A/65/354−S/2010/466

総会
安全保障理事会

配布:一般
2010年9月7日
原文:英語

総会
第65回会期

仮議事日程の議題28(a)および122
安全保障理事会
第65年

女性の促進
国連システムの強化

平和構築における女性の参加
事務総長報告書

目次

  1. 内容
  2. 女性の紛争後ニーズおよび彼女らの平和構築参加に対する挑戦
  3. ジェンダーに対応した平和構築のための行動計画
  4. 結論および見解
 

I.序

  1. 安全保障理事会決議1889(2009)で安保理は、事務総長に、12か月以内に平和構築における女性の参加に関する報告書を安保理に提出するように要請した。平和構築委員会、加盟国、紛争から立ち直る国の利害関係者、国際連合システム内外の従事者、および市民社会組織との協議の後、私はこの報告書を安保理に提出する。
  2. この報告書は、紛争後状況における女性とのニーズを分析し、紛争の防止、解決および復興における女性の参加の挑戦を確認し、女性の優先事項が扱われ、彼女らの安全な参加が実現され、平和構築においてジェンダーの視点が適用され、すべての公的な活動が国の国際人権義務と合致することの確保を目的とした国および国際的な措置を特定するものである。
  3. 決議1889(2009)は、女性と平和および安全の問題を取り扱う四つの安全保障理事会決議のうち最も新しいものである。その基盤は、平和と安全の維持および促進における女性の平等な参加、および紛争防止、和平交渉、平和維持活動、人道援助および紛争後の復興にジェンダーの視点を主流化することを要請した決議1325(2000)によって築かれた。決議1820(2008)および決議1888(2009)は、紛争に関連した性的暴力の防止および対応について焦点をしぼっている。決議1889(2009)では、安保理は、例えば、決議1325(2000)の実施を追跡するグローバルな指標の開発や、紛争後計画および財政におけるジェンダーの側面により注視することを要請した。
  4. この10年間、より強固に決議1325(2000)を実施する必要性は繰り返し登場した「主題(モチーフ)」であった。遅い進展に留意し、安保理は決議1820(2009)において、意思決定レベルにおける女性の平等かつ完全な参加の促進にさらなる努力がはかられるよう促した。決議1889(2009)では、安保理は紛争の防止および解決において女性が完全な関与することおよび紛争後の公的な生活における参加に対していまだ存在しつづける障害に対して深い憂慮を表した。議長声明では、安保理は公式な和平過程において女性が変わらず過少に代表されていることに注意を引き(S/PRST/2005/52を参照)、調停過程における女性の公的役割の数が非常に少ないことも憂慮しつつ留意した(S/PRST/2005/8)。
  5. 決議1325(2000)採択10周年は、これまで達成できたことおよびなぜもっとできなかったのかを確定する機会を提供するものである。私は、決議1325(2000)実施のハイレベル運営委員会を立ち上げ、また2010年6月に開催された、女性との対話のグローバルな一般公開日に地域の代表が参加するように指示したことによってこの過程を支援してきた。加盟国は、協議を組織し、国内行動計画を発展させてきた。これらの努力に対する市民社会による貢献は、実質的で触媒的なものであった。さらなる刺激は、北京行動綱領実施の15年評価およびその大臣級年次評価におけるジェンダー問題の焦点からも生まれた。今年は、総会によるジェンダー平等および女性のエンパワーメント国際連合組織(UNウィメン)の創設を目撃することができた。われわれはこのような契機の上に築くことをしなければならない。今こそ、資金および国内、国際、公的、私的、女性および男性といったすべての関係者による約束に支えられている組織的な、焦点がしぼられかつ持続的な行動をとるときなのである。
  6. したがって、この報告書の核となる部分は、国内および国際的な行為者間の実行の変革および現場における成果の改善を目的とした詳細な行動計画によって構成されている。この計画の7つの約束は次のことを確保することを目的とする。(a)すべての和平会談に女性は完全に関与し、また時機にかなったジェンダーの専門性が提供されること、(b)ドナー会議を含む紛争後計画過程において、女性が実質的な役割を果たし、またジェンダーの平等に包括的な注意が確保されるための方法が用いられること、(c)適切な資金(目標にされたものおよび主流化されたものの両方)が、女性の特定のニーズを扱いジェンダー平等の促進および女性のエンパワーメントの促進のために提供されること、(d)より女性が利用しやすい国家制度再建の専門家を含め、配置された文民が専門的な技術を持っていること、(e)女性が、文民行為主体として、クォータ制のような暫定的特別措置を含め選出された代表または公的機関の意思決定者として、紛争後の統治に完全に参加できること、(f)女性に対して侵された不正義に対する是正の過程および女性の権利侵害を防止し対応するための安全保障行為者の能力改善における女性の参加を奨励する法の支配イニシアチブ、(g)雇用創出計画、共同体開発計画および最先端サービス供給における女性の関与を優先的に行う経済的復興。

