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シリア危機と国連の対応【ウィークリー・アップデート第45号】6/4付資料

2014年06月06日

国連広報局(DPI)は、シリア危機への国連の様々な対応をまとめた資料を週に一度発表しています。以下はその日本語訳です。

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ウィークリー・アップデート

国連広報局(DPI)第45号/201464

◆事務総長、ラクダール・ブラヒミ氏にねぎらいの言葉

潘基文(パン・ギムン)国連事務総長531、この日限りでシリア担当共同特別代表としての任務を終えるラクダール・ブラヒミ氏に電話をかけ、その労をねぎらいました。事務総長は2年間にわたり、シリア紛争の政治的解決に向け取り組んだブラヒミ氏の不断の努力を高く評価しました。また、ブラヒミ氏に送った書簡では、シリアの人々の悲劇的な苦難を終わらせる機会を活用しようとしなかった当事者に対する遺憾の意も表明しました。しかし、事務総長はその一方で、ブラヒミ氏がシリアの両当事者を初めて交渉のテーブルに着かせることで、歴史を作ったことも指摘。国連にとっての懸案事項に関し、引き続きブラヒミ氏の英知や助言、ユニークな経験を活用できることを期待していると付け加えました。事務総長報道官は6月2日、ブラヒミ氏の後任に関する質問に対し、コメントを控えました。

―詳しくは以下をご覧ください。

http://www.un.org/News/briefings/docs/2014/db140602.doc.htm

 

◆国連はシリアの選挙に関与せず、紛争の政治的解決の必要性を強調

事務総長63、シリアの選挙が、当事者同士の話し合いにより紛争の政治的解決を目指すジュネーブ交渉の枠組みを逸脱するものだと指摘しました。そして、国連は選挙に関与していないものの、選挙実施の環境については注視していると語りました。

ー詳しくは以下をご覧ください。

http://www.un.org/sg/spokesperson/highlights/index.asp?HighD=6/3/2014&d_month=6&d_year=2014

 

◆康京和事務次長補、人道アクセスについて安保理に報告

副緊急援助調整官を務める康京和(カン・ギョンファ)人道問題担当事務次長補529、シリアにおける人道アクセスについて安全保障理事会に報告を行いました。康事務次長補は、安全保障理事会決議2139の採択から3カ月が経過した今も、所期の成果が得られていないことに対し、深い憂慮の念を示しました。また、暴力が全く収まらず、女性や子ども、男性が多く死傷する中で、全当事者によるあからさまな国際人道法違反と人権侵害が続き、窮地に陥った人々への援助が恣意的に拒絶されていると述べました。

―詳しくは以下をご覧ください。

http://reliefweb.int/report/syrian-arab-republic/note-correspondents-asg-kang-briefed-security-council-syria

 

◆エイモス事務次長、人道アクセス状況は引き続き劣悪と発言

64ヴァレリー・エイモス緊急援助調整官 人道問題担当事務次長は記者会見に臨み、安全保障理事会決議2139の採択から3カ月が過ぎたことを指摘しました。この極めて包括的な決議は、シリア国内で困窮する人々へのアクセス、当事者による国際人道法遵守の義務、学校や病院の非軍事化に関連する課題への取り組みを図るものです。安全保障理事会に提示された監視報告によると、決議は所期の成果をあげておらず、康京和事務次長補が先週、安保理に報告したとおり、シリア国内の暴力は依然として激化の一途をたどっています。前回の事務総長報告以来、政府による樽爆弾の無差別的使用、反体制派による迫撃砲攻撃、民間人に対する毒ガス使用が疑われる事件、さらには民間人の集団的な処罰が目に見えて増えています。

―記者会見での発言は以下をご覧ください。

http://reliefweb.int/report/syrian-arab-republic/under-secretary-general-and-emergency-relief-coordinator-valerie-amos-4

 

◆シリアで期限が迫る中、合同査察団は残る化学物質の速やかな搬出に全力

化学兵器禁止機関(OPCW)・国連合同査察団64、シリア保有の化学兵器を2014年6月30日の期限どおりに全廃する見通しが立たないことを受け、活動の焦点は残る化学物質の速やかな搬出に移ったことを明らかにしました。シグリッド・カーグ特別調整官は記者団に対し「期限には間に合わない」と述べ、国連安全保障理事会とOPCW執行理事会の決定どおりにシリアが貯蔵する化学兵器を全廃するのは不可能になったことを認めました。

