本文へスキップします。

  • プリント

ここから本文です。

シリーズ DID YOU KNOW? :水

2018年09月20日

バングラデシュ農村部の女性©UN/Regina Merkova

水は持続可能な開発の中核であり、社会経済開発、エネルギーと食料の生産、健全な生態系、そして人間の生存それ自体にも欠かせません。水は社会と環境の極めて重要な接点として、気候変動への適応にも中心的な役割を担います。

水は権利の問題でもあります。世界人口が増大する中で、水資源に対する商業上の競合する需要をバランスさせ、コミュニティーがそのニーズを満たすために十分な水を確保する必要性が高まっています。特に女性と女児は、尊厳をもって安全に月経と母性を管理できる清潔な個室衛生施設を利用できなければなりません。

人間のレベルで、水を衛生と切り離して考えることはできません。これらはともに、病気という地球規模の負担を軽減し、人々の健康、教育、経済的生産性を向上することに欠かせないからです。

水関連の課題

• 安全に管理された飲料水サービスを受けられない人々は、21億人に上ります(WHO/UNICEF, 2017)。
• 安全に管理された衛生サービスを受けられない人々は、45億人に上ります(WHO/UNICEF, 2017)。
• 毎年、5歳未満の子ども34万人が下痢症で死亡しています(WHO/UNICEF, 2015)。
• 水不足はすでに、世界人口の10人に4人に影響を与えています(WHO)。
• 自然災害全体の90%は、水に関連するものです(UNISDR)。
• 下水の80%は、処理も再利用もされずに、生態系に垂れ流されています(UNESCO, 2017)。
• 全世界で国境を越えて流れる川のうち約3分の2には、共同管理の枠組みがありません(SIWI)。
• 農業は全世界の取水量の70%を占めています(FAO)。
• 工業用水の取水量のおよそ75%は、エネルギー生産に用いられています(UNESCO, 2014)。

水を得る権利

最近の最も重要な節目の一つとして、国連総会が2010年7月、水と衛生を得る人権を認識したことが挙げられます。総会は、個人用と家庭用に十分な水を利用する権利が誰にでもあることを認めました(1人1日当たり50リットルから100リットル)。この水は安全で受容可能、かつ、金銭的にも(給水の費用は家計所得の3%を超えるべきではありません)物理的にも(水源は自宅から1,000メートル以内で、水を汲みに行く時間は30分を超えるべきではありません)利用可能でなければなりません。

水と持続可能な開発目標

持続可能な開発目標(SDGs)の目標6は「すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」ことを掲げています。この目標に基づくターゲットは、水循環と衛生システム双方のあらゆる側面を対象としており、その達成は他の幅広いSDGs、特に健康、教育、経済、環境に関する目標の前進に寄与するものとされています。

国連と水

国連は長い間、人間と商業、農業のニーズを満たすため、水供給の不足により生じたグローバルな危機に取り組み、基本的な人間のニーズと、増大の一途をたどる世界の水資源に対する需要を充足しようとしてきました。

国連水会議(1977年)国際飲料水の供給と衛生の10年(1981~1990年)国際水・環境会議(1992年)および地球サミット(1992年)は、いずれも水という必須の資源に焦点を絞りました。

「命のための水」国際行動の10年(2005~2015年)は、開発途上国で約13億人の安全な飲料水へのアクセスを支援するとともに、ミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けた取り組みの一環として、衛生問題の改善を進めました。

最近の画期的な合意としては、持続可能な開発のための2030アジェンダ仙台防災枠組2015-20302015年の開発資金に関するアディスアベバ行動目標および 2015年の国連気候変動枠組条約パリ協定が挙げられます。

水と衛生

水の汚染と基本的衛生の欠如は、世界の最貧国で極度の貧困と病気に終止符を打つための取り組みを根底から損なっています。

現在でも、全世界で23億人が依然として、トイレや公衆便所などの基本的な衛生施設を利用できていません。水供給と衛生に関する世界保健機関(WHO)・国連児童基金(UNICEF)共同モニタリング・プログラムによると、全世界で少なくとも18億人が、糞便による汚染から守られていない飲料水を飲んでいるものと見られます。衛生上の危険に対する適切な保護のないシステムを通じて供給される水を飲んでいる人々は、それよりさらに多くなっています。

汚れた水と幼児死亡率

汚れた水と劣悪な衛生は、子どもの最大の死因となっています。子どもの下痢症は、給水の不足、不適切な衛生施設、感染症の病原体で汚染された水、劣悪な衛生実践と密接に関係しています。毎年150万人の子どもが、下痢症で命を落としているものと見られますが、そのほとんどは開発途上国に暮らす5歳未満の幼児です。

衛生の改善と経済的便益

水と衛生へのアクセス欠如と開発目標との間に関連性があることは明らかですが、この問題には費用効果的な解決策があることは知られています。研究によると、衛生改善への投資1米ドルにつき、平均9米ドルの便益が生じることが分かっています。こうした便益を特に実感しているのは、貧しい子どもたちや、これを最も必要とする恵まれないコミュニティーです。

水資源を大切にする機会

水と衛生については毎年、2つの国連デーが設けられています。3月22日の世界水の日と、11月19日の世界トイレ・デーです。どちらの日にも、関連問題に対する認識を高め、具体的なテーマに焦点を当て、行動を促すことを主眼とする一般向けキャンペーンが行われるのが特徴です。

2018年3月22日の「世界水の日」に始まった国際行動の10年「持続可能な開発のための水」は、2028年3月22日の「世界水の日」まで続きます。

国際行動の10年は、安全な水と衛生へのアクセス不足、水資源と生態系への圧力の高まり、干ばつと洪水のリスク増大をはじめ、水関連の課題克服に向けた取り組みの加速を主眼としています。

参考資料:

国連水関連機関調整委員会(UN Water)
衛生と飲料水に関する進捗状況
「水と仕事」報告書

* *** *

原文(English)はこちらをご覧ください。

関連ページ:水の国際行動の10年(Water Action Decade)2018-2028年