U.内容

  1. 平和構築における女性の参加を確保することは、単に女性や少女の権利だけの問題ではない。女性は、三つの永続的平和の柱―経済復興、社会的結合、および政治的正当性―を支えるための重要なパートナーである。この50年で最も成長しているいくつかの世界の経済国は、紛争の灰の中からはいあがった。これらの国の成功は、一部は生産、貿易および企業家における増加する女性の役割によるものであった1。これは、女性の教育の向上および女性の農業拡張、信用への利用可能性拡大が関与した。社会的結合に関し、安全保障理事会は社会の基本構造再建において女性が鍵となる役割を果たしうることを認めた(S/PRST/2009/23を参照)。女性は自分たちの収入のうちより多くを家族(彼女たちの子どもおよび拡大親族ネットワークの構成員)の利益となる支出に男性よりも費やす2。このような本質的な機能を果たしつづけるために、女性は社会サービスおよび利益をもたらす資産に対する利用権と女性が世帯主をつとめるという現実に適合した国家制度も必要である。最後に、女性が文民の指導者および公務員に従事することは、より内包的な政治と統治の形態の信号を発しまた奨励する。これに対して、公職において女性が十分に代表されていないか、女性および少女の権利が刑事責任の免除によって侵害されている場合、政治的正当性は損傷を受ける3。この結果、政府に対して低下する信頼、法の支配の劣化および集団的行動のための人々の支持を得ることに増幅する困難をもたらし、すなわち、持続的な平和をむしばむ状況となる。
  2. 紛争の防止、解決および復興の過程において女性の参加が増加するための努力は、女性に対する紛争の影響と取り組むこと、平和構築にジェンダーの視点を採用する必要と密接に関係している。これらの三つの要素―女性の参加、ジェンダーの分析の適用および紛争後の女性の優先順位への対応―は、あまりにも頻繁に、悪循環に陥る。和平協定や復興枠組みの策定過程からの女性の排除は、しばしば、ジェンダーの不平等を正したり、女性の不安定性の扱いに不十分な注意しか向けられていないことを意味する。その結果、女性のニーズは充足されず、彼女たちの能力は十分に活用されないままとなる。われわれは、このような悪の循環を善の循環に変えねばならない。平和創造に女性が従事することが紛争後計画にジェンダーの視点を導入させることになり、女性にとってより改善された成果および長期的平和構築に参加するための促進された能力を生むために。
  3. これははるかに複雑な現実の概略図を表したにすぎない。すべての意思決定地位にある女性が、平和構築の問題についてジェンダーの視点を適用するわけではない(ただ、一部に他の女性に接近しやすいため、実行としては、男性よりもよりそうすると思われるが)。ジェンダーの分析だけで、ある政策が女性の優先順位をうまく扱うことを確保することはできない。というのも、持続的な資金や献身的なリーダーシップは同様に重要だからである。公的な制度が、紛争後に女性や少女が直面する苦悩を緩和できても、その他の障害が、女性が公的な生活を送るのを拒むこともある。社会的慣行や法律に規定される既成のジェンダーの偏見も、紛争後の統治における女性の関与にとって重大な傷害となる。このような警告を認識しても、それによってわれわれは行動を起こすことを思いとどまってはならない。多くの国では、ジェンダーの分析の適用、紛争後の女性および少女のニーズの対応、並びに平和創造および平和構築における女性の関与は、相互に強化するものであった。
  4. 持続的平和に対して女性が貢献しうる能力とそのように試みた際、彼女らが直面する障害を認識することは、従前の状態を回復する以上の平和構築のアプローチを要する。紛争後、再建は大変な仕事であるが、「よりよい再建」の機会を意味する。これは国家の制度の能力および物理的な社会的基盤の質と同様に、女性の地位に関してもいえることである。平和構築者は、ジェンダーの不平等や性に基づいた差別を含むすべての不正義の形態に取り組まなければならない。これは、紛争中に女性が受け継ぐ新しい役割―戦闘員、家族のために供給する経済的行為者、共同体和解に従事した活動家として―を認識することを要する。紛争直後の時期において、男性が容認できると判断する役割に女性を降格することに、国内的、国際的行為主体のいずれも共犯者であってはならず、そのかわり女性すべての市民的、政治的、経済的、社会的および文化的権利の完全な受給を再確認する女子差別撤廃条約を含む国際的人権基準が支持されていることを保障しなければならない。
  5. 国の能力の強化および国の主体的取り組みの保障は、効果的な平和構築の重要な要素である。外的支援は、国を持続的な平和への探求のところまでしか到達させない。復興および再建に女性が貢献できるようにすることは、平和構築の努力を持続させる国の能力を強化するのに重要である。同様に、意思決定過程における女性の役割増加促進の努力は、国の半分がその設計や実施に積極的に関与していないのならば、平和構築戦略が完全に「認められている」とはいえないという認識に基づかねばならない。

