S/2011/552
安全保障理事会
配布:一般
2011年8月26日
原文:英語

予防外交:結果をもたらす
事務総長報告書

本報告書は、1961年の死去から50周年を記念する本年に、前国連事務総長のダグ・ハマーショルドの思い出に捧げられる。
「私は、一方で公的な議論を他方では私的な交渉と仲介という、特に最も有用な組み合わせである、多国間外交の道具としての国際連合の十分な可能性を、私たちは探り始めたばかりであると信じている。」*

要約

 本報告書は、変化する政治および安全保障の見通しにある、現在予防外交の実施に直面する国際連合とそのパートナーの、機会と挑戦を検討する。

 特に武力紛争の拡大を予防あるいは緩和するために講じられる外交行動に焦点を当て、報告書は、紛争の領域にまたがる、および平和を促進するためより広範に国家が有する戦略の一部としての、予防外交の妥当性を説明する。紛争予防の分野における国連や他の機構に対するより多くの期待に光を当て、この目的のためのパートナーシップの中心的な重要性を強調する。

 報告書は、いかに近年の予防外交の関与が、異なる枠組みの範囲において、地上で変化をもたらしているかを描き出す。それは、予防的努力を阻み続ける危険や障害について討議し、早期警報、柔軟性、パートナーシップ、持続性、評価および資源といった、国際連合とそのパートナーの経験から、これらの努力を最大限化するために決定的と証明された重要な要素を特定する。報告書は、次の5年の間に、予防外交のために国際的な能力をさらに強化する勧告とともに結論する。

Ⅰ.序論

  1. 予防外交は、国連において何十年もの間永続してきた考えである。半世紀以上前に、最初にダグ・ハマーショルドが概念を明確化して以降、それは新たな挑戦に呼応して変化し続けてきた。予防外交は特に、広い意味での紛争予防努力に不可欠な部分として、「当事者間に発生した争いを予防するため、存在する争いが紛争に段階的に拡大するのを防ぎ、それらが発生した際には後者の広がりを制限するため」に、なるべく早く可能な段階で講じられる外交的な行動と規定されている。予防外交は、あらゆる紛争の領域において、高く関与し続けているのである。
  2. 4年以上前に私が職務を遂行し始めたとき、私は機構の予防外交を再活用し、私たちの組織を向上し、その努力のため私たちのパートナーシップを拡大することを優先課題とした。私の努力は、自身が予防外交に関してより大きな重点を置き、彼らの試みを支援し補完する機構の重要な役割を知る加盟国により、奨励された。この再び始まった関心にはいくつかの理由がある。まず第一に、紛争の予防に失敗する事は非常に高くつくという認識—緊迫した金融の時代にはなおいっそう深刻となるという―と共に、個人、社会および経済に対する武力紛争の再び繰り返される荒廃した衝撃である。さらに、静かな成功はほとんど報道されないが、分析、早期警報、緊急展開およびパートナーシップの組み合わせを通じて、私たちは危機が段階的に拡大する際に緊張をやわらげることを助け、紛争を平和的に解決する際に当事者を援助することができると、近年における多くの関与は再確認している。
  3. この支援を反映して、安全保障理事会は、ナイジェリアの議長の下、2010年7月16日にアフリカにおける予防外交に関する公開討論を開催した。議長声明(S/PRST/2010/14)を確実なものとするため、私は、国際連合内において、地域および準地域機構ならびに他の関係者と協力して、予防外交という手段をどのように最大限に使用する事ができるかという勧告とともに、報告書を提出するよう要請された。

Ⅱ.変化する展望

  1. 今日の予防外交は、以前と比して、より広範な手段を用い、より広い関係者の配置によって行われている。これは、暴力的な紛争と広範な残虐行為を予防すし、統治、平和および安全により多くの声を含める事を確保するための国際的な努力を好意的に受け止める、より強力な規範な枠組の台頭に起因する。その目的のために国連の能力を強化し、「予防と平和に対する脅威の除去のため効果的な集団的措置」を講じながら、加盟国が「予防の文化」を築くために公約をした2005年の世界サミットは分岐点の時であった。それに先駆けて、安全保障理事会はその決議1325(2000)において、明確に紛争予防へのより大きな女性の参加を要請し、固有の紛争解決メカニズムの重要性を認識している。
  2. 地球レベルでの規範的な発展は、アフリカ、アジア、ヨーロッパそして米州の地域レベルで実証された。もっとも顕著には、アフリカ大陸においては、不干渉の原則が、憲法に基づかない政府の変更を含めた平和、安全保障および人民に対する緊急の脅威に対する「非・無関心」というアフリカ連合の原則に置換された。アフリカにおける多くの準地域機関も、新しい立場を予期するか、または追随している。米州においては、米州機構(OAS)が、危機を導くであろう紛争について優先課題とする決議を作成した。南米諸国連合のような、新たな集団は、予防外交を含む活動的な地域の参加者となっている。太平洋地域を含む他の事例として、太平洋島嶼フォーラムのビケタワ宣言は、勃興する安全保障上の懸念について、早期の外交的対処のため枠組を規定している。2001年の米州間民主憲章、2005年のフランコフォニー憲章、2007年の東南アジア諸国連合(ASEAN)憲章、そして2008年のイスラム諸国会議機構憲章は、すべて、適切な地域的または国際フォーラムにより、勃興する危機は時宜を得た方法で表明されなければならないという発展中の期待の反映である。結果として、程度は異なるが、世界の異なった地域における、より順向性のある予防外交への移行を私たちは目撃している。
  3. これらの規範的な発展に生命を与えるため、過去の10年には、国際社会、国際的および地域的な機構、そして多くの加盟国間において、新たな予防能力の創設が見られた。これらは、早期警報システムの発展や、緊急展開のためのターゲット化された基金メカニズム、予防に特化した構造の設立、そして現在進行中の特使の活用を含む。2006年に国連に設立された仲介支援ユニットは、国際連合および国際連合とは異なる仲介の努力に対してサービスを提供するようになっており、増加する数の地域機構が、それら独自の仲介能力を拡大する努力をしている。政治的なミッションの使用も増加している;2010年には、全欧安保協力機構(OSCE)およびOASが、多くは予防外交と周旋の任務とともに、フィールドにおいておよそ50のそのようなミッションを展開した。OSCE少数民族高等弁務官は、静かな外交を通じて、多くの国で少数民族に関する緊張を和らげた。
  4. 本報告書の後半において議論されるであろう、予防外交の努力を阻み続ける深刻な挑戦にもかかわらず、予防に関する私たちの集団的な努力は、地上における必要によりよく対応しているという大きな指標がある。2000年から2009年までの期間に始まった低強度紛争の数は、1990年代に始まったものに比べ大まかに半分程度のみである。また、同期間における新たな高強度紛争(攻撃や激化)の数も減少し、21であったものが16となった。この現象を説明するいくつかの要因とともに、加盟国と国際機構による、より多くのより良い予防的行動が、説明の重要な部分である。

