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安価な糖尿病治療薬および情報への女性の公平なアクセス促進を

2017年12月07日

糖尿病:血糖値の検査を受ける女性©Photo: WHO/PAHO/Sebastián Oliel

20171114世界保健機関(WHO)は「世界糖尿病デー(11月14日)」にあたり、女性が特に低所得国において、投薬や定期的なスクリーニング、生活習慣の改善で予防したり、遅らせたりできるはずの糖尿病にかかりやすくなっていることを明らかにしました。

WHOのクリスチャン・リントマイヤー報道官は「全世界で約2億500万人の女性(全世界の女性の約8%)が、糖尿病にかかっていますが、その半数以上は西太平洋と東南アジア地域に暮らしています」と語っています。

糖尿病は全世界で、失明、腎不全、心臓まひや発作、下肢切断の大きな原因となっています。2015年の時点で、糖尿病は160万人の直接の死因となっているほか、毎年200万人が高血糖により死亡しています。

しかも、血糖値は妊娠時に大幅に上昇するため、母子の健康がともに大きなリスクにさらされるほか、子どもが将来的に糖尿病にかかるおそれも大きくなります。

しかし、比較的安価な血糖値検査で早期の診断を行い、単に生活習慣を改善するだけでも、糖尿病を予防したり、その発症を遅らせたり、これを治療したりする効果を上げることができます。

今年の世界糖尿病デーは、糖尿病にかかっているか、そのおそれがあるすべての女性が、糖尿病を予防またはできるだけ軽減し、2型糖尿病を予防する能力を高めるために必要な必須の医薬品やテクノロジー、自己管理教育や情報を安価かつ公平に得られるようにすることを求めています。

タイ:1型糖尿病にかかっている16歳のキムさんは、健康に生活する術を学びました。職業としてタイの仮面劇「コーン」の演者を務めるキムさんは、「各地のイベントに出かけてコーンを演じなければならないことを知った時、最初は自分の病気が障害になるのではないかと不安でした。でも、今では毎回の公演旅行に向けて準備することを学び、薬箱も絶対に忘れないようにしています」と語っています©Photo: WHO/Patrick Brown
ブラジル:70歳のロケさんは、11年前から糖尿病にかかっています。9年前には、糖尿病の合併症で失明しました。ロケさんの妻はその世話をするために、仕事を辞めなければなりませんでしたが、この逆境にもめげず、自分たちの状況をプラスに受け止めていると語ります。バイア州サルバドールの糖尿病センターにも定期的に通い、医師のテッサ先生の診察も受けています©Photo: WHO/Eduardo Martino
ヨルダン:ヨルダンの難民キャンプで暮らすラガドさんは、1型糖尿病患者です。定期的に医療チームの診察を受け、経過観察と健康教育を受けています。ラガドさんは「キャンプでは停電が多いので、夏はインスリンを冷やしておくのに苦労します」と語り、健康のために運動も続けています。一番のお気に入りは縄跳びです©Photo: WHO/Tania Habjouqa
ノルウェー:インスリンポンプを装着しながら、毎日運動を欠かさない1型糖尿病患者のハッセさん。糖尿病はあまり生活の支障にはなっていないと話します©Photo: WHO/Fredrik Naumann
ベトナム:68歳のホアさんは、ハナム省ドイソン村で夫と暮らしています。3年前、2型糖尿病と診断され、高血圧をはじめとする合併症にもかかっています。毎日の薬は欠かせません©Photo: WHO/Quinn Mattingly
ナイジェリア:54歳のアデニランさんは、ラゴスのレッキにある病院で、定期的に治療を受けています。グバガーダ総合病院で真正糖尿病協会の会長を務めるアデニランさんは、2型糖尿病患者で、右足の切断手術を受けたため、義足を履いています。薬はしっかりと飲み、生活習慣の改善にも取り組んでいます©Photo: WHO/Andrew Esiebo
タイ:ボン君とミーさんはともに1型糖尿病患者です。バンコクから西に車で2時間半のカンチャナブリに住む2人は、費用を節約するため、それぞれの母親と一緒に週1回、バンコクのシリアジ病院まで検診を受けに通っています。ミッキーとミニーの保冷バッグの中には、糖尿病の薬が入っています©Photo: WHO/Patrick Brown
タイ:バンコク郊外で母親と暮らすシップ君は、1型糖尿病患者です。「シップの学校には良い先生がいます。先生と私は写真を交換しているので、日中、シップが学校にいる間は、先生が様子を知らせてくれます。これにはとても助かっていますし、シップも先生のことが大好きです」お母さんはこう語っています©Photo: WHO/Patrick Brown

2型糖尿病は、体内でインスリンを効率的に使えないことによる病気で、全世界の糖尿病患者の大半が、この2型に分類されます。その原因は肥満と運動不足にあることが多いため、砂糖と飽和脂肪の摂取を避けるなど、健康的な食生活を心がけ、たばこを止め、ほぼ毎日30分以上の規則的な中程度の運動をして運動不足を解消することで、予防が可能です。

最近まで、この2型糖尿病にかかるのは成人だけでしたが、現在では子どもの症例も増えてきています。

糖尿病の種類としてはその他、1型糖尿病(以前はインスリン依存性糖尿病、若年性糖尿病または小児期発症糖尿病と呼ばれていたもの)、妊娠性糖尿病(妊娠期に生じる高血糖症で、血糖値が通常より高いものの、糖尿病と診断されるまでには至らないもの)のほか、耐糖能異常(IGT)や空腹時血糖障害(IFG)(境界型糖尿病)が挙げられます。

WHOによると、IGTやIFGは、2型糖尿病へと進行するリスクが高くなっていますが、これは避けられないことではありません。

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原文(English)はこちらをご覧ください。