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総会本会議におけるアントニオ・グテーレス次期事務総長による 潘基文(パン・ギムン)事務総長に対する敬意の表明と宣誓 (2016年12月12日)

プレスリリース 16-118-J 2016年12月27日

第9代国連事務総長に任命されたアントニオ・グテーレス氏の就任宣誓式が2016年12月12日、ニューヨークの国連本部で行われた。グテーレス次期事務総長は総会議場で演説し、2017年1月1日から始まる5年の任期に向け決意を表明した©UN Photo/Evan Schneider

第9代国連事務総長に任命されたアントニオ・グテーレス氏の就任宣誓式が2016年12月12日、ニューヨークの国連本部で行われた。グテーレス次期事務総長は式直後に総会議場で演説し、2017年1月1日から始まる5年の任期に向け決意を表明した©UN Photo/Evan Schneider

議長、
事務総長、
各国代表の方々、
皆様、

皆様の温かい言葉に感謝します。私は、加盟国から寄せられた信頼と信用を光栄に思うと同時に、国連憲章の目的と原則に従う決意を固めています。

まず、潘基文(パン・ギムン)事務総長に敬意を表したいと思います。

事務総長、

あなたの原則に沿ったリーダーシップは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」、平和と安全に対するコミットメント、そして私たちの活動の中心に人権を据えるためのイニシアティブを通じ、国連の将来の方向性を定めることに貢献しました。

事務総長の指揮の下、世界は気候変動に関する歴史的なパリ協定を成立させ、これを記録的な速さで批准しました。私は、この勢いを止めることはできないと強く確信しています。

親愛なる潘基文事務総長、あなたの後任として、私たち二人を結び付ける同じ価値を守っていけることを光栄に思います。ありがとうございます。

議長、

私がポルトガルの首相に就任した21年前、世界には楽観的な見方が広がっていました。冷戦は終結し、これを歴史の終焉と表す向きもありました。このような人々は、私たちがすべての人に経済成長と豊かさをもたらす、平和で安定した世界に暮らすことになると信じたのです。

しかし、冷戦の終結で歴史は終わりませんでした。それとは逆に、歴史はそれまで、いくつかの場所で凍結されていたのです。そして、古い秩序が溶解したその時、歴史はすさまじい勢いで復活を遂げました。

それまで隠れていた矛盾や緊張は、再び表面化しました。新たな戦争が多発し、古い戦争が再発しました。勢力関係が不明確になる中で、不透明性は増し、不処罰がはびこるようになりました。

紛争は以前にも増して複雑化し、相互に絡み合うようになりました。その結果、恐ろしい国際人道法違反や人権侵害が生じています。この数十年間には見られなかった規模で、人々は家を捨てることを余儀なくされています。そして、グローバル・テロリズムという新たな脅威も生まれました。

気候変動、人口増加、急激な都市化、食料不安、水不足といった大きな流れは、資源獲得競争を激化させ、緊張と不安を高めています。

議長、

この20年の間には、長足の技術的進歩も見られました。グローバル経済は成長し、基本的な社会指標は改善しました。絶対的貧困の中で暮らす人々の割合は、劇的に低下しました。

しかし、グローバリゼーションと技術的進歩は、不平等の拡大も助長しました。多くの人々が置き去りにされ、先進国でさえ、数百万人の雇用が消滅する一方で、新たに生まれた雇用は、多くの人々に手の届かないものとなっています。各地で若者の失業が激増しました。そしてグローバリゼーションは、組織的犯罪や不正取引の規模も広げています。

このような状況の中で、人々と政治的な既成勢力との間の溝が深まっています。一部の国々では、情勢が不安定化して社会不安が広がり、暴力や紛争さえも見られるようになっています。

あちこちの国で、有権者は現状を拒否する傾向を強め、政府の提案がことごとく国民投票にかけられています。多くの人々は自国の政府だけでなく、国連を含むグローバルな機関に対する信頼も失っています。

議長、

世界中で多くの人々が、恐怖に駆られた決定を下しています。

私たちは、自分たちの普遍的な価値を見失うことなく、こうした人々の不安を理解し、そのニーズを充足しなければなりません。

国内的にも国際的にも、人々とリーダーの関係を再構築すべき時が来ています。リーダーたちは今こそ、人々の声に耳を傾け、それぞれの国民、そして私たち全員が依存するグローバルな安定と連帯を大切にする姿勢を示さねばならないのです。

同様に、国連にとっても、その欠点を認識し、運営方法を改革すべき時が来ています。国連という組織は、多国間主義の礎として、数十年間にわたる相対的な平和に貢献してきました。しかし、現在の課題は私たちの対応能力を越えようとしています。国連は変わる覚悟を固めなければなりません。