Ⅲ.地上における変化をもたらす

  1. 政治的緊張や危機が激化する段階では、強制措置が不足している際に、しばしば予防外交は、平和を保持するために講じることができる少ない選択肢の一つである。またそれは、潜在的に大きなリターンをもたらす投資でもある。最大のリターンは、救われた生命によりもたらされる。しかしながら、予防はまた、強く経済的にも道理にかなっている。世界銀行は、「平均的な内戦のコストは、中規模の発展途上国の30年間以上の国民総生産(GDP)の増加と同等である」と計算している。最大に深刻な内戦は、積算で何百億ドルのコストを発生させ、関連する社会が従来の成長路線に回帰するには、平均で14年かかる。対照的に、予防努力はそれほどコストがかからない:ギニア、ニジェールおよびこの地域のその他の場所において予防努力に重要な役割を果たした西アフリカのための国際連合事務所は、一年間に800万ドル以下の通常予算である。
  2. 以下のセクションは、外交を通じて地上における変化をもたらすために、国際連合がその存在する手段を使用し、新たな手段を磨き、新たなそして創造的なパートナーシップの中で主要な関係者と活動する方法を強調する。

A.主要な関係者、方法および手段

総会

  1. 国際連合憲章の第10条と第11条に基づき、総会は予防外交の全ての側面に関して考慮する広範な権限を有する;適切であれば勧告を発する;または国際の平和と安全を脅かしそうな事態について、安全保障理事会の注意を喚起する。
  2. 規範設定能力と審議機能を通じて、総会は紛争予防のために伝導性のある環境へと貢献する中心的な役割を有している。総会が2011年6月22日に、紛争の平和的解決および紛争予防における仲介の役割の強化を目的とするコンセンサス決議(決議65/283)を採択したことは、仲介の基準設定を行い、加盟国、地域機構および他の仲介関係者とともに生産的な恊働のための広範な枠組を供すると位置づける機構の革新的な発展である。さらに総会は、機構において最高位の予算権限を有しているため、紛争予防および平和想像に関連する政治ミッション並びに他の手段の予算を検討しそして承認する。2008年には、機構の予防能力を強化する見地より、総会は事務局の政務局を強化することを可能にした。さらに、総会の要請により、私は総会第66回会期に、私たちの特別政治ミッションの改善された資金調達と支援に関し、この拡大する職務権限を持つ手段がより柔軟かつ速やかに展開することを確保する目的で、勧告を含む報告書を提出する。

安全保障理事会

  1. 国際の平和と安全の維持について第一義的に責任を有する国際連合の機関として、安全保障理事会は武力紛争の予防において重要な役割を有する。過去には、理事会は主として発生後の紛争および緊急事態に対処することを主眼としていたが、近年では、理事会の公式な議題になる以前に、勃興する危機を表明することへのより大きな関与と柔軟性への要請が見られる。例えば、2008年初頭から、理事会は多くの状況について「非公式の双方向対話」を開催し、それらは予防外交をより先取りするアプローチを促進することを意図されている。それは政務局に対して、現在そして勃興する紛争に焦点を当てた月毎の「水平走査」報告を要請した。私はまた、何らの公式議題にもなっていない多くの項目を挙げるため、安全保障理事会との非公式な月例昼食会を利用した。2007年以降、主題項目「アフリカにおける平和と安全」は、例えば、初期段階のリビアの状況のような公式に理事会の議題になっていない情勢を含む、国を特定した様々な事案について表明する役割を果たした。
  2. 安全保障理事会が、懸念される情勢においてどのように、そしてどのくらい早期に関与するべきかという問いは、ケースバイケースで回答されるべきである。時には、事務総長の静かな外交と周旋の余地のために、理事会は影響力を保留し続けることを決定する。他の事例では、フィールドにおけるミッションや、その議長によるイニシアチブや報道コミュニケのような、理事会による非常に明らかなそして断固とした行動が、私の努力を強力に支援し、そうでなければ存在しないであろう予防への政治的な余地を開く。
  3. 2009年と2010年におけるギニアの憲法上の危機や、2011年の南部スーダン独立国民投票の事態のように、安全保障理事会が懸念する情勢について表明するために共通の見解を形成するときは、共通の戦略を追求するために、政治的な契機を発生し主要な対話者に関与して、その有効性を証明している。理事会は、その効果のために、地域機関とより強力なそしてより構成された関係を発展することを始めている。国際連合あるいは地域の関係者によるかを問わず、理事会は仲介のイニシアチブを支援し、決定的と証明されている。紛争の最終段階においては、狙い撃ち制裁のようなより強制的な手段が、外交努力へ決定的な影響力を加える。安全保障理事会はまた、適切な職務権限を持つ政治的あるいは平和維持のミッションを設立して、紛争の激化、または戦争に逆戻りするのを予防するのに特有の役割を果たす。

平和構築委員会

  1. 安全保障理事会と総会の政府間諮問機関である平和構築委員会は、紛争からの回復に必要な復興と制度構築を含む、紛争から勃興する国家への持続する国際的喚起を確保する。現在6か国が議題に挙っている:ブルンジ、中央アフリカ共和国、ギニア、ギニアビサウ、リベリアおよびシエラレオネである。委員会の各事例ごとに国に特定された輪郭が設立され、それらの議長や私の特別代表による代表努力を通じて、暴力への再発防止を支援する。

事務総長の周旋

  1. 私の紛争予防のための職務権限は、事務総長が彼の意見により国際の平和と安全の維持を脅かすであろう事態について、安全保障理事会の注意を喚起することができると規定する憲章の第99条に基づく。歴代の事務総長は彼らの周旋を、一番初期の可能な段階において問題解決を当事者が見いだすことを援助するために用いてきた。周旋の有効性は、しばしばそこで事務総長が行動するために、どのくらいの政治的な余地があるかという機能である。私個人の経験では、先見性の一致がないということを当事者が知るため、国際社会の利益が強いものの矛盾している時が、一番困難な筋書きである。私はまた、憲章の番人として、特定の事態について発言する義務があり、それは仲介の努力を拡大するかまたは拡大しないであろう義務である。時には、メディアを目の前にした公共の支持が必要である;しかしながら、より多くの場合、周旋は秘密裏に展開される。アプローチの仕方に関わらず、実質的な外交の重要性は、柔軟であると同時に強い決意による。
  2. 政務局は、私が周旋を行うために、主要な働きを行う部門である。加盟国からの通常そして特別予算の支援とともにⅹⅰ、政務局はこの三年の間強化され、国連システム内での予防外交をより効果的にする役割を導いた。それは、その分析能力、選挙支援のような主要な分野における技術的専門知識、パートナーシップと先例から学び、最良実行を抽出し、システムを横断する対応を促進する能力を拡大してきた。結果として、それは緊急展開に向けてより強化されるようになり、強化された地域の課および仲介支援ユニットを通じて、機構あるいはそのパートナーが行うか否かを問わず、世界中の周旋や仲介のイニシアチブを支援することができる。その仲介専門家の待機チームは、平和プロセスの設計、安全の解決、憲法の起草、ジェンダー、権力の分配、そして富の分配に関する交渉者を支援するため、72時間以内に展開することができる。自発的拠出金に支援される献身的なメカニズムは、迅速な対応のためにより柔軟な財政を供する。

