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総会ハイレベル対話: 「すべての人のための持続可能な平和構築:持続可能な開発のための2030アジェンダと持続的な平和の相乗効果」にて (ニューヨーク、2017年1月24日)

プレスリリース 17-006-J 2017年01月31日

国連総会のハイレベル対話「すべての人のための持続可能な平和構築:持続可能な開発のための2030アジェンダと持続的な平和の相乗効果」で発言するアントニオ・グテーレス事務総長©UN Photo/Manuel Elias

国連総会のハイレベル対話「すべての人のための持続可能な平和構築:持続可能な開発のための2030アジェンダと持続的な平和の相乗効果」で発言するアントニオ・グテーレス事務総長©UN Photo/Manuel Elias

最近の数十年にわたるグローバリゼーションと技術の進歩は、過去に類を見ない経済的前進をもたらし、多くの人々の生活水準を改善するとともに、極度の貧困の中で暮らす人々の数を減少させました。

しかし、こうした利益があらゆる人に行き渡っているわけではありません。格差は大きく、しかも拡大しています。最近の数字によると、世界で最も豊かな8人は、最も貧しい36億人と同じだけの富を持っています。サハラ以南アフリカの子どもが5歳の誕生日を迎える前に命を落とす確率は、先進国の子どもの14倍を超えています。このような統計が不満を高め、政府や国際機関に対する信頼を損なっているのです。

グローバリゼーションは非対称的でもあります。資金は自由に移動しています。資金移動の自由が大きすぎると考える人々さえ多くいるほどです。商品やサービスも、比較的支障なく行き来しています。ところが、人間の移動は依然として、厳しく制限されています。

雇用主が最低の賃金を追求することはできても、労働者が最高の賃金を追求することはできません。

気候変動や人口増加、急激な都市化や環境破壊は、資源獲得競争の激化を助長し、緊張や不安をさらに高めています。

私たちはいま、いくつかの深刻な開発の破綻に直面しています。すべてのコミュニティーや社会部門、さらには国々が忘れられ、置き去りにされていると感じているのです。

また、経済の破綻と、社会や制度、さらには国家の潜在的弱体化との間にも、明らかな相関関係があります。私たちはその結果として、破壊的な紛争が発生する一方で、以前からの紛争に解決の目途が立たない様子を目にしています。

こうした理由があるからこそ私は、調停や交渉、さらに適切な場合には、私自身の斡旋を含め、平和のための外交を活性化させる必要性を強調しているのです。しかし、それだけでは不十分です。

私たちには、紛争の根本的原因に取り組むとともに、理念から実行に至るまで、平和、持続可能な開発、人権を全体として統合するグローバルな対応が必要です。

各国代表の皆様、

予防こそが私たちの優先課題です。それは紛争の予防であり、自然災害による最悪の影響の予防であり、社会の一体性と福祉に対するその他の人為的な脅威の予防でもあります。

予防と持続的な平和を実現する最善の手段は、包摂的で持続可能な開発です。

総会議長からもお話があったとおり、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の普遍的な性質と、誰も置き去りにしないという誓いは、総会と安全保障理事会の決議に定められた持続的な平和という概念と軌を一にするものです。

2030アジェンダと持続的な平和との関連性は、強力な制度と包摂的な社会に関するゴール16だけでなく、17ある目標のすべてについて認められるという認識を持つことが大事です。

開発はそれ自体が目標であり、私たちの活動の中心的要素でもあります。

持続的な平和は2030アジェンダの唯一のねらいではないものの、すべての持続可能な開発目標を実現すれば、持続的な平和に大きく貢献することでしょう。

危機に陥ることなくショックを管理できる基本的なサービスや社会への投資は、持続的な平和への投資になります。

人道・開発機関の力を結集し、共通の目標の実現に取り組むことも、持続的な平和への投資になります。持続可能な農業から洪水対策に至るまで、災害リスクの軽減は、気候変動の影響を緩和し、社会のレジリエンス(災害に対する強さ)を高め、2030年までに極度の貧困と飢餓に終止符を打つという、私たちの目標の達成に貢献することでしょう。

より効果的で責任ある制度を構築し、市民的、政治的、経済的、社会的、文化的権利を含む人権を守ることも、持続的な平和への投資となります。「Human Rights Up Front(人権を最優先に)」イニシアティブはこのことを認識しています。私たちはさらにこれを推進しなければなりません。

多様性が脅威ではなく、利益とみなされるよう、社会的一体性を推進することも、持続的な平和への投資となります。社会が多文化性と多民族性、多宗教性を高める中で、人々はより大きなコミュニティー全体の一員であるという意識を持つ一方で、そのアイデンティティーが尊重されているという実感を抱かねばなりません。

紛争解決を含め、社会のあらゆる分野への女性と女児の有意義な参加を確保することも、持続的な平和への投資となります。ジェンダーの平等は、経済成長を加速し、生活水準を高めます。女性が平和構築に参加すれば、紛争の再発防止に役立ちます。

