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平和祈念式典に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ

プレスリリース 05/068-J 2005年08月05日

(2005年8月6日、広島)

阿部信泰・軍縮問題担当事務次長による代読

60年前、罪のない広島と長崎の人々を襲った荒廃と未曾有の苦難は、世界中に核兵器に対する恐怖を呼び覚ましました。1946年の国連総会では、その第1回の決議において、核兵器とその他すべての大量破壊兵器を軍備から排除するよう呼びかけました。以来、国際社会は核軍縮と非拡散の目標達成に努めてきました。

核兵器が再び使用されることはなく、核兵器の削減と拡散防止にある程度の進展が見られました。しかし、私たちは、いまだに何万もの核兵器が存在する世界に暮らし、その多くは一触即発の状態にあります。核武装を強化し近代化しようとする努力も続けられています。また私たちは、核兵器が広がる脅威にも直面しています。各国が協力して行動を起こさない限り、核の拡散は止めようがなくなるでしょう。また核兵器がテロリストなどの非国家集団の手に入る危険性もあります。核兵器の材料や技術の密貿易ネットワークが摘発されたことで、非拡散体制に大きな抜け穴があることが露呈しました。

悲しいことに、世界はこれらの新たな課題に向けてほとんど進展を見せていません。この5月に開催された核拡散防止条約再検討会議は、有意な合意に達することなく閉幕しました。私たちは、核の危険がない世界、そして究極的には核兵器が存在しない世界を目指し、これまで以上に努力しなければなりません。来月、世界の首脳が国連世界サミット2005に集まり、すべての国、またすべての人々のための開発、安全、および人権を推し進める広範なアジェンダを採択することになっています。私はこの機会を利用し、核不拡散と軍縮における緊急課題のこう着状態を打破するよう、各国に呼びかけたいと思います。

きょう、私たちはここ広島と長崎で起きた悲劇を思い起こします。あの恐ろしい出来事から学んだ教訓を無駄にはしません。核兵器のない世界を作るため、いかなる努力も惜しまないことを、あらためて決意します。きょう、私たちはみな「被爆者」です。私も皆さんとともに、世界の平和を祈ります。