特使

  1. 国境紛争、領土問題、地域紛争、憲法上および選挙の危機、再統合の交渉、平和会談および他の幅広い事項を背景とする緊張を緩和し、問題を解決することを支援するため、この数年間、私は特使を任命してきた。ジェノサイドの予防や、保護する責任、そして他の重要な横断的懸念に関する私の特別助言者は、特定のテーマによる専門的知識により貢献を行ってきた。多くの場合、国連の特使は、国家あるいは地域を、紛争の瀬戸際から引き戻す主要な役割を担ってきている。
  2. 例えば、2008年の秋には、コンゴ民主共和国が地域戦争の戦域に再び陥るのではないかという、増加する緊張と広範な恐怖の文脈において、私は前ナイジェリア大統領の、オルセガン・オバサンジョ将軍を、大湖における特使として任命した。本部からの支援と、地上における国際連合平和維持活動との緊密な協議により、特使は、コンゴ民主共和国東部における交渉された平和を模索し、集中的に往復する外交に従事した。大湖地域における国際会議と協働しながら、合同の後方支援、通訳サービスおよび会議と出張支援と共に仲介支援チームの緊急展開を通じて可能になった、国連の支援下での複雑な和平会談において、たった数週間の間にこれらの努力は結果をもたらした。2009年3月までには、会談は、反乱グループの動員解除と非武装化および彼らの潜在的な不満を表明する方法を見越した一連の合意へと導いた。進捗を監視する特使の継続する関与とともに、公約の大部分は一年も経たないうちに履行された。2009年末には、カガメ大統領とカビラが長年のうちに初めて会い、それからすぐにルワンダとコンゴ民主主義共和国は公式の外交関係を樹立した。コンゴ民主共和国の東部の状況は、一般的な不安定性や人道的な苦痛という点では深刻であり続けているが、地域戦争の再開は防げた。
  3. 他の事例では、機構は支援的な役割を果たした。例えば、2008年1月には、アフリカ連合は、ケニアにおける選挙後の暴力の最中に民族主義に沿った内戦へとさらに悪化することを防ぐために、前事務総長のコフィ・アナンが議長とするプロセスを委任した。この努力は、局の選挙支援部と他の主体から専門的なアドバイスに関する戦略的に導かれ、地上においては国際連合国別現地チームと、政務局から出向した職員により強力に支援された。権力配分の到達した合意は、紛争を防いだのみならず、新憲法の基礎を供した。同様に、マダガスカルにおいては、国際連合仲介支援チームが、国における政治危機を解決し、憲法上の秩序を回復する目的の南アフリカ開発共同体(SADC)の仲介努力を支援するために展開した。
  4. 私たちは、予防外交の効果を増加させるために、早急に展開可能な基金や技術専門家のような多くの手段を開発しており、また現代の紛争を解決するために働く特使の役に立っている。一つの例はリビアであるが、そこでは私の特使が、安全保障理事会決議1970(2011)と1973(2011)に従って紛争の政治的解決に達するため、そしてさらなる人道上の苦痛を予防するために活動している。他の特使は、キプロスや西サハラのように、国際連合が円滑にする特別の責任を持つ、長期の政治的プロセスに関与している。それが緊張を緩和するバルブとなり、信頼を築き、当事者が相互に会談を継続できることから、他のいくつかの事例ではプロセスにおける存在そのものが本質的な予防の価値を有する。

地域事務所

  1. 近年の重要な新制度は、特に、西アフリカ、中央アジアそして2011年3月より中央アフリカにおける予防外交の促進基盤として活動する、国際連合地域事務所の設立である。前者2つは、それらの準地域に通じる広い範囲の潜在的な危険な問題点を表明するため、地方、地域そして他の関係者とともに、既に持続する革新的な行動関係を推進している。
  2. 例えば、中央アジアにおける予防外交のための国際連合地域センターは、キルギスタンにおける4月の前大統領の追放と6月の民族間の暴力の発生に続き、危機への対応のため周旋と支援を供することができた。国内の主体、国際連合国別現地チーム、OSCE、欧州連合、集団安全保障条約機構、独立国家共同体(CIS)および上海協力機構とともに緊密に作業しながら、センターは政治指導者と市民社会間の対話を助長し、和解への基礎を敷くことを助ける一方、国における復興、復旧および選挙の支援を促進した。
  3. ギニアにおいては、2009年から2010年にかけて、軍事から憲法に基づく支配への国家の移行を促進する際に、西アフリカのための国際連合事務所が、ECOWAS、アフリカ連合、国際コンタクトグループおよび他と提携した。特に近隣のコートジボワール、ギニアビサウ、リベリアおよびシエラレオネの潜在的な不安定化のために、その期間中は政治的な緊張を本格的な紛争へ激化するのを予防することが、主要な優先事であった。政治プロセスに対する安定した支援とECOWASが率いた仲介を通じて、国際連合はギニア人を支援して、移行を先導し、2010年12月に民主的な複数政党の選挙を通じて選出されたギニアの最初の大統領であるアルファ・コンデの開始により完結した。
  4. 新たな中央アフリカのための国際連合地域事務所の職務権限は、この地域における紛争を予防するために類似の貢献をすることと、武器の密輸、組織された犯罪、神の抵抗軍を含む武装グループの存在のような、越境する挑戦の表明を助けることである。

常駐政治ミッション

  1. 機構の全体的な平和および安全の手段における平和維持活動の決定的な重要性は、何十年もの間認識され続けてきた。あまり知られていないが、そのより小さな政治ミッションによって演じられる役割は、一連の複雑な平和創造と平和維持の職務権限を行うために、ますます依拠されるようになっている。
  2. 政治ミッションは、それらの目的、活動、大きさそして範囲の点において広く異なっている。それらは上に述べたような地域事務所、アフリカ連合への新たな連絡事務所、アフガニスタンとイラクにおける大規模な活動およびより軽い平和創造と平和維持の事務所を含むⅹⅱ。多くは純粋に予防的な目的というより、危機管理の状態において展開される。しかしながら、全てが複雑な政治的あるいは平和の統合プロセスを伴い、それらの職務権限は、典型的にはミッションの長によって行われる周旋を含む傾向にある。
  3. ホストあるいはパートナーの政府および他の関係者と行動し、これらのミッションは、通常対話を促進し、能力を構築し、緊張をやわらげそして暴力を予防するため、国家のイニシアチブを支援する。それらが供する安定した政治的補助やそれらが激化する前に問題を表明する成功は、しばしば目立ちはしないものの、重要であり続けている。キルクーク市と他の争う国内領域における対話を促進し、2009年2010年の選挙への道筋を容易にする上で、国際連合イラク支援ミッションの役割は、他の主体により展開された軍事作戦と平行し、政治的軌道を作業する文民支援ミッションの価値を示した。中東政治プロセスのための国際連合特別コーディネーターは、地域における沈静化を促進し緊張を軽減するために継続的に行動している。シエラレオネにおいては、国際連合統合平和構築事務所は、2009年3月に政府と反政府勢力間の緊張に伴う、潜在的な暴力の摘果を予防することを助けた。アフガニスタンそしてネパールから中東、ブルンジ、中央アフリカ共和国、ギニアビサウそしてソマリアにおいて、国際連合政治ミッションは、近年主要なアクター間での対話を支援し、政治そして平和プロセスを強化する作業を行っている。ほとんど全ての事例において、これらのミッションにおけるより統合されたアプローチと構造が、より継続的な平和への展望を拡大しながら、より長期の平和構築の戦略の中に紛争予防を定着させる。