V.女性の紛争後ニーズおよび彼女らの平和構築参加に対する挑戦

  1. 女性の紛争後ニーズおよび平和構築の参加に対する挑戦に、紛争後の状況における女性は同質のグループではなく、いずれかの一つの分類にうまく収まる女性は存在しない。女性の元戦闘員は、安全保障の軍隊に入ったり、文民の生活に戻る際、独特の障害に直面する。未亡人も特別の支援を必要とする。性的あるいはジェンダーに基づく暴力の生存者や障害やHIVエイズの女性や少女は、追加的なトラウマや差別の層に悩まされ、さらに周辺へと追いやられてしまう。退去させられた女性は、独特の挑戦と取り組まねばならない。階級、地域、民族の違いも、認識されなければならない。
  2. 彼女たちの多様性にあっても、紛争に影響を受けた女性は、その大半の人々を反映する。確かに、多くの側面で紛争後女性のニーズは、紛争直後における平和構築に関する2009年事務総長報告書(A/63/1881−S/2009/304)において概観された5つの「繰り返される優先順位」と類似している。それは、(a)正義および法の支配の尊重を含む安全(b)包括的対話および紛争後選挙の両方を通した政治過程における信頼(c)水や衛生といった基本的サービスへの利用権(d)最低限政府資金や公的記録を管理することができる機能する行政、および(e)とくに雇用創出および社会的基盤の改善といった経済的再生である。
  3. この問題を遂行するにあたって、われわれの対応は、女性と男性の異なる優先順位や能力の理解に基づかねばならない。その後の段階の平和構築に、ジェンダーの問題の考察を帰属させることは、制度設計から計画の執行における資金の分配まで、それらの中心的役割をすべて無視することになる。ジェンダーに対応したアプローチは、以下に概観されるように、5つの平和構築の優先順位それぞれに必要とされる。
  4. 女性のための安全を提供することは、紛争後直面する特定の脅威の認識を必要とする。女性に対する暴力は、平和時においてさえ、重大な問題である。事務総長は、「団結しよう、女性の暴力を終わらせるために」キャンペーンを含め、この問題に優先的に取り組んだ。紛争後の環境は、追加的な挑戦を提示する。異常に高いレベルで行われる性的暴力は、ほとんどすべての紛争に伴っている。武力紛争における性的暴力は、その文脈、範囲そして意図により、戦争犯罪、人道に対する罪または集団殺害を構成しうる。性的暴力が顕著に特徴づけられた紛争の場合、このような暴力は典型的に紛争後の時期にも残存する。広範囲または組織的な性的暴力によって特徴づけられることのない紛争であっても、女性に対する脅威は、絶えることがない。このような犯罪を文明的行為の垣根を超えるものする社会的タブーは、たび重なる違犯によって弱体化される。弱い法執行および司法制度とあいまって、社会的非難の低下は、性的暴力を例外的なできごと―そして暴力の源―から日常生活の残忍な特性へと変身させる。
  5. もろい停戦が流布し、国の保安軍および国際的な平和維持者が蔓延する性的暴力に対する主要な防波堤を構成しているような環境において、女性の安全は、性的暴力の探知、防止、そして対応に関する特別な方法の採択を必要とする。このような技術の目録は、紛争における性的暴力の事務総長特別代表のリーダーシップの利益を得る13の国際連合組織のネットワークである国際連合紛争下の性暴力に対抗する活動の支援によって開発された。このおよびその他のイニシアチブは、決議1888(2009)に従って準備された安全保障紛争関連性的暴力に関する事務総長報告書において詳述される予定である。
  6. 紛争の終わりにおいて、女性および少女の安全はまた、家族の中でも脅かされる。女性は、夫、義理の父、子ども、親や親せきによる暴力に服従させられる。戦争未亡人は、亡くなった男性の財産相続の対ライバル請求者への威嚇を熱望する親せきの標的となりうる。伝統的な稼ぎ手や家族の保護者としての役割を演じることのできない男性が経験する無力感は、やはり女性に対する暴力に拍車をかける。女性はこのような暴力を、家族の家から追い出される、または女性が告訴した家庭内暴力告発の記録や行動をしばしば拒否する警察によるさらなる暴力を恐れて、届け出ることを思いとどまされるのである。
  7. 法の執行、司法および矯正施設における女性の不安を効果的に防止または対応できないことは、法の支配促進においてジェンダーに対応したアプローチの必要性を強調する。多くの場合、女性に対する暴力を犯罪とする法律は存在しない。レイプを含む婚姻関係内の暴力のいくつかの形態は、犯罪として考えられていない。レイプを証明するための対処のレベルも不当に高く、司法過程は被害者のために少ない保護を提供する。土地および相続に関する法律は女性を差別し、法執行および司法機関は、資金および能力に欠き、そして女性囚人の特別なニーズはしばしば問題とされない。このような問題は、組織的なもので、すべてのレベルにおける―国レベルにおけるジェンダーに敏感な保安部門から草の根レベルにおける共同体に基盤をおく警備イニシアチブまで―法の支配の調整された対応が必要とされる。武装解除、動員解除および再統合計画に、直接的且つ持続的に女性が関与することは、彼女たちの安全を確保する別の重大な要因である。加えて、すべての刑事責任の免除の形態は根絶されねばならないだけでなく、女性は、処罰や補償を含む救済の請求、公務員、訴訟当事者、裁判官、検察官、弁護人、警察または矯正施設官または軍隊の構成員を問わず、改革制度に参加できるように力が与えられなければならない。非公式および伝統的な紛争解決制度の付託および手続きも、国際法と合致させられなければならない。
  8. 法の支配の尊重は、平和構築に関して繰り返される2つ目の優先事項である、政治過程における信頼と緊密に絡み合っている。代表機関に対する公の信頼は、警察が法の執行や、裁判官が法の支配の侵犯者の処罰、政府部門が計画的または規制的な法規定の執行、または法制定者が問題ある規程の改革ができなかったと政治的利益供与者が明白にしたと人々が結論づけたときに、低下する。女性にとって、彼女たちに対する差別的法規則−彼女たちの正義を否定する組織的な偏見をもつ高官によって運営されている―は、基本的に法に違反する政治的執行を反映するものである。紛争中に公の卓越性を獲得したとしても、法と慣習が合わさって女性が政治的場における効果的な表現を得ることを防止するために、このような周辺に追いやられたという感覚は激化する。女性が、政治的生活から排除される理由としては、経済的欠乏、政治的に行動している女性の尊敬を否定するジェンダー・ステレオタイプ、女性の身体的安全に対する脅威、より低い教育獲得、および家事責任に不平等な配分の拘束時間が含まれる。
  9. 政治過程における女性の信頼を増強するには、選出または任命される女性が、公職に加われるようにするために、紛争直後の時期における強固な行動を必要とする。女性公務員の「クリティカル・マス」を得ることが、重要である。というのも、このことによって、特に男性が支配する制服組の制度において、より実質的に女性が従事することを奨励するからだ。女性の政治的存在の増加は、紛争が停止する前にさえ始まらなければならない。和平交渉は、正義、権力の分配および憲法的問題に関する和平協定の規程を通して、直接的に紛争後政治的特徴を形成するだけでなく、間接的に、和平交渉の席を代表した人々にも正当性を授与することにもなる。これは、決議1325(2000)に情報を供与した鍵となる眼識である。交渉の席に女性がつかなければならないだけでなく、和平協定起草過程において、ジェンダー平等の問題についても、(じっくり、そして認識された専門性の支援を受けて)考慮されなければならない。
  10. 基本的なサービスの復興は、いかなる平和構築課題の本質的な要素である。紛争と再建におけるジェンダーの側面を考慮に入れない試みは、女性や少女のニーズを満たすことに失敗する。例えば、水や衛生のようなサービスの復旧は、紛争によって影響を受けた人々に対して「平和の配当」を贈る方法であるとしばしばみられる―彼らのリーダーに対して交渉された約束を守るよう影響力を行使するように説得する方法として―。しかしながら、このような効果を得るためには、平和の配当はすべての構成員に対して具体的な利益をもたらすものでなければならない。もし、サービスが女性に届かなかったり、または彼女たちのニーズと合致しなかったりした場合、女性や少女が苦しむだけでなく、平和の配当は、報酬率の減少に屈する。
  11. サービスに対する女性の利用権は、他の要因もさることながら、身体的不安と差別的社会不安によって抑制される。紛争後の環境で通学中または授業中による性的暴行のリスクは、少女を教育から排除する追加的な理論的根拠を提供する。サービスの提供は、例えば、安全な通学手段、少女の入学の誘因によって、このような障害を扱わねばならない。食料生産および家族のための安全保障提供者の主たる貢献者として、女性は、彼女たちに届くように企図された農業生活支援を必要とする。利用の制限の問題を扱わないと、平和構築にとって、有害な結果をもたらすことになる。食糧の安全保障は、栄養失調の回避のみならず、社会的安全確保にとっても、重要である。同様に初等医療サービスの提供者も、女性に届くように移動クリニックを用いる必要がある。サービスの内容は、それが提供される方法と同じように重要で、女性の声も同様に重要である。おそらく、リプロダクティブ・ヘルスの専門家も、より多くの女性が、政策立案役割に従事するようになれば、より容易に利用できるようになるだろう。取水場、街頭、および公衆衛生施設のデザインは、ジェンダー分析および権利基盤アプローチの紛争後計画者による制度的適用の必要性を強調する例である。女性が関与する持続的交渉は、彼女らの見解がサービスのデザインと構成に影響を及ぼすこと可能とする。
  12. 紛争後の行政および財政制度の再建にもジェンダーの視点が必要である。ジェンダーの偏見に対抗するための積極的な措置を取らずに国家制度の再建を試みた場合、女性が必要とするものや、彼女たちを安全に平和構築に参加させるための制限を扱うことはおそらくできない。政策立案者が、考えられうる女性および男性への影響という意味において、競合する財政的提案を評価することを可能とする「ジェンダーに対応した財政」は、予算項目および管理情報制度が性的に分別されたデータを配慮できるように構成されていれば、はるかに効果的である。同様に、ジェンダーに対応した公務員制度の再建も、公務員の職務内容説明書や成果基準にジェンダー平等目標を構築し、政府の全レベルにおいて女性の公務員の登用および昇進によって達成することができる。
  13. 経済的再活性化は、5番目にたびたび問題とされる平和構築の優先事項である。これまでの四つの優先事項同様、ジェンダーに目をつむるアプローチは、女性の参加を促すものではない。基本的に農業国である紛争後の社会において、政策は農業女性のニーズと能力―例えば女性の小自作農から食料調達者するような―をターゲットとしたものでなければならない。不安定な土地所有権を含む信用に対する障壁はとりわけ注視しなければならない。確かに、経済の復興における女性の参加は、これまでの4つの平和構築分野−女性の市場従事促進のための身体的安全、女性の経済的権利の違反を撲滅するための女性による政治的リーダーシップ、ジェンダー平等のための公的活動を誘引する国家制度―のそれぞれにジェンダーに対応した措置を導入することが必要となる。女性の参加の制限は、政策立案過程と彼女たちの経済的貢献を十分に認めない公的支出枠組みによってより一層大きくなる。

