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国際行動の10年「持続可能な開発のための水」2018-2028開幕式での アントニオ・グテーレス国連事務総長挨拶(ニューヨーク、2018年3月22日)

プレスリリース 18-019-J 2018年03月29日

©UN Photo/Manuel Elias

「世界水の日」にあたり、皆様とともに国際行動の10年「持続可能な開発のための水」をスタートできることを嬉しく思います。

私は、総会でこの取り組みを先頭に立って推進されたタジキスタンのラフモン大統領に賛辞を送ります。

私は昨年、タジキスタンを訪問した際、パミール高原の氷河融解による影響を目の当たりにしたことをよく覚えています。

訪問中、私は幸いにも、持続可能な開発目標(SDGs)に関するフォーラムに出席する機会に恵まれました。

これら17のグローバルな目標が相互に関連し、相互に依存し、相互に補強し合うことは明らかです。

すべての人に安全な水と適切な衛生施設を、を掲げる目標6の達成は、その他多くの目標の達成に欠かせません。

安全な水と適切な衛生施設は、貧困の削減、経済成長、健全な生態系を支えるものだからです。

それはまた、社会的福祉や包摂的成長、持続可能な暮らしにも寄与します。

しかし、水需要の増大がずさんな水管理と重なった結果、世界各地で水ストレスが増大しています。

気候変動はその圧力をさらに強め、私たちの先を走っています。

今世紀半ばまでに、淡水需要は40%を超える成長を遂げることが予測され、しかも、気候変動の影響が高まる中で、水不足は極めて深刻な懸念事項となっています。

2050年までに、世界人口の4人に1人以上は、淡水の不足が慢性的または反復的に生じる国で暮らすことになります。

私たちの水資源を効果的に管理できなければ、コミュニティーやセクターの間で争いが激化するだけでなく、国家間の緊張状態さえ高まるおそれもあります。

水は歴史的に見ても、紛争ではなく、協力を促す存在となってきました。

個人的な経験をお話しすれば、私がポルトガル首相を務めていた時期に合意が成立したアルブフェイラ条約は、今でも水管理に関するスペイン・ポルトガル間の良好な関係を促進しています。

その他にも、インドとパキスタン、ボリビアとペルーをはじめ、水に関する協力の事例は数多く存在します。

しかし、私たちは平和も、そして私たちの貴重かつ脆弱な水資源も、当たり前のものとみなしてはなりません。

つまるところ、水は生死に関わる問題だからです。

私たちの身体の60%は、水でできています。

私たちの都市も、工業も、そして農業もすべて、水に依存しています。

それでも、現時点で世界人口の40%が水不足に苦しみ、排水の80%は未処理のまま環境に放出されているほか、災害の90%以上は水に関連するものとなっています。

安全な水を利用できない人々は20億人、適切な衛生サービスを欠いている人々は45億人をそれぞれ超えています。

こうした数字は、世界のあらゆる地域の農村社会や都市部スラムに暮らす人々が直面する厳しい日常の現実を表しています。

開発途上地域で最も深刻な病気の中には、安全でない飲料水や劣悪な衛生施設、不十分な衛生実践と直接に関係するものが多くあります。

本日の「水の国際行動の10年(Water Action Decade)」開幕にあたり、すべての医療施設の水道・下水・衛生施設整備に向けた行動(WASH)を全世界に呼びかけたいと思います。

10万カ所の施設を対象とする最近の調査では、流水や石鹸などの基本的な必需品を欠いている個所が半数を超えていることが判明しています。それでも、これらは医療施設とみなされているのです。

その結果、病気の感染は広がり、入院の期間は長くなり、時には命を落とす人も出ています。

私たちは病気の蔓延防止に努めなければなりません。

医療施設の水道・下水・衛生施設の改善は、この取り組みに欠かせません。

皆様、

水を当たり前のものとみなしたままで、SDGsの達成は期待できません。

国やコミュニティー、家庭による水の管理方法を改善するための解決策は存在し、そのための新たな技術も続々と生まれています。

しかし、最も必要な人々にとって、こうした解決策は手が届かないことが多く、これによって国内と国家間の格差が長く続く状態となっています。

ほとんどの開発課題の場合と同様、女性と女児は不当に大きな被害を受けています。

例えば、低所得国の女性と女児は、水汲みに年間約400億時間を費やしています。

これは、フランスなどの国の労働者全体の年間勤務時間に相当します。

水汲みに費やされる時間は、生計を立てたり、女児の場合には学校に通ったりすることに使ったほうが、はるかに良いはずです。

私たちの水の評価、管理方法を変えるべき時は来ています。

水に関するハイレベル・パネルは先週、成果報告書「Making every drop count: An agenda for water action(一滴一滴の水を大切に:水の世界行動アジェンダ)」を発表しました。

ハイレベル・パネルは深遠かつ真剣な活動で、私たち全員に感銘を与えました。

国連には、政策対話の促進、ベストプラクティスの共有、意識の向上、パートナーシップの育成などにより、パネルの提言を実施に移そうとする国を支援する用意があります。

加盟国は私に対しても、国連水関連機関調整委員会(UN-Water)の支援を受けながら、「水の10年行動計画」を策定するよう要請しました。私は今後、UN-Waterの強化を図る決意でいます。

私の計画は、3つの中心的目標を定めています。

第1の目標は、水の供給、衛生、水管理、防災に対する私たちの縦割り型アプローチを転換し、水ストレスへの取り組み、気候変動への対策、そしてレジリエンスの強化を向上できるようにすることです。

第2の目標は、既存の水と衛生関連のプログラムやプロジェクトを、2030アジェンダと整合させることです。

そして第3の目標は、協力とパートナーシップの強化に向けた政治的意志を作り出すことです。

私は、この計画の実施を楽しみにしています。

今こそ、水危機の高まりに対する世界の認識を一気に高めるべきです。

より持続可能な世界、そして多くの行動を盛り込んだ「持続可能な開発のための水」の10年に向け、一致団結して取り組もうではありませんか。

ありがとうございました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。