私たちの最大の欠点、そしてついでに申し上げれば、国際社会全体の最大の欠点は、紛争を予防できないことにあります。

国連は戦争から生まれました。そして、私たちはいま、平和のために存在しなければならないのです。

<以下、フランス語で>

議長、

紛争を予防するためには、平和と安全、持続可能な開発、人権という国連の3本柱を通じ、根本的な原因に取り組むことが必要です。私たちのあらゆる活動において、これを最優先課題とせねばなりません。

紛争を予防するためには、制度を強化し、社会の強靭性を高めようとする各国の取り組みをさらに支援することが必要です。

また、決して政治的な目的でなく、それ自体として擁護すべき根本的価値として、人権を確立することも必要です。あらゆる少数者を含め、すべての人がいかなる差別も受けることなく、市民的、政治的、経済的、社会的、文化的人権を全体的に享受できるようにせねばなりません。

女性や女児の保護とエンパワーメントは最も重要です。ジェンダーの平等は不可欠であり、平和の定着と維持に女性が果たす大きな役割も、ますます明白になっています。

予防は新しい概念ではありません。それは、国連の創設者が私たちに求めたことであり、また、人々の命を救い、苦痛を和らげるための最善の手段でもあるのです。

しかし、予防ができなかった時、私たちは紛争解決のために、一層の努力を重ねなければなりません。

シリア、イエメン、南スーダンなどで起きている最も深刻な危機から、イスラエル・パレスチナ紛争をはじめとする旧来の紛争に至るまで、私たちは調停や仲裁、創造的な外交をさらに追求せねばなりません。

紛争解決の主な役割は加盟国が果たすべきことを認識しつつ、私は付加価値があると判断した場合、斡旋活動を通じ、個人的に紛争の解決に関与するつもりです。

議長、

目下の課題の規模を考えれば、私たちは協調的な取り組みを通じ、国連を根本的かつ継続的に改革しなければなりません。私はここで、平和のための活動、持続可能な開発の支援、内部管理という、この改革の3つの戦略的優先課題について、簡単にお話ししたいと思います。

国連の平和維持活動に従事する女性と男性は、自らの命を危険にさらしながら、まさに英雄的な貢献をしています。しかし、こうした要員にはしばしば、存在しない平和を維持するという任務が与えられています。よって私たちは、急を要する改革の基盤を築くために、平和維持活動の範囲について合意しなければなりません。

私たちは、紛争の予防と解決や、平和の維持と定着を開発と結び付ける平和の導線を作り出さなければなりません。私たちは最近の3件の報告書で出された結論、および、総会と安全保障理事会で同時に採択された決議を土台としなければなりません。私たち全員が、持続的平和という新たな理念のもとに結束し、平和と安全を目指す国連の戦略、活動および構造の全体的な改革に取り組むべき時が来たのです。

また、この改革の一環として、テロ対策の分野における私たちの活動を検討し、関係する38の国連諸機関間の調整メカニズムを改善することも必要です。

<以上、フランス語>

議長、

国連システムはまだ、国連の旗のもとに、私たちが保護すべきである人々に対して犯された性的暴力と虐待という恐ろしい罪を予防し、これに対応するための対策を十分に講じていません。

私は、潘基文事務総長が導入に全力を尽くしてきたゼロ容認政策を現実のものとするための構造面、法律面、活動面での措置に関し、加盟国と密接な協議を行っていきます。私たちは透明性とアカウンタビリティーを確保するとともに、被害者に保護と実効的な救済を提供しなければなりません。

議長、

改革のための第2の優先課題は、持続可能な開発目標(SDGs)とパリ協定の目標を達成するために、国連が加盟国に提供する支援に関するものです。これらの目標はグローバルな連帯の表現であり、誰も置き去りにしないという約束を掲げています。

私たちはそのために、開発を私たちの活動の中心に据え、本部と国別のレベルで、国連開発システムの包括的な改革に取り組みます。これにはリーダーシップ、調整、遂行、そしてアカウンタビリティーが伴わなければなりません。私たちは、加盟国による最近の協議の成果を土台としていきます。

私たちはまた、危機発生当初から人道と開発の側面をより密接に結び付けることで、被災コミュニティーを支援し、構造的・経済的影響に取り組み、脆弱性と不安の新たな悪循環を予防するための支援を行わなければなりません。人道的対応、持続可能な開発、持続的な平和は、同じ三角形の三辺を構成するからです。

このアプローチは、世界人道サミットで合意された「新しい活動方法」と関係しています。私たちはその達成のために、マンデートを遂行する各機関のレベルだけでなく、その国連システムの活動や、システム全体に対する貢献についても、アカウンタビリティーを強化する必要があります。アカウンタビリティーの文化を強化するためには、効果的な独立の評価メカニズムも必要です。

