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グテーレス事務総長、北朝鮮の核リスクは「私たちが現在、直面する最も危険な危機」と警告

2017年09月08日

記者会見に臨むアントニオ・グテーレス事務総長©UN Photo/Evan Schneider

201795アントニオ・グテーレス国連事務総長は、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)による核・ミサイル実験を「地域と国際の安全を根本的に損なう」ものとして「明確に」非難しました。

「DPRKはまたもや、核爆発実験を行わないというグローバルな規範を破りました。そしてまたもや、安全保障理事会と国際社会の意に反する行動を取りました」グテーレス事務総長は国連本部で記者団に対し、このように語りました。

「DPRKはまたもや、数百万人を不要な、そして無謀なリスクにさらしたのです。その中には、すでに干ばつや飢餓、深刻な人権侵害に苦しむ自国民も含まれています」と事務総長は付け加えました。

グテーレス事務総長は、DPRK当局に対し改めて、先月採択された安全保障理事会決議2371を含め、その国際的義務をすべて果たすよう呼びかけました。

事務総長は9月4日の安全保障理事会会合を歓迎し、次のように述べています。「この危機に対応するうえで、安保理の結束は欠かせません。この結束こそが、朝鮮半島の非核化に向けて緊張を減らし、信頼を増し、事態の悪化を防ぐための外交努力の機会を作り出すのです」

事務総長は、誤算や誤解を避けるために、対話と意思疎通が必要であることを強調しました。

事務総長は「対立を煽るような発言は、意図せぬ結果につながるおそれがあります。政治的な解決が必要です。軍事行動はあまりにも恐ろしい結果をもたらしかねません」と説明しました。

さらに事務総長は「私には事務総長として、この憂慮すべき事態の平和的解決、そしてすでに申しあげたとおり、朝鮮半島の非核化に向けたいかなる取り組みも支援する用意があります」と強調しています。

来たる国連総会のハイレベル・ウィークで、どのグローバル課題が最も中心的な議論の的になると思うかという記者の質問に対し、グテーレス事務総長は「私たちが現在、直面している最も危険な危機は、朝鮮民主主義人民共和国の核リスクに関連する危機です」と答えました。

気候変動の「勢力拡大」

グテーレス事務総長は、もう一つの極めて重要な課題として、世界で引き続き、気候変動の勢力が増していることに触れ、テキサスからバングラデシュ、インド、ネパール、さらにはシエラレオネに至るまで、ここ数週間で発生した未曽有の異常気象により、壊滅的な被害を受けた人々との連帯を表明しました。

事務総長は「国連にはあらゆる可能な方法で、救援活動を支える用意があります」と語り、1970年以来、自然災害の発生件数がほぼ4倍に増えたこと、そして1995年以来、自然災害に最も多く襲われたのは米国で、中国とインドがこれに次いでいることを指摘しました。

2016年だけでも、2,420万人が突然の災害発生で避難を強いられていますが、この数は紛争や暴力による避難民の3倍に上ります。現在発生中の洪水被害を除いても、今年に入ってから2,087人が自然災害によって命を失っているとの試算も出ています。

科学者たちは確かに、具体的な異常気象をすぐに気候変動と関連づけるべきではないとしています。

しかし同時に、自分たちのモデルがまさに、このような異常気象を温暖化が続く世界の新たな常態と予測していることも明らかにしています。

「災害が今後、劇的に増大し、激化するという科学的予測を考えれば、気候変動対策、さらにはレジリエンスの構築と災害リスクの軽減に対する野心の維持に真剣に取り組むべき時は来ています」事務総長はこのように述べました。

ミャンマー・ラカイン州のイスラム教徒の怒りは「あまりにも長く蓄積」
 
国境を越え、バングラデシュへと流入するロヒンギャ・コミュニティーの人々©Azam Sheikh Ali Haider/UN Migration Agency (IOM) 2017

また、事務総長は9月5日、ラカイン州のイスラム教徒に国籍か法的地位のどちらかを認めるよう求めるとともに、8月下旬以来、12万5,000人近くの避難民を出し、地域を不安定化させる恐れも出てきた暴力に対する懸念も表明しました。

「私は、最近のアラカン・ロヒンギャ救世軍による攻撃を非難してきました。しかし現在では、無差別的攻撃を含め、ミャンマーの治安部隊による暴力の報告も次々と受けています。このような暴力は、さらなる過激化を促す結果にしかなりません」事務総長は記者団にこう語り、ラカイン州の治安・人道・人権状況に対する懸念を表明しました。

グテーレス事務総長は、安全保障理事会に正式な書簡を送り、懸念を表明するとともに、暴力に終止符を打つためのさまざまな措置を提案したことを明らかにしたうえで、ロヒンギャの人々(ラカイン州のイスラム教徒)の怒りが「あまりにも長く蓄積し、地域を不安定化させる要因となっていることも否定できない」と付け加えました。

グテーレス事務総長は国際社会に対し、さらなる暴力の激化を防ぎ、総体的な解決策を探るよう呼びかけるとともに、ミャンマーの当局に対しては、困窮した人々に安全と支援を提供し、救命援助への安全なアクセスを確保するよう強く訴えました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。