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軍縮会議でのアントニオ・グテーレス国連事務総長の発言 (ジュネーブ、2018年2月26日)

プレスリリース 18-012-J_Rev1 2018年03月13日

©UN Photo/Violaine Martin

議長、来賓の方々、各国代表の方々、皆様

本日、軍縮会議に出席できることを光栄に思います。皆様の活動、特に今年を含め、長年にわたる軍縮会議の膠着状態の打開策を見出すために、皆様が行った真剣な努力に感謝いたします。

私は10日前、皆様が実質的な作業を前進させるために下した決定を歓迎します。皆様は今後、この決定を交渉の再開に結び付けるという、最も困難な作業に取り組むことになります。

私にとって、軍縮と軍備管理は最優先課題です。それは国連憲章で合意された国際安全保障システムにとっての中心課題でもあります。

核兵器の危険性は言うまでもなく明らかです。人命と環境に破滅的なリスクをもたらすおそれがあるからです。

核戦争の脅威に対する懸念が世界中で高まっているのも、当然のことと言えるでしょう。

東アジアでは、数百万人が日常的に、この脅威と直に向き合っています。私は、こうした人々の忍耐と我慢強さを称賛します。それは私が今月、韓国訪問の際にこの目で確認したことでもあります。

ここ数週間には、いくつか前向きな動きも見られました。

私は、オリンピック開催中に韓国が発揮した勇気あるイニシアティブを歓迎します。

しかし、それだけで十分ではありません。朝鮮半島の非核化と、地域の持続可能な平和を中心的な目標とする、永続的な改善が必要です。

私はまた、米国とロシア連邦が新戦略兵器削減条約(New START Treaty)に基づく兵器削減を完了したことも歓迎します。

私たちは、世界平和の健全な基盤として、さらに軍縮と軍備管理のための措置を講じる必要があります。

そして軍縮会議は、その前進に欠かせないグローバルな話し合いの場です。

議長、来賓の方々、

軍縮と軍備管理は、大きな前進を遂げてきました。これによって、戦略核兵器の備蓄が削減され、化学兵器及び生物兵器は全面的に禁止されました。また、地雷やクラスター爆弾をはじめ、 無差別殺傷兵器の使用を禁止、制限する条約も成立しました。

とはいえ、大量破壊兵器の全面的廃絶を訴える総会の初決議は、まだ実施されていません。現在でも世界には約1万5千発の核兵器が存在すると見られています。

この兵器に固有の危険性が、昨年から署名が始まった核兵器禁止条約の交渉の動機となったことは確かです。

近年には、軍事費の削減や兵力の縮小など、長年の目標がいくつか放棄されています。紛争が及ぼすショッキングな人的犠牲にはまったく触れずに、軍事力を称揚し、賛美する動きも見られます。

また、世界の武器貿易は冷戦終結以来、最も盛んになっており、これが地域紛争を長引かせています。世界の軍事費は依然として年間1兆5,000億ドルを超えています。

さらに、緊張状態の再燃が、不拡散の前進を損なうケースも見られています。核兵器が世界の安全に資するという誤った考え方に固執する国があるからです。

テロリストをはじめ、非国家主体の中には、グローバルな軍縮努力にとって極めて深刻な脅威となっているものもあります。

しかも、科学技術の進歩は、規制の枠組みに入らない新種の自律型及び遠隔操作兵器の開発を加速しています。

核兵器を戦術兵器として使用するということも検討されていますが、これは極めて危険な考え方です。

その一方で、戦争は戦場を離れ、都市や村落の中心部にも広がっています。事実、政府も非政府武装集団も、住宅地で強力爆発性兵器を使用しており、民間人の死者がますます多くなっています。

まるで一般消費財と同じように販売、商品化される武器もあります。

化学兵器の使用や核実験にまつわるタブーも、幾度となく挑戦にさらされています。

このように状況が悪化する中で、国際社会は軍縮と軍備管理につき、新たな共通のビジョンを緊急に作り上げなければなりません。

議長、来賓の方々、

こうした懸念に応えるため、私は加盟国の支援を受けながら、グローバルな軍縮アジェンダにさらに大きな弾みと方向性を与えるための新たなイニシアティブを準備中です。

このイニシアティブには、国際の平和と安全を守るための私たちの仕事に欠かせない要素としての軍縮の役割を回復するというねらいがあります。

私は紛争の予防、人道原則の堅持、持続可能な開発の促進、将来的な脅威への対処という、現在の優先課題に取り組むため、私たちが軍縮に関する新たなビジョンを構築できることを信じています。

予防に関し、私たちは兵器の過剰蓄積や拡散の危険に対応するとともに、予防外交と和平仲介に関する国連の取り組みに軍縮を組み込む必要性を高めなければなりません。

私たちはグローバルなレベルで、核兵器廃絶に新たな機運を作り出すために協力しなければなりません。

人道的活動に関し、私たちは特に都市部で、通常兵器が民間人とインフラに及ぼす受け入れがたい影響の増大に焦点を当てる必要があります。これは明らかな人権侵害に当たるからです。人命を救う軍縮に注力することが必要です。

持続可能な開発に関し、私たちは軍縮と「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の関係性を強め、紛争の激化と資源の転用につながる不正な武器の流れを減らすとともに、過度な軍事支出がもたらす恐ろしい経済的影響について理解する必要があります。

最後に、私たちは未来の兵器がもたらす潜在的なリスクや挑戦について検討する必要があります。その中には、自律型無人兵器、人工知能、バイオ技術、宇宙配備システムといった新技術と、国際人道・人権法との関係も含まれます。

私自身のイニシアティブでは、従来の優先課題に新たな視点を、また、将来に向けた明快なビジョン、さらには実際的で実施可能な行動を提供するよう努めていきます。

これらの挑戦はとてつもないものですが、最も困難な時期でさえ、軍縮と軍備管理に関する合意成立が可能であることは、歴史も示すとおりです。

私は私の軍縮担当上級代表に対し、国連システム内のすべてのパートナー、一流の専門家、加盟国、市民社会を含む幅広い範囲の主体に接触し、このイニシアティブをさらに発展させるよう要請しています。

議長、

軍縮と軍備管理は、多くの小さなステップからなる複雑なプロジェクトです。

どのステップも全体に影響します。毒ガス攻撃や核実験が1度起きるごとに、私たちの危険はますます大きくなります。

グローバルな軍縮の枠組みが衰退する様子をこれ以上、黙って見ているわけにはいきません。

むしろ、私たちはそれを早急に逆転させねばならないのです。

私たちは現在進行中の核不拡散条約(NPT)運用検討プロセスを2020年に成功へと導かなければなりません。

この条約は今後も、不拡散、軍縮、原子力平和利用の確固たる礎石として堅持して行かねばなりません。

そして私たちは、包括的核実験禁止条約(CTBT)を滞りなく発効させなければなりません。

私たちは化学兵器禁止条約を施行し、違反の責任を追及しなければなりません。

そして私たちは、軍縮と軍備管理に関する話し合いを再び活性化させ、正しい軌道に戻さねばなりません。

私たちは、核兵器のない世界という共通の目標に向け、力を合わせなければならないのです。

私は事務総長として、私の権限内で、軍縮会議の成功に貢献するため、あらゆる努力をすることを確約いたします。

同様に、私は皆様に対しても、今後の進行方向に関するコンセンサスの構築に向け、一層努力を強化するようお願いしたいと思います。

私は、皆様がほぼ20年ぶりに、最も幸先の良いスタートを切ったと確信しています。そして、この新たな機運に乗じることを期待しています。

ありがとうございました。

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