―関連プレスリリースは以下をご覧ください。

http://opcw.unmissions.org/AboutOPCWUNJointMission/tabid/54/ctl/Details/mid/651/ItemID/323/Default.aspx

 

◆国連専門家、ICCへの付託否決で、残虐行為がさらに広がりかねないと警告

国連の独立人権専門家グループ530、国連安全保障理事会がシリア情勢を国際刑事裁判所(ICC)に付託しない決定を下したことにより、継続中の紛争で新たに残虐行為が発生する可能性は引き続き高くなっていると強調しました。「先週、ICCへのシリア情勢付託が2カ国の拒否権行使で否決されたため、シリア国民がさらに深刻な人権侵害や人道法違反にさらされる可能性が高くなっています」。専門家たちはこう述べています。「こうした違法行為の責任者を裁きにかけられないことで、さらに残虐行為が助長されるおそれもあります」。人権専門家たちは「国内で訴追が行われない現状を考えれば、これをICCに付託することは国連安全保障理事会の責任と言える」ことを強調しました。

―詳しくは以下をご覧ください。

http://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=14655&LangID=E

―プレスリリースは以下をご覧ください。

http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=47930

 

主な国連ニュース記事

「重大局面」を迎えつつあるシリアの文化を救うため、国連機関が監視所を設置

国連教育科学文化機関(UNESCO)は528、シリアの「文化的損失」を食い止めるため、「重大な局面を迎えつつある」シリアの文化遺産の現状を把握するための監視所の設置を発表しました。ベイルート(レバノン)の駐在事務所に拠点を置くこの監視所では、シリア内外のステークホルダーが構造物への被害、美術品の略奪、危機に瀕したあらゆる形態の無形遺産に関する情報を共有するオンライン・プラットフォームを運営します。「一部の地域では、シリアの文化遺産が後戻りのできない重大局面を迎えています」と警告するのは、イリーナ・ボコバUNESCO事務局長です。「シリアの人々が経験している悲劇的な人道危機や苦痛に加え、こうした遺産の破壊は文化的な損失にあたります」。ボコバ事務局長はこのように付け加え、特に最近、ダマスカスの由緒ある「エリヤフハナビ」シナゴーグに甚大な被害が及んでいることを明らかにしました。

http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=47911

 

国連の事務局、機関、基金および計画へのリンク

国連広報局(DPI)シリア特集ページ

http://www.un.org/apps/news/infocusRel.asp?infocusID=146&Body=Syria&Body1=

国連児童基金(UNICEF)

http://www.unicef.org/media/index.html

世界食糧計画(WFP)

http://www.wfp.org/countries/syria

人道問題調整事務所(OCHA)

http://www.unocha.org/crisis/syria

世界保健機関(WHO)

http://www.who.int/countries/syr/en/

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)

http://www.unhcr.org/pages/4f86c2426.html

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)

http://www.ohchr.org/en/NewsEvents/Pages/NewsSearch.aspx?CID=SY

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)

http://www.unrwa.org/

 

ソーシャルメディア:

Twitter: https://twitter.com/UN

Flickr: http://www.flickr.com/photos/un_photo/

YouTube: http://www.youtube.com/unitednations

Tumblr: http://united-nations.tumblr.com/

 

フォトギャラリー:

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)

http://www.unhcr.org/pages/49c3646c25d.html

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)

http://www.unrwa.org/photogallery.php

人道問題調整事務所(OCHA)

http://www.unocha.org/media-resources/photo-gallery

国連児童基金(UNICEF)

http://www.unicef.org/photography/photo_2013.php#UNI82253

統合地域情報ネットワーク(IRIN)

http://www.irinnews.org/photo/

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ヨルダン北部に位置するザータリ難民キャンプ。商店の立ち並ぶ通称“シャンゼリゼ通り”は買い物客でにぎわいを見せる。2012年7月に100世帯が暮らし始めた同キャンプは、この2年間で10万人の難民が暮らすヨルダン第5の“都市”となった©UNHCR/S. Baldwin
エイモス人道問題担当事務次長は記者会見を行い、シリアの人道アクセス状況は引き続き劣悪な状態にあると述べた©UN Photo/Eskinder Debebe
化学兵器禁止機関(OPCW)・国連合同査察団を率いるシグリッド・カーグ特別調整官は記者団に対し、シリア保有の化学兵器を6月30日の期限どおりに全廃する見通しが立たないと述べた©UN Photo/Devra Berkowitz