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「国際の平和と安全に関する複合的、現代的課題への取り組み」に関する 安全保障理事会公開討論における事務総長発言 (ニューヨーク、2017年12月20日)

プレスリリース 17-075-J 2017年12月28日

©UN Photo/Mark Garten

私は、安全保障理事会議長国として、武力紛争と情勢不安を悪化させるますます複合的な要素を中心議題とした日本に感謝します。

また、先週の訪日の際、私を温かく迎えていただいた日本の政府と国民の皆様にも謝意を表明いたします。

きょうは3つの点についてお話ししたいと思います。

1に、国際の平和と安全に対する脅威は、量的にだけでなく、質的にも変わってきています。

冷戦終結以来、緊張状態が最も高まる中で、核兵器の危険性は再び前面、そして中央に出てきています。

気候変動は、この脅威をさらに増幅させています。

今世紀半ばまでに、淡水の需要は40%を超える上昇を示すと予測される中で、水不足に対する懸念が高まっています。

不平等と排除は、苛立ちや社会からの隔絶の温床となっています。

非常に多くの利益をもたらした技術進歩によって、過激派が情報を発信したり、歪んだ不満の表現を広めたり、同調者を募ったり、人々を搾取したりすることも容易になる中で、サイバーセキュリティー上の危険も高まっています。

武力紛争の数は長期的に減少していますが、中東とアフリカの一部では、紛争が激化しています。

紛争の解決も困難になっています。

紛争は長期化し、平均で20年を超えています。つまり、紛争による避難民が家や故郷を離れて過ごす時間も、かつてないほど長くなっています。

武装集団が国家機構や天然資源、領土の獲得競争を繰り広げる一方で、全か無かの要求を掲げる過激派集団が外交の余地をほとんど与えない中で、紛争はさらに複雑化しています。

政治的な派閥や非国家武装集団の数も増大しており、シリアだけでも数百の武装集団が存在します。

また、紛争の地域化や国際化も進んでいます。

紛争当事者に対する外部からの軍事的、財政的支援は、内戦を長期化させるだけでなく、現地の戦闘員がより大きな対立状態の代理を務めることで、さらに幅広い緊張関係に火をつけています。

紛争は相互の関連性と、全世界的なテロの脅威との関連性をともに強めています。

そして、国境を越えて暗躍する薬物密輸犯や人身取引犯は、混乱を永続化させ、難民や移民を餌食にしています。

2に、紛争の性質の変化は、私たちのアプローチを考え直す必要性があることを意味します。それは私たちの活動方法と、他者との協力方法の両方について言えることです。

私たちの取り組みは、整合的かつ協調的で、文脈に合ったものとせねばなりません。

私たちは活動の柱と平和に向けた連続体の全体に取り組み、統合的な行動を目指さなければなりません。

私はこの目標を念頭に置きつつ、国連開発システムのあり方を変え、私たちの内部管理を合理化し、平和と安全に資する事務局の体制を強化することをねらいに、3つの相互連関的な改革への取り組みに着手しました。

また、アフリカ連合(AU)や欧州連合(EU)をはじめとする地域的パートナーとの連携の緊密化も図っています。この点で、G5サヘル加盟国が創設した共同部隊は、今年になって成立した国連とAUの枠組み協定とともに、重要な一歩を記すものです。

3に、私たちのあらゆる活動で、予防を中心要素とせねばなりません。

紛争を予防することは、それを管理することに優るからです。

そうすれば、悲劇的な人間の苦痛が避けられるだけでなく、資金の節約にもなります。定量化が難しく、メディアの関心を呼ばないことが多いとはいえ、予防は十分かつ目に見える配当を伴う健全な投資だと言えます。

開発は私たちにとって最高の予防手段のひとつであり、2030アジェンダは非常に大きな可能性を秘めています。開発はそれ自体が目標であり、他の目標を追求するために悪用すべきではありません。しかし、私たちが17の持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けて講じる措置は、平和な社会を構築することにも役立つでしょう。

市民的、政治的権利だけでなく、経済的、社会的、文化的権利も含むすべての人権の尊重は、予防に欠かせない要素です。

暴力の蔓延につながる前兆として、私たちは抑圧の増大や市民社会の活動規制、派閥主義の台頭を目にすることが多くあります。私たちは、すべての人が社会の一員であるという実感が持てるよう、社会的一体性に投資しなければなりません。

私たちは、ジェンダーの平等がレジリエンスと密接に関係していること、そして、紛争の予防から和平、持続的な平和に至るまで、女性の参加が成功に欠かせないことも知っています。

女性のエンパワーメントがあれば、社会は豊かになり、和平プロセスが定着する確率も高まります。

私たちはまた、紛争の前後とその最中に女性が受ける組織的な暴力に対処するとともに、紛争終結後の癒しと復興に欠かせない要素として、その実行犯の裁きを求めるべく、さらに取り組みを強化しなければなりません。

予防には、予防外交も含まれます。それは、緊張関係の兆候に迅速に対処し、政治的な解決を図るための取り組みを意味します。新たに設置された「調停に関するハイレベル諮問委員会」は初会合を開き、どのような関与の機会があるかを評価しました。私は評議会が間もなく、初の正式かつ慎重な活動を開始するものと期待しています。もちろん、皆様はいつでも、私自身の調停活動を活用することができます。

この作業においては、人間の安全保障という理念が有用な基準枠となります。そして私は、以前からこの理念を推進している日本に感謝します。

人間の安全保障は、人間中心型のホリスティックな理念として、早期に対応し、最も脆弱な立場にある人々を優先する必要性を強調しています。

これらをすべて、私たちの活動の試金石とせねばなりません。

私は、紛争のリスクを監視し、これに取り組むための新たな方法を模索する安保理の取り組みを歓迎します。

新たに生じつつある事態に安保理の関心を集中させ、予防のための資源を充実させるとともに、解決手段を増やし、紛争の回避と持続的な平和をより組織的に実現できるよう、力を合わせようではありませんか。

最後に、安保理が結束する必要性も強調したいと思います。

さもなければ、紛争当事者はさらに頑なで非妥協的な立場を取り、紛争の激化を望む者は繰り返し、取り返しのつかない局面にまで事態を悪化させてしまいかねません。

しかし、私たちが結束すれば、すべての人の安全と福祉を保障することができるのです。ありがとうございました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。