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世界水の日(3月22日)事務総長メッセージ

プレスリリース 13-011-J 2013年03月22日

水は持続可能な開発の鍵を握っています。私たちの健康や食料安全保障、経済発展には水が必要です。ところが、水に対する圧力は年々高まっています。すでに世界の3人に1人は、中程度から高程度の水ストレスを抱える国々に暮らしていますが、2030年までに、水に対する需要は供給を40%上回り、世界人口の約半数が水不足に直面するおそれもあります。農民と牧畜民、工業と農業、都市と地方、上流と下流、そして国々の間で、水の獲得競争が激化しています。気候変動が進む一方で、人々のニーズが量的にも、質的にも高まっている今、私たちは力を合わせて、このもろく限りある資源の保護と管理に努めなければなりません。

今年は「国際水協力年」にあたります。そして「世界水の日2013」は、人々と地球に公正な分け前を確保するために必要な共同の取り組みに主眼を置いています。国連システムは、UN-Water(国連水関連機関調整委員会)とその30のメンバー国、25の国際パートナーを通じ、グローバル・レベルから草の根レベルに至るまでの協働を促進しています。例えば、国連開発計画(UNDP)の「共有水域パートナーシップ(Shared Waters Partnership)」は、ナイル川流域をはじめとする共有水域に関する政治的合意を支援しています。ユネスコは紛争の回避を図るため、国境をまたぐ水資源の公平な管理を支援しています。また、国連欧州経済委員会(UNECE)の「越境水路および国際湖沼の保護と利用に関する欧州条約」は間もなく、すべての国連加盟国に開放されます。私はUNECE域外の諸国に対し、この条約に加入し、そのさらなる発展を図るよう強く促します。

農業は圧倒的に多くの淡水を利用していますが、その需要を家庭と工業の用途、特にエネルギー生産と両立させる緊急性が高まっています。気候変動もまた、農業生産性と食料安全保障にとって、ますます大きな脅威となっています。私の「ゼロ・ハンガー・チャレンジ」は、小規模農家も巨大な産業体もともに水1滴当たりの収量を高められるよう、優良事例を共有し、最適な技術を活用することにより、持続可能な農業の促進を図る取り組みです。

水に関するメッセージで、衛生に触れないわけにはいきません。改良水資源へのアクセス提供に関するミレニアム開発目標(MDGs)のターゲットは達成されましたが、衛生については立ち遅れが目立ちます。トイレの使用や未処理ゴミからの保護による尊厳と健康を享受できていない人々は、およそ25億人に上ります。その代償は人命(1日4,500人の幼い子どもたち)と経済の生産性に及んでいます。その一方で、衛生に1ドル投資すれば5倍の利益が得られることがわかっています。副事務総長が今週、衛生に関するMDG達成に向けた作業の加速に向け、世界的な行動を呼びかけた理由もここにあります。衛生への投資は、持続可能な未来の実現に向けた頭金といえるのです。

MDGs達成期限までに残された時間は、わずか1,000日強となりましたが、さらなる努力によって、私たちが今千年紀の初めに開始した作業を完了することは可能です。しかし、2015年は到達点ではなく、長く困難な旅路の単なる通過点にすぎません。私たちはポスト2015開発アジェンダの策定にあたり、極度の貧困と飢餓を根絶し、すべての人々に平等な機会がある世界を作り上げることをねらいとしています。そのためには、持続可能な開発の環境的側面にも同様に配慮する必要があります。きれいで豊富な淡水がなければ、私たちの繁栄もあり得ないからです。今年の「世界水の日」にあたり、私はより一層の協力を呼びかけます。水は共通の資源です。すべての人々が公正な分け前を得られるよう、水をより賢く使い、浪費を減らしていこうではありませんか。

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