W.ジェンダーに対応した平和構築のための行動計画

  1. これまでの女性の紛争後のニーズや平和構築過程における参加の制限に関する分析は、国際社会が集団的に取り組まなければならない挑戦の共有した理解の創出が重要であることを示している。しかしながら決議1325(2000)採択後10年が過ぎ、診断だけでは十分でなく、治療的な行動が必要である。この報告書を準備するにあたって、事務総長は、安全保障理事会の女性と平和および安全保障に関する決議の規定を満たすための持続的および調和のとれた努力の継続的な要請に留意した。
  2. 以下に概観されるジェンダーに対応した平和構築行動計画は、7つの約束を含む。それぞれは、特定措置と支援活動のセットになっている。この報告書の規定される原則を基盤として、国際連合の上層指導者は、これらの約束を具体的な計画と改革された手続きに変換される必要がある。行動計画が、平和構築における女性の参加に関し、より強く継続したアプローチの採用を国際社会全体に要請する一方で、焦点は国際連合システムが取ることになる措置である。事務総長は、加盟国、地域機構、国際通貨制度、市民社会組織、そして何よりも重要なのは、その関与が最も大切な政府および紛争から立ち直る国の人々の調和の取れた行動を促し、また今後も促し続ける。平和を保障することはすべての関係者の協力した努力が必要である。しかし、他者による、延滞したまたは不適切な対応によって国際連合がその約束を完全かつ迅速に満たすことを止めることは許されない。
  3. 最初の約束は、紛争解決に関するものである。女性のさらなる平和過程への関与は、和平協定の文脈におけるジェンダーの問題と取り組むことの要請と同様に決議1325(2000)の中心的主要点である。両方の問題点に関して、国際連合の進展はあまりにも遅かった。1992年以来、国際連合が調停した平和過程において交渉代表団の構成員に女性が占める率は8%よりも少なく、平和協定署名の段階では3%よりも少ない4。国際連合のミッションにおいてトップのリーダーシップの地位を、より多くの女性が占めるようになったものの、国際連合によって導かれた和平過程の調停者のトップとして任命された女性はいない。和平会談における女性の過小な代表が、和平協定の文言の女性の優先事項軽視に貢献している、と結論づけられる沢山の理由がある。1990年から2010年の間に締結された585の和平協定の研究は、わずか16%しか女性に関する記述がないことを確認している5。女性について多くは語っているものの、それは子どもや障害者および難民とともに、不特定多数の特別な支援を要する集団としてである。別の研究は、世界中でわずか8つの事例が、停戦合意を侵犯する「禁じられた行為」として性的暴力を含んでいたにすぎなかったことを確認した6。このような統計は残念なものであるが、紛争後の統治における女性の参加を提供している協定は、和平交渉にジェンダーの分析を適用する価値をわれわれに想起させるべきである。9つの協定は、立法または執行機関における女性のためのクォータを特定し、5つは警察における女性の代表またはジェンダーに敏感な警察改革を支持し、4つは司法におけるジェンダー平等に言及し、4つは公共部門改革の文脈において、女性またはジェンダーの平等について言及していた。
  4. 和平過程の文脈において女性の従事、ジェンダーの問題と取り組む国内および国際的な努力は、加速されなければならず、またなされた約束はより具体的でなければならない。事務総長はよって、関連国際連合組織に和平協定における女性の参加およびジェンダーの専門家利用確保のためにより組織的な行動をとるよう要求した。これは4つの主要な行動を含む。第1に、事務総長は、国際連合によって導かれている和平過程において女性が仲介長として任命されることを保障することによって、より多くの女性が上層地位に任命される政策を継続する。第2に、仲介およびその支援活動の促進に関する2009年の事務総長報告書(S/2009/189)に従い、国際連合は上層レベルにおいて仲介支援活動にジェンダーの専門家を含める。例えば、人道的アクセス、正義、安全保障、富の分配および実施措置についてなど、交渉当事者は和平協定規程に関連するジェンダー問題について定期的に概要が伝えられる。第3に、交渉当事者の構成を命令することは国際社会にはできないものの、われわれはより多くの女性を含むための戦略に投資することができる。したがって、関連国際連合組織は、政府の実行に基づいた戦略を発展させる。第4に、国際連合は仲介チームおよび交渉当事者が、女性の市民社会組織との協議に従事することを保障するための文脈的に適切な措置を発展させ展開する。この目的のために、関連国際連合組織は能力構築を通すことも含む、女性の市民社会組織フォーラムの設立を支援する。和平交渉の内容について審議するこのようなフォーラムは、(a)強制的に退去させられた女性、民族少数者および地方の地域からの者も含む横断した層を代表する。(b)理想的には実質的な交渉の開始前に、想起段階で活動を開始する。そして、(c)女性の市民社会組織には概要が伝えられ、貢献を提供する定期的機会を含む公式な交渉過程と関連するものである。これらの措置を前進させ、組織化させるために、仲介支援チームには専用の技術援助が提供され、またいかなる一定の仲介過程においても女性が組織的含まれおよび関与することの確保のために、文脈に特定された交渉措置が設立されるだろう。事務総長は、加盟国および地域機構がこれらの手続きを、和平協定の実行または促進の際、基準となる実行として採択するように促す。
  5. 和平協定が、紛争から平和へと移行の様相を備えるとき、紛争から立ち直る国との国際的関与の青写真は、紛争後計画過程の領域を通して作られる。これらをより組織的にジェンダーと対応したものとするのが、行動計画の第2の約束である。これは、紛争後のニーズ・アセスメントにおける国際連合の関与に改訂したアプローチ、および紛争に敏感な貧困削減戦略報告書、平和構築委員会が議題対象国家と従事する戦略的枠組み、並びに国際連合開発支援枠組および統合された戦略的枠組のような内部計画成果の策定を要する。指導書はジェンダーの視点を採用することを計画立案者に一般的に助言するが、アセスメントの方法論が女性の紛争後の優先事項を完全にとらえること、または、すべての分野にわたって証明できる指標や費用がかかった活動に、ジェンダーの平等を一般的支援に変換することを確保するには不十分であることが証明された。
  6. 6つの紛争後の国における紛争後のニーズ・アセスメントおよび国際連合開発援助枠組の最近の評価によれば、それが表面的に派生した物語を読むだけで予測されたことよりも、成果枠組におけるジェンダーの問題は、よりぼやけていた。分野別ニーズやアプローチ文書におけるジェンダーの平等の文言が適切であったにもかかわらず、平均でわずか4%が女性のニーズやジェンダーの促進を扱う成果や活動に割り振られていたにすぎなかった7。それに加え、ジェンダーに特定した活動、指標および付属した予算は、安全保障や法の支配よりも、健康や教育の分野により多くみられ、これは女性がどの分野に興味があるのか、ターゲットの絞られた介入を要するのかの時代遅れの概念を反映するものである。安全保障理事会の議題にのぼる5つの国の貧困削減の2010年研究の戦略文書も同様な結論を明らかにしている。優先分野や小分野の分析において、女性やジェンダーに関連する問題は、多大な注目を受けたが、具体的な計画の約束には変換されていなかった。平均でわずか6%の予算しか、おおざっぱに女性のニーズを取り扱うもしくはジェンダー平等の促進の活動や指標に配分されていなかった8
  7. 計画者の手引きとなる資料が存在することは、紛争後計画方法がジェンダーの問題を適切に扱っていることを意味するわけではない。何が問題かは、計画文書の内容の効果である。国際連合は、政府やその他の国際社会の要素とともに、紛争後の計画を実行する。国際連合が、自身でこれらの協力的過程で取り扱われるジェンダーの問題を変革できないことは、行動しない言い訳にはならない。事務総長はよって、国際連合システムが全ての紛争後計画過程において、全段階において女性の特定ニーズやジェンダーの差別がすべての段階で取り扱われるように、女性の参加およびジェンダー分析の適用をより組織的に制度化することを約束する。この約束を満たすことは、資源配分、利益受給者および成果枠組並びに財政の影響の、性別構成要素に基づく追跡の方法論の改善が必要となる。われわれには計画の包括性および質という意味で新たなアプローチが組織的に適用され、改善をもたらすことを確保するアカウンタビリティの制度も必要である。
