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人権デー(12月10日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ

プレスリリース 02/101-J 2002年11月29日

歴史上で今日ほど、国際関係の激動が感じられる時代はほとんどありませんでした。それは、国家間の関係についても、民族間の関係についても言えることです。グローバル化、国際テロリズムの恐怖、そして、人権の普遍性に対する認識の高まりはすべて、この激動の一翼を担っています。これを乗り切るためには、新たな均衡状態をもたらす助けとなりうるビジョンが必要です。このビジョンは、人権を尊重し、テロリズムの脅威に対抗し、これまで以上に多国間協力の資源と正当性に依拠するものでなければなりません。私たちはこのために、複雑な挑戦に立ち向かわなければなりませんが、その際には何よりも増して、一つの明確な原則を指針としなければなりません。国際的な法の支配の尊重がそれに当たります。
 
 20世紀のもっとも際立った遺産の一つとして、人道法、難民法、刑法および人権法などの国際法体系の発展があげられます。こうした国際法は全体として、適切な理解が得られ、効果的に施工されれば、不正、恣意的処遇、および、基本的な安全に対する攻撃から個人を守る役割を果たします。
 
 これらの法が尊重されないことがあまりにも多くなっています。国内法が覆され、基本的人権や市民的自由の侵害に見せかけの正当性が与えられることがあまりにも多いのです。
 
 それでも、法の支配の力は、その普遍的な妥当性と適用、すなわち、あらゆる人々の基本的人権を基盤とすることにあります。法は強者にも弱者にも、平等に適用されます。法の支配の適用は大国、小国を問わず、国家の責務です。それは、犯罪やテロリズムと闘うための効果的な道具であると同時に、私たち全員にとっての安全、安全保障および自由をもっともよく保証するものでもあります。
 
 今年の「人権デー」にあたり、私はすべての政府、コミュニティおよび個人に対し、法の支配の普遍的適用への誓いを新たにするよう呼びかけます。この貴重な遺産を当然のものとして軽視しないようにしましょう。そして、これを培い、発展させ、強化してゆきましょう。きょうのこの日を機会に、この任務の達成を新たに決意しようではありませんか。