平和維持活動

  1. 最近の世界銀行の調査が示すように、過去10年間の内戦の90パーセントが前の30年間に既に内戦を経験した国家で発生しているということを考慮に入れると、全ての国際連合ミッションは、重要な紛争対応の最前線を受け持ち、紛争の領域にわたって予防外交のために利点を象徴する。多面的な平和維持活動は、この役割を何年もの間担ってきた―特使と同様の役割により、必要に応じ、強化された。2011年1月の南部スーダンにおける自決の国民投票は、いかに平和維持ミッションが、微妙な移行を通じて複雑な平和活動を導く事を助けることができるかという、最近の事例を示している。
  2. 国民投票への準備段階にある年には、スーダンに関するアフリカ連合ハイレベル履行パネルと緊密に平行して活動しながら、ミッションのリーダーシップはスーダン中央政府と南部スーダン政府との間で仲介を行い、重要な時期に行き詰まりを打開した。私の特別代表もまた、その影響力を行使するために国際社会と提携することを助け、国民投票後の合意に関する交渉を促進するアフリカ連合パネルを支援した。私はまた、ミッションの努力、重要な技術的および後方の選挙支援を補完しながら、当事者の要請に基づきタンザニア前大統領のジョセフ・ムカパに率いられたスーダンにおける国民投票のパネルを展開した。私のパネルとその職員は、国民投票前の状況を監視し、ハイレベルの周旋を供し、当事者間の信頼を築いた。2011年1月には、スーダン全土および海外の300万人が主として平和的な雰囲気の中投票所に行き、圧倒的に分離へと投票した。先進する主要な挑戦とともに地域の状況は不安定なままである一方で、国民投票そのものをめぐる主要な暴力がなかったこと、そしてその結果が広範に受諾された事は、予防外交のための成功と見られた。

非公式諮問機関および他の外交的支援

  1. 国際社会の調整は不可欠であり、しばしばコンタクト・グループや「非公式諮問機関」によって遂行される。例えば、ギニア、リビア、モーリタニアそして西サハラにおいて、そのようなグループは重要な役割を果たした。彼らが一元化した時、これらの編隊は、そうするに値する集団的な影響、資源および専門的知識をもたらし、外交努力を増加させる人として行動できる。彼らはさらに、特使のために一貫性を供し、主要な要求と原則を支持し、そして国際社会が一つの声で話し、焦点を当て続け、戦略の背後の支援を調整する事を確保する。

事実調査、審査および調査

  1. 政治的に敏感な犯罪、暴力的な出来事あるいは疑わしい重大な人権侵害に直面した加盟国は、ますます機構に中立的な審査を行うよう変化している。これらのいくつかは安全保障理事会により、あるいは人権理事会により委任され、一方で、他は事務総長により設立されている。創設された組織は、それらが対応するよう要請された状況や要請と同様に多様である。伝統的な紛争予防の手段の一部ではないが、これらのメカニズムは、近年、当事者を熟慮へと変え、緊張をやわらげそして信頼を醸成することを助け、予防外交の努力を支援する影響を与えている。例えば、2007年にガンビアで見つかったガーナ人移民の死に関し、ECOWASと共に遂行された共同の事実調査の審査は、二国間の関係を再構築するのに役立ったと見られている。他の事例には、国家が不法犯罪ネットワークを調査し排除することを助けるため、2007年に創設された国際連合が支援するグアテマラにおける不処罰に対する国際委員会;2009年9月28日のコナクリにおける出来事を調査する審査委員会;2010年5月31日のガザ支援船団に対する事件に関する調査パネルが含まれる。

国際連合国別現地チーム

  1. 国際連合が使節やミッションを持たない国家で政治的緊張が起こった時には、常駐調整官や国別現地チームが、勃興する挑戦を表明するため、しばしば対応を促進し国家の関係者を援助する最前線へ促される。この現実を認識し、私たちは、そのような状況の中で国際連合が地上における私たちのチームに対して迅速な援助を供することと、関係する国家に対して私たちが提供できるサービスの双方を向上させるように努めている。近年では、そのようなサービスは地方が主導する仲介努力や、選挙プロセスにおける技術的な専門知識、憲法上の改革、真実委員会、国における対話、和解の会談および国家の紛争解決メカニズムの創設を含んでいる。特質上、この類いの支援は、最低限の資源とともに、そして進行中の進展とガバナンスのプログラムの補完として、慎重に供される。
  2. 例えば、エジプト、チュニジアおよび地域の他の場所で、本部からの拡大された支援とともに、常駐調整官と国別現地チームが、対話のイニシアチブを支援し、比較される移行の経験を共有するためにプロセスを促進したり、あるいは焦点を合わせた技術的助言を提供することにより、アラブの春に対する機構の対応を促進する重要な役割を担った。ホンジュラスにおける政治危機の事態では、強化された常駐調整官の事務所が、2010年1月に政府の大統領ボーリフィオ・ロボのイニシアチブによる国家和解プロセスに関連する幅広い事柄に関して専門知識を供した。コモロにおける政治的緊張を緩和するために、常駐調整官は、2010年の大統領選挙の準備時に、監視と透明性委員会において国家選挙委員会の長と共同議長を務め、政党、市民社会および国際社会を一致させた。フィジーでは、地上におけるそのチームを通じて、国際連合は、平和と開発に焦点を当てた円卓プロセスにおいて、軍事政権、市民社会そしてその他の利害関係者間の会談を維持する努力を支援した。

B.新たな焦点

  1. 近年においては、憲法に反した政府の交代や暴力的な選挙時の紛争のような、非常に厳しい憲法上の危機の状況において、予防外交の方式による行動を求められることが増加してきている。

