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アントニオ・グテーレス氏を満場一致で次期国連事務総長に任命

2016年10月18日

次期国連事務総長への任命にあたり、総会で演説するアントニオ・グテーレス氏©UN Photo/Amanda Voisard

国連総会は2016年10月13日、満場一致の拍手により、12月31日に任期を終える潘基文(パン・ギムン)氏の後任として、元ポルトガル首相のアントニオ・グテーレス氏を次期国連事務総長に任命しました。

67歳のグテーレス氏は、1995年から2002年までポルトガル首相を、その後の2005年6月から2015年12月にかけては国連難民高等弁務官を務めています。グテーレス氏は2017年1月1日、世界のトップ外交官となり、その後5年間にわたって職務を遂行します。

安全保障理事会は10月6日、2021年12月31日までの5年間を任期とする国連事務総長候補として、グテーレス氏を推薦する勧告を加盟国193カ国に提示しました。総会はこれを受けて、ピーター・トムソン議長が提出したコンセンサス決議を採択することにより、この安保理勧告を承認しました。

グテーレス氏は、総会による次期事務総長への任命に対して感謝するとともに、加盟国からの自分に対する信頼と、その透明かつオープンな選任プロセスにも謝意を表明しました。

グテーレス氏は「この選任プロセスできょう、真の勝利を収めたのは、国連の信頼性であると私は信じています。また、すべての加盟国によって選ばれた事務総長として、私が各国に対し平等に、国連憲章に謳われたアジェンダのみに基づき奉仕せねばならないことも、極めて明確になりました」と述べています。


潘基文事務総長は、国連の運営にとって素晴らしい選択として、アントニオ・グテーレス氏の任命を歓迎したCredit: UN News Centre

また、グテーレス氏は、難民や紛争地域の人々をはじめ、社会的弱者の苦痛を和らげることと、ジェンダーの平等を達成することが引き続き、任期中の優先課題となることを強調しました。

グテーレス次期事務総長は平和、正義、人間の尊厳、寛容、連帯という価値に対する信念を改めて示すとともに、多様性は脅威ではなく、「膨大な資産」であるという確信も表明しました。

さらに、グテーレス氏は潘基文(パン・ギムン)現事務総長の功績を称え、潘氏の遺産を「守るため、最大限の努力」を行うと述べました。

10年前のこの日、事務総長に任命された潘氏は、グテーレス氏の国連難民高等弁務官としての実績に触れ、次のように述べました。「グテーレス次期事務総長は、この議場の誰もがよく知っている人物です。しかし、その知名度はおそらく、武力紛争と人道危機の最前線という、最も重要な場で最も高くなっています」

潘事務総長は、これまで長い間、グテーレス氏の助言を重んじ、その奉仕の精神を称賛してきたことを指摘し、次のように明言しました。「私たちが過去10年間の前進をさらに積み重ねながら、今日の世界の不安と不確実性に取り組んでいく中で、グテーレス氏の任命は、国連の運営にとって素晴らしい選択だといえます」

フレデリック・ムシーワ・マカムレ・シャバ国連経済社会理事会(ECOSOC)議長も、グテーレス氏の選任を祝福し、「確固たる人道の擁護者であるとともに、実績のあるリーダー」でもある次期事務総長との協力を楽しみにしていると語りました。

総会の会合に先立ち、アントニオ・グテーレス次期事務総長(左)と会見するピーター・トムソン総会議長。直後の会合では、グテーレス氏が満場一致の拍手で次期事務総長に任命された©UN Photo/Eskinder Debebe

総会の会合に先立ち、アントニオ・グテーレス次期事務総長(左)と会見するピーター・トムソン総会議長。直後の会合では、グテーレス氏が満場一致の拍手で次期事務総長に任命された©UN Photo/Eskinder Debebe

総会決議は、加盟国が昨年末に導入した歴史的プロセスも歓迎しました。従来は大国による密室会議で決められていた次期国連事務総長の選任が史上初めて、各候補者による世界のトップ外交官ポストへの就任をかけたキャンペーンと、公開議論によって進められたからです。

候補者と国連加盟国、市民社会代表による通称「インフォーマル・ブリーフィング」は、4月12日に初めて開催され、まず3人の候補者がそれぞれの「ビジョン・ステートメント」を提示するとともに、事務総長への選任後、どのようにして持続可能な開発(SDGs)を推進し、平和創造に向けた取り組みを改善し、人権を守り、大規模な人道危機に対処していくのかという問題に関する質問に答えました。

潘事務総長も、国連加盟国による選任プロセスを称賛し、これによって「(選任)プロセスが世界に開かれた」ことを強調しました。

事務総長はさらに、今年の新たなステップが、解放性と関与の新たな基準を確立したことを指摘しました。

選任プロセスには国連史上初めて、総会での公聴会が盛り込まれ、候補者はそこで、それぞれのビジョンを提示するとともに、加盟国から出された質問に答えました。このインフォーマルな公聴会は、テレビやウェブキャストでも中継されました。

総会議長と安全保障理事会議長が共同で、正式な立候補の呼びかけを行ったことに端を発するこのプロセスは、当初から高官ポストの地理的、ジェンダー的バランスの重要性を認識していました。

トムソン総会議長は、選任プロセスが透明性と包摂性という原則を重視するものであったことを明らかにしました


国連総会は満場一致の拍手により、アントニオ・グテーレス氏を正式に次期事務総長に任命する決議A/71/L4を採択したCredit: UN News Centre

トムソン議長は「このプロセスは、(国連)憲章の目的と原則を守る固い決意を体現し、最高水準の効率、能力、誠実性の手本となり、実証済みのリーダーシップと管理能力、広範な国際関係の経験と強力な外交、コミュニケーション、多言語のスキルを兼ね備えた候補者を具体的に選び出すものとなりました」と発言しました。

さらにトムソン議長は「私は、グテーレス氏が道徳的権威者として、国際社会に全力で奉仕するとともに、その任期を通じて、私たちの集団的な道義心と人道を代弁するものと確信しています」と付け加えました。

総会議長は次期事務総長に対し、今次総会の会期全体を通じた全面的な支持を保証するとともに、円滑な事務総長の交代を促進するため、全力で取り組むことを強調しました。

この関連で、グテーレス氏は10月19日、トムソン議長が招集する会合に参加し、国連の重要課題、優先課題、そして新たな課題について、総会と話し合う予定です。

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原文(English)はこちらをご覧ください。