ルワンダおよびウガンダに対して、建設的な方法で、共有する治安および国境の問題を解決し、また、とりわけ三者プラス合同委員会を通じてまた2006年12月15日に署名した大湖地域の安全、安定および開発協定の履行を通じて、決議1493および1596によって課された武器禁輸措置違反を助長し、あるいは地域に存在する武装集団の活動を支援するために、それぞれの領域が使用されることを阻止するように促し、さらに署名国に対して、可及的速やかな機会に協定を批准し、即座の履行のために必要な措置を取ることを求める。
  19. 女性の権利を促進し保護し、また職務権限全般に及ぶ分野横断的な問題として、安保理決議1325(2000)において示されたジェンダー的配慮を考慮し、また安保理に通知を継続するMONUCの方針を歓迎する。
  20. コンゴ民主共和国担当特別代表を通じて、コンゴ民主共和国における国際連合システムのすべての活動を調整し続けるように、事務総長に対して要請する。
  21. 事務総長に対し、コンゴ民主共和国担当特別代表、ブルンジ担当執行代表およびスーダン担当特別代表が、MONUC、国際連合ブルンジ統合事務所(BINUB)、国際連合スーダンミッション(UNMIS)の活動を、なかんずく、
    ―それぞれが裁量を有する軍事情報、特に武装部隊の越境移動および武器取引に関する情報を共有すること、
    ―二つのミッションおよび事務所がそれぞれの職務権限を実行するに当たりその能力を侵害しない程度において、最大限の効率および対費用効果を確保するために、調達および行政上の資源を共同使用すること、
    ―国内の武装解除、動員解除、帰還、再統合、再定住および再統合計画の履行を、適宜、調整すること
    を通して、それぞれの職務権限において調整することを要請する。
  22. MONUCの文民および軍事要員による性的搾取および暴力への申立に対して重大な懸念を表明し、性的搾取および虐待事件に対処するためにMONUCによって取られた措置および事務総長による最近のコンゴ民主共和国への訪問の間、繰り返して表明された、ゼロ・トレランス政策に留意し、事務総長に対してこれら申立を十分に調査し、また性的搾取および性的虐待からの保護についての特別な措置に関する事務総長による小冊子(ST/SGB/2003/13)に記されている適切な措置を取り、また、安保理に通知し続けることを要請し、性的な不品行に関する行動規範に十分に従うことを確保するために、関係する要員に対する訓練を実施するMONUCの重要性を強調し、さらに、兵力提供国に対して、不品行な事件に自らの要員が関わっていた場合においては、十分な責任を確保するために、適切な懲戒およびその他の措置を取ることを促す。
  23. 事務総長に対して、コンゴ民主共和国の状況における進捗状況を定期的に報告し、またMONUCの段階的削減のための指標となる予定表と基準を含んだ報告書を2007年11月15日までに安保理に提出することを要請する。
  24. この問題に引き続き積極的に取り組むことを決定する。

S/RES/1756(2007)