憲法に反する政府の交代への対応

  1. クーデターやクーデターの試みは、民主主義の規範や法の支配に反し、統治や人権に関して潜在的に有害な影響を及ぼす。加えて、それらはしばしば暴力的な紛争の引き金となり、一つの統計によれば、1945年から大まかに24の内戦を引き起こしたⅹⅲ。この状態において、機構は国々を憲法に基づく秩序に戻すため助ける事を、ますます活発に行うようになっている。3年以上の間、私たちは、ギニア、マダガスカル、モーリタニアそしてニジェールにおいて、地域または準地域機構とのパートナーシップとともに、軍のクーデターや反乱の後の危機の解決のために、支援あるいは仲介を行う上級使節を展開した。危機が未だに解決されていないマダガスカルの例外はあるが、憲法に反する政府の交代に反対するより強力な地域の枠組みに力を与えられ、これらの支援の努力は、憲法に基づく秩序へ戻るための道筋を開くため必要不可欠であった。
  2. ギニア、モーリタニアそしてニジェールの事例では、ダカールを基盤とする私の特別代表が、主体間を集中的に往復して、事実上の当局を合憲性へと戻すよう説得し、国際共同体の調整を確保して、地域機構を導くために助言を行った。マダガスカルでは、国際連合はマプトとアジスアベバ合意への重要な実質的そして技術的な貢献を行ったが、残念な事にまだ履行はされていない。全ての場合において、仲介と予防外交の努力は、権力分担と憲法上および選挙の問題についての機構の技術的専門知識を大きく進ませた。

選挙に関連した暴力と予防

  1. 世界中で行われている選挙の大半は、彼らの指導者を自由に選ぶ人々の権利を肯定的に表現している。不安定な状況においては、それらは統一および平和を強化する可能性を有する。しかしながら、最近アフガニスタン、コートジボワール、ケニアおよびジンバブエにおいて見られたように、特定の状況においては、選挙は分裂や不安定化の可能性を有する。競争関係にある政治に対して「勝者がすべてを得る」というアプローチと組合わさった、組織的、長期的なそして未解決の不満を有する国家において、このリスクは特に高い。国内および国際的な監視が大きくなり、情報の流れが増加するに従って、争われる選挙のための可能性は増加するであろうし、選挙に関連した暴力的紛争の可能性をさらに高めるであろう。結果的に、国際連合は地域機関を含むパートナーとともに働き、仲介、周旋および選挙支援の専門知識と組み合わせた、選挙に関連する暴力を予防する幅広いアプローチを発展させている。
  2. 例えば、権力の独占を防ぐために政治機関を構成することを奨励するなどにより、このアプローチは、限られた方法ではあるが、内在する不満の表明への支援を提供する。それはまた、包括的な選挙プロセス;広範な信頼と信用を享受する選挙管理体の設立;全ての適格な選挙者に選挙権を与える適切な手段;過程の全ての段階における透明性;そして公正で、迅速および利用可能は紛争解決メカニズムを奨励する。
  3. 例えば、シエラレオネでは、2012年の大統領および議会選挙のために最も可能な技術的そして政治的環境を作り出すために、機構は全ての利害関係者と緊密に作業し、それは国家において持続可能な平和構築のプロセスの上で枢要な段階だったと見られていた。加えて、近年私たちは多数の選挙に関連する周旋ミッションを展開し、暴力のリスク軽減を求める一方で、選挙プロセスにおける信頼を増加することを助けた。このようなミッションは、例えば、ギニア、ハイチ、キルギスタン、ニジェールそしてパプアニューギニア(ブーゲンビル)において展開された。私は既に、スーダンの国民投票に関する私たちの努力については言及を行った。

Ⅳ.主要な挑戦と成功への要素

  1. 予防外交は著しく成長し発展する一方で、それは容易ではなく、まっすぐに進むものでもなく、必ず成功するものでもない。それは、大きな障害や予想できないことに直面するが、成功は複数の要因によってもたらされ、その中で最も決定的なものは当事者の意思である。仮に当事者が平和を欲せず、あるいは妥協を望まなければ、特に外部者にとっては、別のやり方で彼らを説得するのは非常に困難である。そのような場合には、それらの主権に適正な尊重をしながら、暴力を超えて対話を選択する事、そして必要であれば、その目的のために外部からの支援を受け入れる事には価値があるという、予防外交と行動の奨励および行動をとらない奨励を引き出す力との連結が不可欠である。
  2. 特に国内における危機の状況においては、適正ではない干渉や、国家の国内事情の望まれない「国際化」に対する懸念もあるだろう。関与のための開放の欠如は、国際共同体の手を縛り、一方で目に見えて崩壊する状況では人間の対価は上がる―皮肉な事に、その時点で、時に政治的な行動への空間が開く。特に深刻なあるいは切迫した国際の平和と安全に対する脅威に直面した時、外交単独では効果的ではないだろうし、もし必要であれば、憲章第七章下の強制措置を含む他の形態の力によって補完される必要もあるだろう。
  3. それにもかかわらず、多数の挑戦があるにせよ、外交の成功への機会を最大限化する段階を踏む事ができる。その点において国際連合と私たちのパートナーの多くの経験の中の、主要な要素を以下に述べることにする。

A.早期警報

  1. 早期警報は拡大され改善されているが、その内容は過去10年間の間に変化している。数年前までは、世界の迫り来る状況に関する情報は不十分であった;挑戦は、むしろそれを得ていることにある。今日では、挑戦は、ある意味反対である:情報は大量であり、選り分けられ、評価されそして統合されなければならない。しかしながら、危機を予想するのは不確実な仕事であり、国際共同体は、いまだ時として、南部キルギスタン中を引き裂いた2010年6月の民族的に狙い撃ちされた暴力や、2011年に中東と北アフリカを揺るがした民衆の騒動の波のように、不意をつかれることもある。
  2. 早期警報に関する国際連合内での協力は改善されている。国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)やジェノサイドおよび大規模な残虐行為の予防のための特別助言者事務所などの、制度の専門化された部門は、情報をふるいにかけ、そうでなければ発見を免れるかもしれない人権侵害や煽動演説の傾向のような、危険な指標に対して注意を喚起する主要な役割を果たす。同様に、双方とも早期警報システムを行っている国際連合と、アフリカ連合やECOWASのような地域機構との緊密な協力は、より多くのそしてより良いデータを確保する。しかしながら、これらのデータで私たちの分析を蓄積している範囲は変動している。とりわけ、私たちのためには、紛争当事者が、彼らの目的を達成するために暴力を使用する、あるいは拡大することを決定する、あるいは強要されたと感じる時である、これらの「境界点の瞬間」をより良く予測するための必要性がある。私たちが主要関係者の動機や計算をより良く理解するほど、私たちはより良く予防的な対応を形作ることができる。
  3. あらゆる状況の私たちの分析は、近接する地域の知識と、多数の関係者との定期的な接触により改善される。その地域および準地域機構のパートナーに加えて、国際連合は地上において市民社会、議会、ビジネス界、影響力のある学術機関およびシンクタンクと、より緊密に活動し始めている。特に女性団体は、早期警報において重要な役割を果たす。私たちは、私たちの分析能力を顕著に拡大した、これらの必要不可欠なネットワークを拡大し続けなければならない。
  4. いくら早期警報が正確であろうとも、真の試練はそれが早期の行動を導くか否かということである。成功した関与と失敗が予測されるものとの相違は、しばしば問題の最初の警報徴候と、それを表明する最初の段階との間の失われた時間により測られる。この報告書によって記述されたように、この「警報から行動までの連続」は、国際共同体が様々な理由で立ち向かうのに最も難しいとわかった挑戦である。しかしながら、より大きいがより遅く発展した対応よりも、例えば安全保障理事会による憂慮の声明、事実調査ミッションあるいは事務総長による時宜を得た手段のように、とられた行動は小さくとも、これらは主要な関係者の計算についてより重要な効果を持ちうる。特に、これらの行動が、国際社会による持続的な焦点であると、明確に表明するときには当てはまる。

