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シュレーダー独首相(G8議長)に宛てた、
国連事務総長の書簡(非公式訳)
(以下は、コフィー・アナン国連事務総長がシュレーダー独首相に宛てた書簡全文の非公式訳である。この書簡は5月27日、発表された)
どうぞ、この書簡を、来月にケルンで開催される主要8カ国首脳会議(G8サミット)の議長の資格において、お読みください。
閣下及び他の各国首脳の皆様が、自国国民の安寧に対する責任だけでなく、サミットでの決定が世界経済全体に及ぼす影響力についても切実に認識しておられることを承知しております。世界的な景気後退の懸念が退くにつれて、現在多くの諸国を苦しめている以前からの経済危機が看過される危険性があります。そこで私はこの機会に、高い優先順位を与えられるべきであると確信するいくつかの懸念に閣下の注目を引きたいと思います。
最貧国のニーズに応える
国際社会は、世界の貧困を緩和するという約束を幾度となく確認してきました。しかし、なお、そのほとんどが開発途上国に居住する約30億人の人々は、いまだに命をつなぐのがやっとの生活をし、子どもたちにより良い生活をさせる希望をほとんど持てずにいます。最貧国は民間の資本市場にアクセスすることができず、貿易面での間断ない後退と政府開発援助(ODA)の流入の継続的な減少によって、その成長見通しは制約されています。
こうした背景の下、私はアジスアベバで最近開かれたアフリカ金融経済担当閣僚会議が出し、アフリカ経済委員会事務局長によって閣下に送付された声明を強く推賞します。世界は、貧困緩和の約束を具体的かつ効果的な行動に変えるために、さらに多くのことを行なうことが可能であり、またそうしなければならないのです。
国連は、最貧国の債務負担を軽減するため大胆な措置を講じるよう促してきました。いまでは数多くの政府がこの問題に対処するために自発的な措置を行っていることを喜ばしく思っていますが、さらなる行動が必要です。債務返済義務によって、これ以上貧しい人々の生活水準を圧迫しないようにするため、より迅速に、より多くの国々に対して債務の軽減をはからねばならないというコンセンサスが芽生えつつあることを歓迎しています。しかし債務軽減は、ODAを犠牲にして実現すべきものではありません。
ODAの流れは、その額が援助国の国民総生産(GNP)の0.52%に達した1960年以来、着実に減少しています。現在、その割合は0.22パーセントに過ぎません。その上1990年以降、最も貧しい開発途上国はこのわずかな開発援助資金をめぐって、市場経済移行国や、人道援助に対する大幅な需要増加と競合しなければなりませんでした。このため、最貧国における公共投資水準の上昇を賄う資金はごくわずかしか残りませんでした。閣下ならびに他の首脳の皆様がケルンにおいて、ODA減少の流れを反転させ、開発資源を動員するための新たな方法の模索を誓約することを期待しています。
世界経済のよりバランスのとれた高成長の必要性
東アジア、ロシア連邦とブラジルに吹き荒れた金融危機はわずか数ヶ月の間に、何十年間にもわたって得た経済的・社会的利得を覆し、これらの国々の多くが乗り出していた政治・経済改革を危ういものにしました。最も被害の大きかったアジア諸国の経済においては、総合的な生活水準が大幅に低下しました。ラテンアメリカは景気後退を経験し、アフリカはすでに低い所得水準を維持するのがやっとであり、市場経済へと移行中の諸国経済の多くにとって、その見通しは厳しいものとなっています。
開発途上国における貧困撲滅と社会進歩という目標は、国際的に合意を見ているものですが、世界経済の成長が現在のような重い足取りを続けている限り、全く達成不可能です。このことは、いまなお大部分の開発途上国、中でも特に最貧国にとっての主な輸出収入源である一次産品の価格に重石をのせる結果となっています。
世界的な成長の減速は、工業先進国間での貿易不均衡をも悪化させ、ひいては、国際金融システムの安定をも脅かしています。私は、よりバランスのとれたパターンをもつ高水準の世界経済をもたらすのに役立ち得る措置をとり、そのことによって、開発途上国が自国の景気回復のために必要とする輸出市場の拡大を提供することを、工業先進国各国の政府に求めます。
国際金融システムの強化
金融危機が最も繁栄している諸国さえも脅かしているかに見えた昨年、複雑で技術的に進んだ今日の世界経済のニーズにより良く対応する「新しいグローバルな金融構造」の必要性について、広範な合意が見られました。以来、国際金融システムの強化においては、大幅な進歩が得られました。しかし、これまでに合意された措置では、民間資本市場における不安定を緩和するには不十分である可能性があります。国連は、真剣な健闘に値するいくつかの改革案を提示してきました。私は、1997年−1998年の壊滅的な危機の再発を防ぐために、各国政府がさらなる国際金融システムの強化策をとることを期待しています。
国際金融システムの統治の問題も、大いに重要です。国連は久しい以前から、国家レベルにおける民主主義と良質な統治の必要性を力説してきました。私たちは、国際的なレベルにおいても、同じ原則が適用されることを確実なものとしなければなりません。グローバル・コミュニティーのすべての成員の多様なニーズと利益が適切に代表されることを保証するために、国際金融システムの改革についての合意に達するプロセスは、すべての国々を巻き込んだ幅広い議論と、包括的なアジェンダを基本とするものでなければなりません。私は工業先進諸国に対して、開発途上国と市場経済移行国の代表を新たな国際金融システムの設計と管理に関する審議に参加させる方法を見つけ出すよう求めます。
世界の人口の大きな部分が、自由化された今日の世界経済の周縁に取り残され、極貧のなかに生きるようになる深刻な危険性があります。私たちすべてが、このようなことが起きないことを確実にするための努力を倍加しなければならないのです。
どうぞ閣下に対する私の心よりの敬意をご確信くださるとともに、各国首脳の皆様に対しても、私の敬意をお伝えくだされば幸いです。
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