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安全保障理事会決議 1762

2007年06月29日

2007年6月29日、安全保障理事会第5710回会合で採択

安全保障理事会は、

1990年8月6日の決議661(1990)、1991年4月3日の決議687(1990)、1991年6月17日の決議699(1991)、1991年8月15日の決議707(1991)、1991年10月11日の決議715(1991)、1996年3月27日の決議1051(1996)、1999年12月17日の決議1284(1999)、2002年11月8日の決議1441(2002)、2003年3月22日の決議1483(2003)、2004年4月28日の決議1540(2004)および2004年6月8日の決議1546(2004)を含む、安保理の従前の関連諸決議を想起し、

関連諸決議の下での重要かつ包括的な貢献について国際連合監視検証査察委員会(UNMOVIC) および国際原子力機関(IAEA)に感謝の念を表明し、UNMOVICの職務権限中の専門知識、経験および専門家の名簿の維持の蓄積に留意し、 将来にわたり同様の専門知識を維持することを加盟国に奨励し、

民主的に選出され憲法に基づいたイラク政府が現在整っていることを確認し、 国際的な不拡散体制を支持するイラク政府の宣言に留意し、恒久憲法に記された公約および輸出入管理に対する責任を持つ国家監視局の設立を含む、 この点に関して講じられた具体的な措置を歓迎し、

関連諸決議の下でのイラクの軍縮義務、核兵器の不拡散に関する条約、 イラクのIAEA保障措置協定、細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産および貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約およびジュネーブ議定書の下での 同国の義務を想起し、必要に応じて国際的な協力を通して、法的権限および法律に従いならびに国際法に一致して、核・化学・生物兵器およびその運搬手段ならびに 関連原料の違法な取引および仲介を、探知し、思いとどまらせ、阻止しまた闘うイラクの公約に留意し、また、あらゆる適用可能な軍縮および不拡散条約、 特に化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止に関する条約とIAEA保障措置協定に対する追加議定書のイラクの遵守を促し、

1991年以降のイラクに関する軍縮努力に留意し、また、本決議に添付された2007年6月28日付米・英合同書簡および 2007年4月8日付安全保障理事会宛てイラク政府書簡に更に留意し、

UNMOVICおよびIAEAのイラク核査察事務所(INVO)の継続的な活動は、関連する諸決議の下でイラクの義務の 遵守を査察するためにはもはや必要でないと認識し、

国際連合憲章第7章に基づいて行動し、

  1. 関連諸決議の下でのUNMOVICおよびIAEAの職務権限をただちに終了させることを決定する。
  2. 関連諸決議の下でのイラクの軍縮義務を再確認し、核、化学および生物兵器ならびにそのような 兵器および運搬手段の開発、製造、生産および使用に用いられる関連設備、物資および技術の不拡散、 非製造および非使用に対するイラクの憲法上の公約を承認し、また、この公約を履行することおよびあらゆる適用可能な 軍縮および不拡散諸条約および関連する国際協定を遵守し続けることをイラクに促す。
  3. あらゆる適用可能な軍縮および不拡散諸条約ならびに関連する国際諸条約、特に化学兵器の開発、 生産、貯蔵及び使用の禁止に関する条約、IAEA保障措置協定に対する追加議定書を遵守することでなされた進展、 および軍民両使用の規制とイラクの輸出法制を国際基準に調和させることに関して国家監視局とイラク政府によりなされた進展について、 1年以内に安全保障理事会に報告することをイラク政府に要請する。
  4. UNMOVIC/UNSCOMおよびIAEAにより提出された1991年以降のイラクにおける各々の活動に関する簡単な概要に留意し、献身的な活動に謝意を表明する。
  5. とくに国家機密に関する不拡散情報もしくは厳密な統制の下におかれるものとして加盟国に より内密に提供された情報を確保する協定の下で、UNMOVICの公文書および他の資産の適切な廃棄についてあらゆる必要な措置を講じることを事務総長に要請し、 また、この点に関して講じられた措置について3カ月以内に安全保障理事会に報告することを事務総長に更に要請する。
  6. 決議699(1991)第4項に基づき加盟国に要請し提供された拠出金を加盟国に返還した後、 決議986(1995)の第8項(e)に基づき設立された口座にある全ての残余の使途未確定の基金を、本決議の日から3カ月以内にイラク開発基金を通して イラク政府に移転することを事務総長に要請する。
  7. この問題に引き続き積極的に取り組むことを決定する。

添付資料Ⅰ
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国外務・英連邦大臣およびアメリカ合衆国国務長官から安全保障理事会議長宛書簡

アメリカ合衆国およびグレートブリテン及び北アイルランド連合王国は、安保理決議1483(2003)において必要とされたイラクによる軍縮義務の遵守を確実にすることに関して講じられてきた措置を安全保障理事会に報告する。

イラク政府および他の加盟国政府と協力して、合衆国および連合王国は、2003年5月8日付の安全保障理事会議長宛両国の国際連合常駐代表からの書簡に従って、2003年3月以降、サダムフセイン体制の下でイラクが開発した大量破壊兵器、戦術ミサイルおよび関連する運搬手段ならびに計画を探し出し、確保し、取り外し、無力化し、無害にし、除去しもしくは破壊するために活動を行なってきた。

我々は、

(a)イラクにおいて周知の大量破壊兵器および150㎞以上の射程を持つ戦略ミサイルの全ておよび

(b)そのような兵器および運搬手段、補助手段ならびにその構成要素の調査、開発、設計、製造、生産、維持、 組立および使用するために立案されたイラクの計画の要素として知られているもの全てを確保し、 取り外し、無力化し、無害にし、除去しもしくは破壊するために全ての適切な措置が講じられてきたことを、安全保障理事会に報告する。