B.柔軟性

  1. 紛争は本来動態的で予測不可能である。例えば、国家内部の戦争は、何度も開始したり終了したりする。それらは突然深化し拡大することもある。そのため、紛争を予防、移行、管理または解決するあらゆる介入は、柔軟であり地上における必要性に適していなければならず、私たちの機構上の仕組みに基づいていてはならない。そもそもその多くの価値は適応性に依拠するため、これは予防外交にとってとりわけ当てはまる。
  2. 異なる地域、社会およびグループは、異なる予防外交のアプローチを好む傾向がある。間接的な会談(第三者と紛争の一当事者との間)が、ある地域においてはより好まれる模範と思えるが、一方で、他の地域においては直接的な会談(紛争の当事者間)の方がよりはっきりと一般的であるⅹⅳ。ある地域においては、大きな機関に所属しない独立した主体が比較優位を有するだろうし、他では違う。どのようなアプローチを選択したとしても、そして誰がそれを遂行しようと、明白な目的を追求する一方で、それが地域の傾向を考慮しそして柔軟性を保持すれば、私たちの関与はより成功する方向となる。
  3. 私たちは非常に流動的な地政学的眺望の中で行動し、さらに暴力の変化する方向を表明するために私たちの手段を適用させる柔軟性を示さなければならない。今日武力紛争により打ちひしがれた国家は、しばしば、特に人身売買、麻薬そして略奪した資源などの付随する国境を越えた組織犯罪の勃興を見ることがある。これは紛争を終了させるという努力を複雑化し、紛争後の段階においてさえも高い水準の暴力を焚き付ける。私たちの存在する予防外交の手段は、国境を越えた組織的な犯罪を抑制する一連の地域的および世界的な努力を強化することにより、また法の支配を強化するために脆弱国家を助ける長期の努力を促進することにより、これらの挑戦を表明する助けとなるだろう。

C.パートナーシップ

  1. 地域および準地域機構は、それらの地域において、危機的な状況に対して独特の影響力、有利さ、そしてアクセスを有している。国際連合憲章の起草者は、地域的取極のための明確な役割とともに、世界的な集団安全保障の設計を予見した先見性を有する人々であった。私たちが今日直面する多大に複雑な展望の中で、ますます国際連合は様々な方式で地域的な関係者と力を合わせて行動しつつある:先導する役割、支援する役割、責任を分担する役割、連続した展開そして、いくつかの共同作戦において。
  2. 過去5年間に、私たちはアフリカ連合、欧州連合、OSCE、OAS、カリブ共同体(CARICOM)、ECOWAS、SADC、ASEAN、OICその他と共に、既存のあるいは新たな紛争予防および仲介パートナーシップを深め、あるいは設立した。予算外の資源を一部使用することを通じ、私たちは地域的な能力を構築するためにイニシアチブを取ることができ、地域的な経験から学ぶことができた。幅広い平和と安全保障の事項に関する共同訓練プログラムが現在使用可能である。しかし、かなり少数の例外を除きⅹⅴ、国際連合、地域機構そして他のアクターは、実際の時に特定の事例に対して誰が何をするべきであるかを決定する共有のメカニズムや手続がないという事実より、共働作用は時間がかかり、達成するために努力し、容易にもたらされるものではない。この点について私たちが私たちの公式な機構の上の経路と儀礼を改善するために行動することにより、私たちは地域的なパートナーとともに主要な個人的関係に対しても投資を行うことになり、より緊密な協力の基盤を形成している。
  3. 同時に、過去数年にわたって、脆弱なそして紛争に影響された国家について、世界銀行およびほかの金融機関との私たちの協力は拡大し、それらが提供することができる独特のインセンティブに基づくこれらの機関の力が、通常の外交努力の背後に控えている時に、私たちは真の利益を見る。私たちは、これらの不可欠な連関を表明する私たちの組み合わされた努力への重要な貢献として、世界銀行による『2011年世界開発報告:紛争、安全保障および開発』の公刊を歓迎する。
  4. 独立の仲介官の役割は、ますます重要となっており、私たちは彼らのうちの数名とより緊密な連関を促進し始めた。私たちは、既に高齢者のグループ、市民社会組織、女性グループ、シンクタンク、研究者、メディアおよびビジネス共同体のような、予防外交の分野における他の関係者にも達している。特に、しばしば周辺化されているが平和的な変化への責務を導くことができる、女性と若者のような市民社会と、私たちが行動する道筋を改善するための必要な転換が進行中である。
  5. 最後に、私たちは、私たちの予防努力を最大化するために、しばしば共通点はないものの、私たちの数多い手段を統合して、国際連合システム内のパートナーシップを改善するために行動している。例えば、近年のギニアにおける関与では、安全保障理事会の参加や、私の個人的な介入そしてダカールにおける私の特別代表によるコナクリへの40回以上の実質的な訪問が要請された。開発、人道、人権そして安全保障の分野における専門家と平行し、政治分析官、選挙の専門家および仲介の助言者の支援と同様に、政務局と西アフリカのための国際連合事務所による効果的なリーダーシップと後方支援、常駐調整官と国際連合国別現地チームによる積極的な貢献、国際連合が率いる審査委員会そして新たなOHCHR事務所の開設も要請された。選挙プロセスを保護するためにECOWASの仲介と献身的な安全保障軍の双方を支援した、私たちの平和構築基金も必要不可欠な貢献を行った。一つの主要な時点では、リベリアミッションより貸与された国際連合のヘリコプターが、遠隔地からコナクリへと、時間に影響を受けやすい選挙物資の輸送を確保した。