  8. 関連の国際連合組織も、計画にジェンダーの問題を導入するために既存の組織配置を包括的に評価することが要請される。この評価は、例えば評価チームの職務内容、女性のニーズを確定する分析ツール、職員の配置や訓練などに対して改善を提言する。次の5つの原則によって評価の情報提供となるべきである。(a)すべての計画過程において地元の女性およびジェンダーの専門家は、協議され、彼女らの見解は反映されなければならない。(b)女性と男性、少年と少女に対する紛争の異なる影響、効果的および衡平的制度の再構築の努力に影響を与えうる普及したジェンダー関係の可能性の評価に基づいて、ニーズや優先順位づけのための分析がなされなければならない。(c)資源の分配は、競合する資金の計画概要におけるジェンダーの潜在的重要性の投影に基づかなければならない。(d)ジェンダーに関連した成果指標や資金がかかった活動は、計画枠組に含まれるべきである。(e)社会的およびジェンダーの分析における十分な専門性は、これらの措置が効果的にそして既定時間内で実施できるように、計画過程のすべてにおいて提供されなければならない。
  9. ドナー会議は、ニーズ・アセスメントを具体的な財政的約束へと変革させるために、重要な役割を果たすことから、われわれは、これらがやはりジェンダーの問題により対応したものとなるように確保しなければならない。概して、女性はドナー会議の脇から入れてくれるように懇願しなければならなかった。彼女らはたまに、公的な参加者や並行したイベントを開催することによって、声明を発信することができた。女性は、自らの声をきいてもらうために、仲介者や即興に頼る必要はない。事務総長は、ドナー会議を組織するのに関与している国際連合組織、地域機構、国際金融制度および加盟国が、このような重要なイベントに女性の代表が参加する意味ある機会を提供するように要請する。市民および政治社会を横断する分野の女性代表が招待されるだけでなく、このような代表者がすべての会議文書、憂慮する問題を発表できる議題の時間、および準備会合開催や政策ペーパーの発展に対する援助の利用の提供が確保されるように、基準となる手続きが発展されなければならない。
  10. 行動計画の第3の約束は、ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントのための財政に関するものである。紛争直後の平和構築の2009年報告書において、事務総長はすべての国際連合が管理する基金に対して、ジェンダー平等促進に貢献している基金の配分を追跡することを援助するために、「ジェンダー・マーカー」を創設するように要請した。いくつかの組織体は、ジェンダー・マーカーの実施に実験的に取り組んだ。いくつかは、この使用を制度化し始めている。これらの努力から生じている予備的なデータは、反省させるものである。一つの機関では、基金のわずか4%しか、ジェンダー平等という「主要な目標」の計画に予算が割り当てられていなかった。これらの計画は、ほとんどがジェンダーの平等を促進するような活動―例えば、性暴力被害者のシェルターや女性企業家のためのマイクロ・グラントのような―によってすべての予算が構成されているのだ。その機関の基金の別の31%は、ジェンダー平等に「特別に」貢献している計画に予算が配分されていた。ただ、ジェンダーに関連した活動にどれだけ計画が配分されていたのかは、不明である。この報告書のために実行された複数援助提供者信託基金の394プロジェクト予算および6つの紛争後国の共同計画を分析した背景研究の結果においても、ジェンダー平等ギャップに対する示唆を確認できる。全資源のわずか5%しか、ジェンダー平等促進に直接関連する活動に配分されていなかった。
  11. 紛争後の計画において、女性および男性が参加し、そして利益を被ることを確保するために、ジェンダーの主流化は効果的な手段でありうる。しかし、紛争後の状況の現実においては、主流化は例えば、地元の女性平和創造者の能力構築や、性的およびジェンダーに基づいた暴力撲滅に貢献した男性のネットワーク構築のための計画などのように、ターゲットされた介入のための集中した資金による補完が必要である。事務総長は、国際連合によって資金が供給されているプロジェクトは、女性および男性にどのように利益となるかを証明しなければならないという長年にわたる原則をくり返し表明する。
  12. 追加的に、事務総長は、平和構築を支援する国際連合が管理する基金の少なくとも15%が、組織的職務権限に従って、女性の特別なニーズ、ジェンダー平等の促進または女性のエンパワーメントを主要な目標とするロジェクトに割り当てられることを確保するために、国際連合システムと加盟国間のパートナーシップの促進を約束する。平和構築基金は、この目標を満たすために、ただちに手続きを開始する。国際連合ファミリー内での職務権限、財政、報告および監督制度の多様性に鑑み、様々なアプローチや時間的枠組が必要であろう。この目標を、すでに制度の一部は達成あるいは超過しているかもしれない。事務総長は、それらに対して、これまでの達成の上に構築するように奨励する。他の機関は、ジェンダー・マーカーを含め制度へ投資することによって、基盤をつくり始めるだろう。国際連合現地ミッションの場合、事務総長は、どのように国際連合財政が職務権限のタスクを既存の計画や財政手続内で、ジェンダーの平等や女性のエンパワーメント促進という包括的目標を支援していくのか、基盤となる理解の創出のために活動する。事務総長は、加盟国に対し、国際連合システムの理事会において、これらの措置の実施を支援し、自らの財政的配分において補完的な努力を推進するように促す。
  13. 行動計画の第4の約束は、配備可能な文民能力に関するものである。国際連合は現在、国際的文民能力の計画を実行している。評価チームの目標の一つに、紛争後の環境に配置される女性の文民の比率を高めるための方法の確認がある。女性の配備は、重要ではあるが、ジェンダーに対応したアプローチの確保の方法の一つにすぎない。ジェンダーの不平等を扱うために必要な技術や専門性を確認し、紛争後環境に配備される二国間および多国間代表団に女性を含むことを確保するための戦略創出も、同様に大切なことである。
  14. ジェンダーに対応した、文民専門家は、二つのタイプに分けられる。第1に、女性の緊急の紛争後ニーズに見合うために必要な専門的能力を整えることである。これらには例えばリプロダクティブ・ヘルスの専門家およびジェンダーに敏感な武装解除、動員解除、再統合計画のデザインおよび実施の専門家が含まれる。しばしば、認識されないのが、紛争直後における、例えば、広範なまたは組織的な性暴力の申し立ての調査、または法の執行および刑事司法制度への女性の利用促進などの特別な訓練を受けた法律に関する専門家の必要性である。専門性の第2の分類は、ジェンダーの観点から国家の組織を再構築することに関わる。これは、例えば、選挙過程、保安制度および公的な支出管理制度の改革や、土地および相続、市民権、および女性に対する暴力といった分野の改革において、ジェンダーの側面での専門家を含むものである。これらの技術の多くは、この行動計画の別の個所で確認されている措置と関連があり、ジェンダーの問題により対応する文民能力は、この計画の他の6つの約束を扱うために配備される適切な専門性と資金の見込みを確かに増加させるものである。
