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ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)フォーラムにおける 事務総長挨拶(東京、2017年12月14日)

プレスリリース 17-070-J 2017年12月14日

来賓の方々、

皆様、

私は共催者の方々に感謝するとともに、この会合のホスト国としてリーダーシップとビジョンを示した日本政府に敬意を表します。

また、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを目的に29億ドルという多額の資金拠出を表明された安倍総理にも感謝を申し上げます。

安倍総理、ここ日本で、そして全世界で、すべての人の健康を確保するという総理の決意には、まさに感動を覚えます。総理が表明されたプログラムは、持続可能な開発アジェンダの目標達成に向けた統合的行動の重要性を明らかにしています。

皆様、

本日のテーマである健康を取り扱う会議が東京で開催されることは、極めて理に適っています。

日本は最初にユニバーサル・ヘルス・カバレッジの力を実証した国の一つです。1961年に導入された国民皆保険制度は、その後数十年間にわたる経済成長のきっかけとなったからです。

私たちは来年9月、「すべての人に健康を」という目標を定めたことで有名な「アルマアタ宣言」採択40周年を迎えます。

世界は2日前に「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ・デー」を祝ったばかりです。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジはまさに、すべての人へのケアとサービスの提供を意味します。

公平なアクセス。

質の高いケア。

手ごろな価格のサービス。

私たちの目標は、すべての人の身体的、精神的福祉を保護、促進することとせねばなりません。

健康は前進の成果であると同時に、これを推進するものでもあります。

より持続可能で包摂的、かつ豊かな未来という私たちのビジョンにおいても、中心的な位置を占めています。

また、平和と安全の問題を考える際の中心的要素でもあります。

私たちが健康、特に女性と青少年の健康に投資すれば、より包摂的でレジリエントな社会を構築できます。

最近の数十年間にわたる集中的な投資のおかげで、私たちは多種多様な健康面の課題につき、歴史的な前進を遂げてきました。

近代的な避妊手段を利用できる女性が増えています。

予防接種も普及してきました。

抗レトロウイルス薬を利用できるHIV感染者も増えました。

マラリアの感染リスクにさらされた人々はますます、殺虫剤を塗布した蚊帳の中で眠るようになっています。

また、ポリオをはじめとする病気を撲滅する目処も立っています。

しかし、大きな不平等によって、最弱者層は依然として置き去りにされています。あまりにも多くの人々にとって、健康は物理的または金銭的に手に入れることができないか、まったく手の届かないものとなっています。

医療費の自己負担により毎年、およそ1億人が貧困ライン未満に転落していると見られます。

相互のつながりをますます強める世界では、グローバルな保健環境の変化が抗菌薬耐性や気候変動の影響、非伝染性疾病の蔓延など、新たな脅威を生んでいます。

そのすべてに対処するためには、各々のコミュニティー独自のニーズに効果的かつ公平に対応できる、さらに統合的な保健制度が必要となります。つまり、監視システムの強化や社会保障メカニズムの拡充、サービス提供システムの効率化を図らねばなりません。2030年には約1,400万人の医療専門家が不足すると見られることから、人材育成への投資を増やすことも重要になります。

グローバル化した世界で、私たちは健康危機を察知し、これに対応できるシステムも構築せねばなりません。

その手始めとして、私たちの取り組みを阻んできた縦割りの弊害を解消しなければなりません。

結核に関する私たちの経験は、この課題をよく表しています。

2016年には、約410万件の新規結核症例が正式に報告されませんでした。しかも、多剤耐性結核症例のうち、治療が開始されたのは5件に1件にすぎないだけでなく、予防的治療を受けられるはずの人のほとんどが、これを受けていません。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジは、このギャップを埋めるための支援として必要な傘の役割を果たします。人間中心型の人権に基づく保健制度を強化し、そのレジリエンスを高めれば、サービスの質とサービスに対するアクセスは全体的に向上するでしょう。

健康の社会的、経済的決定要因に取り組むためには、部門を越えた大胆で創造的なパートナーシップも欠かせません。

皆様、

健康はすべての人の権利です。

新たな開発の時代に、私たちは部門間の連携を活用し、さらに合理的かつ持続可能な形で健康のための資金を確保しなければなりません。

健康に1ドルを費やせば、1世代のうちに所得が全体として最大20ドルの拡大を遂げることが分かっています。

こうした投資を実現するためには、政治的コミットメントが不可欠となります。

もちろん「万能薬」と呼べる解決策はなく、各国はユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現に向け、それぞれの道を歩まなければなりません。国連には、すべての人にとって利益となる国内計画の策定と実施を支援する用意があります。私たちは、2019年のユニバーサル・ヘルス・カバレッジに関する総会ハイレベル会合を楽しみにしています。

そして忘れてはならないのは、平和が単に紛争のない状態を指すのではないのと同様、健康も病気のない状態を指すのではないということです。救急絆創膏や1回分の薬も確かに大事ではありますが、それだけが私たちの目標ではありません。私たちの目標は、すべての国のあらゆる人の身体的、精神的福祉を全体として達成することとせねばなりません。

誰もがどこでも利用できる保健制度を確保するため、ともに歩を進めていこうではありませんか。

ありがとうございました。

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