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気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)開幕における アントニオ・グテーレス国連事務総長挨拶 (ポーランド・カトヴィツェ、2018年12月3日)

プレスリリース 18-088-J 2018年12月10日

©UNFCCC

来賓の方々、
各国代表の方々、
皆様、

COP24へようこそ。

ドゥダ大統領、コヴァルチック無任所大臣、そしてCOP議長に指名されたミハウ・クリティカ環境副大臣の温かい歓迎に感謝いたします。

私たちは窮地に立っています。気候変動で大きな困難に直面しているからです。

気候変動は私たちの対策を上回る勢いで進んでおり、私たちは手遅れになる前に、できるだけ早くこれに追いつかなければなりません。

多くの人々、地域、そして国々にとって、それはすでに生死に関わる問題に発展しています。

今回の会合は、パリ協定への署名以来、気候変動に関するものとしては最も重要な会合となります。

私たちが置かれた状況の緊急性は、いくら強調しても足りないでしょう。

私たちは、気候変動が全世界で壊滅的な被害を及ぼしている様子を目の当たりにしながら、取り返しのつかない惨禍をもたらす気候の混乱を防ぐための十分な対策を、十分な速さで取れないままでいます。

しかも私たちは、気候変動対策によって生まれる巨大な社会的、経済的、環境的機会も十分に活用できていません。

よって私は、4つの単純なメッセージをお伝えしたいと思います。

第1に、科学は今よりもはるかに野心的な対策を要求しています。

第2に、パリ協定は行動のための枠組みを提供しており、私たちはこれを運用できるようにせねばなりません。

第3に、私たちには、気候の大混乱の回避に投資し、パリで行われた財政的公約を確固たるものにするとともに、最も脆弱なコミュニティーや国々を支援する集団的な責任があります。

第4に、気候変動対策は、世界をよりよい方向に変えるために進まざるを得ない道と言えます。

まずは、科学に目を向けてみましょう。

世界気象機関(WMO)によると、過去22年のうち20年は記録上、最も暖かい年となっており、しかも最近の4年はその1位から4位までを占めています。

大気中の二酸化炭素濃度は、300万年ぶりの高水準に達しています。

温室効果ガス排出量は再び増大しています。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による最近の特別報告書によると、産業革命以来の気温の上昇は、早ければ2030年にも1.5℃に達し、壊滅的な影響が生じるおそれもあります。

国連環境計画(UNDP)による最新の排出ギャップ報告書を見ると、パリ協定に基づく現状の自国が決定する貢献を足し合わせても、地球の平均気温は今世紀末までに約3℃上昇することになります。

しかも、温室効果ガス排出量が最も多い国の大半では、パリ協定に基づく約束の履行で遅れが生じています。

このように、私たちが針路を大きく外れていることは明らかです。

私たちには、より多くの行動とより大きな野心が必要です。

この排出量のギャップを絶対に埋めなければなりません。

それに失敗すれば、北極と南極の氷は融け続け、サンゴは白化して死滅し、海水面は上昇し、さらに多くの人々が大気汚染で命を失い、水不足に苦しむ人々の割合は極めて大きくなり、災害のコストも一気に上昇することでしょう。

私は昨年、ハリケーンで壊滅的な被害を受けたバーブーダとドミニカを訪問しました。そこで目にした破壊と苦難に、私の心は痛みました。同じ話がほぼ毎日、世界のどこかで起きているのです。

こうした緊急事態は防ぐことができます。

2030年までに、排出量を対2010年で45%減少させ、2050年までにゼロにしなければなりません。

2050年までに、世界の一次エネルギー供給量の半分から3分の2を再生可能なエネルギーで賄い、その分だけ化石燃料の使用を減らす必要があります。

つまり、私たちは世界のエネルギー経済と、土地や森林資源の管理方法を完全に変える必要があるのです。

低炭素の気候変動に強い持続可能な開発を受け入れることが必要です。

私は「タラノア対話」が、気候変動対策に向けたコミットメントへの野心を高めるうえで、極めて大きな弾みになることを期待しています。

来賓の皆様、

ここで第2の点に移りたいと思います。

パリ協定は、私たちに必要な変革の枠組みとなるものです。

ここカトヴィツェでの私たちの役目は、パリ協定の作業プログラム、すなわち協定の履行に向けたルールブックの最終案を策定することにあります。

私はすべての締約国に対し、これが皆様自身の設定した期限であり、その遵守は不可欠であることを改めて訴えます。

私たちには、公平性と共通ながら差異化された責任という原則と、それぞれの能力に基づき、各国の異なる状況に配慮しながら、明確なルールを定め、行動を鼓舞し、野心の高まりを推進する統一の協定履行ビジョンが必要です。

際限のない交渉に費やす時間などありません。

作業プログラムの完成により、パリ協定のポテンシャルが発揮されることになります。

信頼が高まるだけでなく、各国が気候変動に真剣に取り組んでいることも明確にできるでしょう。

親愛なる友人の皆様、

第3点、すなわち金融の中心的重要性に話を移します。

気候変動対策で成果を上げるためには、協調的な資源の動員と投資が必要です。

エネルギー、都市、土地利用、水、産業という5つの主要経済分野で、変革をもたらす気候変動対策を講じる必要があります。

2050年までに必要なインフラのうち、約75%はまだ整備されていません。

その整備をどのように進めるかによって、私たちが大量の排出を続ける未来に閉じ込められるか、それとも真に持続可能な低排出開発に向けて歩を進められるかが決まってくるでしょう。