2030年までに、あらゆる人がクリーンエネルギーを利用できるよう、持続可能なエネルギーへの移行を図ることも、持続的な平和への投資となります。再生可能エネルギーは、気候変動で最も深刻な影響を受けるアフリカと東南アジアの2地域に暮らす数百万人に、安定的な電力を提供するからです。

私は2つの最優先課題を強調したいと思います。

第1の課題は教育です。教育は平和と経済開発の両方にとって前提条件となります。良質の教育制度は、特に紛争で被災した社会の変革に貢献することができます。教室で学んだ平等、尊重、寛容の精神は、社会全体に影響を及ぼすだけでなく、学校は、人間への投資を象徴する強力なシンボルにもなります。

第2に、若年層の失業によって、数百万人の若者がその潜在的能力を発揮する機会を奪われ、暴力的紛争やグローバル・テロリズムの台頭に加担しています。生産的な雇用とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)は、安定した安全な社会に欠かせません。

教育、訓練、雇用創出は問題解決の一翼を担います。男児の教育期間が1年長くなるごとに、所得の潜在能力は高まり、紛争に巻き込まれる危険性は低下します。女児の教育は、ジェンダーの平等に欠かせないだけでなく、その雇用機会やライフチャンスも大きく改善します。

<以下、フランス語で>

各国代表の皆様、

加盟国と力を合わせてこのアジェンダに取り組んでいくためには、国連自体も変革の決意を固めなければなりません。私はこのため、3つの重要な改革分野を明らかにしています。

まず、私たちの平和活動の戦略と手法を変えなければなりません。平和維持活動は、国連通常予算の約70%を占めていますが、その中には、維持すべき平和などない場所に展開されているものが多くあります。

私たちは、紛争の予防と平和の定着を優先しなければなりません。私の政策担当上級顧問は、国連システムが活用できるさまざまな予防手段を取りまとめ、これらを統合するプラットフォームを考案する責任を担っています。

次に、私たちは加盟国によりよく奉仕できるよう、国連の開発システムを改革しなければなりません。そのためには、活動の調整と説明責任を向上させる必要があります。

私たちは各国レベルで、システム全体で展開される取り組みの方向性を定められるよう、国連システムのリーダーシップを強化しなければなりません。そして、国連システム全体としての成果追求に重点を置き、機関間の競争ではなく、その統合と一貫性を高める資金供与パッケージを優先しなければなりません。私は6月までに、総会の決定を受け、国連開発システムの協調を目指すビジョンの概要を発表するつもりです。

最後に、私たちは管理改革も進めなければなりません。私たちのルール自体が逆に障害となってしまうことがあまりにも多すぎます。私たちは自分たちが必要とするメカニズムや手続きを導入していないのです。

透明性と、説明責任の原則を尊重する文化に根差す簡素化、分散化された柔軟な措置を導入すれば、私たち全員の利益になるでしょう。この改革は、私たちがフィールドで加盟国を支援する能力の向上をはっきりと目指すものとせねばなりません。

<以上、フランス語>

各国代表の皆様、

こうした改革に加え、各国政府や市民社会、地域機関、国際金融機関、学界さらにはビジネス界との間に、新世代型のパートナーシップを構築することも欠かせません。特に、多くの企業の利益と、国際社会の戦略的目標との間には、明らかな整合性が見られるようになっています。

このことは、グリーン経済の爆発的拡大を見ても明らかです。

しかし、最近の研究はさらに幅広い見地から、2030アジェンダ実施による経済的便益は、企業のコスト節減と売上という点で、総額数十兆ドルに及ぶと推計しています。

これは企業部門にとって巨大な投資機会を意味します。しかも、企業の貢献はイノベーションや技能向上、雇用創出、さらには新しい市場、製品、サービスの開発に欠かせないものとなります。

そして、最後の要素となるのが資金調達です。私たちは「アディスアベバ行動目標」を実現するだけでなく、それをさらに一歩進めなければなりません。開発途上国は、新たなテクノロジーと市場へのアクセスを必要としています。また、先進国が長年の援助約束を果たすことも必要です。

グローバルな取り組みによって、税制の改善と改革を含む各国独自の資金調達メカニズムを支援するとともに、不正な資金の流れを抑えるべきです。

国際金融機関は、資源を活用し、各国が金融市場や外国直接投資にアクセスすることを支援できるべきです。

人道援助と同様、政府開発援助(ODA)も、はっきりと特定されたリスクやニーズに応じて、戦略的に配分すべきです。私たちには、最も大きなリスクにさらされている国が最も大きな支援を受けるべきであるというグローバルな認識が必要です。

各国代表の皆様、

2030アジェンダと持続的な平和決議は、より安全で強靭、かつ持続可能な世界を実現するための私たちのロードマップです。

この総会こそ、すべての人にとってより良い未来に向けたコンセンサスを作り上げるため、私たちが平等な立場で利用できる独特な場なのです。

私は皆様の信頼と支援により、国連が全世界の人々のための前進を遂げられることを確信しています。

ありがとうございました。

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発言の原文(English)はこちらをご覧ください。