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アラル海地域マルチパートナー人間の安全保障基金に関するハイレベル・イベントでのアントニオ・グテーレス国連事務総長挨拶(2018年11月27日、ニューヨーク)

プレスリリース 18-084-J 2018年11月30日

©UN Photo

アラル海地域マルチパートナー人間の安全保障基金」の発足にあたり、私はまず、きょうのハイレベル・イベントを開催していただいたウズベキスタン政府と、共同拠出国である日本、ナイジェリア、ノルウェーの各国政府、人間の安全保障ユニット、国連ウズベキスタン国別チーム、マルチパートナー信託基金事務所に対し、感謝の意を表したいと思います。

私は人間の安全保障が、国連の異なる分野での活動を一つにまとめることができる包括的な理念であると確信しています。人間の安全保障には平和が必要であり、開発が必要であり、人権の尊重が必要です。それは、私たちが思いやる人々の利益となるように、極めて効果的な行動を確保するための方法なのです。

この分野で強力なリーダーシップを発揮した私の特別顧問、高須幸雄氏にも深い謝意を表したいと思います。このプロジェクトは必ずや、人間の安全保障という理念の非常に大きな重要性を実証することになるでしょう。

少し個人的なお話をさせていただきたいと思います。

2017年6月、ウズベキスタン政府のご厚意により同国を訪問した私は、忘れられない経験をしました。アラル海が死滅していく姿を目の当たりにしたからです。まさに現代における最大の生態学的惨禍の一つと言えるでしょう。

私は現地の人々や専門家から、アラル海に及んだ深刻な被害が、地域の社会的・経済的制度をいかに根底から損なっているかを示す衝撃的なお話を聞きました。生計の手段や伝統的な生活様式、そして将来への希望まで、すべてが失われてしまったのです。

しかし私は、現地の人々のずば抜けた強靭さや、前を向こうとするひたむきな姿勢も目にしました。

こうしたことから、私はきょうここで、アラル海地域のコミュニティーが新しい一歩を踏み出せるよう、各国政府や国連システムが支援を行う用意を示していることに、心を強くしています。

この取り組みから私たちが得ることになる知識は、中央アジアのほか、気候変動や環境破壊、水不足が持続可能な開発を阻んでいるあらゆる地域にも有益なインパクトを与えることでしょう。

事実、水需要の増大や水資源のずさんな管理、気候変動の影響拡大は、世界各地で水ストレスを強めています。

しかも、生態系の劣化に他の形態の不安が重なれば、すでにチャド湖周辺で見られるように、水不足と気候変動、不平等、暴力的過激主義の相乗効果で、さらに解決困難な危機が生じかねません。

基金は、包括的な解決策を推進することになるでしょう。

また、人々やコミュニティー、予防とパートナーシップ、そして根本的原因に取り組むホリスティックなアプローチに注力することにより、人間の安全保障という理念自体を体現することにもなるでしょう。

人間の安全保障の枠組みは、すでにこの地域で成果を上げています。

国連人間の安全保障基金が支援する2つの統合的プログラムを通じ、現地コミュニティーでは雇用が増大し、しかもその45%を女性が占めることで、医療へのアクセス改善による女性のエンパワーメントや、その幸福感の全般的向上にもつながっています。

2つのプログラムから、重要な制度機構や部門を横断するステークホルダーの連合ができ上がったことで、こうした効果的な取り組みはまさに拡大されようとしています。

必要なアプローチ、パートナーシップ、政治的リーダーシップはすでに整っています。いま私たちに必要なのは、マルチパートナー人間の安全保障基金のビジョンを実現し、アラル海地域で持続可能な開発を前進させるための協力と資源をさらに拡大することです。

持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指す私たちの取り組みには、資金の大幅な増大が必要となります。

よって私はドナー国に対し、アラル海地域マルチパートナー人間の安全保障基金の全面的な立ち上げに対する協力を呼びかけたいと思います。

人間の安全保障を中心に据えた私たちの統合的かつ協調的な施策はすでに、地域の生活を一変させ、楽観や機会、尊厳を取り戻しています。

アラル海地域マルチパートナー人間の安全保障基金は、こうした前進を確実にし、拡大するだけでなく、全世界での今後の行動に向けた模範例にもなれる可能性があります。

この基金の開発にあたってのウズベキスタン政府の取り組みに感謝いたします。また、皆様全員の基金に対するご支援にも感謝するとともに、この取り組みにおける国連の全面的なパートナーシップもお約束します。

ありがとうございました。

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