各国政府と投資家は、灰色経済ではなく、グリーン経済に賭ける必要があります。

そのためには、カーボンプライシングを受け入れ、有害な化石燃料への補助金を廃止し、クリーン技術に投資せねばなりません。

また、再訓練や社会的セーフティーネットを通じたものを含め、混乱に直面する従来型部門の労働者にも、公正な移行を確保することが必要です。

私たちには、適応やレジリエンスを支援することにより、小島嶼国や後発開発途上国など、最も脆弱なコミュニティーや国を援助する集団的責任もあります。

誓約済みの年間1,000億ドルの拠出金の動員をはっきりと前進させれば、待望のポジティブな政治的シグナルを送ることができるでしょう。

私は、来年9月に招集することになった気候変動サミットの準備の関連で、このターゲットを達成すべく、官民双方で国際社会の動員をリードする役割を、フランス大統領とジャマイカ首相にお願いすることにしました。

加盟国に対しても、緑の気候基金の資金補充を速やかに実施するよう、強くお願いします。

それはより安全で、よりコストのかからない未来への投資でもあるからです。

親愛なる友人の皆様、

気候変動対策は負担とみなされることがあまりにも多くあります。第4点として、現時点で決定的な気候変動対策を取ることが、私たちの航路を正し、すべての人にとってよりよい未来へと至る道筋をつけるチャンスになることを挙げたいと思います。

私たちには、そのための知識があります。

技術的解決策の中には、すでに実行可能で金銭的にも手の届くものが多くあります。

全世界の都市や地域、市民社会、ビジネス界が前進を遂げています。

私たちに必要なのは、より大きな政治的な意志と、もっと先を見据えたリーダーシップです。

現世代のリーダーは、この課題への対応いかんによって評価されることになるでしょう。

気候変動対策は、単なる正しい行いではありません。社会的にも経済的にも理に適っているのです。

パリ協定の目標を達成すれば、大気汚染が緩和され、世界保健機関(WHO)によると、2030年までに、毎年100万人を超える命が救われることになるでしょう。

最近の「ニュー・クライメイト・エコノミー」報告書によれば、野心的な気候変動対策を講じることで、今後12年間で6,500万人に雇用が生まれ、これまでのやり方を続けた場合と比べた直接の経済的利益は26兆米ドルにも及ぶ可能性があります。

この経済変革の初期の兆しが見られているものの、私たちが必要とする水準にはまったく達していません。

低炭素経済への移行には、最高レベルからの政治的な刺激が必要です。

また、気候変動の影響はあらゆる人に及ぶため、包摂性も必要となります。

それこそがまさに、タラノア対話が発信するメッセージです。

若者を全面的に動員することが必要です。

また、ジェンダーの平等への世界的なコミットメントも必要です。気候変動問題を永続的に解決するうえで、女性のリーダーシップは中心的な役割を果たすからです。

ここカトヴィツェでの会議の成功は、その触媒となる可能性があります。

気候変動対策には、世界的に大きな勢いが生まれています。

これによって、全世界の民間企業や投資家の動きが活発化する一方で、都市や地方の政府も、野心的な気候変動対策が可能であり、かつ望ましいことを実証しています。

この勢いをさらに強めようではありませんか。

私は来年9月、意欲を高め、必要な資金を動員するため、気候サミットを開催します。

しかし、その意欲はまさに今、ここカトヴィツェで生まれる必要があります。それを牽引するのは、自分たちが残す遺産と、将来の世代の福祉がかかっていることを理解する政府やリーダーたちです。

カトヴィツェの会議を失敗させる余裕などありません。

困難な交渉になると見る方々もいらっしゃるかもしれません。私も簡単には行かないことは知っています。そのためには、妥協を厭わない強固な政治的意志が必要です。しかし私にとって、本当の困難を抱えているのは、自国が消滅の危機にさらされているキリバスの漁師であり、生活の手段も平和も失いつつあるサヘルの農民や牧畜民です。それはまた、ドミニカやその他のカリブ海諸国で、相次ぐハリケーンによって壊滅的な被害を受けた女性でもあります。

皆様、

気候変動は、私たちが抱える最も重要な課題です。

それは、持続可能な開発と安全、安心で豊かな世界を実現するための私たちの計画すべてに影響します。

だからこそ、私たちの歩みが全体としてあまりにも遅く、しかも誤った方向に進んでいることは、理解しがたいのです。

IPCCの特別報告書は、気温上昇を抑える時間がまだ残っていることを私たちに教えてくれます。

しかし、その時間はもう無くなりつつあります。

私たちがパリで成果を挙げられたのは、交渉担当者が共通の目標を目指していたからです。

私は皆様に対し、ポーランドの精力的なリーダーシップの下、ここカトヴィツェでの交渉でも、同じ緊急協力の精神を保つようお願いします。

カトヴィツェでの会議において、パリで確立された信頼の絆を確実に維持していかねばなりません。

私たちが低炭素の未来を受け入れ、パリ協定の力を発揮させれば、信じられないほどの機会が生まれるのです。

しかし、私たちが望む未来の構築には、今から着手せねばなりません。

一緒に課題に立ち向かい、世界が私たちに要求する仕事を成し遂げようではありませんか。

ありがとうございました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。