D.持続可能性

  1. 予防外交は、典型的には政治的緊張が高まるあるいは勃興する危機の期間中、公的な決定が関与する。いったん難局が解決されるか、または危機的な瞬間が去ると、どのように外交的な前進が維持されるかという問題を残したまま、規模を縮小する傾向にある。紛争後の仲介の文脈では、近年、多くの重要性が和平合意の永続性に帰するとされている。予防外交の関与は、必ずしも公式の協定を導かないが、2008年にケニアでアナンが行った仲介のように、最も成功したものは、根底にある紛争の原因を表明するためにより長い期間のプロセスのための基盤を築くことで、国家のカウンターパートを支援したものである。この点において鍵となるものは、対話を勝利させることを通じて紛争を予防することができるように設計され、そして認められる機関であり、紛争の平和的解決のためのフォーラムを供することである。多くの文脈において、これらは「平和のための国家インフラストラクチャー」として知られるようになった。
  2. 紛争予防のための国家的資源を構築するのと平行して、特定の時点で必要になった場合には、一般的な今までの状況よりも長い間、静かな国際あるいは地域的な促進手段が利用可能であり続けなければならない。私たちの地域事務所、国内の政治ミッション、そして国別現地チームと同様に、平和構築委員会がこの点について重要な役割を果たす。
  3. 永続的であるためには、予防外交への関与は政策決定者や高官の輪から、全体としての市民社会へと拡大されなければならない。しかしながら、永続性のある解決方法の方向へ市民社会のリーダーと行動する際には、しばしばトラックIの予防外交を主要な焦点としている使節の活動の責任範囲―そして能力―を超える。そのため、理想的には、使節とそれらのチームは、共同の戦略や、国際連合と地上においてより長い期間平和構築の努力に従事する他の関係者との役割分担を開発しなければならない。トラックUおよび「人々から人々」というトラックV外交を支援することを専門としている民間団体は、そのような文脈において価値のある対話者となることができる。

E.評価

  1. 私たちは、予防外交が効果的な時を知っているが、これを実証的に証明するのは難しい。私たちの存在する評価は、私たちが地上で見る複雑な現実には良く適応してはおらず、重要な政治的結果は測定が難しい。加えて、元事務総長ペレス・デクエヤルの言葉によれば、「どれだけ多くの紛争が、必要な時には相当に不透明になる有名なガラスの邸宅の中で行われた接触を通じて、予防されてきたかまたは制限されてきたかを誰も知ることはない」ⅹⅵ。静かな外交は、国連の口頭の、地域機構のあるいは年長者の会合の中の口頭による伝統の中に生きているが、その込み入った事柄が紙に託されることはほとんどない。
  2. しかしながら、私たちは、財務による、そして同様に投票者による予算上の厳格性や吟味の時代に、結果を監視し、影響を測定し、予防を機能するというしっかりした証拠を提示する私たちの能力を向上させること、そして成功を伝達しなければならないことを知っている。より多く私たちが行えば、何が効果的で何がそうでないかを私たちはより多く学ぶ。機構の中において、文書化の取決めや、分析の教訓、そして約束された実行の抽出について、私たちは過去数年間進展してきた。

F.資源

  1. 外交は強い個人的な技術であり、私たちの最も価値のある資源は人間である。効果的であるためには、仲介者や使節は、得るのには難しいが失うのは易しい信頼性や無形の質を持たなければならない。彼らは思慮分別、中立性、透明性そして秘密性に基づき行動し、いかにして信頼を得て信用を生じさせるかを知らなければならない。彼らは、最も手に負えない問題であっても解決可能だという確信を構築できなくてはならない。これらは、容易に評価できる技術ではない。外交における「人間の要素」は、最も不確定であり、計画するのは最も困難であり、議論のあるところではあるがしかし、いかなる予防外交の関与も機能する上で最も枢要なものである。当を得た人々がそれらを使用し、それらを執行することなしには、最高の手段も戦略もそれほど価値はもたない。
  2. したがって、機構は過去数年間にわたって、地球上での脆弱な状況に展開可能な上級使節、仲介者および専門家のロスターを向上させることに、相当な労力を割いてきた。私たちは、この点について、私たちの相互ネットワークを拡大するため、加盟国、地域の関係者、そして他と共にする私たちのパートナーシップに期待する。また、最近公表された紛争後における市民の能力に関する上級助言グループの独立報告書(A/65/747-S/2011/85)も、ロスターを強化し、それらの情報利用可能性を拡大するために、いくつもの価値ある勧告をしている。私はこれらの勧告を行うことを可能にする方法を提案する、運営委員会を設立した。
  3. しかしながら、最も経験のある使節も、一人でそれを行うことはできない。国際連合においては、上級使節に高い水準の支援と後方支援を供することができ、段階的に彼らに加わることができる職員の基幹人員を構築するために、私たちは投資をしている。私たちは、本部とフィールドの流動性を促進する努力を加速している。私たちの仲介支援ユニットおよびシステムにおける他の能力を通じて、私たちは、主要なテーマそして実務上の懸念について私たちの使節に提供することができる、技術上の専門知識を向上させるため行動している。
  4. 予防外交は、費用効果は高いが、結果をもたらすためには継続する財政的投資が必要である。2010年には、安全保障理事会は機構に対して「予防外交手段の使用を最善にするため、予測可能で、一貫し、時宜を得た財政上の支援」を提供する必要性を再確認したⅹⅶ。発生する危機と平和創造の機会への迅速そして柔軟な反応を許容するためには、自発的拠出金がきわめて重要であり続ける。それらの使用可能性は、真性の緊急展開能力とともに、安定性と予測可能性を補完することを私たちに許容し、私は加盟国に対して、この支援を供し続けることを奨励する。