  15. 事務総長は、よって、国際連合システムが、配備されている文民能力に、女性の緊急ニーズを満たす専門技術、女性や少女がより利用しやすい、またジェンダーに基づいた差別に対してより屈従しにくい国家制度の再構築のための専門家を含むことを約束する。事務総長は、国際連合上層指導者に対して、紛争後の女性と少女のニーズを取り扱える国連の能力を改善することを目的として、ミッションや人道的計画者が手続きを改訂することを確保することを要請する。これは例えば、危機および紛争後状況において配置されているジェンダー・アドバイザーのよい専門の上に構築しなければならない。事務総長は、加盟国および地域的機構、非政府組織に対し、このような専門家の採用、これら専門家のための適当な職務内容の考案、配置可能な人事のロスターに専門家を統合し、また彼らの持続的な従事を可能とするための資金をささげられることを促す。文民能力の有用性確保に責任あるすべての関係者は、適宜、技術別制度が、ジェンダー関連専門性を十分にとらえていることを確保するように改善しなければならない。このような問題の審議が、既存の改革計画に統合されることを確保するために、事務総長は、国際文民能力計画を行っているチームに対し、行動計画の本質的な構成要素実施のための勧告を確認するように要請した。
  16. 行動計画の第5の約束は、紛争後統治制度における女性意思決定者の比率の増加方法に関するものである。この実施を確保することが、安全保障理事会の平和構築における女性従事促進議題の鍵となる要素である。女性の政治参加のすべての側面における障壁を取り除くことは、基本的な人権の問題である。女性は、選挙する能力、結社に加入し、選挙に出馬する能力、または信条を表明することを妨げられることがあってはならない。また、国家や非政府関係者が、これらの権利の自由な行使に制限を加えることが許されることがあってもならない。差別的な法律および政策は、除去されなければならず、保安部隊によって女性に対する公的な威嚇は抑止されなければならない。国家はまた市民的および政治的権利行使をより意味あるものとするために、必要な少女の教育を否定するような社会的偏見の撲滅を含む、積極的な措置を取らなければならない。紛争後の状況は、資源の欠如、脆弱な安全および堕落したコミュニケーションのインフラを含め、このような権利の確保に追加的な挑戦を提示する。これらは、ジェンダーの観点から、緊急に注意を要する。
  17. しかし、決議1325(2000)の約束を、完全なかたちで果たすためには、われわれは、女性の基本的な政治的権利の保護だけでなく、任命され選出されるリーダーシップにおける地位の女性のプレゼンス増加を確保しなければならない。女性の選挙権、結社の権利および表現の自由と同様、女性の意志決定の役割に女性が就くことに対するあからさまな障害を除去するだけでは不十分である。政治的リーダーや公務員といった地位に女性が就くことがふさわしくないというステレオタイプを克服することに限定されず、特別な措置も必要である。歴史的に繰り返し、周辺集団から新たに含まれた少数者の構成員が、審議機関に参加することを拒んできた非公式な制度的障壁と対抗するための積極的措置も必要である。例えば、機関の少なくとも4分の1から3分の1を構成しなければ、彼女らの参加は少しにすぎないと、研究は提示している9。国際社会の明確な約束は、被選挙女性の比率を増加することである(これは第三のミレニアム開発目標の達成を図る指標である)。より多くの女性が公職に就くことを確保する唯一かつ最も効果的な方法は、選挙機関において最低限の比率を(政党に対する要求やまたはその他の措置を通して)、女性が占めることを要求する法律によって、執行できる規定の存在である。紛争後国家でクォータ制が導入されなかったところでは、平均してわずかに国会議員の12%が女性であった。クォータ制を用いる紛争後国家においては、立法府の34%が女性によって構成されていた10
  18. 主権国家がその施行を統治するにあたって、どのような選挙制度や規則を選ぶかは、国家にまかされている。国際連合の役割は、提案および促進であって、強制ではない。だが、選挙機関や他の公的制度における女性の比率を高める必要性を含む国際的な約束を国家に想起させるわれわれの責任を放棄することもできない。われわれは、さらに付け加えて、この義務が満たされていることを確保する際の様々なアプローチの考えられうる影響について、証拠に基づいた助言を提供しなければならない。女性の政治参加の促進および公職における女性比率の増加のための積極的措置、優先的取り扱い、およびクォータ制といった暫定的特別措置を国際社会は促進する。これらの使用は、女子差別撤廃条約を含むいくつかの国際文書に規定されており、国政連合女性の地位委員会に継続的な指示を受けている。事務総長は、国際連合の法の支配支援に関する2008年手引書において、特別な暫定措置の有用性を強く支持した。選挙支援に関与している国際連合関係者は、いくつかの場合において、女性のためのクォータを含む暫定的特別措置の使用に対して、技術援助を提供した。国際連合の記録に正当に自負できるかもしれないが、この分野における技術援助の提供はより継続的かつ組織的なアプローチによってより促進することができよう。選挙クォータを含む暫定的特別措置は適当な状況が勝る場合のみ適用されるべきである。選挙によらない公的機関の特的の女性比率を提供する措置についても同様のことがいえる。特定の措置は、いくつかの国家の文脈においてはより適用されるものだろうが、このような全措置の潜在的価値の厳格な評価を、すべての国家に対する技術援助が含むように、保障しなければならない。したがって、事務総長は、このような問題が統合されたかたちで取り扱われ、かつ包括的な統治のための支援を国際社会に伝えるために国際連合が紛争解決過程および紛争から復興する国に対する技術援助が積極的措置、優先的な取り扱いおよびクォータ制に基づいた制度といった暫定的特別阻止の使用を含む、任命または選挙された女性の公的機関における意志決定者の参加の促進を確保することを約束させた。
  19. さらに、国際連合の支援は、政治過程全段階でジェンダーの差別が問題とされることを確保する。この目的のために、国際連合は、政党、市民権、国内避難民および難民の個人的な身分および身元証明書に関する法制度の枠組み改革、女性が選挙、行政および紛争解決機関を失質的に代表し、すべての選挙過程(有権者登録、市民教育、投票、候補者の安全およびマスメディアへのアクセスを含む)がジェンダーによる差別から自由であることを達成することを確保するための努力、女性に対する潜在的な暴力およびこのような脅威の防止および対応のための行動を評価するための弱者の地図作成(有権者、政党関係者および候補者として)を支援していく。
  20. 事務総長は、関連国際連合組織に対して、このような技術援助の形態の継続的提供を確保するために、それらの手続きを評価することを求める。これは例えば、選挙および任命の紛争後意思決定役割をより多くの女性が演じることを確保するための方法の早期の評価ができるよう、仲介過程においてジェンダーと選挙の専門家を提供すること、評価ミッションが、規定クォータ制のような暫定的特別措置のための選択肢について証拠に基づいた分析を慣例的に提供することを確保するための職務内容の改訂、そして、競合するアプローチの魅力を評価するための、政党、市民社会集団およびその地域における他の紛争当事国からの女性国家議員でクォータ制に参加した人々を関与した、広域的な国内協議の開催などを含むものである。さらに、行政改革のための支援は、クォータ制や昇進体制を含む国家制度全てのレベルにおける女性の比率増加および彼女らの効果を改善するための能力構築のための措置の完全な審議を確保するものである。
  21. 行動計画の第6の約束は、紛争後の国家にとっては、最も重要で、安全の提供、司法の運営および立法府の枠組みの決定機関を包含する、法の支配の支援に関するものである。法の支配の不在とは、国家の崩壊と同義である。法の支配制度が、ジェンダーの問題に非同調的な場合、女性が苦しむ安全、正義および平等の否定はこの報告書の第3部に概要が述べられている。これらの挑戦一つ一つに対抗することを目的として包括的な計画は、ここで述べられることを超越する。いくつかの問題は、この行動計画の他の構成要素―和平協定および紛争後計画枠組に女性や少女の安全ニーズをもっと統合すること、女性の司法へのアクセスをターゲットにした活動のために資金を増加すること、文民対応チームにジェンダーの観点から法的改革を行う専門家、上述のすべてのアカウンタビリティを要求するリーダーシップの地位により多くの女性が就くこと―によって扱われるだろう。
