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国連、韓国の潘基文(パン ギムン)氏を次期事務総長に任命
~ 深い感動と意欲のもと「分裂の橋渡し」を誓うと潘氏 ~

プレスリリース 06/069-J 2006年10月26日

国連総会は2006年10月13日、韓国の潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官を次期国連事務総長に任命しました。潘氏は2カ月半後の2007年1月1日、コフィー・アナン氏の後任として、国連の指揮に当たることになります。

安全保障理事会(安保理)の勧告を受け、総会は潘氏を任期5年で正式に事務総長に任命する決議を採択。超満員の議場では、外交官と国連職員がともに、この決定に喝采を送りました。潘氏は、創設60周年を迎えた国連の第8代事務総長として、世界18カ国にほぼ10万人の平和維持要員を展開し、50億ドルの年間予算を擁する機関の監督を担当します。

192の加盟国からなる国連を10年にわたって指導し、2001年にはノーベル平和賞も受賞した現職のコフィー・アナン事務総長は、12月末日をもって退任します。その後任に当たる潘氏(62)は、40年にわたる外交経験の持ち主です。韓国の国連代表部で勤務経験があるほか、2001年には当時の韓昇洙(ハン・スンス)国連総会議長(韓国)の官房長も務めました。アジア出身者が国連事務総長に就任するのは、1961年から1971年まで事務総長を務めたウ・タント氏に続き、潘氏が2人目となります。

「私はこの壇上で、深い感動と意欲を感じています」。潘氏は国連総会でこのようにあいさつし、事務総長として「最も弱い立場に置かれている人々を保護するという私たちの責任を全うし、国際の安全に対する脅威を平和的に解決すべく、熱心に」取り組むことを誓いました。潘氏は加えて、「国連の成功を測る真の尺度は、どれだけのことを約束するかではなく、私たちを最も必要としている人々にどれだけのことができたかという点にある…」と述べました。「(国連に対する)賛辞を大声で叫んだり、その美徳について説教したりする必要はありません。こうした美徳はステップごと、プログラムごと、そしてマンデートごとに、当然のこととして粛々と実践してゆくのみです」

アナン氏から引き継いだ遺産を生かし、さらに改革を進めることを誓いつつ、後任の潘氏は「私の任期中には、橋渡しと分裂の縮小に向け、たゆまぬ取り組みが行われることになる」と発言。分裂を断固として退け、調和を追求するようなリーダーシップの発揮を宣言しました。

「改革は他人を喜ばせるために行うものではなく、国連の本来の意義を大切に守るために行うものだということを忘れてはなりません」。潘氏はこのように述べ、真の改革によって、21世紀の課題に実効的に対応できる国連を実現するという展望を披露しました。「将来を信じるからこそ、改革が必要なのです。私たちに共通の取り組みを再び活発化させるということは、国連のプログラムや目的だけでなく、相互に対する信頼も新たにすることに他なりません。組織に対してだけでなく、自分たちに対しても、さらに大きな要求を突きつけるべきです」

アナン氏は「各大陸の国々と人々が何を感じているかについて、類い希なる理解力を持った未来の事務総長、すなわち、世界で唯一の普遍的組織の頂点に立つ、真の意味でグローバルな精神を備えた人物」として、潘氏を称賛しました。

アナン氏は50年以上前、初代事務総長のトリグブ・リー氏が後任のダグ・ハマーショルド氏に「あなたは地球上で最も遂行不可能な職務に就こうとしている」というあいさつを送ったことを指摘。この言葉は正しいかもしれないと認めつつも、「それは地球上で最高の職務だ」という言葉も付け加えねばならないと述べました。

バーレーンのハヤ・ラシード・アル・ハリーファ総会議長は潘氏を歓迎するとともに、同氏は、国連が大々的な改革プロセスを本格的に推進している最中に任命されたことを指摘しました。「私たちが直面する数多くのグローバルな課題に取り組めるよう、明確かつ包括的な展望の形成に大きな役割を果たしたコフィー・アナン事務総長に感謝しています」。議長はこのように述べ、国連がこれまでの成果をたたき台としながら、潘氏の指導力のもとに前進を続け、さらに効果的な機関へと成長するだろうという確信を表明しました。

日本の大島賢三 国連大使は、10月の安保理議長国として、総会による潘氏任命に先駆け、安保理15カ国が行った作業を報告しました。その他、国連の5つの地域グループ議長、ならびに、欧州連合(EU)、開発途上国と中国の「77カ国グループ」およびホスト国である米国の代表もそれぞれ壇上に立ち、次期事務総長の外交的手腕と個人的資質を称賛。国連が次々と挑戦を突きつけられる中で、有能な人物を指導者に迎えられたとの見方を示しました。また、激動の過去10年間、国連の舵取りに努めてきたアナン氏の労苦もねぎらいました。