議長、

3つ目の優先課題は管理改革です。私たちは既存の取り組みを土台に、最近承認されたイニシアティブを実施します。国連の職員と予算に関する諸規則を見ると、私たちの効果的なマンデート遂行を可能にするどころか、これを妨げる目的を持つのではないかと思われるものもあるからです。

私たちは簡素化、分権化、柔軟性を軸としたコンセンサスを作り上げる必要があります。要員をフィールドに展開するために9カ月もかけることは、誰の利益にもなりません。

国連は機敏、効率的、効果的になる必要があります。プロセスよりも実行を、官僚よりも人々を重視しなければならないのです。

アカウンタビリティーの文化を確立するためには、しっかりした実績管理と、内部告発者の効果的な保護も必要です。

ただし、実績を改善するだけでは不十分です。私たちは誰にでも理解できる形で、私たちの活動に関する情報をよりよく発信できなければなりません。私たちのコミュニケーション戦略を本質的に改革し、ツールやプラットフォームの向上を図ることで、全世界の人々に情報を届ける必要があるのです。

さらに、管理改革によって、できるだけ早期にジェンダー平等を達成しなければなりません。当初、国連職員を男女同数にするという目標の達成期限は、2000年に設定されていました。それから16年後、私たちはまだ目標の達成からほど遠い状態にあります。

私は、上級管理グループと事務局長会議のメンバー任命において、当初からジェンダー平等を尊重することを誓います。私が任期を終えるまでに、特別代表や特使を含む事務次長と事務次長補のレベルで、完全なジェンダー平等を達成すべきです。

私たちには、2030年の期限を待たずして、システム全体で職員の男女同数を達成するためのベンチマークと時間枠を備えた明確なロードマップが必要です。地域的な多様性についても、同じことが言えます。

最後に、国連の強化に投資する際には、職員を考慮に入れなければなりません。私は、全世界180カ国で国連のマンデートを遂行する8万5,000人を超える男女と、再び協力できることを楽しみにしています。多くの職員は困難な、そして時には危険な状況の中で活動しています。プロ意識と専門知識を備え、献身的に活動するこれら職員は、国連の最も重要な資源です。この資源を大切にし、育成し、効率的に活用するとともに、その声を聞くことが必要です。

議長、

私たちは複雑な世界に暮らしています。国連が単独で成功を収めることはできません。パートナーシップを引き続き、私たちの戦略の中心に据えなければなりません。私たちは、その他の主体が果たす不可欠な役割を認める謙虚さを持ちつつ、私たちの独自の招集能力に対する十分な認識も維持すべきです。

加盟国の積極的な関与と、市民社会や国際金融機関、民間投資家、さらには金融市場の貢献がなければ、私たちの人道と開発に関する取り組みは無意味なものとなってしまうでしょう。私たちの最も重要な国際的・地域的パートナーであるアフリカ連(AU)をはじめとする地域機関が、平和と安全、および開発の両方に関与しない限り、不可能となる調停努力や平和活動もあるでしょう。

<以下、スペイン語で>

私たちは最近、パートナーと共同でさまざまなイニシアティブを立ち上げました。私たちはまず、これらのイニシアティブをしっかりと完成させたうえで、他の取り組みに着手すべきです。

しかし、私たちの戦略には欠けているものがあります。それは若者との連携です。あまりにも長い間、若者は自分たちの将来に影響する政策決定から排除されてきました。

私たちは、加盟国やユース担当特使、市民社会の支援を得て、これまで実施されてきた活動をさらに積み重ねなければなりません。しかし、これを年長者が新たな世代について語る取り組みとしてはなりません。国連は若者のエンパワーメントを図り、その社会参加のほか、教育、訓練および雇用へのアクセスを拡大しなければならないのです。

<以上、スペイン語>

議長、

現代の社会は、接続性を増す一方で、分裂を深めるという矛盾を抱えています。自分たちの殻に閉じこもり、全人類との関連性を認識できない人が増えてきているからです。

きょう何度も話に出たとおり、結局のところ、すべては価値に帰着します。私たちは、国連憲章に謳われた平和、正義、尊重、人権、寛容、連帯という価値が通用する世界を、子どもたちに残したいと思っています。主要な宗教もすべて、こうした原則を受け入れており、私たちはこれを日常生活に反映しようと努めています。

しかし、こうした価値に対する脅威はほとんどの場合、恐怖に端を発しています。私たちが奉仕する人々に対する義務とは、相互に対する恐怖を相互に対する信頼に変えられるよう、力を合わせることです。それは、私たちを結び付ける価値に対する信頼、そして、私たちに奉仕し、私たちを守る機構に対する信頼に他なりません。

私の国連への貢献では、私たちに共通の人間性への奉仕に全力を尽くしつつ、この信頼を育てていくことを目指します。

ありがとうございました。

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