  22. この報告書は、関係する問題の規模と範囲から、国際連合の法の支配 (過去、紛争中およびその後) に対するアプローチが、組織的に女性の権利を安全および正義において促進することを確保するという約束を支援し、表明する三つの具体的な措置の概観を述べることに限定する。第一に、国際連合の平和維持軍が展開している場合においては、国連は、女性および少女の安全を、難民および国内避難民キャンプを含む女性のための保護的な環境の創出を通して、および平和維持活動における女性警察官の比率を2014年までに20%に増加することによって優先的に取り組む。これは女性をエンパワーし、性的およびジェンダーに基づいた暴力を含む犯罪を通報することを奨励することになるだろう。性的およびジェンダーに基づいた暴力根絶のための国際連合のアプローチは、平和維持活動におけるジェンダーに関する警察の国際連合標準模範例の道具箱および性的およびジェンダーに基づいた暴力の防止および調査に関する国際連合標準訓練カリキュラムを含む、文民警察および平和維持軍のために開発されたガイドライン、道具および訓練の手段に含まれる措置の組織的適用を通して改善されるだろう。国内の安全保障関係者が、ジェンダーに敏感な安全保障部門の改革を含む、これらの実行を再現、改良そして組織化する能力の構築は、この努力の不可欠な部分となる。最後に、特効薬的なプロジェクトは、女性をエンパワーするか彼女らの保護的環境に貢献するようなプロジェクトを通すことを含む、信頼醸成の目的のために使用され続けるだろう。
  23. 第二に、われわれは、司法および法執行制度への女性および少女のアクセスに関し、定期的および即時的な支援を提供しなければならない。女性のための法支援の供給―早期にかつ刑事責任の免除の終止符および被害者保護の約束を提示するのに十分な規模で実施される―は、国際連合の法の支配応答の基準構成要素となるだろう。革新的な既存の計画の上に建立しつつ、国内および国際的な関係者は共同で、例えば、性的およびジェンダーに基づいた暴力およびその他の犯罪の通報、起訴への参加、土地および相続の権利の主張の手続き、子どもの養育権を追及、そして市民権を国家が認めることなど、女性が求めている法的な助言および後方支援を提供できる、弁護士、パラリーガル、および警察連絡助手の訓練を行う。これは女性にとって持ち込まれた事件を登録し、対応し、監視するための警察署内の特定の部署、および性的、およびジェンダーに基づいた暴力の事件を基礎する専門部署の設置を目的とした努力によって補完されるだろう。
  24. 第三に、事務総長は、すべての関係者に対し、真実委員会、保障および関連機関のためのジェンダーに敏感な最低基準の設置を確保するように、要請する。移行期司法制度の構想は、交渉当事者および紛争後政府が、決定することであるが、国際社会は、これらの措置がどのように安全保障理事会決議およびその他の女性および少女の権利に関する国際法的規定と合致したものとできるか、明確に述べなければならない。国際連合は、次の点で手引書および模範文書を開発する。(a)特に含まれるべき女性の比率およびプロフィールに関して、移行期司法制度の統治機関の構成について(b)これらの職務内容、とりわけどの犯罪および加害者が管轄に入ってくるか、扱われるべき機関およびその他の司法制度とのリンクに関して(c)被害者や証人の安全や尊厳の保護、適切な証拠基準の確保、および救済策の形態およびこれらを実施の決定のための方法に関する手続き。国レベルにおいては、関連の国際連合機関は、移行期司法制度の活動、これらおよびその他の基準との整合性の評価について監視また報告することになる。
  25. 行動計画の第7、そして最後の約束は、経済の復興に関するものである。女性の経済活動が永続的な平和に非常に貢献できるだけでなく、労働力においてより多く参加することは、しばしば、女性に競争を伴う選挙または市民活動に従事するによって政治的領域に入るのに必要な資金、地位およびネットワークを提供する。女性の生産的潜在性を利用し、また彼女らの経済的エンパワーメントに必要な様々な一連の措置は必要であろうが、国際社会の最も重要な貢献は、このことによって暴力へと変化あるいは逆戻りすることを抑止するという信念を基に、紛争後資金を圧倒的に男性に偏らせている継続的な偏見を矯正することなのかもしれない。このような仮定は、女性に向けて資金の舵を切ることは、永続的な平和を導くための条件を創出するのと同じくらい効果的であるという、対抗する証拠を無視するものである。叛徒集団に加入する危険があると考えられる男性を対象とした誘引プログラムの分析をみると、男性の費用対効果計算は、包括的な世帯収入に基づいたものであったことを示した。このような男性に直接的に生計の機会があったか、それとも女性の世帯メンバーに対してなされたか、ということは叛徒に加入するかどうかの傾向にあまり影響はなかった11
  26. したがって、効率性および公平性の両方の理由から、事務総長は国際連合が紛争後の状況における地元の発展、雇用創出、最前線のサービスの提供そして武装解除、動員解除および再統合計画の参加者および利益者として女性が平等に関与できることを確保することを約束する。このような約束を満たしはじめるために、事務総長は、本部および現場の国際連合上層指導者に対し、4つの分野において行動を開始するように要求する。第1に、地元の発展とインフラ計画が、参加型アプローチに基づいたものであった場合―このモデルは積極的に奨励されなければならないものであるが―これらは、女性および女性市民団体が、優先順位をつけ利益者の認定および実施の監視にあたって、直接的に関与できることを要求するものでなければならない。調査の結果このようなアプローチの利益が明らかになった12。第2に、紛争後雇用計画は女性を受益者グループとして特に標的にしなければならない。平等許容原則は、いずれの性別も雇用人日数の60%とならないことを確保するように、適用されなければならない。付け加えて、雇用計画は、女性労働者が支払いを直接受け取れるようにし、平等な参加への障壁問題と取り組む(例えば作業成果量の調整や適切な安全措置の提供のように)ことを確保しなければならない。現場の国際連合上層指導者は、紛争後雇用創出、収入形成、および再統合に関する国際連合活動手引書のジェンダーに関わる規定を遵守しているか、改善、監視および報告を行う。
  27. ジェンダーに対応した経済復興を確保する第3の措置は、例えばヘルスケア、農業拡張および天然資源管理の分野のような、第一線のサービス提供主体として、女性の向上を関与するものである。研究は、最前線の役割に女性を置くことは、女性の顧客へ手を伸ばし、女性の自立した収入を増加させ、他の女性を公的な生活においてキャリア―を遂行することを奨励することによって、ロール・モデル的効果を生むことを示している13。事務総長は国際連合上層指導者に対して、政府機関への技術援助に第一線サービス提供主体における女性の比率を上げるためにどのようにしたらよいかの手引きを含めるように要求した。
  28. 第4に、和平協定の交渉および国内制度の設立から計画の策定および実施まで、武装解除、動員解除および再統合のすべての段階において女性の平等の参加を確保するために、特別な措置が必要である。武装解除、動員解除および再統合計画は、女性の構成員および武装集団に従事した女性や少女の参加の障壁を除去し、特に、市民生活に戻る際、家族や社会から受ける差別的な態度や暴力的な行動に直面する者に対して、物質的および精神的な支援も含む、女性に適する再統合支援を提供すること、障害者および慢性的に病気な基元戦闘員の女性治療奉仕者および軍隊または武装集団に従事していた子どもたちの支援、保安サービスから女性の権利新会社を排除する審査手続きの設置、そして大人数の下戦闘員を受け入れる共同体に対し、ジェンダーに対応した和解および公的安全計画の提供をするものでなければならない。このような努力の一部として、現場の国際連合上層指導者は、国際連合統合武装解除、動員解除および再統合基準のジェンダー部門の適用を監視し報告を行う。

