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パレスチナ人民連帯国際デー(11月29日)事務総長メッセージ

プレスリリース 15-105-J 2016年11月29日

ヤルムーク難民キャンプの通りでおもちゃを売るパレスチナ人の子ども。シリア紛争のため、14万人のパレスチナ難民がキャンプを追われた©UNRWA /Rami Al-Sayyed

イスラエル・パレスチナ紛争は単に、この地域で多く発生している紛争の一つではありません。それは多くの点で、中東全体に緊張と紛争をもたらしてきた大きな傷口と言えます。

イスラエルとパレスチナのリーダーは引き続き、2国家共存という解決策に支持を表明しています。しかし、政治的展望を再び開くために緊急の策を講じなければ、1国家という既成事実を定着させてしまう危険性があります。近年では、平和的解決について話し合う2度の取り組みが不調に終わり、3度の武力紛争が発生し、パレスチナの民間人を圧倒的多数とする数千人が死亡し、扇動やテロ攻撃が蔓延する中、ガザ地区からイスラエルに向けて数千発のロケット弾や爆弾が発射される一方で、イスラエルは、自国の民主的価値とその社会の性質を根底から損ないかねない違法な入植活動を続けています。今年は、イスラエル軍によるパレスチナ人の住宅やその他構造物の破壊が、2015年の2倍に上るペースで進められています。依然として人道的緊急事態に陥っているガザ地区では、200万のパレスチナ人がインフラの崩壊と経済の麻痺に苦しみ、数万人が避難民となりながら、紛争で破壊された自宅の再建を待ち望んでいます。

このような状況の中で、パレスチナ人の間では怒りと苛立ちが高まる一方で、イスラエル人の間では大きな幻滅が広がっています。その結果、双方の側で急進派が勢力を伸ばし、穏健派の力が弱まっています。さらに悪いことに、他の場所で生じた危機が世界のリーダーたちの関心を集めるにつれて、国際社会の中に危険な空虚感が漂い始めました。ヨルダン川西岸地区での内部分裂と内紛は、パレスチナを麻痺させている連帯の欠如にさらに新たな側面を付け加え、民主主義と法の支配を根底から損なっています。イスラエルによる占領が50年目を迎えようとする中で、2国家共存による解決の見通しが消えかかっている今、国際社会は、両当事者が信頼感を取り戻し、有意義な交渉に向けた条件を整備するための支援を行う決意でいることを表明しなければなりません。

交渉の成立に向けた条件の整備に必要なステップは、最近の中東カルテット報告書で明示されています。国連は引き続き、カルテットのパートナーである欧州連合(EU)、ロシア連邦、米国とともに、地域各国を含む主なステークホルダーと連携し、報告書の提言を実施に移していく決意です。今年の「パレスチナ人民連帯国際デー」にあたり、私たち全員がパレスチナ人の権利を擁護し、パレスチナ人にとっても、イスラエル人にとっても、平和と正義、安全、尊厳のある未来の構築に努める決意を新たにしようではありませんか。

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