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フォーラム「テロとの闘いにおける若者への投資」でのアントニオ・グテーレス国連事務総長挨拶(ニューヨーク、2018年4月12日)

プレスリリース 18-023-J 2018年04月27日

 

現在、世界人口のうちほぼ半数(46%)は、24歳以下の若者です。アフリカと中東では、若者の割合が最も高くなっています。

こうした若い女性と男性は、その声に耳を傾けながら大切に育てていくべき資産です。希望と将来性を体現する若者は、私たちの世界に極めて多くのものを与えてくれる存在であり、国連にとっても最優先課題となっています。私は最近、私たちが国連をもっと若者に近づけ、その将来への投資を促し、若者たちを対話に参加させるためにはどうすればよいかを検討するため、幹部レベルのリトリートを開きました。単に若者たちに情報を発信するだけでなく、その声に耳を傾け、国連の政策決定システムに実効的に参加できるようにすることが大事だからです。

私は、若者が明日のリーダーだという考えには同意できません。若者はますます、今日のリーダーとなっているからです。私は自ら進み出て、こうした責任を担っている若い女性と男性全員に感謝しています。

きょうの議論では、無力化と疎外のリスクにさらされ、過激主義者の語る言葉や勧誘にだまされやすくなっている若者に重点が置かれます。

私たちが予防、特に紛争の予防に真剣に取り組むためには、若い男女への呼びかけや投資にも真剣に取り組む必要があります。

私たちが直面する最も深刻な課題に取り組むためには、若者のエネルギーが必要です。

私たちが持続可能な開発目標(SDGs)を達成し、気候変動に実効的な対策を取り、より安全で平和な世界をつくるためには、若者の関与とコミットメントが必要です。

私たちには誰でも、若い時がありました。私たちは皆、思春期の頃葛藤を思い出せるはずです。こうした経験はしばしば、よりよい方向への変化を作り出す情熱的な理想主義の糧となります。

思春期の頃、私は独裁政権下で暮らしていたことを思い出します。そして、自国の自由だけでなく、旧ポルトガル植民地の人々の自由も求めて闘っていたポルトガルの若者の寛大さも覚えています。

事実、私の祖国が転換を遂げるためには、若者の活力が絶対に必要だったのです。

若者は脅威ではなく、特に平和や開発、正義、人権尊重という点で、私たちの世界を変えるますます大きな潜在能力として捉えていく必要があります。

私はまた、暴力的過激主義の集団が若者を狙い、これに投資しているのも、その潜在能力と変革を望む衝動に気づいているからだと思います。

テロ勧誘者と仲間のネットワークは、若者一人ひとりと個人的にやり取りして、その不満を引き出し、その意見に耳を傾けて、常識とは異なる考え方や分析を提示します。そして、不平に付け込み、扇動的なメッセージや陰謀論、嘘を用いて、不満を抱く若い男女に偽りの目的意識を植え付けます。過激主義集団は、デジタル技術を用いて、その影響力を国境や文化を越えて広げることもあります。

しかし同時に、テロリストのイデオロギーで最も失うものが多いのも若者であるという事実は、悲劇的なアイロニーと言えるでしょう。パブリックイベントや学校、大学で攻撃の標的となっているのは、まさに若者だからです。

過激主義集団は若い男性に対し、暴力と女性の役割の締め付けに基づいたアイデンティティーを勧めてきます。そして、女性と女児に対する抑圧的かつ性差別的なアイデンティティーと態度を正しいこととして信じ、その教育を受ける権利や公的な場に参加する権利を否定します。マララさん自身も、通学途中に攻撃を受けました。そして、イラクとシリアの若い女性は恒常的に、テロリストによる性的奴隷化、強制結婚、搾取、虐待の標的となっています。過激主義集団はジェンダーの不平等を意図的かつ戦略的に利用します。よって、私たちの対抗策には、若い女性のエンパワーメント重視を含めなければなりません。

テロリストの巧みなメッセージに対抗するためには、若者と同じ目線に立たなければなりません。だからこそ、若者を会話に引き入れ、自分たちの意見を表現できるようにし、その声に耳を傾け、時間と資源を投資し、その目標を達成する力を与えることが重要なのです。

子どもと若者は、自分たち自身とその社会にとって、よりよい暮らしとよりよい未来を望んでいます。私たちはその夢を果たせるよう、支援する必要があります。

世界中で、若い女性と男性は、暴力的過激主義の予防と対策、そして平和の促進に向けた取り組みを先頭に立って進めています。

若者は、世界中に広がることもあるネットワークと、情報へのほとんど無制限のアクセスを駆使できる有能な情報発信者です。

このデジタルによる解放は、リーダーに新たな課題を突き付けています。しかし、私たちは明白な事実を無視することも、必要以上に物事を複雑化することも避けるべきです。

若者が必要とすることは、今も昔も変わりません。

それは教育、雇用、職業訓練であり、

投資、関心、尊敬できる人物、そして目標であり、

自分たちに影響する決定への有意義な参加であり、

討議の場での発言権と居場所でもあります。

しかしそれ以上に、私たちのほうから若者の討議の場に出向き、腰を据えて耳を傾ける用意がなければなりません。

これらの目標は、国家開発計画や国際開発協力の絶対的な優先課題としなければならないのです。

対話と理解、政治的包摂と参加、グッド・ガバナンス、人権の尊重と法の支配、そして女性と女児のエンパワーメント。これらはいずれも子どもや若者が、根本となる不可欠な市民的、政治的、経済的、社会的、文化的権利を持った責任ある市民へと成長することを可能にする手段です。

私は、まずローカルなレベルから、より創造的でテクノロジーに基づいた手法を取ることで、国連が若者への対応力を高めることを期待していますし、また、そうするつもりです。

私たちは国連のミッションや国別チームと連携しながら、若者が全世界で、平和構築のプロセスに参画できるよう努めています。

また、テロ対策部を通じ、世界中の若者がテロリストの誘いをはねのけられるよう支援するための協調的なプログラム策定もさらに進めていきます。

テロと暴力的過激主義の脅威は、私たちが結束し、行動と目標を一致させ、包摂的なアプローチを採用する実質的な機会を提供しています。私は今夏、国連グローバル対テロ戦略第6回レビューに関する総会のコンセンサス成果に、この点が反映されることを期待しています。

私はすべての加盟国に対し、4月23日の若者と平和、安全に関する安全保障理事会の公開討論と、2018年6月28、29日のテロ対策機関責任者ハイレベル会議への参加を呼びかけます。この会議では、若者を巻き込み、テロリストによる最新技術とインターネットの悪用を防ぐことも重要な議題となります。

これらはいずれも、若い女性と女児、若い男性と男児が、平和の構築および持続と、より安全な世界の創造に中心的な役割を果たすことを強調する重要な機会となります。

若者の理想主義、エネルギー、そして革新的な力を借りようではありませんか。若者のよい意味での強靭さと素晴らしい素質を称えようではありませんか。

そして、若い女性と男性に選択肢を与え、あるべき希望と機会によって若者を鼓舞していこうではありませんか。

ありがとうございました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。