Ⅴ.前進への所見および意見

  1. 安全保障理事会は、地域機構および他の関係者と協力して、国際連合システム内の予防外交手段の使用をいかに最大限化するかという最適な方法につき、勧告を行う報告書を私が提出するよう要請した。本報告書において、私は近年の確信と変革する実行、私たちが使用可能な手段、および私たちが直面し続けている主要な挑戦について発表してきた。本報告書においては、成功裏に表明されれば、私たちが先進の議題を追求するにつれ、前方の道を平滑にすることを助けるであろう多くの事案について提起した。
  2. 私たちは、発展してきた予防外交のメカニズムにつき、国際連合の中でそして地域および準地域機構においてなされてきた改善をもとに事を進めなければならない。国際連合および地域そして他のパートナー間での定期的そして非公式の早期警報の対話は、私たちが情報を蓄積することを許容し、主要関係者が暴力を使うことを決定するであろう「境界点の瞬間」を私たちが予測することを助ける。しかしながら、予防外交は早期の行動を導きだす時のみ有用であって、私たちは早期に地上における当事者の計算に影響を及ぼすことができる、複数の関係者による憂慮の声明や事実調査ミッションのような、一見すると小さな段階も含めた、勃興する脅威を表明するための幅広い選択肢を考慮する必要がある。
  3. 私たちはまた、地上において暴力的な紛争を防ぐ私たちの努力を導く、「予防外交官」に投資しそしてよりよく装備させる私たちの努力を継続しなければならない。私たちは、女性の上級仲介者の数を増加させることに焦点を当て、憂慮する状況に迅速に展開することができる、高い技能を有する使節と仲介者の私たちのリストを拡大する必要があるだろうⅹⅷ。一度展開されれば、容易にかつ迅速に、仲介専門家の待機チームの大きな需要を有するサービスのような、一流のテーマ別専門家を促すことができる。国際連合、地域機構および加盟国のための長期的な優先事項は、上級使節および仲介者を支援する職員の訓練に投資し、段階的に彼らに加わるようにすることである。
  4. 予防外交は、結果を出すために十分な財政上の投資が必要である。特に緊急展開能力に関して、私は加盟国に対し、予測可能で時宜を得た財政支援を確保するよう呼びかけた。同時に、私たちは、私たちが既に有する資源の影響も最大限化するよう作業を進めて行く。
  5. 紛争予防の分野において、国際連合は、地域および準地域機構、加盟国および市民社会とパートナーシップをうまく築いてきた。しかしながら、この分野における私たちの完全な可能性を使い切るためには、私たちは特に地域のパートナーとの間で、これらの関係をより強くする必要がある。私たちは、作業段階でのより定期的な意見および情報の交換と同時に、政治的な懸念の事案について、より戦略的な対話を視野に入れている。危機の状況では、私たちは誰が何をすることができ、何をどう助けるかを早急に決定することができる必要がある。安全保障理事会は、近年の努力を拡大し、そして地域機構とのより協力な関係を発展させることを願うであろう。
  6. 私たちはまた、国際的に導かれた予防外交の努力は、短期間の暴力のみを防止することに役立つであろうことを認識しなければならない。最終的には、長期的には国家のメカニズムと機構が、暴力的な紛争を持続的に予防することができる。それゆえ、私たちは仲介、促進および対話の国家的能力を支援すること、そして彼らの要請に応じて紛争予防のための国家システムを構築する、私たちのカウンターパートを支援することを優先的に行われなければならない。私たちはまた、平和的な変容のための主要な行為者である、特に女性や若者といった市民社会と私たちが行動するやり方を改善しなければならない。
  7. 結論として、比較的控えめな資源とともに、世界の多くの地域において、今日の予防外交は強固な結果をもたらし、命を救うことを助けて発展の利得を保護している。それは全ての状況において効果的とはならないアプローチであろうし、ある意味、周囲の環境から来る不確実性や、リスクおよび変容する挑戦に直面し続けるであろう。しかしながら、私はよりよい予防外交は選択的ではないと固く信じている;それは必要である。
  8. より多くの知識、より強いパートナーシップとより良い手段により、私は平和、安全保障および発展に利する予防対抗のための、国際社会の能力はさらに強化できると確信している。これは国際連合の永続的な考えであって、明確に将来を有するものである。事務総長としての私の二期目の間予防外交は主要な優先課題であり続けるであろうし、私たちが集団的にこの仕事を前に進めるにつれて、私は加盟国、地域機構、市民社会および他のパートナーの支援に期待する。疑いなく、それは、私たちがすることができる一番賢い投資の一つである。

* 1954年9月11日にワシントンDCの米国政治学協会において行われた前国連事務総長ダグ・ハマーショルドによる演説からの抜粋。

  1. 1992年6月17日の「平和への課題:予防外交、平和創造および平和維持」(A/47/277-S/24111)を参照。
  2. 2010年5月4日のブエノスアイレスにおける、南米諸国連合の国家および政府首脳理事会の宣言、パラグラフ5。
  3. 2011年6月に、機構の名称は、イスラム協力機構に変更された。
  4. 例えば、欧州連合、全欧安保協力機構(OSCE)、アフリカ連合および多くのアフリカの準地域機構が、早期警報システムを発展させている。
  5. 事例には、European Union's Instrument for Stability, the flexible financing mechanism for rapid response set up by the Department of Political Affairs of the United Nations Secretariat and the Immediate Response Facility of the Peacebuilding Fundを含む。
  6. 例えば、2008年における加盟国が支援した強化として、the Department of Political Affairs, the Panel of the Wise of the African Union, the Council of the Wise of the Economic Community of West African States (ECOWAS), new structures of the European External Action Service of the European Union, such as the Directorate for Conflict Prevention and Security Policy and, within that, the Peacebuilding, Conflict Prevention and Mediation Unit。
  7. 例えば、米州機構(OAS)と国際連合は、共同仲介パートナーシップを締結し、それはOASを基盤とする仲介フェローの基金;加盟国職員のための共同仲介訓練;およびOAS専門ロスタ―、行動後の審査方法およびジェンダー戦略を含む。
  8. Richard Gowan, ed., Review of Political Missions 2010 (Center on International Cooperation, 2010)を参照のこと。
  9. http://www.pcr.uu.se/digitalAssets/19/19228_UCDP_PRIO_ ArmedConflictDataset_V4_2010.xlsにおいて取得可能な、Uppsala Conflict Data Program/Peace Research Institute Oslo Armed Conflict Dataset, version 4-2010, 1946-2009。
  10. World Bank, 2011 World Development Report: Conflict, Security and Development (Washington, D.C., 2011)を参照のこと。
  11. 通常予算の強化は、総会決議63/261において承認され、私はA/65/161においてその強化を遂行した。要請されたポストの半分しか総会において承認されず、政務局の中心的能力への加盟国による増大した要請により、局は増加した予算外予算の支援を最近受けた。http://www.un.org/wcm/content/site/undpa/annualreport_13052011を参照のこと。
  12. 国際連合常駐政治ミッションは次を含む:Office of the United Nations Special Coordinator for Lebanon; Office of the United Nations Special Coordinator for the Middle East Peace Process; Special Adviser of the Secretary-General on Cyprus; United Nations Assistance Mission for Iraq (UNAMI); United Nations Assistance Mission in Afghanistan (UNAMA); United Nations Integrated Peacebuilding Office in Sierra Leone (UNIPSIL); United Nations Integrated Peacebuilding Support Office in Guinea-Bissau (UNIOGBIS); United Nations Integrated Peacebuilding Support Office in the Central African Republic (BINUCA); United Nations Office in Burundi (BNUB); United Nations Political Office for Somalia (UNPOS); United Nations Representative to the Geneva International Discussions; and United Nations support for the Cameroon-Nigeria Mixed Commission
  13. James D. Fearon, "Why Do Some Civil Wars Last So Much Longer than Others?", Journal of Peace Research, vol. 41, No. 3.
  14. 1993年から2004年までのそのような122の紛争を扱った、スウェーデン・ウプサラ大学の平和および紛争研究局による、"Managing low-intensity intra-State conflict"を参照のこと。
  15. 国際連合とアフリカ連合は、最近仲介パートナーシップのための共同ガイドラインを完結させた。
  16. Adam Roberts and Benedict Kingsbury, eds., United Nations, Divided World: The UN's Roles in International Relations (Oxford, Clarendon Press, 1988).
  17. 安全保障理事会の公開討論の期間に採択された、2010年7月16日の安全保障理事会議長声明"Maintenance of international peace and security: optimizing the use of preventive diplomacy tools: prospects and challenges in Africa"(S/PRST/2010/14)。
  18. 仲介およびその支援活動の拡大に関する事務総長報告書(S/2009/189、パラグラフ62(f))を参照のこと。