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朝鮮戦争休戦協定50周年に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ

プレスリリース 03/073-J 2003年08月01日

~ 核と安全保障問題の解決が急務 ~

 コフィー・アナン国連事務総長は、朝鮮戦争休戦協定調印50周年に寄せて、以下のメッセージを発表しました。

 1953年7月27日の休戦協定は、朝鮮戦争を終結させ、協定の言葉を借りれば、「苦痛と流血というその大きな代償」に終止符を打ちました。しかし、50年後の今日でも、朝鮮紛争は未解決です。家族は離散したままです。恐怖と不信が広がっています。朝鮮民主主義人民共和国の核開発プログラムをめぐる現下の論争は、北東アジア地域、ひいては世界全体にとって、この未解決の問題が提起する危険をまざまざと見せつけています。中でも南北朝鮮の人々は、自らの故郷を引き裂き、今では新たな紛争の兆しさえ呈するこの問題により、最も直接的な負担を強いられています。

 核問題と関連の安全保障問題の解決は、最も緊急な優先課題としなければなりません。外交的解決を図ることが不可欠ですが、それは現実的に可能です。朝鮮半島を非核化すべきだとする強い国際世論があります。地域各国は平和的手段を通じ、この問題に一丸となって取り組む意図を明らかにしています。南北朝鮮の対話は、2000年の平壌サミットと韓国の「平和・繁栄」政策によって促進され、和平に向けた流れを作り出しています。また、国連事務総長特使は、朝鮮民主主義人民共和国の人道的惨禍を回避し、現在の緊張状態を解き、新たな平和的発展の時代の礎を築くための取組みを強化していく予定です。私はすべての関係者に対し、北京会談の早期再開を含め、平和的な話合いによる解決を目指す断固とした取組みを求めたいと思います。

 現状の打開は、朝鮮紛争の恒久的解決に向けた第一歩としなければなりません。包括的な解決がなければ、新たな危機の発生を防ぐことはできないでしょう。このような包括的合意は、幅広い安全保障、軍事、政治、人権および経済問題を対象とし、最終的には平和条約を目指すものとしなければなりません。朝鮮民主主義人民共和国の国際経済への全面的な統合の具体像を描き、その準備を行うことが必要です。多大な忍耐力、根気強さ、そして政治的意志がなければ、この取組みは成功しないでしょう。

 休戦50周年は、朝鮮半島の安定と繁栄をあまりにも長く脅かしていた暗雲を追い払う機会です。私は国際社会に対し、朝鮮の再統一と、未来永劫に続く平和に向けた持続的な取組みに加わるよう呼びかけます。国連は引き続き、朝鮮紛争を特別の重要事項とし、この取組みに積極的に関わっていく所存です。