X.結論および見解

  1. 平和構築に女性が完全に参加することを保障する強固な行動に対して、国際社会においては、先例のない指示がある。上記に表された分析および行動計画は、女性と兵他と安全の問題に関する安全保障理事会決議の約束を満たす強い基盤を提供する。われわれは、しかしながら、実施の挑戦に関して幻想を宿らせてはならない。手続きを改訂したり、計画を策定することは、慎重な審議を要する。また、追加的な資金も必要であり、事務総長は加盟国に対して、実質的、永続的平和のための「フォース・マルチプライアー」として働く女性の安全および生産的潜在における長期的な投資を行うように促す。
  2. 加盟国はまた、彼らの平和構築における女性の従事の支援が、首尾一貫していることを保障しなければならない。重要な問題において採択された姿勢は、制度的文脈において―それは国際連合の内外の両方において―異なることがあってはならない。平和構築従事における女性の能力促進は、例えば独立した外交的イニシアチブを通して和平過程の支援、二国間援助の提供、国際連合政府間機関の参加などにおいて、優先順位がつけられるべきである。
  3. 国際連合システムも、首尾一貫した行動を保障しなければならない。ジェンダーの問題を取り扱う職務権限が、創設決議に含まれる平和構築委員会は、特定国の環境設定を含む、重要な役割を果たすことが期待される。行動計画の7つの約束の規定が充足されているか、その進展を追跡することも重要である。安全保障理事会の要請によって準備される、決議1325(2000)実施のためのグローバル指標によって、監視は促進されるだろう。決議1889(2009)第15項に含まれる、安保理の指示に従い、この行動計画の実施に関する報告および監視は、国際連合平和構築努力改善のための行動に関する私の包括的な議題の一部となるだろう。

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