更に、前イラク公務員、他のイラク国民、疑わしい兵器施設および技術かつ調達関連文書より得た情報によって行われた、 イラクの大量破壊兵器計画の再検討に続く、イラクの大量破壊兵器に関する合衆国中央情報司令部への特別顧問による報告書(ドルファー報告書)の結論について 安全保障理事会の注意を喚起する。調査の過程において、イラク調査グループの調査官は疑わしい兵器関連施設を訪問し、また文書を調べた。 同報告書および附属書は、以下のウェブサイトから入手可能である。

http://www.cia.gov/library/reports/general-roports-1/iraq_wmd_2004/index.html
イラク外務大臣から安全保障理事会議長宛の2007年4月24日付書簡(S/2007/236,annex)

は、イラクが講じてきた追加的行動およびいまやイラクは関連する安保理諸決議の下での軍縮義務を完全に遵守しているという イラクの信念を国際社会に証明し確約するためにイラクが近い将来講じるつもりであるその他の行動の要点を述べている。

(署名)コンドリーザ ライス
アメリカ合衆国国務長官
2007年6月27日署名
(署名)マーガレット ベケット
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国外務・英連邦大臣
2007年6月22日署名

添付資料Ⅱ
イラク外務大臣から安全保障理事会議長宛2007年4月8日付書簡
(原文:アラビア語)

以前のイラク大量破壊兵器の除去および取り外しに関する安保理決議により設立された国際連合監視検証査察委員会(UNMOVIC) および国際原子力機関(IAEA)イラク活動チームの職務権限について、それを継続する法的もしくは技術的根拠がもはや存在せず、 またイラクが現在問題となる計画もしくは兵器を有していないことが確実なので、職務権限の終了について安保理が審議することを求める本書簡を、 本使が、イラク政府に代わり、貴下および貴下を通して安全保障理事会の他の理事国に発する光栄を有します。この点に関して、以下の内容に留意していただきたい。

  1. 今日、イラクは、イラク国民により承認された憲法に加えて、 民主的に選出された政府および新議会を有している。 今日、イラクは国際的な不拡散体制を支持し世界的な民主的社会に加わることを宣言する。
  2. イラク政府の恒久憲法第9条(e)は、 「イラク政府は、核、化学および生物兵器の不拡散、非開発、非生産および非利用に関するイラクの国際的義務を尊重しかつ履行し、 また、そのような兵器の開発、製造、生産および利用に用いられる関連設備、装備、技術および通信手段を禁止する。」 と規定する。この憲法は、2005年に開催された国民投票においてイラク国民により承認された。
  3. 安全保障理事会理事国が了知するように、イラク政府は、前体制の兵器計画に関してイラク調査グループ(ISG)に完全に協力してきている。
  4. 今日、イラク政府は関連する安全保障理事会諸決議に対するイラクの完全な公約を確約し、 また、それに関連して、2005年3月に安保理議長に対してイラクが行った要請と、UNMOVICおよびIAEAイラク活動チームの 職務権限の終了を要請した2006年11月11日のイラク首相からの書簡を、繰り返し表明する。
  5. イラク政府は、核兵器の不拡散に関する条約、国際原子力機関の保障措置協定、 生物兵器条約および窒息性ガス、毒性ガスまたはこれらに類するガス及び細菌学的手段の戦争における使用の禁止に関する 1925年のジュネーブ議定書に対するイラクの公約を繰り返し表明する。 イラク暫定政府は以前、2004年7月に、拡散の防止に関する全ての協定および条約に対する公約を公表した。 イラクの技術当局は、化学兵器条約にイラクが加入するための法案を入念に作成しており、その法案は、採択に向けて、 現在国家の立法府である議会にかかり、国際原子力機関の保障措置体制のモデル追加議定書への 加入にむけて準備がなされている。
  6. イラクにおける放射性資源の安全に関する管理法規についてのIAEAとの調整に関し、 イラクは、イラクにおける放射性資源を確定しその安全を保証することに責任を有する機関、 すなわちイラク放射性資源統制局を設立した。前体制の崩壊以降、IAEAはトゥワイサ施設に、2003年6月、2004年8月、2005年9月 そしてごく最近2006年11月の四度にわたり検証訪問を成功裡に行った。
  7. イラク国家監視局は、軍民使用の物質の移送を監視し、イラクの輸出法制を国際基準に 一致させるためのあらゆる努力を現在払っている。イラクは、安全保障理事会決議1540(2004)の下でのイラクの義務に 従ってイラクの国家報告書を提出した。
  8. イラク政府は、多国籍軍と協力して管理を強化して国境の治安の保証を行ってきた。

わが国政府および国民は、安全保障理事会が、イラクにおける状況、すなわち、大量破壊兵器 および関連計画が存在しないこと、について本格的かつ客観的な評価を行い、かつ、UNMOVICおよびIAEAイラク活動チームの職務権限を終了させ、また、国際連合により開設されたイラク口座の残額を投資目的のイラク開発基金に移送する適切な決定を下すことを希望する。

本書簡の本文を安全保障理事会の文書として安全保障理事会の理事国に対して回付して頂けるならば、大変ありがたく存じます。

(署名) ホーシュヤール ズイバーリー
イラク外務大臣
2007年4月8日

S/RES/1762 (2007)