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貧困撲滅のための国際デー(10月17日)、事務総長メッセージ

プレスリリース 08-61-J 2008年10月17日

今年の「貧困撲滅のための国際デー」は、世界人権宣言採択60周年を記念し、「貧困の中で暮らす人々の人権と尊厳」をテーマに掲げています。宣言は「すべての人は、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利を有する」としているからです。

宣言採択から60年を経た今も、数億人の人々が依然として食料、住宅、教育、人間らしい労働条件など、基本的人権を享受できないでいます。貧困の中で暮らすことを強いられた人々はしばしば、社会的な疎外や差別、無力化にさいなまれています。貧困は貧しい人々から人間としての尊厳を奪い去っているのです。

私たちは貧困撲滅を目指す中で、すべての人々の人権と尊厳を尊重するよう配慮しなければなりません。私たちの取り組みは基本的、物質的なニーズを超え、差別や不平等に取り組むものとせねばなりません。それはすなわち、貧困から抜け出すために、貧しい人々がすべて、土地や資本、知識や技術など、必要とする資源を利用できるようにすることに他なりません。それはまた、貧しい人々が自分たちの生活に直接影響する政策決定その他の活動に実質的に参加できるよう、その地位を向上させることでもあります。

経済の見通しが不透明な中で、この課題はより困難なだけでなく、より重要にもなっています。食料・燃料価格の高騰や世界金融危機は、世界各地で貧困と飢餓の削減に向けた前進を台無しにしかねないからです。現在、1億人の人々が貧困に陥る危機にさらされていると見られます。

各国政府は今年9月のハイレベル会合で、ミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けた決意を再確認しました。食糧安全保障を強化し、病気を根絶し、水や衛生施設へのアクセスを確保し、金融危機を抑え込むために、多くの参加者が新たな資金拠出を誓約しました。こうした約束は単なる慈善ではなく、すべての人々の人権を追求する上での義務ともいえます。MDGs達成の約束を果たせなければ、私たちはさらに深刻な窮状と世界的不安の温床を生み出してしまうことになるのです。

人権をきちんと尊重しない限り、貧困は撲滅できないでしょう。今年の「貧困撲滅のための国際デー」にあたり、あらゆる人々に固有の尊厳と平等な権利を保証し、貧困と不正のない世界の実現に努めていこうではありませんか。