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グローバルな対応で、気温上昇を摂氏2度以内に抑えるチャンスも - UNFCCC が新たな報告書を発表

2015年11月06日

アラスカ州シシュマレフでは、気候変動による潮位の上昇で家屋や水系、インフラが破壊され、文字どおり海に飲み込まれて廃墟となる家も出ている©Photo: UNEP GRID Arendal/Lawrence Hislop

アラスカ州シシュマレフでは、気候変動による潮位の上昇で家屋や水系、インフラが破壊され、文字どおり海に飲み込まれて廃墟となる家も出ている©Photo: UNEP GRID Arendal/Lawrence Hislop

国連は2015年10月30日、これまでにない規模の気候変動対策が世界規模で進んでおり、地球の気温上昇を摂氏2度以内に抑えるという表明済みの目標を、各国が費用効果的に実現できる可能性が出てきたことを明らかにしました。

国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局が発表した新たな報告書は、140カ国以上から提出された「約束草案(INDC)」と呼ばれる自主的な気候変動対策計画を評価したうえで、これらがすべて実施されれば、大気中への温室効果ガス排出量を全世界で劇的に削減できると述べています。

INDCは、11月末からフランスのパリで開催されるUNFCCC第21回締約国会議(COP21)で成立が見込まれる合意の基盤となるものです。

クリスティアーナ・フィゲレスUNFCCC事務局長はプレスリリースの中で、次のように述べています。「各国の気候変動対策計画となるこれらINDCは、意欲的な気候変動対策の新時代を迎えるために、国際社会が支払う明確かつ決意に満ちた手付金の役割を果たします」

「全世界各地の政府がINDCを通じて、その国内事情と能力に応じ、それぞれの役割を演じる決意を固めていることを示したのです」事務局長はこのように付け加えています。

フィゲレス事務局長は、各国がINDCを全面的に実施すれば、全体として、温室効果ガス排出量の増加に大幅な歯止めがかかることも強調しました。

「INDCは最低限の計画として、さらに意欲的な目標を築き上げるための土台を提供しています。これらINDCは、各国が将来的に推進し、達成する用意のある目標に関する最終回答ではないことを、私は確信しています。気候変動の脅威がない未来に向けた道のりは、ここから始まるのです」事務総長はこのように指摘したうえで、パリで署名される協定が、こうした移行をさらに促進しうると付け加えました。

今回の報告書は、10月1日時点で146カ国を対象とする国内気候変動対策計画の全体的なインパクトを取りまとめています。その中には、UNFCCC締約国147カ国から提出された119件のINDCが含まれていますが、EUは28カ国を代表する単一の締約国として、INDCを提出しています。10月中にも、さらに多くのINDCが提出されているため、UNFCCCはINDCの提出が今後も継続するものと見ています。

現在までに提出された146件の計画には、UNFCCC締約国となっている全先進国と、開発途上国の4分の3が含まれています。これらの国々が温室効果ガス排出量全体に占める割合は86%と、先進国からの排出量削減を要求する世界初の国際排出量削減協定となった京都議定書の第1約束期間と比べ、4倍近くに上っています。

報告書は重要な調査結果として、INDCの実施によって、全世界の1人当たり排出量が2015年までに8%、2030年までに9%も削減されることを挙げています。

「INDCによって、2100年までに予測される気温の上昇を2.7℃に抑えることができます。これでも決して十分とは言えませんが、INDC提出以前に多くの人々が予測していた4℃、5℃、またはそれ以上の気温上昇と比べれば、はるかに低い水準となります」フィゲレス事務局長はこのように語りました。

UNFCCCによると、今回の報告書は、INDCが今世紀末までの気温の変化にどのような影響を与えるかを直接に評価するものではありません。そのためには、2030年以降の排出量に関する情報が必要となるからです。しかし、幅広い仮定や方法論、データソースに基づき、INDCが気温に及ぼす影響を試算したその他独自の分析では、平均気温の上昇を3℃未満、3℃、3℃超とする様々な推計結果が得られています。

UNFCCCはまた、いずれの分析でも、2025年と2030年の排出量の推計はかなり似通っているほか、INDCが全面的に実施されれば、これまでのシナリオに比べて大幅な前進が見られるという点で見解の一致が見られることも指摘しています。

「これらの計画は、気候変動対策が成功すれば、排出量が削減されるだけでなく、政府や市民、企業にとって、その他にも数多くの経済的、社会的便益が生まれることをはっきりと認識したうえで、確固たる道のりを定めるものとなっています」フィゲレス事務局長は、このように強調し、次のように付け加えました。

「開発途上国に対する資金援助、今世紀後半に気候ニュートラル化を達成するという明確な長期目標、そして体系的で透明性があり、かつ時宜にかなった目標のレベルアップを伴うことによって、INDCはパリ気候協定に刺激を与える要素となることでしょう」

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